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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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思惑

 医務室に収容されたギヨクと2人きりになった周三は

ギヨクにいくつか質問をした。そのあとにギヨクに対して

ネヴェシスの家臣になる事を提案しギヨクはそれを承諾した。

周三はギヨクを甘根の部下の悪魔神官が使っていた治癒魔法を

コピーして会得しておりその魔法でギヨクを完全に治療した。

周三はそのあとにギヨクを食事に誘ったのであった。


 医務室でギヨクと周三の2人きりなのだが

ギヨク将軍は上半身が裸で翼が生えており

このまま食堂に行くのはあまりにも目立つと周三は思った。

「服が無いとギヨク将軍は目立つので

ロアンさんが帰ってくるまで少し待ちましょう。」と

周三はギヨクに言った。

「わかり申した。」とギヨクが返事をした。

しばらくしてすぐにロアンが医務室に帰ってきた。

ロアンは医務室から甘根の部下のビショップたちを

艦の外まで送り届けていた。

「ロアンさんおかえり。ご苦労様です。」と周三が声をかけた。

「ただいま戻りました。ギヨク将軍はお元気になられたようですね。

シュウが治療したのですね。」とロアンは言った。

「ええ。ネヴェシス姫の件もギヨク将軍は承諾してくれました。」

「そうですか。それはよかった。」

「おお。エレメントマスターのロアン殿でしたな。」と

ギヨクがロアンに声をかけたがロアンはギヨクに目を向けると

「すみません。言葉がわからなくて。」と返した。

「ロアンさんは第二大陸の言葉がわからないのです。」と

周三が説明する。

「そうか。ロアン殿は第五大陸出身でしたな。

うっかりしておった。」とギヨクが周三に応えた。

「ギヨク将軍と食堂に食事に行こうと思っているのですが

ギヨク将軍の上着がここには無いですよね。

裸ではさすがに見栄えがよろしくない。

ギヨク将軍を捕虜っぽく扱ってると思われるのは俺は心外なんです。

服についてはロアンさんに相談しようと思ったのですが

どうにかなりませんか?」と周三がロアンに訊いた。

「安心してください。ギヨク将軍の上着は医務室にあります。

しかし、食堂で敵将と食事をするのは

乗組員の戦勝ムードに水をさします。

できるだけ目立たないようにした方がよろしいかと思います。

ベットの下の籠にギヨク将軍の上着をしまっておりますので

その上着を着て頂いてわたしが第二艦橋の周三の部屋まで

ギヨク将軍を送りましょう。

食事は第二艦橋でご一緒に取られたらよろしいかと思います。

わたしから艦長にその旨を伝えておきましょう。

ギヨク将軍は空腹なご様子ですので

料理はたくさん用意してもらうようにいたしますので。」

周三は艦内の乗組員の空気にまで気がまわってなかった。

「そうですね。では、ロアンさんはギヨク将軍を連れて先に

第二艦橋まで行ってください。俺は時間差で追いかけます。」

周三はベットに腰掛けているギヨクに向かって

「ベットの下にギヨク将軍の服があるそうです。

濡れているかもしれませんがとりあえずそれを着てもらって

俺の部屋で待ってもらえますか。すぐに追いかけますので。

艦内の戦勝へのムードも気にしないといけませんから。」

「それはそうでしょうな。

敵の将と仲が良さげに艦内を闊歩されては

味方も困惑するでしょうな。では、ロアン殿について参る。」

そう言うとギヨクはベットから腰を上げた。

ギヨクはベットの下に収納された籠から自分の衣服を出すと着衣した。

「うほ!やはり服は濡れておりますな。冷たい。」と

ギヨクはおどけた顔で周三に言った。

「あはは。風邪をひかないようにしてください。

部屋についたら濡れた服は脱いだ方がいいかもしれない。」

ロアンが手振りでギヨクに移動を促した。

ギヨクはロアンに対して頷くと

「では、勇者様、のちほど。」と周三に会釈してギヨクは

ロアンと共に医務室を出て行った。


 周三は医務室に一人残った。

周三は今後の方針について考え事をし始める。

ギヨク将軍の話は矛盾だらけだったな。

影の国は保有する軍船の数が少ないのに

その軍船の多くを損失させてまで

遠くの第三大陸にちょっかいをかける意味を

ギヨク将軍はたぶん知っている気がする。

知っているが教えるわけにもいかないのか。

戦略のカードとして真相を隠して持っておきたいのか。

胡散臭いおっさんは胡散臭いままでいい。

ギヨク将軍のそんなところを俺は買ってはいる。

ネヴェシス姫がどんな人物かもわからないのに

俺は見切り発車で計画を進めてる。

もしもネヴェシス姫が好戦的で厄介な人物であったとしても

俺にはこのカードしか今は切れない。

ギヨク将軍の話から推測するに影国は魔王軍の残党軍国家や。

その本来の旗頭である魔王の娘であるネヴェシス姫に

影国の喉元あたりの位置に建国させて突き立てれば

うまくいけばネヴェシス姫に対して影の国が恭順を示すかもしれん。

でも、全大陸戦争からもう500年も経っているからな。

そう単純にはいかんかもしれん。

魔王ゼネシスなら国はまとまるかもしれないが

その娘さんではルシカル王と地位があまり違わないかもしれん。

ネヴェシス姫はたしか魔王軍軍師でルシカル王は魔王軍元帥だったな。

影の国の国内がネヴェシス派とルシカル派に分かれてくれたら

かなりの時間をこちらは稼げるだろうし敵の思惑も見えてくるかもな。

もしもネヴェシスが影の国をまとめてこちらに敵対してきたとしても

こちらはネヴェシス姫を牢獄から解放し援助までした事実は消えへん。

俺が命を助けたギヨク将軍をネヴェシス姫の側近につけておけば

その事実がより鮮明になるはずや。

元の世界にいた頃に悪人が主役の漫画を読んだ事があるが

悪の組織には綺麗ごとが必要なんやなと感じた。

義理や人情や掟やけじめなど一般社会よりも悪の社会の方が厳しい。

悪だからこそ部下を動かす時に大義名分が必要になってくるはず。

もしも悪の組織の親玉が大義名分を無視した行動をすれば

暗殺や裏切りや下克上がおこって大変なことになる展開が漫画では多い。

とりあえずこのカードを切って影の国に揺さぶりをかけてみよか。

俺の頭の中にはこの世界についてのパズルのピースが抜けすぎとる。

ピースを探して埋めていけば影の国と繋がりのある組織が

もしもいればその組織を見つける事ができるかもしれん。

大ごとになるまえに防ぐ手段を探さないと。

人間って大きなトラブルに対処した人間を英雄とか言うけど

大きなトラブルが起こらないように

防いどる人間の方が俺は偉いと思ってる。

そういう偉人は歴史では地味で評価されずに無名で生涯を終えるけど

俺はそういう人間を評価する。

だからこの世界を持ち上げて支えてるという無名の巨人に

俺はいつか世界の下側に太郎と一緒に行ってお礼を言おうと思ってる。

影の努力は誰かが見てるっていうけれど

俺の父さんは他人に見えるように努力しないと出世はせえへん。

他人はそこまで他人に対して興味はないって言ってた。

それでお父さんは出世できてるんやから説得力はある。

でもそういう世知辛い世の中を

俺はこの世界で体現したくはない。

俺は勇者やからこの戦いを解決した事で評価されるかもしれんけれど

こんな戦いになる前に気付いて対処できる人間に俺はなりたいんや!

俺は世界の平和よりも俺の平和を全力で守る!!!

俺の平和は世界の平和に繋がっていくと俺は個人的に信じてる!!!

そう決意して周三は医務室を出た。


 周三は医務室から廊下に出て艦首に向かって歩いていくと

ロビーでソファーに座って雑談している医師と看護婦がいた。

医師と看護婦に周三は声をかけた。

「お待たせしました。将軍の治療はおわりました。

一般の怪我人や病人の方は医務室に訪ねては

来ませんでしたので問題は無いと思います。

どうもありがとうございました。」

医師と看護婦はソファーから立ち上がった。

「そうですか。

先ほど敵の将軍がここを通っていくのを見かけしました。

ではわたくしどもは医務室に帰り業務に戻ります。

この度のご勝利おめでとうございます。」と

医師が笑顔で周三に言った。

看護婦は真剣な顔で周三を見つめると

「無事にわたしたちが

帰国できるのも勇者様のおかげです。」と礼を言ってきた。

2人に向かって周三は

「いえ、この艦の乗組員の皆さんが

俺たちを支えていてくれたおかげです。

こちらこそどうもありがとうございます。」と返事をした。

医師と看護婦は会釈すると2人で医務室のほうに歩き出した。

こんばんは。

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