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人生交換後の二人の日常  作者: sho
それぞれの課題
15/19

【14】 泉 ~ケイの世界~

スッっと空間が動き、泉の前についた。

「おい、ヘレナ。お前の記憶を見るに、ここがその泉のようだが」

「そう、きっとそうよ」

そういうと、ヘレナは自分の鼻を触り、得意げに話し始める

「むかしね、きこりが、この泉に鉄の斧を落としたの。そうしたら、中から女神が出てきて、いろいろあって、いい感じになったのよ!」

なるほどわからん。

「とにかく、この泉に、魔力があるってことだな」

さっそく、魔力を解析してみる。うん、確かにわずかに感じる。

「しかし、この魔力では、女神を召喚することなど、不可能なのではないか? まして、私が飲んだところで、回復するようには見えんぞ」

「うーん、しょうがないわね」

そういうと、ヘレナは、その金髪を揺らしながら、私に抱き着いてきた。

「ちょっと魔力借りるわよ」

そういうが早いか、ヘレナは詠唱を始めた。魔力の高まりに呼応するように彼女の赤いひらひらのスカートが揺れる。久しぶりの人の温かさに、何か地面に足のついていないような感覚になる。

「はぁ!」

ヘレナが両手を前に持ちあげる。泉の水が、円柱型のゼリーのように、持ち上がっていく。

「えい、や、はぁ!」

目は水の柱ただ一点を見つめ、口元は引き締まり、真面目、そのものだ。

ヘレナも、やるときはやるのか。

至近距離で見るヘレナ。小さくてかわいい鼻、大きくて丸っこい目。私服のあちこちに付いた赤いリボンが似合うのは、ヘレンとは違った魅力だろう。

何かを叫びつつ、10秒くらいたったころ、ヘレナが持っていたのは、瓶入りで透明な、紺青色の液体だった。

「泉の水を全部濃縮してあげたわ!これでお互い転生一回分くらいはできそうね」

いつも通りのドヤ顔に戻ったヘレナを見て、安心する。

「ありがとう。それにしても、どうしてこんなに薄かったのだろうか」

「この世界は、もともと魔力が少ないのよ。私が前来た時は、もう少し濃かったんだけどね」

「それですらあの魔力か」

同じ魔力を持っていても、扱いのうまさで、何十倍、何百倍と、効果の差は出る。

ヘレナの転生一回分、私なら5回は転生できるな。安心して、この世界を楽しむことができそうだ。

それより、もう魔力はいらないはずだが、ヘレナは私から離れない。はて、これはどう指摘したものか。



午後6時ごろ、家に帰った私を待っていたのは、妹の「静かな」怒鳴り声だった。

「なんで、学校、行かなかったの!」

言葉のすべてにh音が入ったような発音で問い詰められる。

親に伝えてないことを考慮してくれるのは大変うれしいが、学校などのことを心配されるのは大きな迷惑だ。


そのうち、妹にも魔法を教えないといけないらしいな。


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