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ご神木ナノマシン 1




「この村に生まれたからには発症も仕方ないが……このままでは」




「父さん! ナノマシンは次の船が来るまで用意できないそうです」




「ご神木じゃ! ルイトとともに祈ってくるのだ!」




「は、はい!」







この小さな村で村長の娘が死にかけているという噂が広まるのに時間は掛からなかった。






「ルイト! 姉さんが大変なんだ。父さんがご神木へ行くようにと言ってる」




青年が息をきらして彼に促すと、こくりと首を傾けた。




「ご神木様、どうか姉の病をお鎮めください。どうかナノマシンを」




青年が手を合わせ、続いてルイトが祈りを始める。風が吹き、木の葉が揺れて葉が落ちた。




「どういうことなんだろう?」




青年がルイトに問うが、首を振ってわからないといいたげにしている。









「転校生の此花エレクテスさんです。みんな、仲良くね」




「ねえナノマシンがほしいんでしょ?」




ルイトはうなずく。




「あげてもいいけどタダじゃないわ」




首をかしげて彼女が要求を述べるのを待つ。


お金なら村長がなんとかするが、いったいなんなのだろうとルイトは不安になる。




「私と死後に夫婦(めおと)となるのだ」




口調と雰囲気が別人のように変化した。




「幼いころから仲のいい女を助けたいであろうな?」




ルイトは無反応で彼女を見つめている。助けたいが、契約はできないということだろう。




「出会ったばかりの女とはそんな約束はできんか、思い人の女もおろうな」




何かを言いたいが、ペンがなくてもどかしさに震えている。




「死後だぞ、お前は生きている間その女と婚姻しようとかまわん」




譲歩された要求にいいえと首を振る。




「ならナノマシンはやれん、私は帰らせてもらう。二度と会わん」




ルイトは彼女の動線を遮り、しぶしぶ契約するということを示した。




「契約するんだな?」




コクコクと、うなづく。




「契約を違えるつもりはない。一緒に届けにいこう」




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