表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
91/118

 周三はユンディー教団の軍艦ルクセンビュリュック号から

海賊艦隊を偵察するために飛び立ち北東の海域に向かった。


 周三はグリフォンに騎乗し北東に向かって飛行していた。

ふいにグリフォンに速度を弱めて上空で止まるように指示した。

「ありがとう。止まらないと風圧で聞き取れなかったりするからね。

アルフレッド。このあたりの風の妖精さんは何か言っていたかい?」

周三はグリフォンにそう訊ねた。

「うむ。西に向かって飛行する飛行体があったと申しておった。」

「マジかよ。何体って言ってた?」

「1体だそうだ。」

「たった1機か。少ないな。

ユンディー教団の軍艦にヘリポートらしきスペースがあったけれど

そこに飛行機を載せてなかったのが気になったんだけれどやっぱりか。

相手が少人数だとしても見逃すわけにもいかないな。

東には海賊艦隊が丸々残っているからね。

ユンディー教団艦隊と海賊艦隊は今は分断されているけれど

海賊艦隊にも無線機器があるかもしれないから油断が出来ない。

ユンディー教団と海賊艦隊がもしもグルだったら

大戦力が東に温存されてる状態ってことやん。

飛行機か何かに西の方面で攪乱されたらこちらに隙が生まれる。

そうなったらまさに好機と海賊艦隊が反転して攻めてくるかもしれん。

う~ん。困ったなぁ。

でも、このまま飛行機を追えば海賊艦隊の動向を確かめる手段が無い。

どうしようか。俺の体はひとつなんだよなぁ。どうしようか悩む。」

「どうなさる?飛行体を追うか?」

「うん。確かに飛行体は気になる。でも海賊艦隊も重要でしょ。

う~ん。奥の手を使うしかないな。」

「ほう!シュウには奥の手があるのか?」

「うん。さっき手に入れたばかりの奥の手。この鈴がある!」

周三は胸のポケットからリリアンからもらった鈴を出した。

「ん。その鈴でリヴィー、、いやリリーを呼び寄せるのか。」

「うん。魔法学園都市国家の軍隊に海賊艦隊をやっつけてもらおう。

俺は海賊艦隊に手を出さないとブラッドフォードさんに

口約束したけれど俺とは関係の無い他国が海賊艦隊を攻撃したのなら

約束を破ったことにもならないやん。おお。我ながら名案だ。

早速、鈴を鳴らしてリリー先生を召還しよう!」

周三は右手に持った鈴を小刻みに左右に振って音を鳴らした。

すると、魔法陣が鈴の周囲の虚空で構築され発動した。

しかし、魔法陣が起動しても何も周囲に変化は無かった。

周三は戸惑った。

「。。。。。。。。。。。何も起きないね。」

「うむ。何もおきんな。」

「でも、魔法は発動した気がするんだよねぇ。」

「魔法陣が発動した時の波動は我にもわかったが。」

「。。。。。。。う~ん。」

周三は何回も鈴を鳴らしてみたが鈴に反応は無かった。

周三は左目の魔眼を発動して鈴を凝視した。

魔法の効果が魔眼を通して頭の中で理解できた瞬間。

「えーーーー!!!これって発信機じゃんかよ!!!」

「なんと!その鈴は召喚魔法を発動する道具ではなかったのだな。」

「そうだよ。これは強力な発信機みたいなものだよ。

俺らの位置をずっと発信し続けてるだけだ。

ということはリリー先生は箒に乗って普通に移動してこっちに来ると思う。

それって召喚じゃなく召集やんか。

これってもはや単なる待ち合わせやん。

どうしよう。リリー先生は来てくれるんだろうか。

すっぽかされる確率も十分すぎるほど感じる。」

「う~む。リリーはすっぽかすことはありそうだ。」

「旧知のアルフレッドが言っちゃったよ。

すっぽかされる可能性が確信に変わった。

リリー先生を待っていたらここから東にも西にも動けない。

西に戻るつもりだから東に移動したくない。

いや、東に移動すれば魔法学園都市国家に近づくから

リリー先生と合流しやすくなるのか。

でも、東に向かうならそもそもこの鈴いらなくね?

いっそのこと魔法学園にリリー先生を迎えに行った方が早そうじゃん。

迎えに行ったらこの鈴が完全にゴミってことになるね。」

「うむ。しかしもはや、それもやむえぬことか。」

「うわ~。俺の計算が全部狂ってしまったやんか。

それにしてもこの鈴にこめられた魔力で魔法陣が

発動したのだけれど魔力って人間の魔法使いも使えるんだなぁ。

人間の魔法はマナだけじゃないんだね。」

「どうであろうな。」

「リリー先生の魔力量はすごかったで。

俺も魔力をかなり蓄えたと思ってたけれど俺を遥かに凌ぐ魔力量やった。

魔法学園都市国家の学校の先生のレベルはすごいね。

やっぱり俺は井の中の蛙だ。魔法学園都市で勉強しなきゃ。」

「いや、リリーは特殊な部類だと我はおもうが。」

「そうなの?特別な人が学校の先生をしているのかぁ。

魔法学園都市のレベルはやっぱりすごいんだよ。」

周三は目を輝かせて希望に満ちた表情を見せた。

「さて、どうしよう。。。東に向かったら飛行体を追えない。

暗黒騎士がフェンティーア都市国家本土を攻めるとは考えにくいけれど

万が一という事もあるからまず西に向かうのが得策か。

俺は西に向かうことに決めました。アルフレッド、西に行こう!」

周三は鈴を胸ポケットにしまうと西に向かって指を指した。

グリフォンは西に向いて羽ばたくと一気に加速して飛行した。

太陽はもう水平線に沈みかけていた。


 周三はフェンティーア都市国家の本土上空に到着した。

魔眼を発動して周囲を見渡したが飛行体は発見できない。

いったん停止してアルフレッドに

風の妖精に聞き込みしてもらうとここからまだ西に向かったという。

「う~ん。もしも本土が目的ではないとすると

飛行体の目的っていったい何なんだ?

ん。もしかして連合軍か?

連合軍艦隊への攻撃の可能性があるなら早くみんなに伝えないと。

飛行体はどんな兵器を持っているかわからないからな。

いっそ、アルフレッドだけに行ってもらってロアンさんに伝えてもらうか。

アルフレッドなら俺が騎乗していなければ

ありえないような速度で目的地に移動できるんでしょ?」

「うむ。」

「それなら俺をここに置いていってよ。」

「まことにそれでいいのか?」

「だって、連合軍には無線が無いんだから

それしかこちらの状況を連合軍艦隊に伝える手段がないでしょ。

とりあえず、フェンティーア議事堂近くに着陸しよう。

地理がわかるところじゃないと俺は道に迷うからね。」

「そうだな。うむ。わかった。シュウの提案に従おう。」

グリフォンはフェンティーア議事堂の敷地内の海側の広場は

街灯が無いため夜は人が滅多にいない。

グリフォンはその広場に目立たないようにすばやく着陸した。

周三はヘルメットを取ってゴーグルと口の周りに巻いたタオルを

ヘルメットの中に押し込むとヘルメットの紐を馬具に括り付けた。

「ああ。もう夜だね。祝勝会の開始には間に合わなかったな。

みんなには俺が申し訳ないと言っていたと伝えておいて。」

「たしかに伝えよう。それでシュウはこれからどうするのだ?」

「下宿先に戻って休むよ。

俺は念のために本土にいた方がいいだろう。

もしかしたらリリー先生が訪ねてくるかもしれないしね。

アルフレッドはロアンさんに敵の存在について伝えたら

軍艦フェンティーアにそのままいてくれていいから。

戦争はほぼ終わったも同然だから

俺が軍艦にいなくちゃいけないってわけでもないでしょ。

連合軍艦隊がフェンティーア都市国家に戻ってきたら

俺が合流するのはその時でもいいんじゃないかな。

俺なんかいなくても飛行機体1機くらい倒せる戦力は

連合軍にはあるでしょ。無かったら軍隊じゃないじゃん。

それに海賊艦隊とユンディー教団艦隊の方が遥かに大軍だからね。

こっちの対処に俺は全力を傾けるよ。

周三はベルトの命綱を取り外して地上に降りた。

「おお。土の大地の感触。かなりうれしいな。

じゃあ、アルフレッドは今から全速力で旗艦フェンティーアに戻って。

俺はこっちで試行錯誤しながら頑張るから。」

「うむ。では、また会おう。武運を祈っておる。」

「サンキュ。またね。」と言って周三はグリフォンの首を優しくさすった。

グリフォンは大きく羽ばたくと舞い上がった。

風圧で周三は目を細めながら空を見上げると

グリフォンはあっという間に西の空に消えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ