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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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頼みごと

 周三はディアナと第二艦橋の下の階の司令官室へ赴き

コーラント少将やシュトム将軍、

それに初めて会った甘根の部下のリクセン将軍に挨拶する。

挨拶を終えて周三は

甘根のいる炎国要人用室に向かうためにエレベーターに乗った。


 周三は司令官室からエレベーターに乗ると

ひとつ下の階のボタンを押した。

エレベーターが起動してすぐに停止すると扉が開いた。

周三はエレベーターから廊下に出るとスタスタと歩き出した。

手前から3つ目の左側の扉の前に立つとその扉をノックした。

「はいよ!」と扉の奥から甘根の声がして扉が開いた。

「おお!シュウか。たしかわしに話があるんやんな。

ま、入れや。」と言って手招きしつつ甘根は

周三を部屋の中に招き入れた。

「ゆっくりしてるとこ悪いな。」と周三が申し訳なさげに言うと

「大事な話やろ。気にしなや。」と甘根が笑顔で応えた。

「なぁ、コウジ、上でシュトム将軍とリクセン将軍が

コーラント少将と作戦会議してるみたい。知ってた?」

「さっき2人が来たから会議のことは知っとるで。

わしも炎の責任者やから

ほんまは行かなあかんのやろけれど

リクセンに天使の指輪を貸してしもうたからなぁ。

指輪が無いとコーラントさんの言葉がわからん。

それにわしはややこしい話は苦手やろ。

わしの隊の副将しとる男に

あとでリクセンが会議で決まった事を伝えといてくれるって

言うとったから心配もしとらんのや。

だからわしはゆっくりここにおってええんや。」と

甘根はソファーにふんぞり返りながら応えた。

甘根は右側のソファーにふんぞり返って座っているので

周三は左側のソファーに腰掛けた。

「そうか。じゃあ俺の話をさせてもらうで。

俺はいきなりこの世界に来て他の大陸の事はよくわからん。

それはコウジも一緒やんな。」

「わしは自分の国の事もよくはわかっとらんで。」

「俺もフェンティーアに詳しくはない。

それでな。第二大陸の事についての情報が

俺にはあまりにも欠如しててな。

色々と判断に迷うことが多いねん。

だから知識が無くても第二大陸に実際に住んでる甘根に

ちょっと相談に乗ってもらいたいねん。」

甘根は小首をかしげてながら

「それやったらシュトムとかシエルに

訊いた方がええんちゃうけ?」と周三に返事した。

「いや。ここでの話はコウジと俺の2人だけの話にしたい。」

「ほな、あれか。他の奴に聞かれるとまずい話か。そっか。」

周三は真面目な顔で頷いた。

「コウジ。なんでカンベインとイフラート王は第二大陸を

統一せんかった思う?カンベインが本気で動いたら

第二大陸を統一できた気がするねん。

炎の国のイフラート王ってめっちゃ強いんやろ。

なんで第二大陸を統一せんかったんやろ?」

甘根はちょっと悩んでから

「ほやなぁ。そりゃあ統一はしたらあかんやろ。

だって食べ物が無くなるんちゃうけ。

悪魔は悪魔を食べてるんやで。

統一したら仲間を殺して食べなあかんやろ。

そんなんはさすがにむごすぎるからちゃうけ。」と応えた。

周三は深く頷いた。

「俺もそんな気がしてん。

それは炎の国だけじゃなく敵国も同じ事やと思う。

食料が限られてる状況で人口が増えすぎても困るやろ。

第二大陸の人口の調節と食料調達を一石二鳥にする政策が

戦争という方法とちゃうんかな。と仮説を立ててん。」

「ほう。なるほどなか。そうかもな。

悪魔は子沢山やし食欲も旺盛や。なんぼでも増える。

今のイシュエル半島は栄えとるから

人口を減らすっていう意識は無いんちゃうけ。

国民は戦争を戦いというより

食料の狩りとして楽しんでる感じがするのう。

あとはな。悪魔の肉って美味いらしいねん。

悪魔って人間を食べると思われとるけど

悪魔にとっては人間よりも悪魔の方が美味しいらしいんや。

わしは悪魔をまだ食べたことないけどな。

だからよくわからんけれど悪魔は人間みたいに皆が同じ種類と違うやん。

犬の悪魔もおるし鳥の悪魔もおるし猿の悪魔もおるし色々おるやんけ。

だから悪魔同士は人間の言う共食いって感情とはちゃうのかもしれんなぁ。

わしも前線に行ったら悪魔の肉を食べなあかんかもしれんけど

蟲とかトカゲとか蛇とか鼠とか鳥とかキノコとかおるらしくてな、

前線でも食べる物は悪魔の肉だけって訳でも無いみたいや。」

周三は甘根の話を真剣な顔で聞いていた。

そして頷くと口を開いた。

「なるほど。やっぱり敵は第三大陸が狙いやとその話で俺は思った。」

「は?シュウはいきなりなんでそう思たんや?」

「だって食料の宝庫である炎の国に大規模分解魔法を使ったら

せっかくの食料が消滅してまうやん。」

「あっそっか。わしも敵にとっては食料け。

他人にそう言われたらなんか複雑な気分やのう。」

「大規模な分解魔法は1度しか第二大陸では使われてないって

シュトム将軍が軍議で言ってたのを聞いてたから

ずっとなんか心の中でひっかかっとってん。

その1度はホンマにただの実験やった気がする。」

「ほう。そうけ。戦争に勝って悪魔の肉をゲットせなあかんのに

分解なんて魔法を使ってたら戦争に勝っても何にも手に入らんわな。

確かにそんなん自分で自分の首を絞めとるだけや。」と甘根は納得した。

「そやろ。あとひっかかってんのが

影の国からずっと遠い国であるはずの

このフェンティーアの水域に

簡単に入りこめると想定して作戦を立ててるのがおかしない?

何か確実な情報が無いと普通は遠征なんてせんはずやろ。

威力偵察と考えてもええけれど大規模魔法で

味方も全員死んだら誰が本国に情報を報告すんのかな?

敵のこの遠征の対価ってなんなのかさっぱりわからんやん。

今回はこちらが奇跡的に連合軍を作れたのは

俺がたまたま勇者という立場やったんと

コウジとタロウとディアナとロアンさんの4人が

各大陸に影響力のある立場で

4人ともたまたま俺の知り合いやったからやんか。

でも俺やコウジやタロウがこっちの世界に来てなかったら

フェンティーアは多くの人間や天使を

巻き添えにして消滅してたかもしれん。

じゃあ、なんで影の国はフェンティーアに消滅して欲しいのかな?

影の国が魔王の姫を救出する気なんてまるっきり感じへんやろ。

姫がフェンティーアに幽閉されてるって事を敵は知らん可能性もある。」

周三がそう言うと甘根は感心したような目で周三を見ていた。

「シュウ。なんかめっちゃ考えまくっとるやないけ。

わしはびっくりやわ。

こういうのって目から鱗が落ちたっていうのけ?

総大将がシュウでホンマよかったと今思ったで。」

甘根は嬉しそうだった。

「ありがとう。それでな。甘根に頼みがあんねん。」と

申し訳なさそうに周三は甘根に話を切り出した。

「おお。シュウは総大将やねんから何でも言いや。」

「俺は悪魔を殺せない。」

「それは知っとるで。シュウは殺しは嫌や言うとったやんけ。」

「そや。でもコウジは悪魔を殺す資格があるやん。」

「ん?ま、殺せるやろけれど。資格って何や?」

「悪魔が悪魔を殺すのは食べるためや。

例えば、俺が悪魔を殺すのはテレビのバラエティー番組で

食べ物で遊んで粗末にするみたいな感じやん。

それで番組が盛り上がっても観た後の視聴者の後味は悪くなる。

でも、あとで、スタッフで全部おいしく食べました。って

テロップが流れたら視聴者からテレビ局にクレームもけえへんやろ?

甘根にはもしもの時にはそのスタッフの役目をお願いしたいねん。

勘違いせんとってほしいんやけれど

俺は別に敵を殺そうとは思ってないで。

そやけど、もしもの時はそういう汚れ役を頼みたいねん。」

周三は甘根に頭を下げると甘根は笑った。

「はははは!なるほどな。ええよ。

シュウは勇者の立場やから手を汚したくないわけやな。

これは戦争やからわしは元々、敵を殺す覚悟で来てる。

まぁそう言うてもシュウの事やから

戦争と言うても敵を殺さんように事を運ぼうとするわな。

それでもにっちもさっちもいかん時は

わしが敵をやっつけたらええんやろ。

シュウも勘違いしとるかもしれんけれど

わしは平和主義とちゃうで。むしろ敵をやっつけたいねん。

その方が単純でわしの気分もスッキリすんねん。」

「そうか。ありがとう。甘根には頼ってばっかりやな。

コウジには本音を見透かされとったな。

手を汚したらこれからも手を汚し続けないとあかん気がすんねん。

そうなると今度は悪魔ではなく人間かもしれんやろ。

人間に手をかけたら恨まれたり夢でうなされたりするやん。

俺の今後の生活に悪影響を与える要因は排除したんねん。」と

言って周三はまた甘根に頭を下げた。

「ほんま自分勝手やな(笑)

気にせんとき。それでわしに何をさせたいんや。」

周三は詳細を甘根に説明した。

詳細を説明された甘根は

「は?そんなんでええんけ。拍子抜けした。

そんなんでええんやったらお安い御用やで。」と承諾した。

「ありがとうな。

後始末を全部押し付けるような形になるけど申し訳ない。」

「ええよ。そのためには明日は

シュウが絶対に勝たなあかんで。」

「フフフ。明日は100%俺は勝つよ。

それじゃ俺は明日に備えてそろそろ部屋で寝るわ。

早よう、この戦争終らせてフェンティーアに帰ったら

みんなでどっかに遊びに行こうや。」

「おお。それええな。わしは休みは自由に取れるから言うてくれ。

もしもわしが第二大陸に呼び戻されて前線に行かされたら

休みでも現場を離れにくいから多分すぐには

フェンティーアには向かうのは難しなる。

だから早めには行きたいのう。」

「わかった。帰ったらレジャースポットを知り合いに教えてもらうわ。」

「おう。楽しみにしとるで。」

「ほんじゃ俺は部屋戻るわ。」

そう言って周三は立ち上がると扉に向かった。

「ほなな。明日はシュウのかっこいい所を期待してるからな。」

周三は扉を開けて廊下に出ると部屋の中の甘根に向かって

「俺の手からなんかビームとか出るかもしれんから見逃すなよ。またな。」

「ビームか。そんなんでるんけ?楽しみや。」と言って甘根は手を振った。

周三は扉を閉めるとエレベーターに向かって歩き出した。

周三はエレベーターに乗り込むと

2つ上の階の自分の部屋のボタンを押したのだった。

おはようございます。

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