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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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決着

 敵が接近しつつある事を知った周三は

鷲の上半身と獅子の下半身を持つグリフォンに騎乗し

軍艦フェンティーアから飛び立った。


 「まだ敵は遠いな。」と周三はつぶやく。

グリフォンが本気の加速で前進すればすぐに接触する距離で

あろうがあえて速度をかなり落とす。

「ねぇ、アルフレッド。一応、回避行動を練習しとこっか。」と

周三はグリフォンに提案した。

「わかった。全て左回りだったな。」とグリフォンが改めて確認してきた。

「ああ。全部左回りで避けて。」と周三は返事した。

雲はほとんどない空だった。風は少し強い。

周三は軍艦から3kmくらい離れた前方で回避運動の練習を始める事にした。

敵に見られたら作戦がバレてしまうが周三は気にもしていない。

「では、両足の鐙でアルフレッドのお腹を一回軽く蹴ったら

左に水平に円を描くように避けて。

絶対に高低差は無しでよろしく。

下降も上昇も加えず平行に避けてね。いくよ。」と言うと

周三は鐙でグリフォンの腹を軽く足の内側で蹴った。

するとグリフォンは半円を描く軌道でなめらかに左に回避運動した。

「おお!ナイス!イメージ通り!」と言いながらも

周三は体のバランスを崩していたがなんとか持ちこたえた。

「何回か連続でやってみるね。」と周三が言うと

鐙で蹴るたびになめらかに回避運動を繰り返した。

「たぶん、ギヨク将軍って飛行速度は速いと思うから

大きく速くこの回避運動しないと連続攻撃をくらいかねない。

だいぶ体も慣れてきたんでもっと大きな円を描いきながら

速度を上げてみようか。」と周三はグリフォンに提案した。

「わかった。」とグリフォンは返事をすると周三は鐙で軽く蹴った。

凄い速度でグリフォンは体の正面を円の中央に向けたままで

スライドしながら円の軌道を描いて移動した。

まるでドリフト運転をしているように見える。

「いいね!体が落っこちそうになったけど

命綱で固定されてて助かった。これなら多少無茶しても落ちないわ。

戦闘中はこの動きを徹底していこう。

もしもアルフレッドがギヨク将軍の攻撃を避けきれないと

思う事があれば迷わず高低差をつけてくれてもかまわないよ。

あくまでも最終手段だけれど攻撃に当たったらおしまいだからね。」と

周三はグリフォンに言った。

「わかった。そこは我の判断に任せてくれるのだな。」と

グリフォンが確認してきたので

「うん。よろしくたのみます。」と周三は返事した。


 連合軍の陣形の先頭である軍艦フェンティーア号と3kmほど

前方を飛行しつつグリフォンの騎乗の練習に

ほんのしばらく時間を費やして

周三はなんとか一騎打ちの戦いのイメージが固まってきた。

もう目視で確認できる距離にまで敵の水軍が近づいてきている。

敵の水軍は帆船ではあるが

船のわき腹から長い櫂が多数突き出している。

敵の軍船は帆船でありガレー船でもあるようだ。

敵の軍船の中段のフロアは

部屋ではなく櫂を漕ぐスペースだったのだろう。

船の廊下や外の甲板に寝転がっていた兵士たちは

部屋が少なくて入りきれなかったのかもしれない。

影の軍の兵士がへとへとだったのはずっと櫂を

漕がされてたからであり

長い距離をずっとそんな航海をしてきたので満身創痍で

戦闘どころではないのではないか。

敵の作戦行動は戦略級魔法があってはじめて成り立つ作戦であり

魔法が消滅した時点で、もはや敗戦確実であると思われた。

本来なら戦略級魔法を

周三が解除した時点で普通の軍隊なら撤退していてもおかしくない。

目的が失われたのに敵地まで出向いて攻撃する意味も無いはず。

しかし影の軍は撤退をする事を選ばなかった。

だから周三は一騎打ちを受けざるおえなくなったのだ。

明確な目的が無く死ぬだけが目的という敵の軍と戦うのが周三は嫌だった。

周三は無意味な戦闘で味方に犠牲を出すのはなんとか避けたい。

だがずっと周三が考え事をするうちにある疑惑が生まれた。

それは、敵軍の本当の目的は死ぬ事ではないだろうか?と。

敵は第三大陸に宣戦布告していない。

この世界は国際法があるわけではないので宣戦布告をする必要は無い。

敵は標的を明らかにせずに

フェンティーア都市国家に奇襲をかけるつもりだったのだろうか。

フェンティーア都市国家が無くなって誰が得するんだろう?

フェンティーア都市国家が無くなれば第三大陸の経済は

おそらく大打撃を受ける。でも影の国が得するわけではない。

炎の国は経済力で戦力を支えてるわけでもないので

貿易できなくなっても炎の国の戦力が弱体化するわけでもない。

影の国の意図がまるっきりつかめない。

影の国の兵士は特攻作戦であり死ぬ事をなんとなく気づいていた。

周三は、ある可能性に気付いたのである。

影の国は影の国だけの意図で動いているわけでは無いのではないかと。

しかし、この世界に来て1週間程度の周三にはこの世界の情勢などは

まったくわからない。

だから今ある材料だけで最善を尽くすしか方法は無かった。

その為に甘根には大きなプロジェクトを話した。

甘根が王子で無かったら実現は不可能だろうが

甘根は炎の国を動かせる地位にある。

今回の一騎打ちに勝てばその秘策を実現させて

この世界を知る為の時間を稼ぐことができる可能性がある。

敵の攻撃が実は単純ではないのではないかと周三は思い

簡単に解決できそうな気がしなくなったので

解決はせずに保留しつつ時間を稼ぐ方法を考えたのである。

そのためには一騎打ちに絶対に勝たなければならなかった。


 敵の水軍が徐々に連合軍に近づいてきた。

前方を頂点にした正三角形の陣形だ。

やはり大魔法を制御する陣形を崩していないようだ。

「そろそろ準備するか。」と周三は言うと速度をかなり落とした。

周三は後方の軍艦フェンティーアの前方1kmくらいの位置を

維持する事を心がける。

孤立した位置だと敵が約束を破って全軍で攻撃してきた場合に

周三一人では対応できないからだ。

敵軍の軍船がどんどん近づいてくる。

2名の翼の生えた悪魔が敵軍の先頭の軍船から飛び上がった。

まだ距離があるので周三には2つの小さな黒い粒にしか見えない。

周三はグリフォンに「下降して。」と言った。

グリフォンはゆっくりと翼をはためかせて下降した。

グリフォンが海面から30mくらいの位置にまで下降すると

「おっけー。この位置をキープしてね。」と周三は言うと

「わかりもうした。」とグリフォンは応えた。

周三は心の中で、エービンス覚醒モード発動。

待機モードで継続。とつぶやいた。

どんどんと前方の2つの粒が近づいてきた。

少し遠くに見える敵の軍船団は航行を停止した。

連合軍は旗艦司令室のコーラント少将の指示が

司令室の左の壁に設置された伝声器から

発せられ軍艦の屋上の旗手が手旗信号を発した。

友軍の各軍船の高所に配置された旗手が

コーラントの指示を手旗信号で各軍船の旗手に繋げていく。

旗信号が最後尾の軍船にまで伝わった。

すると連合軍は各軍船が移動しはじめて陣形が変わり

最後部の軍船が大きく広がりV字の陣形になってゆく。

一糸乱れぬ隊列運動で軍船団は横に広がりきると

連合軍は正面に横一列の陣形になった。

敵をここから先には行かせないという強い意思を感じる陣形だった。

連合軍は陣形が完成すると停止した。

補給船は軍艦フェンティーアの後方に位置して停止した。

中村が率いる天使軍1000名が飛翔して空に上がった。

天使軍は遥か上空で防御陣形を組むと光の槍を片手に待機した。

ブリュンヒルデが率いるヴァルキリー隊2000も

艦尾のハッチから空飛ぶ白馬で出撃する。

第一艦橋の上空100メートルにヴァルキリーは突撃陣形で待機した。

ヴァルキリーは空飛ぶ白馬は召喚魔法で使うときに呼び寄せる。

だから周三たちは艦尾の搬入用倉庫では白馬を見かけなかった。

左翼先端の軍船のトップマストには甘根が待機していた。

甘根は目立ちたいのか巨大な紅蓮の両翼をはためかせていた。

翼を広げたまま甘根はトップマストで柱にもたれかかり腕を組む。

ディアナ上級大将は自分の軍船の船首に立っていた。

ディアナは剣を鞘の切先を甲板に突き立てて柄頭に両手を乗せている。

ディアナ隊の兵士は甲板に各小隊ごとに分かれて配置されていた。

ハヤトール中将は自分の隊の軍船の兵士を甲板に全員整列させていた。

ハヤトール隊は所属船団の隊を小隊ごとに分けずに

1つの隊として運用する形式のように見える。

ハヤトールはダルそうに椅子に座りながら

船首で剣を肩に背負い両腕を柄と鞘の両端にのせている。

リューク隊はディアナ隊同様に兵士全員が甲板に小隊ごとに整列していた。

リューク大将は船首に直立していた。

最右翼は炎の国のリクセン将軍の隊。

リクセンは船首でニコやかな顔で立っている。

リクセン将軍の左に位置するシュトム隊の

シュトム将軍は船首で柵に手を置いて目を細めて

前方の周三の姿を捉えようと目を凝らし見つめていた。

悪魔軍の飛行兵は艦尾で片足をつけて待機している。

悪魔軍の歩兵は小隊ごとに分かれ整列している。

シエルは甘根の軍船で隊を整列させて直立して待機している。

シエルは飛行兵を率いるので艦尾で飛行兵の先頭に直立し指示を待つ。

コーラント少将は軍艦の艦橋司令室でミュアン少佐と

見習士官2名とともにテーブルに座っていた。

コーラントとミュアンは窓の外の敵軍の様子をじっと凝視している。

ロアンは艦尾のハッチを開くのを指揮した後に

リフトの操作員を指示して準備して待機している。

ヴォルグ艦長は艦長席で右手で胡桃を2つ握って遊びながら

左腕の肘をテーブルについて足を組んで

楽な姿勢で窓の外の様子をニヤニヤしながら見ていた。

ヴォルグ艦長の左側にいる乗組員が

軍艦フェンティーア号の魔導主砲と魔導機関砲の準備が

万全であるとヴォルグ艦長に伝える。

連合軍はもしも周三が勝ったのにも関わらず

敵が攻撃を仕掛けてきても対応できる準備を油断無くおこなっていた。

影の国水軍先端と連合軍先端との距離はおよそ2kmであった。

もしも戦闘になれば殴り合いのインファイト状態になるであろう。


 周三に飛行しながら近づいてくる悪魔は

梟に似たギヨク将軍とインコに似たコパン副将であった。

周三に近づいてくるギヨクとコパンに対して周三は大きく手を振った。

ギヨクは黒い立派な意匠の鎧兜を着用していた。

右手に長い槍を持ち、腰に剣を納めていた。

飛行してきたギヨクとコパンは周三の前で止まった。

「これは勇者様、お一人でお待たせして申し訳ない。

おお。これはグリフォンという獣ですな。

伝説の獣に騎乗して参るとはさすが勇者殿ですな。

では、今日はお互い全力を尽くしましょうぞ。」と

ギヨクは晴れやかな表情で言うと余裕の表情を周三に向けた。

「ギヨク将軍こんにちは。

今日はよろしくお願いします。

戦いが終ったら丁度お昼ごはんなのでうれしいです。」と周三は挨拶した。

ギヨクはその言葉に不思議そうな顔を浮かべた。

コパンが口を開いた。

「こんにちは。勇者様。

わたくしは見届け人として参りました。

ギヨク将軍と勇者様の戦いをしっかり見届けたいと思います。」

周三はコパンに顔を向けると

「コパンさんこんにちは。

どうせならコパンさんが審判してよ。」とコパンに提案した。

「審判ですか?そのようなものが必要でしょうか?」と

コパンは周三に訊ねると周三は

「必要でしょ。俺が魔法を使ってギヨク将軍を

倒すかもしれないじゃないですか。

不正が無いように審判してください。」と答えた。

「わかりました。しかし、わたくしは勇者様の敵軍ですので

ギヨク将軍に有利になりますがよろしいのですか。」

コパンは怪訝な顔で言うと周三は

「全然いいっすよ。コパンさんは正直な人ですね。

悪魔とは思えない実直な人なので信用しています。」と応えた。

「ははは。勇者様はこの前会った時より堂々となさっておられますが

何か変化でもありましたかな?」とギヨク将軍が探りを入れてきた。

「いえ、まったく武術をした事がなかったので

ちょっとだけ練習しました。」と周三は応えた。

「そうですか。勇者様は準備はなさってきたようですが

2日3日くらいではなかなか武術の上達は望めませんでしょう。」と

ギヨクが周三にまた探りを入れる。

「まぁ。そうかもですね。それにしても風強いですねぇ。

海に落っこちたら大変ですよ。」と周三はギヨクに笑顔を向けた。

ギヨクは周三の態度に何か違和感のようなものを感じていたが

その原因が何なのかわからず戸惑いを少し見せている。

以前は周三には芯が通ってなかったように感じたが

いまは何か芯が一本通ってるような感じがした。

「あ。そうだ。海に落ちた時の事を決めましょうよ。」と周三が提案した。

「海ですか?」とギヨクが疑問を返した。

「海に落ちた時に体が浮いていたらいいのですが

沈んでしまったら探しようがないでしょ。

俺が海に落ちて沈んだらギヨク将軍は

海に飛び込んで助けてくれますか?」と周三が問い返すと

「いえ。わしは泳げません。コパンも泳げませんな。」と答えた。

「じゃあ。俺が沈んだら決着がつきませんよね。

ギヨク将軍も泳げないんだったら海に落ちたら

たぶん鎧の重みで沈みますよね。

もちろん俺は自軍を総動員してでもギヨク将軍を救助しますけど

なかなか見つからないって事もあるのでせっかく一騎打ちを

したのに両軍が帰国できずにダラダラと

ここにとどまって時間ばかりが経過してしまうでしょ。

だからどちらかが海に沈んで10秒たったら

沈んでいない方が勝ちって事でどうでしょうか?

対戦相手が10秒をゆっくり数えても早く数えていいです。

どうですか?」と周三が提案すると

「それで結構。こちらは魔法を使わないでくれと

勇者様に言っておるのでそちらの希望もひとつ飲みましょう。

それに勇者様に有利になる提案でもありませんからな。」と

ギヨクは提案を理解して快く承諾した。

「じゃ。それでよろしく。それでですね

ギヨク将軍とコパンさんに

影の国に帰国した時の為の手土産をあげましょう。」と

周三が2人に向かって言った。

「手土産じゃと?」とギヨク将軍が首をひねった。

「ええ。魔王ゼネシスの娘さんってどこにいるのか知ってますか?」

「なに!ネヴェシス殿下はご存命なのですか!」と

ギヨクは周三の言葉に目を見開いて驚いた。

コパンも動揺をあらわにしながら

「勇者様。ネヴェシス殿下はどちらにおられるのですか?」と

懇願するように訊ねてきた。

ギヨクもコパンも魔王ゼネシスの直臣である。

主君の姫君の行方を知りたいのは当たり前の事であった。

「あのですね。ネヴェシス姫は

ずっとフェンティーア都市国家に幽閉されるんだって。」と

周三が答えるとギヨクとコパンに沈黙が走った。

自分たちは主君の姫君を殺すために苦労して

ここまで来たのかとギヨクとコパンは絶望したようだった。

ギヨクとコパンからドヨーンとした重い空気が流れた。

「あとね。ルシカルの狙いはネヴェシス姫ではないかって会議で

話題になって原因の可能性のあるネヴェシス姫は

炎の国に移送される事になったですよ。

だから姫を取り返したかったら炎の国の本拠地を攻め落としてください。

どうします?これでも姫のいるフェンティーアを攻めますか?

無理に攻めたりしたら姫の命の保障はなくなりますよ。

なんなら一騎打ちは無しで今から帰ってもらってもいいっすよ。」

「いや。それが真実かどうかわからぬ。

その情報だけではわしらの命も一族の命も救われはしまい。

命もそうだが敵の情報を真に受けて一戦もせずに撤退などできぬ。

わしの勇者様の首はもらって帰る意思に変わりはない。

しかし、その情報の価値は確かに高い。

この勝負に勝利した暁には勇者様の首とネヴェシス殿下生存の情報を持って

素直に帰ることはお約束しよう。

ネヴェシス殿下を救出するという使命がわしに出来たのでな。」と

ギヨクは周三に吹っ切れたような笑顔を向けた。

周三はこの情報を明かす事でギヨクの戦意をくじくことと

一騎打ちは周三の不戦勝でフェンティーア都市国家に

帰国できることをわずかだが期待していた。

周三は、軍船での会談でギヨクもコパンも魔王ゼネシスを語る時に

魔王ゼネシスへの親しみがこもっていたのを観察していた。

それで周三はそんな2人がネヴェシスを殺す事を

快く承諾するはずが無いと踏んで事実を明かした。

なのにギヨクは姫が生きていたことを知り

救出するのは自分だと

勝手に思いこんでギヨクは目は希望で輝いていた。

ギヨクは勇者に一騎打ちで勝利したあと敵地に突撃して

玉砕して死のうとする可能性もあったが

周三はギヨクに生きる目標を与えられたことになる。

周三がこの情報をギヨクとコパンに与えた事で得たものは

ギヨクは一騎打ちで勝ったら帰国するという意思を持った事を

言葉で確認できただけだったがそれでも大きな成果だと周三は思った。

これでもし周三が負けたとしてもフェンティーア都市国家は安全である。

もしかしたらギヨクが単独で救出作戦を決行する可能性があるが

ギヨク軍の兵は疲弊しきっており天使軍と戦って勝つ力など無い。

そんな事は将軍であるギヨクは承知しているだろう。

それにネヴェシス存命が事実かどうか確認しないことには

ギヨクは不用意な行動はできないだろう。

不用意な行動でネヴェシスが処刑されでもしたら大変である。

人間や天使はネヴェシスを生かしておく理由は無い。

おそらくはギヨクは一度、軍を撤退し救出作戦を練るかもしれないが

その頃にはネヴェシス姫は炎の国に移送されているだろう。

この情報を持ち帰るためにコパンは周三が一騎打ちに勝っても

影の国に帰国するためにギヨク軍の暴発を全力で止めるはず。

周三が一番恐れているのは勝利しても敵が素直に帰ってくれない事だ。

それはネヴェシス存命の事実を明かす事で

かなり防ぐ事ができたかもしれない。

だがそれでも周三の首に執着して一騎打ちにやる気満々の

ギヨク将軍に対して周三は

心から怒りが沸きあがっているのだが表情には見せなかった。

それは全て一騎打ちの攻撃に込めるという意思の表れでもあった。


 「さて、勇者様。そろそろ勝負を始めましょうか。」と

ギヨクが周三に言ってきた。

「ええ。わかりました。では私は一騎打ちの作法がわからないので

提案しますがコパンさんには俺たちの中心に立ってもらって

コパンさんに合図してもらいましょう。

その合図で一騎打ちを開始するのはどうでしょう。

よろしいですか?」と周三が言うとコパンは

「では、はじめ!と

合図しますのでその合図で

お二人は一騎打ちを開始してください。」と応えた。

ギヨクは表情を引き締めて頷くと

「わかり申した。

ではいよいよ勇者様と矛を交えることができますな。

500年前のわしは目の前のカンベインに恐怖して振るだけで

何もできなかったがその自分からも解放されそうですな。」

そう言うとギヨクは槍を両手で強く握り締めた。

ギヨクのその言葉を聞いて周三は、

おっさんその闘志はカンベイン本人に向けろよ!と

心の中でイラっとした。

コパンを中心に周三とギヨクの2人は空中で50mほどの距離を取った。

「勇者様!何か言い残す事はありますかな?」とギヨクが大声で言ってきた。

「ギヨク将軍の最後の言葉はそれでいいですか?」と

周三は言い返した。

周三の返事にギヨクは大笑いしながら

「ははははは!

勇者様は空でわしに勝てると思ってらっしゃるな。

その気概に感心いたしましたぞ!

しかし勇者様は剣しかお持ちになられてない。

リーチの長さではこちらが有利。

勇者なんぞただの称号にすぎませぬ。

まして勇者になりたてではどれほどのチカラがあるというのか。

知っておられないと思うがカンベインは勇者になるために

何年も修行したのですぞ。最初から強かったわけではない。

勇者様はカンベインの宝具も持ってもおらぬようだし

わしはカンベインほどのチカラを勇者様からまったく感じぬ。

このギヨクは今日、世界で初めて勇者を倒した男として

歴史に名を刻むことになりましょうぞ!」と元気に大声で叫んできた。

ギヨクは完全にテンションが上がっている。

周三はその言葉に独り言をぶつぶつとつぶやき始めた。

「ん?宝具って賢者の石の武器のことかな。

なんやギヨク将軍はその事を知ってたんかいな。

まぁ、知っててもおかしくはないか。

ギヨク将軍は実際に500年前の現場におったからな。

やはりこのおっさんは勇者にビビッてたわけやないんや。

ギヨク将軍は思ったとおりの胡散臭いおっさんやったわけや。

あのとき俺がロアンさんを連れてなかったら

ギヨク将軍は躊躇なく俺を殺してたやろな。

なんでこんなおっさんの命を助けるために俺が苦労しなあかんのや。

ギヨク将軍は命の心配をしてくれている俺に対して

好き勝手な事を言いやがって。腹立つわぁ。」とつぶやいた。

ギヨク将軍に向かって周三は大きな声で

「将軍!なりたての勇者に負けたらあかんで!」と言った。

ギヨクはムッとした表情を見せたがすぐ笑顔に戻して

「ふん!心配無用!

では勇者様は準備はよろしいか!」と叫んだ。

「いいっすよ!」と周三は返事してから

周三は、魔眼発動!!!

エービンス待機モード解除。と心の中でつぶやく。

周三はつぶやき終えると

左腕を前に出して左半身を前にして腰をひねり右拳を引いて構えた。

ギヨクは槍を真っ直ぐに周三に向けて構えて呼吸を整えている。

コパンは両者を確認すると大きく息を吸った。

少し間をおいてから「はじめ!」と叫んだ。

「はぁ!!!!!!!!!」とギヨクは力を溜める呼吸をした。

どんどん魔力のオーラが燃え上がる炎ように熱の波動が広がる。

「勇者!我が奥義をとくと見よ!!!」と

ギヨクは槍を天に掲げて体を錐揉み状に回転させた。

「螺旋槍術!!!!!!!鉄貫..............ブっ!!!!

グハっ!!!!は。。。ご。。ぶ。。。

ちゃふ。。。ぶ。。ピコピコ。。。プー。。。。」と

ギヨクは口上と必殺技を言い終える直前に意味不明な言葉を

つぶやきながら槍を手から落とした。

長い槍は海へと落下して小さな水しぶきがあがる。

コパンは不審に思いギヨクを凝視した。

ギヨクは手足に力が入らないのか回転しながら

手足がブラブラと揺れていた。顔からは鼻からも耳からも口からも

血が流れて目は白目をむいてるように見えた。

意識がなくなり口から血まじりの泡を吹く。

翼が完全に止まるとギヨク将軍は回転しながら変な体勢で

海に落下しザッボーン!!!と音を立てて海中に沈んでいった。

コパンは周三を見ると周三は

少しもその場から移動しておらず

右腕から掌底突きを突き出している姿勢で静止していた。

周三は掌底から拳破という衝撃波を放った後のようにうかがえた。

「これは拳破ですか!?

拳聖リュウウンの武術の奥義が使えるとは

勇者の才能とはどこまで底なしなのだ。」と

コパンは唖然としていた。

周三はグリフォンに向かって

「アルフレッド。コパンさんの前まで移動して。」と指示した。

グリフォンは周三に頷いてコパンの前までゆっくり移動した。

ギヨクの落下した海を見つめて唖然とするコパンの前で

周三は右腕を突き出したポーズのままで

「士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし!」と

前もって決めていた決め台詞を叫んだ。

「な、なんと!では、まさか、この2日でそのような武術を

身につけられたとおっしゃるのか!」と叫んだ。

コパンの周三を見る目はまん丸になってた。

「はい。そうです。

そのくらいじゃなきゃ勇者は名乗れないでしょ。」と

周三はニヤリと笑ってコパンに返事した。

コパンは今の周三の攻撃を魔法とは思わなかった。

魔法は事象を曲げる行為なので微かな空間の歪みが生じる。

魔法が使えるコパンは当然その歪みに気付ける。

しかし周三の今の攻撃には

魔法陣も空間の歪みも感じなかったからだ。

しかもギヨクは打撃によるダメージで落下したのが見えた。

魔法だと言える材料がまったく無い。

周三はコパンに向かって

「では、ギヨク将軍については俺たちの軍が捜索しますね。

発見次第に炎の国から影の国にお送り返しますので

コパンさんはギヨク将軍の安否は気にせずに

今からすぐに帰って頂いて大丈夫です。

コパンさん。おつかれさまでした。解散!」と言った。

「いえ、ギヨク将軍を

発見しない事にはわたくしどもは帰れません。」と

コパンは困った顔で言った。

「そうですか。邪魔くさいなぁ。あ!

俺、10秒数えるの忘れてた!」と

周三は言うと指折り数えだした。

「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。はい終了!

審判殿、俺の勝ちでいいですかね?」と周三がコパンに訊くと

コパンはしぶしぶ頷くと

「ええ。結構でしょう。異議を唱える材料がありません。」と応えた。

「やったー!勝ったー!」と周三はガッツポーズをとった。

「お見事でございました。我らの完敗です。」とコパンは頭を垂れた。

「あと、言うの忘れてたけどね。俺の軍って

第三大陸だけじゃなく第五大陸と

第二大陸の炎の国軍が混じってるんだけれど。

でね、第二大陸とは同盟関係じゃないから

勝手についてきた軍って扱いなのです。

だから炎国の軍は形式上は俺の軍の所属じゃないんです。

だからコパンさん。さっさと帰らないと大変な事になるかもよ。

あそこ見て。あの巨大な紅蓮の翼。あれはイフラートの息子だよ。

影の国の軍のみんなは食べられちゃうかもしれないよ。」と言った。

「イフラートの息子!?あれが炎の理不尽王の息子。

確かにあの紅蓮は魔界の炎。イフラートに子がいたのですか。

知らなかった。魔界の炎は魔力を燃やす業火。

魔力を帯びるわたしどもはよく燃えるでしょうな。

しかし、勇者様の所有物となった我が軍を

炎の国が襲うと申されるのか?」とコパンは批難の目を

周三に向けながら言った。

周三は呆れたような表情をコパンに向けて

「まぁ所有物って建前って話だからね。

俺や俺の軍はギヨク軍の命の保障はするけど

俺の軍の所属ではない炎の国までは管理できないでしょ。

コパンさんだって勇者の所有物だって言いながら

帰れっていう俺の命令をいまも聞いてくれてない。

コパンさんが素直に帰れば俺もイフラートの息子に対して

影の国の軍に手出しするなって一言言いやすいけど

影の国の軍隊がずっとダラダラと目の前にいたら

炎の国も気分が良くないだろうし

俺も何かしてあげたいって気持ちも薄れてくるよね。

目の前に軍隊がいる状態だと

俺の軍も緊張が解けないし解散も出来なくて困るわけ。

それだと炎国の軍も帰れなくなるわけだから

ギヨク将軍の軍に対しての炎の国の印象は悪くなる。

コパンさんはずっと炎の国の国沿いの海を帰るんでしょ。

じゃあ炎の国に対しての印象も考えてください。

俺は敵軍なんすよ。いつまで甘えてるんですか。

迷惑だから帰ってくれって所有主が言ってるんです。

俺がギヨク軍をみんな殺したいなら

わざわざこんな一騎打ちを受けないでしょ。

ギヨク将軍は俺たちでちゃんと探しておくから

俺を信用してコパンさんたちはさっさと帰ってください。

なんなら、泳げないコパンさんの軍が

ギヨク将軍の捜索しますか?

俺たちはその間に帰りますよ。

将がいない疲れきった軍隊なんて怖くないので

フェンティーアでゆっくり待ってます。」と周三は返した。

「んぐぐ。なるほど。わかりました。

ギヨク将軍の犠牲が無駄になるような事は

わたくしもしたくはありません。

わたくしどもは勇者様の仰せに従ってこれにて失礼いたします。

魔王ゼネシスの後継者であるネヴェシス殿下が生きていることを

国の同志たちに一秒でも早く伝えたい気持ちもあります。

勇者様は魔王ゼネシスの家臣に希望を与えてくださった。

勇者様のわたくしどもへの御厚意は一生忘れません。

ギヨク将軍のことくれぐれもよろしくお願いします。

次に勇者様とお会いするのが

いくさ場では無い事を心から願っております。」と

コパンは述べて周三に会釈すると周三に背中を向けて飛んでいった。

「気をつけて帰ってね!

コパンさんさようなら!」と周三はコパンに大きく手を振った。

周三はグリフォンの首をさすりながら

「アルフレッドもお疲れ様でした。」と言うとグリフォンは

「ははは。我は結局は何もしておりませんな。」と苦笑いした。

「そんなことないよ。

アルフレッドがいてくれて心強かったよ。

いやはや、ギヨク将軍が必殺技とか大声で

いちいちと説明するとは思わなかった。

少年漫画誌とかの影響とか受けてるわけじゃないやろ。

風が強くてギヨク将軍が何を言ってるのかが

全部は聞こえなかったけどなんとなく雰囲気でわかった。

それであまりに隙だらけだったんで一撃で決まってしまったな。

たぶんギヨク将軍は

俺が剣で戦うと思い込んでたんや。

俺が剣を抜いてなかったので

まだ時間に余裕があると勝手に思っていたのかも。

武芸の素人の俺が言うのもあれだけど

思い込みってよくないよな。」と周三も苦笑して言った。

周三は戦う直前に、エービンス待機モード解除。とつぶやいた。

それは指示であって魔法の詠唱ではない。

あのつぶやきはどういうものか。

周三は、修行中に魔眼となった精霊エービンスに

意識がまだ残っており会話できる事を発見した。

周三の視神経とエービンスはつながっていて心の中で会話できた。

周三は自分のマナでエービンスを霊体化する事に成功した。

周三はイメージ力を駆使して屈強な霊体の肉体をエービンスに与えた。

エービンスは霊体化すると筋肉ムキムキの巨体に

頭部と首はなく胸板に大きなひとつ目が見開いている姿になる。

最初は純粋な霊体化ができずに実体化して大きな影が床に落ちたが

純粋な霊体化に成功し完全な不可視の戦力を周三は手に入れた。

一騎打ちの時にエービンスはギヨクの前で拳を振り上げて待機していた。

前もってエービンスとの打ち合わせ通りにギヨクの顎に

パンチを一発入れて意識を奪った。

もしも、ギヨクの初動の動きが早過ぎて

最初の一撃を外したとしても周三は

ひたすらギヨクの攻撃を回避さえしていればいい。

霊体化したエービンスは物理干渉を受けずに

敵に物理的攻撃ができる特性を持っている。

エービンスはギヨクに粘着してずっと攻撃し続ける事ができるので

周三は回避して粘っていればギヨクは必ず負けるという策だ。

魔眼の意識を霊体化しても意識の具現化なので魔眼の効果は

エービンスを霊体化しても失われない。

ギヨクの動きはどれだけ早くても動きは読める。

回避不能でも物理法則無効特性な神性のカテゴリであるグリフォンが

本気で避ければ攻撃が当たることはないはずだ。

臆病な周三はそこまで計算していたのだ。

自分がギヨクに暴力を振るって

手を汚したりしないので憂鬱にもならず

エービンス任せなので気楽でもあった。

周三は本音を言えばこの作戦を卑怯かなと思ったが

エービンスはすでに体の一部だとも解釈できたので

グレーだけれども決して黒ではないと判断した。

マナによる武術による攻撃は魔法ではなく武術として

攻撃は認められているのだから

エービンスの奇襲のワンパンチは反則ではないはずだ。

周三はこれだけの事を事前に考えて用意周到に準備して

まだ奥の手を2個も用意して残していたのに

ギヨクはほぼ一撃で敗北してしまった。

ギヨクはエービンスのいきなりの顎への拳での初撃を受けて

何が起きたのかわからずに脳震とうを起こして意識が混濁した。

その後、エービンスはギヨクの首を

ゆっくりと絞めあげて意識を完全に奪いきった。

意識を失ったギヨクをエービンスは確認すると周三との事前の

打ち合わせ通りに海に放ってから霊体化を解いた。

周三はギヨク将軍はよく500年も

戦場での殺し合いの毎日を生き残れたものだと呆れた。

ギヨクは兵士ではなく将軍という軍隊の

指揮官となって久しく戦争の現場で敵と

直接に刃を交える機会が無かったのかもしれない。

それでギヨクは武術の腕や勘が落ちた可能性もある。

ギヨクは最初からそんなに武術が強くなかった可能性もある。

周三は、それにしてもギヨク将軍にしてもコパンさんにしても

邪魔臭い人たちだったな。と2度と関わりたくないなと思った。

「じゃ。軍艦に帰還しようか。」と周三はグリフォンに言うと

「承知しました。」とグリフォンは応えると踵を返した。

「ギヨク将軍のことはロアンさんにお願いして

人魚さんに救助してもらってるはずだけど

ギヨク将軍は大丈夫かな。

この戦争はたぶん後始末の方が大変やな。」と周三はつぶやいた。

連合軍から将兵や軍艦の乗組員たちの歓声が聞こえてきた。

周三は両手の拳を天に向かって突き上げて勝利をあらわした。

周三は顔だけ後ろに振り返ると

敵の水軍はゆっくりと旋回して西に向かって前進しはじめている。


 旗艦しようと思ったのに一隻の小さな船が水しぶきをあげて

ものすごいスピードで周三の方に近づいてくるのが見えた。

「ん?何?小型艦?えー!!!」と周三は戸惑った。

攻撃されるのかと恐怖したがよく見るとカエデが艦首で手を振ってる。

「ああ。カエデさんか。」

周三は警戒心を解くとグリフォンに

「アルフレッド。あの船に向かって。

知ってる人なんだ。ちょっと話がしたいんだ。」と指示した。

「わかった。」とグリフォンは小型艦にまた踵を返して

小型艦に向かって飛行した。

「おーい!おーい!」と叫んでカエデが嬉しそうに手を振ってる。

「あの人は本当に自由な人だな。」と周三は呆れた。

グリフォンは小型艦の艦首に降下して着地した。

「カエデさん、グリフォンの上から失礼します。

命綱がついていてすぐには下りれないんです。すいません。」

暗黒騎士であり影国軍の監視役であるはずのカエデは

敗戦に気にした様子もなく他人事のような態度で

「気にしなくていいさ。一騎打ち見てたけれど一撃だったね。

ギヨクよわ!弱すぎだろ!ってわたしまで恥ずかしくなったよ。」と

感想をあっけらかんと述べた。

「はぁ。なんで弱いのに

あの時、ギヨク将軍は一騎打ちがしたいと言い出したのかが

いまだに謎です。」と周三は困惑した表情を見せた。

「もしかしたら勝てるなんて夢を見たんじゃないの?

あいつって童貞臭いとこあるから。」

「え!?そんな解釈でいいんですか!?」

「いいの。いいの。正々堂々戦って

勇者に負けたんだからあいつも本望だろうよ。」

「はぁ。そういうもんですかね。

それにしてもこの艦ってなんかすごいですね。」

「ん。いいでしょ。わたしの船。

この船は最新の科学技術が詰まってんだよ。

暗黒騎士は神の奇跡を打ち消すからね。

だから魔導技術は使わないんだ。

魔導効果が不安定になるからね。」

「そうなんですね。かっこいい。

ミサイルが2つもついてるし。」

「お。いいとこ見てるね。これは魚雷だよ。」

「魚雷ですか。こんな装備を揃えて攻めてこられたら怖いですね。」

「まぁ、そのうちそうなるかもしれないけれどね。

そうなるとそっちも相当な装備を

揃えるだろうからおあいこだろうよ。」

「たしかにそうなるかもしれないですね。それで何か話ですか?」

「別れの挨拶だよ。今度、フェンティーア都市を

観光案内してもらう約束も反故にされないように

もう一度会って確認したくてさ。」

「カエデさんとの約束ならきちんと俺は守りますよ。」

「それを聞いて安心したわ。うちの船団は

わたしが責任もって帰らすからね。安心して国に帰りな。

もし引き返してフェンティーアに向かう船が出たら

味方でも容赦なく魚雷を撃って沈めてやるからね。」

「ありがとうございます。

カエデさんにそう言ってもらえたら

俺たちは安心してフェンティーア都市国家に帰れます。」

「で、勇者シュウゾウの勝利の祝いにわたしから一言。

勇者の敵はどこにでもいるよ。勇者の体は一つなんだから

これからは油断してると大切な人が

どんどんと死ぬかもしれない。だから気をつけて行動しなよ。」

「それってどういう意味で。。。あ。

いや。肝に銘じます。何かとありがとうございました。

カエデさんがいなければギヨク将軍との交渉は

埒があかず難航したと思います。

もしフェンティーア都市国家に来られる時は

カノレル海洋貿易会社に手紙を送ってもらえたら

俺のところに届くと思います。」

「わかったよ。じゃ、シュウゾウ、また。

あ。あと、敵であるわたしが頼める事では無いが

ギヨクの事はシュウゾウにお任せするよ。

できる事なら奴を殺さないでやってほしい。

正々堂々と勇者に挑んだ事にだけは

わたしはギヨクを高く評価しているんだ。」

「わかりました。ギヨク将軍についてはお任せください。

ギヨク将軍とはもう関わりたくないので

ギヨク将軍は傷が治ったらすぐに第二大陸に追い出します。

カエデさん、俺の事は気軽にシュウと呼んでください。

カエデさんもお体に気をつけて。

またお会いするのを楽しみにしています。」

そう言って周三はグリフォンに

「帰ろう。」と指示するとグリフォンは大きく翼を

はためかせて上空へと上昇を始めた。

カエデが手を振っている。周三も手を振り返した。

グリフォンは軍艦フェンティーアに向かって加速した。

カエデはずっと見えなくなるまで手を振っていた。

おはようございます。

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