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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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全大陸戦争

 前回からのあらすじ


カノレル雑貨店の奥の間で


同級生であり天使の中村太郎に


この世界の5大陸の説明を受けた周三は


なぜこのかよわき人間が住む大陸を


他の種族が襲わないのかという疑問に


到達し、その答えを中村が語り始めた。






 「まず田中は勇者って何やとおもてる?」


中村は周三に質問を投げかけた。



 「う~ん。


ゲームとかやと人間たちを


危機的状況に陥れる怪物モンスターの親玉を


倒す職業やという認識くらいかな。」


自信なさげに周三が答える。



 周三の答えに中村は目を見開いた。


「驚いた。もうわかってるやん。」



 「答えがあってた?」



 「ドンピシャやがな。それなら説明が早いわ。


この5大陸は昔から


たびたび戦争がおきとるみたいやねん。


太古の昔は人間がおらんかったみたいや。


天使と悪魔だけの戦争やったみたいやけど


この大陸に人間が誕生してからは


人間が一番の被害者になってしまってん。」



 「人間はチカラが弱いもんな。」



 「そやねん。だから人間達は神様に祈ってん。


人間に外敵に対抗できるチカラを


お与えくださいってな。」



 「それで神様がかなえてくれたん?」



 「そや、それからは


たまに戦闘に特化した才能が


突出した天才が生まれるようになった。


それがこの世界の勇者の原型みたいや。


その当時は勇者ではなく


英雄と呼ばれてたらしい。」



 「外敵からの自衛の手段が出来てよかったやん。」



 「そやな。で、500年くらい前に


勇者の完成形が生まれてん。


名前をカンベインっていうねんけど


人間界にも剣技や魔法や法力の技術が発達してきて


その全ての技術を使える天才カンベインが生まれたのは


人間にとって革命に近いことやったんちゃうかな。」



 「へ~。そのカンベインって勇者は


オールラウンドプレイヤーなんやね。」



 「そやな。案外、魔法がある世界では


それが簡単な事と思うかもしれへんけど


魔法と法力の全てを扱える人間はおらんねん。


反発しあうようなチカラを同時に扱うなんて


理論的には不可能なはずやねんて。


普通の人間は職業が魔術師でも


1属性の1種類の魔法を


一生をかけて磨いていくのが


限界やって先輩の天使が言うとった。


それやのに全属性全種類を使えるとかヤバいわ。」



 「いわゆるチートキャラやな。」



 「お、おう。


じゃあそのチカラって何のチカラやねんって


話になるんやけれど


神の属性に入るんじゃないかって結論に


人間の学者たちの間で仮定したみたいや。


それでカンベインは『勇者』と人間達から呼称されて


人間界の武の象徴であり生き神さん扱いになったわけ。」



 「へぇ~。勇者って強い戦士ってイメージやったけど


なんか人間ではありえない戦闘力を持ってそうやね。」



 「そうや。それをカンベインは証明する事になるねん。


500年前に第二大陸の魔王ゼネシスが


突然、悪魔の大軍を率いて第三大陸に侵攻してきてん。」



 「え!?悪魔の大軍ってめっちゃヤバいやん。


勇者ってカンベイン1人だけやろ。」



 「そや。天使長ラウエルが速やかに天使軍を編成して


大陸本土防衛戦に入ったんやけど何しろ敵の悪魔が多すぎる。


魔王も上陸してきて第三大陸本土に本陣を置いたから


長期戦になりそうになってん。」



 「そんなん消耗戦やん。


敵の数の方が多いんやろ。ヤバいやん。」



 「おう、悪魔はなんぼでも沸いたきたらしいわ。


魔王は第五大陸エルフィンドールにも


別働軍を侵攻させてたらしい。


第四大陸ヴァンドラインの支配者の


黒竜王ガルグは


大の人間嫌いらしくてな。


魔王ゼネシスからの同盟と


共同侵攻の申し入れを快諾し


第三大陸の東側に竜の大軍を侵攻させた。



 「うわ!挟み撃ちになってしもてるやん。」



 「そりゃもう絶体絶命のピンチやな。


そこにカンベインが大陸の西側に


本陣を置く魔王軍と人間の軍との戦線に現れた。


カンベインの親友である剣士ゲルグと


魔術師ウルドと賢者バルキンを率いてたった4人で


悪魔軍の中央を突破して本陣に迫ってん。



 「たった四人で!?すごすぎるな。


勇者パーティーってやつやん。」



 「うん。まさにカンベインは


鬼神のようやったらしいで。


本陣の魔王ゼネシスと対峙したカンベインの姿は


どっちが魔王かわからんくらいやったっていうからな。


魔王ゼネシスは巨体やし膨大な魔力で攻撃してきたのに


カンベインはその攻撃を素手ではじき返したらしいわ。」



 「なるほど人間技では無いな(笑)カンベインすげえ!」



 「そっからはカンベインの一方的な展開やったらしい。


魔王に強力な光属性魔法を放ち魔王がひるんだ所を


いやらしく聖剣で切り刻んで


その傷口に光属性魔法を浴びせたんや。


そうして地味に地味に体力を奪い続けて


不死と言われる魔王もさすがに


死を意識せざるおえなくなり撤退したらしい。」



 「魔王にとどめはささんかったんやね。」



 「そうや。だから勇者は案外、


悪魔に恨まれてないみたいやねん。


悪魔はチカラや強さが


正義みたいな美学があるみたいや。


魔王は負けたのに勇者カンベインは


情けをかけたっていうイメージが残って


復讐しようなんて空気は無いみたいやで。」



 「へぇ~、それは意外やな。


悪魔やのに美学があるんやな。」



 「ヤンキー漫画とかでも男同士で拳で語るとか


グループの鉄の掟とか仲間の為なら体を張るとか


そういう美学を追うとこあるやん。


そういうんかもしれんな。」



 「なるほどねぇ。」



 「その頃に東から攻めてきた竜王軍は


天使の防衛戦線を突破しようしてたんやけど


勇者カンベインは単身で竜騎士ランスが


またがる飛竜の後ろに乗って


一気に大陸を東に横断して防衛の前線に降りたった。


そしてカンベインは単身で飛竜数万の大軍と対峙してん。


ここで伝説に残る戦略級魔法が使われた。


カンベインは超広範囲重力魔法を


人類の歴史で初めて使用して


飛竜たちは強力な重力に耐え切れず大地にへばりついた。


そこを天使軍が攻撃し飛竜軍は全滅する。


そこで捕虜になった竜も


多くいたらしいからハインベルト公国の竜は


その捕虜の竜たちの末裔かもな。」



 「カンベインがすごすぎて唖然としてしまうな。」



 「ほんますごい人やな。


前線の飛竜が全滅したと知った黒竜王は


激怒して数千の飛竜を


率いて前線に突撃してきてんけど


勇者は天高く飛び上がって


聖剣で黒竜王を真っ二つにしたらしい。」



 「カンベインは竜王の命は助けへんかったんやね。」



 「うん。疲れてきて邪魔くさくなったんちゃうか。」



 「邪魔臭くてそうしたんやったらカンベインは


かなり人間くさい人やな。」



 「ほんで黒竜王の遺骸は


第四大陸までカンベインが


付き添って届けたらしい。」



 「それはカンベインの罪悪感からかな。」



 「理不尽に侵攻してきたのは黒竜王やし


カンベインは別に悪くは無いやろ。


でも、ちょっとやりすぎたかなって


気持ちはあったのかもな(笑)


一応、第三大陸侵攻は第四大陸では


黒竜王の独断の暴走って解釈になってるみたいで


第四大陸に多大な犠牲を出した黒竜王の一族は


第四大陸の上層部の地位からは


失脚したみたいやで。


だから竜族も勇者に恨み意識は薄いって聞いたわ。」



 「勇者ってすごい戦闘力っていうのは理解できたわ。


俺はそこまでは強くなれる自信はゼロやな(笑)」



 「まぁ、カンベインは勇者の完成形やからな。


頑張れば田中もなれるかもしれんな。


というわけでやな。


第二大陸は魔王は今も地下に籠って


勇者から受けた傷を回復中らしい。


傷がかなりひどかったらしいわ。


光属性魔法と聖剣の連続攻撃って


切り傷をつけられ続けて


その傷全部に毒を塗られ続けるみたいなもんやろ。


それを長時間され続けたって考えると


そう簡単には回復せぇへんやろな。


だから今は第二大陸全土を


支配するような魔王的な存在は不在やねんて。


第二大陸は長い間、戦国時代が続いてるらしいわ。


内戦状態やから第三大陸に侵攻どころではないってわけや。


第四大陸は竜が生息する地域であって国家ではないから


竜王がおらんかったら軍隊のような組織行動は


できひんから攻めてこうへんのちゃうかな。


第五大陸は悪魔軍の侵攻に苦しんだけど


勇者カンベインが魔王を退却させたために


孤立した第五大陸の悪魔軍は撤退を開始したらしい。


それで妖精族はカンベインに恩を感じているらしく


人間嫌いの妖精族が勇者には敬意を払ってるって話や。


以上の理由から500年も第三大陸は


平和が保たれているってわけやねん。


この戦いを全大陸戦争って人間は呼んでるらしいわ。」



 「よくわかった。


大学の偉い先生の歴史解説を


聞いてるみたいやったわ。


ややこしい名前とかよう覚えられんなぁ。


記憶力とかハンパないんちゃうか。


いまの話の固有名詞とかもう憶えてないもん。


細かく説明してくれて


ほんま中村には感謝やわ。」



 「僕は知ってる事を伝えただけや。


本当に話が正しいかどうかはわからへんで。」



 「ええよ。それで中村に相談やねんけど


言葉とか通じる魔法アイテムは無いかな?」



 「そんな便利なもんがあるわけあるやろ!」



 「あるんか~~~い!」


周三は手のひらを上に向けて舌を出した。



 中村のボケに対応できるほどに周三と


中村の親密度はこの短時間で上昇していた。


異世界で同じ世界の人間というだけで


親密度は上昇するのが自然であろう。


中村は左手の小指の金の指輪を


抜いて周三の前に差し出した。



 「え?この指輪をはめれば言葉が通じるん?」


周三が中村に問いかけた。



 「通じる。


天使は言葉がいらんねん。


思いを交わすからな。


だから僕にはそんなアイテムは必要ない。


だからあげるわ。


それをつければ言葉が思いとなって伝わるし


相手も言葉も思いとなって伝わってくる。


こっちは日本語で頭に入ってくるし


こっちの日本語が相手には母国語に聞こえる。


すごく便利なアイテムやろ。


滅多に人間には与えへんらしいけど


勇者候補にこれを


持ってったってくれる。ってくらいの軽さで


上司の天使からこの指輪を手渡されたで。


言葉を勉強する手間が省けてよかったな。」



 「マジ助かるわ。中村がマジ天使に見える。」



 「いやマジで天使やし。」



「あはははははは」と2人は笑った。



 「あと、この世界で下宿するなら


この店の2階に部屋が空いてるから


そこ使ってくれていいわ。


老夫婦はぜひにて言うてくれとる。


食事もついてるし立地条件もいい。


ここからやったら


たいていの施設や店に歩いていける距離や。


僕はここから見える近くの教会に大抵おるけど


たまにアブリルに行くこともある。


もしも天使として出世してしもうたらもっと遠いとこに


行くかもしれんけど


アブリルで連絡とってもろたら会えるようにしとくからな。」



 「なんか何から何まで申し訳ないな」



 「気にすんな。


僕は天使やで。


困ってる人がおったら普通は助けるやん。


それに僕はこっちの世界の先輩やからな。


3日くらいやけど(笑)」



 「3日ってマジか!


中村の順応性の高さは尊敬に値するわ。」



 「そやろ、ま、3日って言っても


時間や空間に縛られない浮き島ってのもあって


そこで天使の研修したから


実際は3日どころかはるかに長い時間は


この世界にいるんやけどな。


研修を受けて1時間で羽生えて金髪碧眼になったわ。


1時間で羽が生えそろうって


相当にすごいらしいで。


羽生も天使の才能を見抜くチカラが


あったっちゅうこっちゃな。」



 「ほんまやな。


中村には天使の才能があるんやろな。


中村、今日はホンマありがとう。


また何かあったら尋ねるわ。」



 「わからんことあったら


いつでも来てや。


ほなそろそろ帰るわ。」



 「うん。また何かあったら尋ねる。」



「ハウル氏、田中の事をよろしゅう頼みます。」



 ハウルは中村に向かって頷いた。


「はい。天使様。


勇者様のお世話ができる事は


我が一族の誉れとなりましょう。」


周三はおじいさんの言葉をはじめて理解できた。


やはり天使の指輪はすごいアイテムだった。

オンラインゲームするのを忘れるくらいなので結構夢中でかけてます。

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