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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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真祖

 周三はギヨク将軍を第二艦橋に招くと

自分に用意された食事を譲り、風呂に入って温まってもらった。

ギヨクは影の国の建国の歴史を少し語ったのであった。


 ギヨクが風呂から上がり体を拭いて周三とフロアに出た。

第二艦橋のテーブルには豪華な料理の数々が並んでいた。

ステラと数人の乗組員が台車を引いて料理を運んできていた。

「バスローブが似合いますね。」と周三はギヨクに言った。

「ははは。そうですか。」とギヨクは笑った。

ギヨクはよくタオルで体や顔を拭いたせいか羽毛にふんわり感を

取り戻しつつあった。梟顔にバスローブはとてもマッチしていた。

「どうぞ。どんどん召し上がってください。

手で掴むのは構いませんがそのかわりトングで

自分の皿にまず取りわけてから手で食べてください。

お願いします。俺も食べるんで。」と周三は言った。

「はい。わかり申した。」と言うとトングを持って料理をはさんで

小皿に入れては手で料理を口に運んだ。

ステラがギヨクの食事の様子を見て

気を利かせてフィンガーボールを用意してくれた。

「ステラさんありがとうございます。」と周三は

料理を運んで並べる見習い海技士のステラに礼を言った。

「いえ、お礼なんて。仕事ですから。」と顔を赤くして言った。

「シュウ様、おめでとうございます。」というと周三は

「ありがとう。」と応えた。

「では、これでわたしは失礼します。」とステラは言うと

料理を運んだ台車を引いて数人の乗組員と共にエレベーターに向かった。

「料理するというのはこんなに美味くなるのですな。

手が止まりません。」と言ってギヨクはムシャムシャと食べていた。

「手が汚れたらこのフィンガーボールで手をすすいでください。」

「おお。これはそういうものでしたか。はははは。

言うてくださらねば中の水を飲んでしまうところでした。」

「あははは。飲む前に説明できて良かった。」

周三も料理を取り皿に取って食べていた。

「料理って美味しいですよね。ギヨク将軍。

料理とかって文化ですよね。そういう文化を第二大陸にも

取り入れて欲しいんです。

俺は第二大陸を不毛の大陸から

文化的大陸に発展してほしい。」と周三は言った。

「ん?それはどういうことでしょうか。」とギヨクは首をかしげた。

「さっきのお風呂のお湯も魔石で沸かしたって言ったでしょ。

これからそういう機械が普及したら魔石の需要は伸びます。

そうすれば貿易での収入は増えるはずです。

ネヴェシス姫次第ではありますがネヴェシス姫の国との交易も

俺は視野に入れています。それに第二大陸の食料問題の解決策も

研究機関に相談して探したいと考えているんです。

魔王ゼネシスの考えは500年前なら通用しましたが

現代で侵略では何の解決もしないと思います。」と周三はギヨクに語った。

「ゼネシス陛下の思想はもう古いとおっしゃるのか。」とギヨクは

困惑した表情を浮かべた。

「そうです。このパンは小麦で出来ていますけれど

悪魔軍が第三大陸を侵略して

小麦畑を食い尽くしたら来年は小麦は取れなくなります。

そうなれば第三大陸を侵略しても

第二大陸と変わらない不毛の土地になってしまう。

そうなったら結局は何も解決しないでしょ。

それよりも毎年、小麦を人間に作ってもらってその小麦を魔石で買った方が

いいと思いませんか?」と周三が言うとギヨクが目を丸くした。

「ふむ。わしらは奪う事しか知らない。

仲良くなんてことも知らなかった。

同族同士で殺しあうような生活で

友好という関係を想像する事もできなかった時代もあった。

そんな時にゼネシス陛下の思想に触れて希望を持ったが

異種族と仲良くする事で豊かになる選択もあるとおっしゃるのか。

そんな事が本当に実現できるのでしょうか。」とギヨクは言った。

「現に炎の国はそうしています。炎の国は豊かですよ。

そのせいで人間がする食事に慣れて悪魔が悪魔を食べなくなったり

若者が戦争に行きたがらなくなったって炎の王子が言ってました。」

「確かにこのような食事を毎日食べておれば

痩せ細った悪魔の肉を食べ、骨をしゃぶることなど

出来なくなるということか。

それは悪魔の共食いを無くすというゼネシス陛下の思想に通じますな。

勉強になりました。

わしももっと柔軟に物が考えるようにならねば

いけないようですな。」とギヨクは笑顔で周三に言った。

「ええ。そうなって頂きたい。

第三大陸はカンベインの仲間が作った国や

カンベインの仲間の子孫が貿易や流通などを管理しています。

ギヨク将軍にウルドさんたちが語った未来の世界はもうここにあるんです。

ギヨク将軍もその世界に参加してもいいのではないでしょうか。」

「ははは。もうウルド様たちは

理想を実現されておったのか。そうか。そうか。」と

ギヨクは目に涙をためていた。

そのあとギヨクは何か思いつめたような顔をしてから

「シュウ様。この世界には怪物が存在しておるのをご存じか?」

「怪物?それはよくわかりません。」

「その者は真祖と悪魔界では呼ばれとても恐れられております。

ルシカル王は真祖と手を組みました。

そして真祖は第三大陸におるそうです。」と

ギヨクはいきなりのカミングアウトをした。

「それは一体!?

第三大陸で真祖っていう悪魔が何か企んでいるという事ですか?」と

周三は手に持った皿を落としそうになった。

「それはわしにはわかりません。ただ真祖は世界を玩具にして遊ぶ悪魔。

作り出さずただ破壊するだけと言われております。

わしは真祖は巷で言われるような破壊の権化ではなく

もっと狡猾な存在と思っておる。

勇者様。どうか、くれぐれもお気をつけになってください。

わしから言えるのはもうそれだけです。」とギヨクは言った。

周三は悩みの種が増えた。と困ったが

パズルのピースをひとつ手に入れた気がした。

「ええ。未来の世界をそいつに

破壊されないようにお互い頑張りましょう。」と

周三は真っ直ぐギヨクの目を見つめて言った。

おはようございます。

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