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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
64/118

ヴァルキリーの将

 周三はギヨク将軍との一騎打ちの作戦を考えてるうちに

なんで俺を殺そうとしてる男の命の心配をせねばならんのだ!

と腹が立つばかりだった。

そのおかげで集中力が上がり考えがまとまっていく。

魔眼の精霊エービンスの人格は

周三の目と同化したときに消滅したのかどうかという疑問を

抱き、魔眼を発動させてエービンスに話しかけてみた。

すると左目にエービンスが写った。

エービンスから合体技を提案されて周三は試してみると

ギヨク将軍と渡り合えるチカラを手に入れたと確信する。

おかけで周三はギヨク将軍を倒すイメージが具体的に固まった。

そんな時に後ろからシエルが近づいてくる気配を感じ取った。

シエルは周三から黒いオーラが出ているように感じた。


 周三は胡坐をかいて目を瞑っていた。

「シエルか。何か用か。」と周三は大きな声で言った。

シエルは周三に近づくと膝をついて

周三を横からギュッと抱きしめた。

「なんや!シエ姉どないしたん?」と周三は驚いて

シエルの顔に向かって言った。

「シュウ。あんまり考えすぎると頭がおかしくなる。

シュウから何かよからぬ気配を感じた。

リラックスしてほしい。」とシエルが応えた。

「失礼なことを言うな!

俺はめっちゃリラックスしてたやん。瞑想してたやん。」

シエルの口元が笑っている。

「まぁ。さすが元天使やな。う~ん。

ナイスフォローなんかもな。

確かに俺は自分を見失いかけてたかもしれん。」と周三は反省した。

「それはよかった。」とシエルは周三を抱きしめたまま離れない。

「おい!シエ姉。俺は正気に戻ったんやで。

離れてくれて大丈夫やで。」と

周三は手でシエルの腕を軽くゆさぶった。

「そう。」とシエルは言うと周三から体を離して周三の左横に座った。

「シエルにはわかってしまったんやな。

俺はギヨク将軍に酷い事をしようと考えていたのが。

確かにギヨク将軍をとっちめれば

このイライラした気持ちがスッキリするかもしれんけれど

それもなんだか悲しい感じがするよな。

人間としてかっこ悪いよな。」

周三のその言葉にシエルは「プっ」と吹いて笑う。

「とっちめるってシュウはギヨク将軍に勝てるの?」と

シエルが純粋な目を周三に向けて言った。

「コラ!なんと失礼なことをいう子なの!

確かにシエ姉から見たら俺は胡坐をかいて

寝ていたように見えたかもしれん。

しかし俺は胡坐をかきながら

宇宙と一体化してこの世の真理の扉を開こうとしていたんや。

シエ姉、ちょっと立て。

今からシエルに俺が宇宙の真理に近づいた現実を

そのしなやかで美しい体で体感してもらうわ。」と言って

周三は立ち上がる。シエルも立ち上がった。

2人は向かい合った。

周三は首と肩をまわして準備運動した。

「シエ姉は俺にさっき武術を教えてくれた。

俺はあれから何も武術の練習はしてはいない。

シエ姉の武術の真似程度しか俺にはできひん。」と

周三は自慢できない事実を自慢げに言った。

「では今から練習するのか?」とシエルが周三に訊くと

「いんや。軽くシエ姉を倒すわ。」と周三が応えた。

「むむむ。それはカチンとくる発言。

シュウにはわたしを倒すなんて無理に決まってる。

ちゃんと武術の練習しないとわたしには勝てない。

だって、シュウは体が硬すぎる。プププ。」とシエルが笑う。

「ふん!では、こうしよう。

シエ姉は空を飛ぼうが何しようがいいけれど

シエ姉が俺に攻撃をするのは無しや。

俺がシエ姉に触れたり攻撃が当たったら俺の勝ちってのはどう?」

「わたしは逃げるだけでいいの?」

「そや。でも、試合開始までは

甲板の上に足をつけてお互い向かい合った状態や。ええか?」

「わかった。」とシエルが返事をした。

すると周三は艦首の左舷に向かって歩いて行く。

周三はシエルと20mほどの距離をとった。

「試合開始の合図はシエ姉がしてー!」と

周三がシエルに向かって大きな声で言った。

「は~い!では、開始の時は、はじまり!って言う!」と

シエルが大きな声で応えた。

シエルは少し間をとって半身の姿勢で構えた。

周三は両腕を上げて背伸びをしながらリラックスしている。

「はじまり!」とシエルが叫んだ。

シエルは上空に飛び上がろうと翼を大きく羽ばたかせた瞬間に

周三の頭が自分の胸元に見えた気がした。

次の瞬間。シエルの視界には青い空が広がっていた。

シエルは何が起きたのかまったくわからなかった。

「シエ姉。宇宙の真理には凡人は勝たれへんのやで。」と

言う周三の声がシエルの耳の近くで聞こえた。

シエルは自分が甲板の上で大の字で倒れてる事に気付いた。

空だけの視界に周三の姿が入りこんできた。

周三はシエルの頭の脇でしゃがみこむとシエルの顔を覗き込んで

「シエ姉。立てるやろ。

俺は軽く背中で弾いただけやで。」

「うん。」と返事をしてシエルは上体を起こした。

「シエ姉ありがとうな。なんかタイミングがつかめたわ。

ギヨク将軍に100%勝てる自信がついた気がする。

イレギュラーがなければの話やけどな。」と

周三は嬉しそうにシエルに言った。

「シュウは強いのかもしれない。

わたしは今、何が起きたのかさっぱりわからなかった。」と

シエルは狐につままれたような顔をしていた。

パチパチパチパチ!と複数の拍手が艦橋の方向から聞こえてきた。

周三は立ち上がって拍手が聞こえる方向に目をやると

ロアンがこちらに歩いてきていた。

ロアンは長い髪の白い肌をした女性が2人を連れていた。

その3人が拍手をしながら近づいてくる。

3人は周三とシエルの側で足を止めると

「いやぁお見事。さすがシュウですね。

わたしの目でも動きを捉えきれませんでした。」とロアンが言った。

「シエ姉が指導してくれたおかげです。この女性がシエルです。」と

周三はロアンにシエルを紹介した。

「はじめまして。第五大陸出身のロアンと申します。

呼び捨てで結構ですのでどうぞよろしくお願いします。」と

ロアンはシエルに自己紹介した。

シエルはロアンを見上げて立ち上がると

「はじめまして。炎の国のシエルです。

わたしも呼び捨てで呼んでくれていい。」とロアンに挨拶をした。

ロアンは後ろに控えている女性2人を手招きした。

2人の女性はロアンの左右に並んだ。

「紹介します。わたしの右手にいるのが

ヴァルキリーの将のブリュンヒルデです。

左手にいるのがブリュンヒルデの副将のスクルドです。

この2人は最高司令官であるシュウに

挨拶に来たのですが第二艦橋に行ったら

コウジ王子がおられて

シュウは外の艦首の方にいるとおっしゃられたので参りました。

もし、ヴァルキリー軍に御用がある時は

この2人のどちらかに相談してください。」とロアンが言った。

周三はヴァルキリー2人に

「連合軍へようこそ。総司令官の田中周三です。

どうぞシュウと呼び捨てで呼んでください。」と自己紹介した。

「あなたが勇者様ですか。お会いできて光栄です。

わたくしはヴァルキリー軍を指揮するブリュンヒルデと申します。

短い間ですがどうぞよしなに願います。」と言うと

ブリュンヒルデは周三に握手を求めた。

周三はブリュンヒルデと握手すると

「こちらこそよろしくお願いします。」と応えた。

「わたしは副将のスクルド。勇者様と会えてうれしく思います。

どうぞお見知りおきください。」と

スクルドも周三に握手を求めてきた。

「スクルドさんこちらこそよろしくお願いします。」と言って

周三はスクルドと握手をした。

「ロアンさんと話したい事がありますので少しいいですか?」と

2人のヴァルキリーに言うと2人とも笑顔で頷いた。

周三はロアンを連れて艦首に向かって歩いて

シエルとブリュンヒルデとスクルドと距離を取った。

するとブリュンヒルデとスクルドはシエルに挨拶しているのが見えた。

シエルも挨拶を返して2人のヴァルキリーと握手を交わしていた。

ブリュンヒルデとスクルドとシエルの3人は楽しそうに雑談を始めた。

ヴァルキリーの服装は

左右に羽のついた額当て。金色の鎧を纏い。

長く白いスカートをはいていた。

ブリュンヒルデの髪は緑がかった金髪、スクルドの髪は黒髪だった。

ブリュンヒルデは清潔感のある人柄を感じさせる雰囲気が

漂っていて透き通った美しさが滲み出ていた。

スクルドは力強い瞳が印象的だが決して粗野という事ではなく

気品と知性を感じさせる美しさだった。

ブリュンヒルデもスクルドもシエルも17歳くらいに見える。

おそらく3人とも歳をとらないのだろうから永遠に17歳なのだろう。

周三はロアンに話を切り出した。

「ロアンさん。敵軍と接近するのはいつ頃になる予定ですか?」

「おそらく敵と接近するのは明日の昼から

夕方の間だと予測しています。」

「そうですか。アルフレッドに騎乗する練習をしたいのですが

ロアンさんが忙しいようなら明日の方がいいですか?」

「今からでも結構ですよ。召還をしなければいけませんので

少しだけお時間を頂けるなら準備いたします。」

周三は少し悩んでから口を開いた。

「いや、明日で大丈夫です。明日がんばります。」

ロアンは心配そうな顔をして

「本当に大丈夫ですか?」と周三に訊いた。

「はい。グリフォンに騎乗するスキルはもう作戦には

必要がなくなりましたので。」と周三は笑顔で応えた。

「そうですか。では明日の朝にはアルフレッドに

すぐに騎乗できるように準備しておきます。」

「ありがとうございます。では俺は部屋に戻ります。」

「そうですか。ではご一緒します。」とロアンは返事をして

周三とロアンとヴァルキリー2人とシエルの5人は

連れ立って第二艦橋に向けて歩き出した。

こんばんは。

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