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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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夕方

 周三はロアンと甘根と

シエルとブリュンヒルデとスクルドが

帰ったあとに乗組員が昼に部屋に

持ってきてくれた昼食のプレートの料理を食べながら

色々と思案を巡らせていた。

思案を巡らせたあと周三はお風呂に入った。


 周三は風呂からあがると私服を着て

ソファーにもたれかかると首にかけたタオルで

頭をこすって髪を乾かしながら

「もうぼちぼち夕食の時間やな。

早めに食堂に行かんと混むからなぁ。」とつぶやいた。

朝、昼、晩と食堂に行くという事は

周三の部屋に乗組員の人が運んでくる食事も

朝昼晩と3食あるので周三は1日に6食も食べている。

さっきお昼に置いてあったプレートの料理を食べたのに

夕食の時間が近づくとまたお腹が空いた気になってくる。

「もう、コウジも帰ってるやろ。

ちょっとコウジの部屋に行ってみようかな。」と独り言を言うと

周三は第二艦橋にあるエレベーターに乗りこんだ。

周三は明日に戦いを控えているのに緊張感がまるで無かった。

それはギヨク将軍については

考えないようにしているのも原因のひとつ。

ギヨク将軍対策に独自の超能力を編み出した事も大きいが

一番の原因は魔眼との合体技の発見であろう。

しかし周三は楽観主義者ではない。

一騎打ちについてはかなりの綿密な計算をしてきた。

その上で自分が出来る事は全てやったという開き直りもあった。

エレベーターに乗り込むと2つ下の階のボタンを押した。

エレベーターが起動してしばらくすると止まった。

エレベーターが開いて廊下に出るとそのまま真っすぐ歩いて

3つ目の左側の扉をノックした。

「はいよ!」と中から返事が聞こえて扉が開くと

中から甘根が顔を出した。

「ほんじゃ食堂行こか。」と周三が言うと

「あいよ!シエル、飯行くぞ。」と甘根は部屋の中を向いて言った。

「行こう。」と中からシエルの声が聞こえた。

甘根とシエルが部屋から出てくると3人でエレベーターに向かった。

3人はエレベーターに乗り込むと周三は2つ下のボタンを押した。

周三は甘根に「夜って当然、食材が豪華になるやろな。」と言った。

甘根は満面の笑みで「がむしゃらに肉が食いたいのう。」と応えた。

シエルは無表情に頷きながら

「アイスクリームがあったらうれしいな。」と言った。

食堂の階に到着すると3人は真っ直ぐに食堂に向かった。

食堂に到着すると客がまばらだ。

周三は食堂の客の乗組員の女性に

「なんだか人が少ないですね。」と

通りすがりにさりげなく訊ねた。

20代前半くらいの女性乗組員は周三に笑顔を向けると

「はい。もう少ししたら人が多くなると思いますよ。

明日は敵軍との戦いがあるかもしれないというので

機関砲や主砲それにエンジンのチェックで

どこのセクションも大忙しなんです。

ある程度、仕事が落ち着くまでは

食事には来ないでしょうね。」と応えた。

「そうなんですか。みなさん頑張ってらっしゃるんですね。

おつかれさまです。」と周三が言うと女性乗組員は笑顔で

「いえいえ、勇者様が一番頑張っておられると思います。

勇者様はすでに敵軍に多大な損害を与えたと聞きました。

明日は敵将との一騎打ちをなさるそうですね。

勇者様のご武運を乗組員一同お祈りしています。

わたしたちを無事に故郷に

連れて帰って頂けるものと信じています。」と言った。

「もちろんですよ。明日は勝ちますので

明日の夜は祝賀パーティーですね。」

「ウフフ。それじゃ明日着るドレスを選んでおかないと。

では、わたしは仕事に戻りますので失礼します。」

「頑張ってくださいね。」

女性乗組員は軽く周三に会釈をするとその場を離れた。

明日は敵との総力戦になる可能性は0では無い。

ギヨク将軍が一騎打ちに負けたとしても

敵の軍船が攻撃してくる可能性も十分ありうる。

そういう場合を想定して、今、乗組員たちは

艦のチェックを入念におこなっているのだろう。

周三は料理の並ぶテーブルに向かった。

軍艦フェンティーアは女性乗組員の数が案外多い。

そのため乗組員同士が夫婦という事も多い。

今回の航海は戦争という目的なので

乗組員同士で夫婦の場合は夫か妻のどちらかは

フェンティーア都市国家に残り、有給休暇を取る事が許された。

夫婦とも戦死してしまえば子供が孤児になるので

そうならないようにとのカノレル海洋貿易会社の配慮だろう。

シングルファザーやシングルマザーの乗組員も

フェンティーア都市国家に残って有給休暇を取る事が許された。

それゆえに艦内の女性乗組員は未婚の女性が多い。

女性乗組員でも作業着姿の人が多いのは

男女の仕事が区別されていない職場だからであろう。

作業着のデザインが違ったりするのは担当の部署が違うのである。

周三が艦内で見た乗組員の男女の比率は

男性従業員8割で女性従業員が2割と感じた。

食堂は戦争中はビュッフェスタイルになっている。

甘根とシエルはすでに大きな皿を何枚も持って

料理が並ぶテーブルと

食事をするためのテーブルを何度も往復をしている。

甘根とシエルの2人はとても楽しそうだ。

「勇者様!」と背後から女性の声がしたので振り返ると

ミュアン少佐だった。

「ああ。ミュアンさんもお食事ですか。よかったら

ご一緒しませんか。」と周三が言うと

「よろこんで!」とミュアンは満面の笑みで嬉しそうに応えた。

ミュアンの持っている取り皿には

料理を詰め込みすぎてるどころか違う料理を

上に重ねるという荒業を駆使していて

取り皿の上の料理はソースが混ざりあって

色んな色が混ざり合っていて

小学生の美術の授業での絵具パレットのように

グチャグチャのカオスな状態になっていた。

もはやそれでは料理本来の味は失われているであろう。

周三はミュアンのダイナミックさに感心するのであった。

周三はミュアンと連れて食事するためのテーブルに向かう。

テーブルには甘根とシエルがすでに座っていて先に食事していた。

「おお!ミュアン姉ちゃんやないけ!」と

甘根は嬉しそうにこちらに手を振った。

「どうも!コウジ殿下!ご一緒させてもらいます。」と

ミュアンは甘根に大きく手を振った。

周三とミュアンが隣同士でテーブルに座ると

甘根がミュアンの皿に盛り付けられたダイナミックな料理の塊を見て

「あはは!ミュアン姉ちゃんって欲張りさんけ?」と笑った。

ミュアンは少し頬を赤らめると

「一々料理を取りに行くのが面倒なだけですよ。」と甘根に言い訳した。

周三が口を開く。

「ミュアンさんはシエルに会った事は無いよね。

この人はコウジの部下のシエルさん。俺に武術を教えてくれたんだ。」と

周三はミュアンに紹介するとミュアンはシエルを見てウットリして

「綺麗な方ですねぇ。シエルさんはじめまして。

うちはミュアンです。よろしくお願いします!」と

元気よく大きな声で自己紹介した。

「わたしはシエル。呼び捨てでかまわない。

よろしく。」とシエルは挨拶を返した。

そこからみんなしばらく無言で食べ続けた。

会話が無いのではなく食べる事に集中しているのだ。

食べることに集中したい4人が集まったとも言えた。

夜の献立は豚肉の料理も鶏肉料理も牛肉ステーキもあり

肉料理が充実していた。

魚料理もあったが魚よりも甲殻類が人気があるようだった。

ステーキにかけるソースも色々選べた。

スープも何種類かから選べる。

パスタの種類もピザの種類も夜の方が豊富で色々な味が楽しめる。

他にも見た事が無い料理もあったりして

周三は味見がてらに皿の端に少し取ってテーブルで食べて

味を確認してその料理が美味しかったら追加に取りに行った。

ジュースの種類もいくつかあり、瓶からグラスに注いで席に持ち帰る。

ワインやウイスキーなどのお酒も豊富に用意してあるが

周三はミュアンは左官だから成人している可能性があると

思っていたがミュアンはお酒を飲まなかった。

周三は心の中で、ミュアンさんってどう見ても10代なのに

階級が士官階級の少佐という事はエリートなのか?

それとも貴族なのだろうか?貴族にしては

放任主義に育てられすぎている。貴族ではないだろう。と思った。

ある程度、お腹がいっぱいになるとやっと会話する余裕が生まれた。

周三がまず口を開いた。

「コウジ。さっきの話やけど

シエルを第二大陸から出してええんか。寂しくならへんか?」

甘根は別に気にしていない様子で

「寂しいと言えば寂しいけど、大事な仕事を任せるのは

信頼できる部下に決まってるやろ。だから問題はないで。」

「そうか。それならよかったわ。

ずっと気になっとってん。」と周三が胸を撫で下ろした。

「実はな。わしの国は腐りかけてんねん。

だから、信頼できるシエルを出世させたいねん。」

「腐るってどないしたん?」と周三が目を丸くした。

「いやな。今問題になってるのが

イシュエル半島生まれの悪魔は戦争に行きたがらないって話でな。

イシュエル半島に家を持つ悪魔ってのは武官の中でもエリートやねん。

それやのに武官のエリートの子供は

戦士やなく文官を目指して勉強を頑張るねん。

文官やったらイシュエル半島から離れなくて済むからやろな。

イシュエルはちゃんとした食べ物があるし、暮らしも人間に近い。

快適でいい暮らしが出来るんや。

だからエリートの子供らは悪魔が戦場で殺した悪魔の肉を

食べたりするのは下品に感じるんやろな。

それはわしも元は人間やから感じとるから理解できる。

でもわしはそいつらがあんまり好きとちゃうねん。

なんつうかな。戦争に行く悪魔をあきらかに見下しとんねん。

自分を肯定する為に誰かを否定してるって感じがすんねん。

わしはそういうのがどうも気にくわん。

わしはいずれ炎の国を任されるかもしれんのに

わしの周りがそんな文官ばっかりやったらわしは気色が悪いねん。

わしの直属の部下はみんな戦闘専門ばっかりやから

読み書きとか苦手な奴らばっかりや。わしも苦手やけどな。

わしの部下で唯一、文官の素質があるのがシエルやねん。

いずれわしが王になったら

国の政治を全てシエルに任せようかと思ってる。

だからシエルには事務的な仕事の修行させよかと思ってん。

シエルも納得しとるし、気にせんといてくれ。」

周三は腕を前で組んでしきりに頷いていた。

「コウジはめっちゃ考えてるやんか。

いずれ総理大臣みたいな仕事をシエルにさせようと

思ってるんやな。なるほどなぁ。」

周三は横からアツい眼差しを感じた。

周三はそっと横目で見ると

ミュアンが口の周りにソースをつけた顔で周三を見ていた。

「勇者様、今のお話って何のお話ですか?

くわしく教えてほしいです。」とミュアンは周三に訊いてきた。

「えっと。戦争が終ったら

俺は魔法学園の学生になる予定やねん。」と周三が言った。

「え~!勇者様が一般人になるんですか?!」とミュアンが驚いた。

周三は、それはニュアンスがちょっと違う気がしたので

「勇者でありつつ学生もするの。」と捕捉した。

「へぇ~。」とミュアンは応えた。

「それでやね。俺がおらん時にフェンティーア都市国家に

今回みたいな事があったら他の大陸の外交官が駐在していないから

緊急事態だとしても早急に第二大陸と第五大陸に

協力を要請したり連絡してくれたりする人間がおらんのですよ。

だから勇者に関する仕事をする国家機関を設立しようと考えました。

俺がいなくても緊急時に連合軍を組織できて運営ができる機関。

そのメンバーの一人にシエルがなってくれるって話ですよ。」と

周三はミュアンに説明した。

「じゃあうちもメンバーになります!」とミュアンは右腕を挙げた。

「おお!ミュアン姉ちゃんもなるんけ。」と甘根はミュアンに言った。

「ミュアンはわたしの同僚になるのか?」とシエルが周三に言った。

周三は少し悩んでから

「ありやな。」と言った。

周三は続けて口を開いた。

「実はその役はディアナに頼もうかと思ってたんやけど

どうも違うんじゃないか。と思ってん。

ディアナはフェンティーア都市国家に駐留する帝国軍の長や。

そのままの立場でおってもらった方が絶対ええねん。

帝国軍を指揮するディアナと

連携が取れる人間と言えばミュアンさんでしょ。

なるほどな。ありや。それはありやわ。」

「はい!うちがんばります!」とミュアンは元気良く周三に敬礼した。

「まあ、帝国の上層部がミュアンさんでOKを出してくれたらって話やな。

ディアナにも、ミュアンさんに機関への参加を

お願いしたい。と話を通してみるわ。」と周三は言った。

おはようございます。

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