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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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チカラの本質

 周三は第二艦橋を出て

ギヨク将軍との一騎打ちの作戦を考えていた。


 周三は第二艦橋から踊り場に出て

吹きさらしの螺旋階段をゆっくり下りていく。

階段から甲板の上に足をつけると艦首に向かって歩き出した。

海風が心地いい。単なる船旅なら良かったのにと

周三は残念で仕方が無かった。

戦争という事実を除けばそれなりに楽しい船旅を満喫している。

楽しい仲間。楽しい食事。素敵な部屋。

軍艦の旅はとても快適であった。

船酔いもまだしたことがない。

周三は艦首の広いスペースで甲板に腰をおろすと

船べりにもたれかかって胡坐をかいた。

周三は頭の中で浮かんでいる疑問を整理していた。

魔力とかマナというのは何なんだ?

周三はそこがひっかかっていた。

周三は悩んだ。

魔力はエネルギー物質と言えるやろう。

凝縮して魔石にすればエネルギー資源になるみたいや。

魔石で機械を動かして人間の暮らしにも役立つ。

だったら、魔力ってどこから生まれてくるんや?

魔眼を発動して悪魔を見た時に俺はそう思った。

魔眼で悪魔を見ると悪魔は魔力を自分の体内では

生み出してはいないことがわかった。

悪魔は魔力を単に体に蓄積をしているだけや。

今まで聞いた色々な話を総合して考えたら

第二大陸そのものが魔力を発生させているのやろか。

魔王ゼネシスは地下の魔泉という魔力が沸く泉で

療養をしているという。

地下から沸いた魔力が空気中に溶け込んで

瘴気になってるのかもしれん。

悪魔は呼吸して瘴気を吸い込めば魔力は回復していくんかな。

魔力は蓄積すれば増えていくし消費すれば減っていく。

では、悪魔が第二大陸を出てしまったら魔力は補充できなくなる。

魔石を食べて補充はできるが自然には回復しないのではないか。

じゃあ、第二大陸から離れたこの海域でギヨク将軍は

空中戦での一騎打ちをするんやから

ギヨク将軍の魔力がもしも切れたら

武術を強化する為の魔力が無いわけだから動きが鈍るはず。

そうなったらむしろギヨク将軍は

空中を飛んでる事が不利になるのとちゃうか。

俺はグリフォンに騎乗するので飛行には体力は使わない。

グリフォンは飛行偵察のときに最高速度で何時間も飛んでた事を

考えるとグリフォンにはスタミナ切れの心配も無いやろう。

という事は空中戦は俺が絶対に不利というのは思い込みと言えるな。

ギヨク将軍も交渉時に空中戦に

自信を滲ませて余裕の表情を浮かべてた。

その油断に充分つけこめるのではないやろか。

魔力とマナは同じ魔法陣で起動し同じ効果を生むので

似ていると勘違いしているが魔力とマナの本質はまったく別のものや。

魔力は物質だがマナは違う。

マナがもしも物質ならマナも魔石のように蓄積できるはずや。

でも、マナを凝縮して固めた物質を俺は見た事も聞いた事も無い。

賢者の石はマナを凝縮して作った可能性があるかもしれんけれど

今まで4つしか作られていないって事を考えると

マナを物質化したものではないのかもしれん。

マナは第三大陸には沢山あるんだから

4つしか生産ができないというのは不自然な感じがするよな。

それに魔眼でマナを見た時に知った事がある。

マナは人間の体内で発生している。

それどころか第三大陸の全ての生物からマナは発生させている。

もうひとつ。マナは物質ではない。生きている。

言い表すならエネルギー生命体と呼べるものや。

だからマナのチカラの大きさはマナの量では決まらない。

マナと似たものが他にも存在している。

生命を持ったエネルギー生命体を第五大陸では精霊と呼んでいる。

ではマナが精霊と同義語なのか?と問われれば

俺にはわからないとしか言えない。

でも、もし精霊のようなチカラなら

ロアンさんが前に言っていたルールが発動するかもな。

神に近い生物は物理法則から離れる事ができるという理屈だ。

この理屈が正しいなら

なぜ人間は魔法陣というものを使っているんや?

人間の体と一体化しているエネルギー生命体に

命令を与えるだけなら魔法陣ではなくてもいいんじゃないか?

極端に言えば頭の中のイメージだけでいいという事になるのではないか?

イメージを具現化するというのは決して簡単では無いわ。

イメージなんて曖昧で不安定なものや。

それよりもプログラムとデータの集合体である魔法陣を使った方が

効果にムラが無いだろうから効果を計算できるし運用が正確に行なえる。

イメージで魔法を使うという技術は元の世界でも存在していた。

本当にそのチカラは元の世界に存在しているかは

わからないがその概念を表す言葉が存在していた。

イメージで魔法を使う事を元の世界では「超能力」と呼んでいた。

もし俺の仮説が間違っていないのならこの超能力を使えば

ギヨク将軍を出し抜く切り札になる可能性を秘めてる気がする。

周三は考えを検証しないといけないと考えて

立ち上がると船べりの金属の仕切りの正面で構える。

「難しいイメージはムラが生まれるが簡単な効果なら

イメージを作りやすいかな。

あと技名をつけたらイメージしやすいかもしれん。」と

周三は独り言を言う。

拳にマナをためて金属の船べりの仕切りに向かって

「金属がちょっとへっこむくらい威力のある拳!」と

叫んで周三は軽く船べりの金属の仕切りに正拳突きをした。

「魔法陣で事象を変化させて現実を歪める効果は

武術ではなく魔法と位置づけされてるなら魔法陣を使用せずに

独特な呼吸で攻撃の威力や身体能力の底上げ効果を

得るのはあくまで武術という位置づけか。

そうなると、超能力はかなりグレーな技って事になるのかな。

しかしこの技法は俺しか知らないと思うし思いたい。

世界に超能力の概念が定義されていないと俺個人は信じる。

まだ世界が認識していない技法を禁止する事は出来ないはず。

とは言ってもこの不安定な能力で戦うのは嫌だなぁ。」と

周三が独り言を言った。ふと周三は空を見上げると

視界に沢山の飛行物体がこちらに近づいている。

上空が騒がしくなってきた。空に沢山の白馬が飛んでいたのだ。

「ほう。2000人の乙女たちが到着したのかいな。

高度が高いから小さくて顔が見えない。馬が白いから

まるで飛行機雲みたいやな。ま、明日は会えるし楽しみやわ。」と

周三は言うと甲板に座り座禅を組んだ。

体が硬いので本当の座禅の座り方が出来ない。

だからただ胡坐をかいているが周三本人は座禅だと思っている。

周三の突然の座禅の意味は自分と向き合って何かをイメージするためか。

船べりの分厚い金属の仕切りには

くっきりと周三の拳の形にへこんだ跡がある。

「あとで艦長に謝罪しないといけないな。

壁をへこましたからな。」と周三は開き直った。

金属のへこんだ部分を元に戻すような複雑なイメージ構築は

周三にはまったく自信が沸かなかったので

ヴォルグ艦長に謝って許してもらう方向で行こうと決めた。

おはようございます。

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