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刹那的 1

捨てる神あらば拾う神とはよく聞く言葉だが、俺のような親にも政府からも見捨てられた存在に居場所などない。

街灯に照らされて、バイト募集のチラシが目に付いたのでそこで歩みを止めた。

お金に困ってる若者、故郷に残した家族のための出稼ぎ、副業の人アットホームな職場です。


「フルサト、俺もほしいもんだよ」


「だったら船に乗りませんか?」


後ろから、幸薄そうな女に声をかけられる。街灯の薄暗さで色の判断ができないものの青っぽい髪の毛を左右でみつあみにして、服は白か黄色あたりだろう。


「船……君、今時の海賊とか?」

「そんな大層なもんじゃないです。ただ行き場を探してる人を見つけたら連れてくるように言われてて」

「強盗なら他あたってくれよ、無一文になって金なんか少しもない」


「警戒するのも無理ないですよね。とくにここらでは」

「ま、暇だしどうせ死んでもいいから行ってもいいけどさ」



「……というわけで、新しい人を見つけました」


テーブルの上には豪勢な食事、乗ったと思ったらもう船が出向して海の上という状況で有無を言わさず仲間にされている。

彼らが強盗じゃなくて脱力してしまうなど、死んでもかまわんとイキッたものの死にたくなかったのだという実感がわく。


「歓迎するよ」

「うんうん!」


人のよさそうな金髪青目の青年、溌溂(はつらつ)な黒髪赤目の少女、俺を勧誘した女がにこやかに楽しく食事を始めた。

いまから泳げと言われても困るが、受け入れていいのか疑問に思っていると、一人だけ浮かない顔で手をつけない男に目が行く。



「いいんですか、身辺調査とかせんで」


(だよな! こっちのほうがまともな感性だよな!)



「いいも何も必要だからね。君ってアレを使えるだろう?」

「魔法ですか、人並みには使えます」




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