ascension/MGR-T
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主人公
死者
※作曲者コメント
水の奥底に沈む死者の魂が水面を越えて天に召されてゆくという情景をイメージした曲です。
URL
https://youtu.be/gxIcb1F6cuw
http://nico.ms/sm29107359
作者コメント
冷たく、そして深い闇の中。
私は待ち続けた。
助けを期待しているつもりはない。
でも…私を誰かに見つけてほしい…。
マイミクの方の曲を書かせて頂きました。
森の中に位置する静かな湖。
少しばかり魚や生き物が泳いでいる。
冷たい表情を見せるその湖は深く、
そこまでは太陽の光が差す事はない。
この光差さない湖底深くには一人の死者が眠っていると言う。
百年以上ここに眠る死者は既に白骨化、
しかし未だ彼は成仏されず魂は亡骸の中で苦しみ続けた。。
たった独り真っ暗な湖底で助けを求めて人を待ち続ける。それはどれ程悲しい事なのだろう…。
また生前彼は何が遭ったのだろうか…。
人が手を加えていない森の中だと言うのに湖付近は草木は皆朽ち果て不自然な空間となっていた。
更に辺りは深い霧が立ち込める。
これは湖底に眠る死者と関係しているのだろうか？それは誰にも分からない。
「私は何年待ち続けただろう…。
いや、誰かが来てくれるとは思っていない。
でも…誰でもいい。
私に…手を差し伸べてほしい…。
私の想いを見つけてほしい…。
ただそれだけなのに…。」
すると空から一本の細い光が降りてきた。その光は糸のように一直線に。
森を目指し降りていく。
そのままゆっくりと湖に入っていった。
どんどん深く入っていき光は湖底にまで進んだ。
広がる闇に現れた一つの光。
光の終着点。果たしてそこには、死者がいた。
仰向けに眠っている死者の心臓部に向かって空から光が差したのだ。
光を通して何かが聞こえた。
━━聞こえますか？目を覚ましなさい。貴方の辛い心を見せて頂きました。
貴方の辛いその想いから解放しましょう。
さあ。この光を沿って空を目指すのです━━
それは魂の耳に鳴り響いた。
まさしく…神の声だろう。
そして死者の魂は動き始めた。
だが勿論人間には見る事はできない。
その者の魂が姿を現すと亡骸は崩れてしまう。
崩れた亡骸は無数の小さな欠片となり水面へ向けて浮上しはじめる。
真っ暗な湖底の世界に一直線に光を差している。
それを道標に魂も浮上を開始。
死してから何年待った事だろう。遂に私の元へ神が降りてきた。手を差し伸べてくれた。
そうだろう。
神に天へ招待されているのだ。私はこんな想いからようやく解放されるのだ。
魂は湖の浮上を続け辺りは少しずつ。少しずつ。明るくなってきた。
水面の下から見える柔らかな日差し。これを見たのは何年振りだろう。
世界はこんなにも暖かかったんだな…。
先に浮上した亡骸の欠片は
光となって突然辺りを散りばめられた。
光は空中に降り注がれた。
空中を漂う物もあれば地面に落下する物も。
この湖付近だけ不自然に植物が朽ちた理由…
それは彼の負の心のオーラが原因だったのだ。
何百年もの間彼の辛い心を受け止めたこの地は心と調合されていまい
彼の心のように悲しい景色となってしまったのだろう。
しかし今は違う。
死しているが今の彼には希望がある。そして解放されるという喜びの感情。
その今の感情が現に光として具現化されたのである。
光により立ち込めた霧は晴れていき上空の曇天も晴天へと変貌を遂げる。
光により土に命が吹き込まれる。
辺りから小さな芽が生えてきた
それらはどんどん成長していき
瞬く間に成木となる。
そう。
この地は本来あるべき姿を取り戻したのだ。
ようやく魂は水面から姿を現した。
辺りは草木は生い茂る森。
眩しい世界だ。それと同時に懐かしい世界。
まだ光は天へ続いている。
魂はまた再び光に沿って天を目指した。
「不思議な感覚だ…。暖かい…まるで誰かに支えられているような…。」
神は天に昇る彼を暖かく包み込む様に手を差し伸べてくれた。
魂は空高く上昇していく。
ゆっくり。
ゆっくりと。
ようやく彼は光の終着点、天国へたどり着いた。
彼は百年にもわたる辛い想いから解放され無事昇天。
もう未練などない。
彼は天空で静かに成仏されたのである。
その後二度と湖付近の植物は朽ちる事はなかった。
昇天閲覧ありがとうございます。そして書かせて頂いてありがとうございます。
いつも話を書く感じで今回も書かせて頂きましたがどうなのかな？
にしても本当に神秘的で良い曲ですよ。是非皆さんも聴いてみて下さいね。
ラストの曲の終わり方が私自身気に入っているので文中もそれに合わせ改行を多くしてみました。
これからも素敵な曲作って下さい!!応援してます!!
