五大陸
前回からのあらすじ。
カノレル雑貨店の奥の間で
周三は天使にあう。
天使その天使は同じ中学の同級生『中村太郎』であった。
中村太郎と異世界で再会した田中周三は
中村からこの世界へ来るまでのいきさつを聞いた。
カノレル雑貨店の奥の間で
テーブルで向かいあう田中と中村。
「田中はどこまでこの世界の事を知ってるん?」
中村は周三にそう尋ねた。
「えっとな。
モンスターとかドラゴンとかがいて
人間が魔法が使えるってとこまで聞いてる。」
周三は答えた。
「すごいな。そのとおりや。」
「やっぱりそうなんや。」
「まぁ僕もそこまで詳しいわけやないけど
この世界について知ってる事を話すわ。」
「それは助かる。お願いします。」
「うむ。この世界にはな。
5つの大陸があんねん。」
「なるほど。
だからさっき第三大陸って言うてたんか。」
「そや、第一大陸アビエータは空に浮いてんねん」
「天空の大陸かぁ。なんかかっこええな。」
「うん。めちゃかっこええ。
いくつもの島が空に浮いてるって想像したらええ。
そこには天使が住んどんねん。」
「天使だけ?」
「正確には違うともいえる。
人間が少数は宿泊とかしてるけど住人では無いんや。
人間の帝国の外交官とか
教会の人間とかが多少おるってだけや。
外交用の浮き島っていうのもあって
アブリルって名前の浮き島やねんけど
ここにしか人間は立ち入ることは
できひんってことになっとる。」
「なるほど役所があつまっとる感じかな。」
「まぁそやな。
アブリルはここからずっと東にあって
バルキン教国って国の真上に浮いてんねん。
人間はロープウェーで登るねんで。」
「ロープウェー!
そんな近代的な物があんの?」
「ある。
石油みたいにこっちの世界にもエネルギー資源があんねん。
魔石っちゅうねんけどな。
それを使って機械を動かすんや。
通称は魔導機械っていうねんけど
その機械を動かすための魔石がめっちゃ高価やから
一般庶民の施設ではあまり大型の魔導機械は見たことないわ。」
「なるほどな。でもこっちにも機械はあるんやな。」
「まぁ、少ないけどな。
要するに田中が天使に用事があるんやったら
アブリルに行ったらええっちゅうこっちゃ。」
「了解、おぼえとくわ。」
「第二大陸ザンギマイトは
悪魔の住む大陸で
不毛って言われるほど何もない大陸や。」
「こわ!なんかこわ!」
「そや。怖いとこらしい。
毒の沼地ばっかりやし空気は瘴気で満ちてるから
草も木も生えへんねんて。
人間は上陸して瘴気を吸ったら即死って話やで。
もしそれに耐える事が出来たとしても
狂暴な悪魔とか蟲とか魔物が沢山うごめいてるから
人間はそいつらにすぐに見つかって食べられてまうわ。」
「こわすぎる」
「怖いやろ。
この大陸の北側にあんねんけど
用事があっても行かん方がええよ。」
「行かへんようにするわ。」
「第三大陸アッシュベルクはこの大陸やな。
人間が住んでる大陸や。
人間やから突出した力はあんまり無いな。
この大陸は皇帝アルブルド家が支配してる。
水の都フェンティーアと
バルキン教国と
魔法学園都市国家ウルドと
商業都市国家ウィルアヌスは
帝国から独立自治が許されてるみたいやで。
でも商業都市国家ウィルアヌスは
帝国の皇族が国家元首に就任する事が
慣例になっているから
まぁ、自治ってのも建前ってことやね。」
「なんで建前でそんなことすんねやろ?」
「商業都市は自由貿易という建前があるからみたいや。
商業を帝国が握ってるって状態は
商業活動にとってはマイナス要素が大きいらしい。
かと言って帝国の後ろ盾は必要っていうグレーな感じや。
大人の都合や利権が渦巻く国家やから僕は興味が無いね。」
「なんかドロドロしてそうで俺も興味ないわ。」
「そやろ。ほんでな。
フェンティーアの北東に
魔法学園都市国家っていう国があって
その東にウィルアヌスがある。」
「魔法学園都市がフェンティーアの隣なんやね。
魔法学園に俺も行きたいわぁ。
魔法を使えるようになりたいわ。」
「人間やったら
入学試験をさせてくれそうやな。
魔法が才能ってレアらしいけどな。
今度、詳しい人に聞いてみるといいんちゃう。」
「そうするわ。」
「4つの独立自治国家は
全部が西端に固まってんねん。
東側の広大な領土は全部帝国の領土や。
皇族や貴族とか名家とかは領地を
分け与えられてるらしい。」
「第三大陸は
皇帝が所有する大陸なんやなぁ。
まぁ、皇帝とかあんまピンとこないし
会う機会もそうそう無いやろな。」
「そうか?
田中もたぶん何かしらの
勇者っていう特別な要素があるんやから
まったくないわけではないんちゃうか。」
「え~。そうかなぁ。
とりあえず俺は魔法が使えるように
なったら、あっちの世界に帰ろうとおもってるし。」
「そっか。
それやったら皇帝とかは知識程度でええやろ。
あと独立自治国家には
自治区を監視する監督府ってのが置かれてて
それはフェンティーアにもあるんやけど
フェンティーアの監督府には
帝国の第三皇女が監督府総監に就任してるらしいで。」
「へぇ~、お姫様か。
お姫様は生で見てみたい気はするなぁ。」
「まぁ姫さまやからって
ベッピンとは限らんけどな。
次に第四大陸ヴァンドラインは竜が住んでる。」
「おお!ドラゴンキターーーー!!!!」
「この大陸からずっと東に位置してる大陸や。
火山が多いのと結構、砂漠の大地が広がってて
所々が密林に覆われた場所がある大陸らしい。
イメージとしてはアフリカ大陸に近いかもしれんな。
人間が住んでいないからあんまり情報も入ってこないし
結構、謎が多い大陸やな。
竜人族という人間に近い知能を持つ種族が
国家のようなものを形成しはじめてるって噂をきく程度やな。
ドラゴンって言えば
この大陸では帝国の属国のハインベルト公国が
唯一、竜騎士を養成してるって言うからドラゴンは
この大陸でも飼育されているんやろ。」
「もしハインベルト公国に行く機会があったら
生でドラゴンを見学させてもらいたいなぁ。」
「それええな。
僕もドラゴンには興味あるから一緒に行けたらいこ。
でも、竜騎士ってのは
帝国軍の軍事機密の可能性もあるから
簡単には見学させてもらえるかわからんで。
勇者と天使の役得で
見せてもらえる可能性は十分ある。
最後に第五大陸エルフィンドール。
森とか山とか湖とかそういう自然が豊かな大陸らしい。
・・・・・・・・・・・・・」
「それで?」
「う~ん。
まぁ第五大陸はそのくらいの情報やな。
妖精族が住んでるらしいけど
閉鎖的な種族なんでまったく情報が無い。
精霊が多いらしいけど精霊って
言っても存在自体が曖昧やろ。
具体的な事は結構な数の人間が
住んでるらしいけど閉鎖的らしくてな。
天使は人間以外には基本、干渉せぇへんから。」
「悪魔にも干渉せぇへんの?」
「天使は好戦的では無いで。
かかる火の粉は振り払うけど
わざわざ火元に近づいたりはしない感じや。」
「そうなんやな。
悪魔が上陸して人間を襲ってきたり
例えば、竜が飛んできて
人間を襲ったりしたら天使が助けるの?」
「まぁ、そやな、そんな時は
天使は人間を守護するかもしれへんな。」
「いままで襲ってきたことないん?」
「昔はあったみたいやけれど
いまは無いみたいやで。
それには理由があるんやけど
それを話すと話が長くなんで。
それでもええか?」
「聞きたいけど、
とりあえずコーヒーと
焼き菓子のおかわりほしいねん。」
「僕に頼んでほしいわけやな。
ええで。僕もコーヒーが好きやからな。」
中村は台所のそばの椅子に
座っているおばあさんに話しかける。
『すんません。コーヒーを頂けますか?』
『あらいけない!
気づかずごめんなさい。』
おばあさんと中村は
周三にはわからない言語で会話していた。
おばあさんは台所に入ると
コーヒーを作ってくれた。
おばあさんはにこやかにおかわりを運んできた。
周三は催促して申し訳ないと思いながらも
周三と中村は遠慮した様子もなく
目の前の焼き菓子を口に運んだ。
物語を考えてたら気がつけば朝になってしまってた。




