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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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相談

 周三は外の甲板でシエルと遊びの勝負をして勝利する。

その現場にロアンに連れられて

周三に挨拶に来たヴァルキリー隊の将のブリュンヒルデと

副将のスクルドの3人が試合を目撃する。

周三はブリュンヒルデとスクルドと挨拶を交わす。

周三はロアンに敵と遭遇する時間はいつかと確認すると

ロアンは敵と接近するのは

明日の正午から夕方の間ぐらいと予測した。

ロアンと話を済ませると周三とロアンとシエルと

ブリュンヒルデとスクルドの5人は第二艦橋に向けて歩き出した。


 周三とロアンとシエルと

ブリュンヒルデとスクルドの5人は

外から階段を上り第二艦橋のフロアに入った。

左のソファーには頭を奥に向けて甘根が寝転がっている。

甘根は寝たまま頭を少し上げて周三たちを見ると

「おお!みなさんおかえりかいな!」と声をかけてきた。

「ただいま。」と周三が甘根に返事する。

「ちょっと相談があるからみんな席について。」と

周三がソファーにみんなが座るように促した。

ロアンが周三に声をかける。

「ブリュンヒルデとスクルドもでしょうか。」

周三はロアンに頷くと

「ええ。第五大陸の武人であるお二人にも

ぜひに聞いて頂きたいです。」と応えた。

上座のソファーに周三が座る。

左のソファーに奥から甘根とシエルが座り

右のソファーには奥からロアンとブリュンヒルデとスクルドが座る。

甘根がキョトンとしながら

「シュウ。あらたまってどないしたんや。」と言った。

「みんなにちょっと相談したい事があるねん。」と周三は応えた。

周三は一同を見渡すと改まって口を開いた。

「明日、敵将と俺が一騎打ちをして勝敗が決するわけやけど

シエルのおかげで俺が勝つと思う。」と周三は切り出した。

「おお!シュウが勝つと言い切った!それは勝てるな。

シュウは相当自信が無いと逃げるからな。」と甘根が言った。

周三は甘根の言葉に反論もせずに頷くと

「コウジの言う通りや。

俺は勝てる戦い以外は保留したりスルーする男や。」と認めた。

一同から笑いが起きた。

「という訳で。勝利するから明日の事はどうでもよくなりました。

で、ここで議題したいのは勝利した後のことです。

いまここには第二大陸の代表と第五大陸の代表が同席してる。

俺が疑問に思ってる事を解決できたらいいなと思いました。」

ロアンが口を開く。

「シュウ、わたしにわかる事ならなんでも訊いてください。」

「わしにわかる範囲は狭いで。」と甘根が笑顔で言った。

「ありがとう。俺な、ずっと疑問やってんけどさぁ。

第二大陸も第五大陸も外交官が第三大陸に駐在していないですよね。

ロアンさんは今回は緊急措置的に

第五大陸の外交官と武官を兼務してくれているけれど

ロアンさんはフェンティーア都市国家の一市民ですよね。

普段は外交官では無いわけですし

第五大陸の公務でフェンティーアに

移住したわけでもありませんよね。」

ロアンは周三の発言に頷く。

「その通りです。わたしはただのフェンティーアの市民です。

そう在りたいとも思っていますので

これからもただの家具職人でいるつもりでいます。」

「もちろんそれで俺は異存はありません。

今回はロアンさんと俺が偶然知り合いだったから

良かったけれど今後はフェンティーアに何かあった場合に

各大陸間の安全保障の連携をどう取ればいいのか。

という問題について俺なりに考えました。

なぜ、フェンティーア都市国家と国交のある第二大陸と

第五大陸の外交官がフェンティーア都市国家に

駐在していないのかという事を俺はこの戦いが始まった時から

ずっとひっかかっていたんですが色々とそれどころではなくて

みんなに訊くタイミングが無かった。」

甘根が口を開いた。

「ホンマそうやな。わしは何も疑問にも思わんかったけど

言われてみたら、なるほどって思ったわ。」

ロアンは周三に向かって

「素晴らしい着目点だと思います。」と言った。

ロアンは続けて口を開いた。

「その疑問の答えはフェンティーア都市国家と

第二大陸の炎の国は同盟関係ではないからでしょう。

カンベイン王とイフラート王との友情のみの関係ですので

フェンティーア都市国家との国交関係は公式では無いのです。

交易関係についても炎の国と

フェンティーア都市国家との交易ではなく

炎の国とカンベインの一族であるカノレル海洋貿易会社との

交易なのでフェンティーア議会はこれに関与していないでしょう。

カノレル家はフェンティーア都市国家にとっては聖域なのです。

ですからカノレル家に干渉するような法律は

フェンティーア議会では議論が行なわれる事はないです。

国交がまったく無い国の外交官が駐在する事はありません。

それは第五大陸も同じ事です。

第五大陸はフェンティーア都市国家と同盟関係にはありますが

同盟の内容は軍事防衛上の規定だけですので軍事同盟です。

フェンティーア都市国家は500年の間に一度も

第五大陸が介入するような軍事的緊急事態が

ありませんでしたので

国交を進展させるきっかけもありませんでした。」

周三がロアンの説明を聞いて納得して

「ロアンさんの説明を聞いてこれをきっかけにして

少しフェンティーア都市国家と

各大陸との関係を進展させないといけないと思いました。

第四大陸についてはフェンティーア都市国家から

第四大陸は距離が遠いので国交については今度考えます。

第一大陸についてはタロウがフェンティーア都市国家に

駐在していますので大丈夫でしょう。

とりあえず軍事だけでいいので各大陸が

情報交換が出来る機関の設立を

フェンティーア議会に提案するつもりです。

フェンティーア都市国家側から

外交官を各大陸に送るのは難しい気がします。

第二大陸は瘴気で人間は健康を損ないます。

第五大陸は大陸内の内情がフェンティーアにも

何の情報も入らないという事は閉鎖的なのではないでしょうか。」

ロアンが周三の発言に頷いて口を開いた。

「その通りです。第五大陸は閉鎖的です。

第五大陸の妖精族住民は人間を信用していません。

第五大陸の住民が信用している人間はカンベインだけでした。

だからカンベインの一族であるカノレル家だけが

第五大陸と交易できるのです。

しかし、それは昔のことで今は人間への理解を

深めようと努力している段階に入っています。」

周三はロアンに頷いた。

「そうなんですね。

第五大陸との国交も夢ではなくなりそうですね。

というわけで各大陸からフェンティーア都市国家に

設立予定の機関に各大陸の武官を

1名ずつ派遣して頂く形で近々お願いすると思います。

ここからは俺の本音を言わせてもらいます。」

甘根が嬉しそうな顔をして口を開く。

「おおっと!シュウの本音はホンマに本音やから楽しみやわ。」

周三はニヤけた顔でみんなを見渡すと

「俺はこの戦いが終って、しばらくしたら

魔法学園都市の学生になっちゃいます。

ですので勇者の武者修行としてお休みを頂きます。」と宣言した。

「そうですか。シュウは魔法学園に入学されるのですね。

それはおめでとうございます。」とロアンは祝いの言葉を述べた。

甘根は不思議そうな顔で

「シュウはこっちで学校に入るんけ。

それが何か関係があるんけ?」と首をかしげた。

周三が口を開く。

「ロアンさんありがとうございます。

まだ入試に合格していないので確定ではありませんが

今回、大魔法解除をした事で魔法学園の入試に合格する自信つきました。

コウジは第三大陸の地理に詳しくないやろから説明するけれど

俺はフェンティーア都市国家からはいなくなって

隣の国の魔法学園都市国家の一学生になるんや。」

「マジか!勇者から学生になるんかい!わしには理解できんわ。

わしは学校に行かんでよくなって毎日めっちゃ楽しいのに

シュウはわざわざ学校に行きたがるとは物好きやなぁ。」

「俺も別に学校が好きなわけやないけど

魔法は習いたいんや。だから、俺がいなくてもある程度は

フェンティーア都市国家が緊急事態に対応できるように

各大陸の情報を管理したり、報告したり、要請したり

処理したりする機関を作りたいわけです。

もちろんその機関は俺の代わりに勇者としての業務も

ある程度は代行してもらいたい。

その理由はぶっちゃけて言えば

一々と隣の学園都市国家からフェンティーアに

移動したりするのが面倒だからです。

言うなればフェンティーア都市国家の管轄の勇者庁を作るんです。

この戦いが終ったら俺はしょうもない事でも召集される立場に

なってしまいそうな気がする。それは予想できます。

それでは俺の学生生活に支障をきたします。

だから世界を巻き込んででもどうにかしたいです。

みなさんのご協力お願いします。」と周三は皆に本音を述べた。

ロアンは少し苦笑しながら口を開く。

「それには色々と政治的にも金銭的にも

クリアしなければならない課題があるとは思いますが

この戦いに勝利すればシュウは第三大陸では

帝国の皇帝以上の権威を持つ存在になるでしょう。

ですのでややこしい問題も増える代わりに

問題を簡単に解決できる権力も備わるでしょう。

わたしの出身地である第五大陸に

一番に距離が近い他国は第二大陸の炎の国なのですが

国交がありませんので情報がまったく入りません。

シュウの提案は炎の国と第五大陸が間接的にでも

交流できますので第五大陸にとっても有益だと思います。

第五大陸と同盟国というわけではない炎の国の王子の

前でする話ではないとは思いますが

イフラート王は第五大陸に攻め込む事は決してありません。

それはカンベインと第五大陸が同盟しているからです。

ですので第五大陸の実情についてここで言いますが

妖精国というのは少数部族の集落の集合体です。

我が大陸の軍隊は各部族がそれぞれ独自に

自主的に組織するものであり

妖精国の直属の軍隊というものは存在いたしません。

第五大陸は500年前の戦いで妖精族の人口が減っており

軍隊などを組織する余裕はもうなくなってしまいました。

妖精は繁殖力がとても低く人間よりも遥かに成長が遅い。

ですから人口が回復するにはかなりの時間がかかります。

この人口減少による国家防衛の危機に対して

妖精王は我が大陸の神にお願い致しまして

ヴァルキリーを2000騎を妖精国の直属の軍隊として賜りました。

今、妖精国の武官と呼べるのはヴァルキリー軍だけです。」と

説明してロアンは隣にいるブリュンヒルデに声をかけた。

「ブリュンヒルデ。シュウの提案についてどう思いますか?」

ブリュンヒルデはシュウを見つめると口を開いた。

「はい。勇者様のご意見はそのまま聞けば

勇者様が楽をしたいだけのように聞こえるかもしれませんが

このブリュンヒルデにはとても聡明なお考えであるように感じました。

もしも勇者様が組織を設立した折はわたくしの指揮する軍から

1名を選抜してフェンティーアに駐在させたいと思います。」

周三はとても嬉しそうな笑顔をブリュンヒルデに向けた。

「ロアンさん、ブリュンヒルデさんありがとうございます。」と

周三は心から2人に礼を述べた。

甘根が口を開く。

「わしは政治の話はよくわからんけど1人出せばええんけ?

それやったらシエルでどうや。

わしはもうすぐ第二大陸の中央の前線の戦場に出なあかん。

親父の直属の武官を派遣してもええけど親父が関わると

かなり話がややこしくなるねん。

俺の裁量で派遣できる将軍はシエルしかおらん。

将軍クラスやないと親父に意見もできへん。

将軍じゃないと炎の軍隊を動かす権限も無いからな。

シエルがわしの軍から抜けるのは戦力的にはかなり痛いんやけど

わしはこれからどんどんと強くなるからなんとかなるやろ。

シエルはわしの直属の部下やから

わしがフェンティーアに遊びに来る為の口実にも出来るしな。

シュウの組織が出来た時は言うてくれや。」と

「甘根がシエルを出すなんて思わんかったわ。恩にきるで。

なんか甘根には世話になりっぱなしで申し訳ないわ。」

周三は甘根に向かって手を合わせて感謝した。

「水臭いやんけ。友達を助けるのは当たり前の事やろ。

それにわしの直属のシエルを出す事でわしは情報と人脈が手に入る。

将来、親父にでかい仕事を任された時にたぶんそれが役に立つやろ。

わしにとって得が無い話でもないやろ。」と笑顔で応えた。

「コウジありがとう。皆さんもどうもありがとう。」と

周三は皆に頭を下げて感謝した。

周三は、自分がややこしいトラブルに巻き込まれても

自分以外の誰かが解決してくれる便利な国家機関の設立に向けて

確かな一歩を踏み出したのであった。

おはようございます。

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