【13】 ルナ式魔法講義 ~テオの世界~
スパン!と、空間を切り裂くような音がする。恐る恐る目を開ける。
「あれ、ここは」
見覚えのある空間、10代20代くらい(に見える)人たちが、いちゃいちゃしている広場だ。
「なあ、なんでここが・・」
隣の少女に視線が集中しているのがわかる。当然だ。白狐のように神秘的な髪の毛の中に、アメジストのように透き通った目。紫の洋服が太陽の光を乱反射して、ただならぬオーラを出している。
「え? なに?」
くるっとこちらを向くルナ。底の見えない目の美しさが、僕をとらえる。
「どうしてここがわかったの? ここ、家の近く、だよね?」
「寝てる時に、記憶、見せてもらった。ごめんね・・」
ルナはうつむく。
「ああ!いいのいいの!ありがとう、連れてきてくれて。」
それならどうしてあんなひどい仕打ちを受けたのだろう。そんな疑問が真っ先に飛んできたが、この少女の悲しい顔を一刻も早く回復させることが、それ以上に重要な、僕の任務になっていた。
「それで、魔法って、どうすればできるの?」
本題に入ろう。これがないと、僕は家に帰れない。
「ちょっとまってて」
そういうと、ルナは僕を地べたに寝かせた。何かを唱えながら、僕の顔に手を、そして顔を近づける。僕の目は閉じられる。やわらかい髪の毛が顔に触れるのを感じる。鼓動の早さを感じる。金縛りのようで、動けない。魔法にかけられているようだ。手が頭の後ろに回る。彼女の息遣いを感じる。