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エラスカルヴァ 1
「いつもいい加減な長老様が珍しく集会してるって、こっそり見に行こうぜ」
「おい……やめとけよ、おこられるぞ」
といいつつも……10年ぶりに長老がまじめに仕事をしているとあっては、気になるのが人のサガだ。
長老はいつものほほんとしているが、今日は腕を組んで真剣な顔だ。
かつては歴戦の戦士だったらしいが、そんな面影はどこにも見られずのハズだったが……。
「オイオイ、なんだか長老サマの雰囲気が別人じゃねぇかぃ?」
会議メンバーは両腕を頭の後ろで組んで、その様子に困惑しながらテーブルに肘を置きなおす。
「何かやばいことでもおきるのかえ?」
着物の商人が膝の上に手を乗せおとなしく座っている。
「お父様、戦でも始まるのでしょうか?」
長老と共に会議で話すメンバーは派遣ギルドの管理人の女、村一番の商人の男、長老の娘などだ。
「イトリは今日もかわいいな」
足腰の弱い父親に代わり公務をする彼女は、女神のように美しく村の男の憧れの的である。