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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
58/118

見極め

 周三は近日中に一騎打ちで対戦するギヨク将軍との

空中戦の対策の為に甘根の配下である堕天使シエルに

戦艦の外の甲板で武術の指導を受ける。

周三は体が硬くて回し蹴りは全てが

ローキックになってしまう以外は武術を会得する事に成功した。


 周三は演武した後、甲板に寝転んで空を眺めて始めた。

「休憩するのか?」とシエルは周三に言った。

シエルは周三のすぐ隣で膝を抱えて座った。

「シエ姉のおかげで武術について色々とわかった事が

沢山あるけどわかった数だけ疑問が生まれるっていうのかなぁ。

それをちょっと頭で整理してんねん。」と周三は応えた。

「へぇ~。そうか。」と言ってシエルも甲板に寝転んだ。

「なぁ。シエ姉は第二大陸での生活は楽しいか?」と周三が訊ねた。

「イシュエル半島は暮らしやすい。問題ない。」

「もし、今度生まれ変わるとしたら何に生まれ変わりたい?」

少し沈黙の後にシエルは「人間かなぁ。

ずっとずっと以前はわたしも人間だった。

でもその頃の記憶がもう曖昧だ。

天使にならないといけなくなった時は

人間のままでいたいと思っていたような気がする。」と応えた。

「なるほどね。人間に生まれ変わりたいのかぁ。」

「別に悪魔でも問題はない。天使の生活も楽しい。

竜にだってなってはみたい。そうだ!妖精にも憧れる。

あはははは。妖精さんになってみたいな。」とシエラが笑った。

「シエ姉は妖精への適正は十分あると思うで。」

「そうかな。えへへへ。」

「なんで急に可愛い素振りを見せるの?シエ姉。

ぶっちゃけ言うけどめっちゃ可愛いで。」

「あ。口説かれた。わたし、いま口説かれたよね。」

「さ。冗談はさておき、今日はありがとうな。

ギヨク将軍に勝てるイメージが少し沸いたわ。」

「そうか。では、もっと練習しよう。スパルタでいこう。」と

言うとシエルは上体を起こした。

シエルはとても不機嫌なオーラが出ている。

「いや。練習はもうええ。

ギヨク将軍との経験の差は500年以上の開きがあんねん。

ギヨク将軍はずっと戦場の前線で生き抜いてきた悪魔やし

ギヨク将軍はエリートじゃないから相当な努力をして

出世してきたっていうのもギヨク将軍と会ってなんとなくわかった。

そういう実力差をこちらも同じような努力で埋めようと思ったら

ギヨク将軍と同じ年数かそれ以上に頑張らないと

追いつかへんねん。」と周三は断言した。

「では、シュウはあきらめる?」

「いや。諦めへんよ。ギヨク将軍と同じ次元に立たなければいいねん。

なんて説明したらええのかな。発想の飛躍という感じかな。

相手の常識を上回る何かを手に入れたら俺はギヨク将軍に勝てると思う。

それをなんとか見つけたいと思う。」と周三は説明した。

シエルは不思議そうに首をかしげた。

「シュウはそんなこと考えるより柔軟体操した方がいいと思う。」

それを聞いた周三は顔を赤面させて

「空中戦やから俺はグリフォンに騎乗するから足は使わへんねん!

使わない技を練習してどないすんねん!

時間の無駄やろ!」と声を荒げながら言い放った。

負け惜しみを言っているのは周三もわかってるが認めたくなかった。

プイっとシエルに背を向けるように周三は寝返りをうった。

「シュウ、怒った?」とシエルは寝ている周三の肩を右手で揺さぶった。

周三はうっとおしそうに上体を起こした。

「もうちょっとしたらお昼やけど

俺とコウジは一緒に食堂に行く。シエ姉も行くやろ?」

「うん!行く。お腹すいてきた。」とシエルが自身のお腹を

手でさすりながら頷いた。

周三は甲板の上で胡坐をかくと

「じゃ最後にちょっと飛んでみてよ。俺な。静の呼吸使った時に

魔力の気配を感知できた気がすんねん。

もしちゃんとそれが出来たら相手を目で追わなくて済む気がする。

そしたら敵の飛行速度がめっちゃ速くても

なんとか対応できるような気がすんねん。」と説明した。

「わかった。」と返事するとシエルが

立ち上がって翼を広げると垂直に高く飛び上がった。

周三の真上の上空をビュンビュンと飛び回るシエルの姿を

周三は胡坐をかいて片肘を膝に立てて顎に手で支えた。

しばらく周三は静の呼吸法をしながら目で追っていたが瞼を閉じた。

周三はニヤリと笑った。確かな手ごたえを感じた様子だった。

魔眼を使わなくてもしっかりと魔力の気配を感知を出来たのだろう。

「魔眼は魔法に入るかもしれんと後ろめたかったけど

これで一騎打ちの本番は魔眼を使わなくて済みそうや。

でも、あかん。魔眼を使わないと奥の手を出されでもしたら負ける。

魔眼という保険はやはり必要か。」と周三はつぶやいた。

周三は律儀なところがあるので一騎打ちで魔眼を使うのは

ルール違反かな?と妙な罪悪感をずっと感じていた。

だから使わないで済むかもしれないと思うと気持ちが晴れた気がした。

でも、すぐに魔眼を保険で使おうと思うところはやはり臆病であった。

周三は立ち上がると甲板の隅に置いてあるジュースのビン4本を

片手に2本ずつで両手に持つと

シエルをほったらかして艦橋の方向へ歩き出した。

上空を飛んでいたシエルは周三が帰ろうとしてるのを目視して

「シュウ!待ってよ!」と大きな声で叫んで急降下してきた。

シエルは甲板に着地すると全力で走って周三の後ろを追いかけてきた。

周三が振り向くと大きな声で

「自分のグラスはちゃんと持ってきた?」とシエルに言った。

シエルは大きく目を丸めると「忘れた。」と言って走って戻る。

全速力で甲板の隅にグラスを取りに行った。

シエルはすぐに走って周三の元に戻ってくると

「シュウ、手は繋がないの?」と言ってきた。

「手がジュースで塞がってる。」と周三は愛想も無く返事すると

ジュースの瓶を持った両手をシエルに見せた。

「そうか。」とシエルは寂しそうに言った。

シエルは急に腰で周三の側面を弾いた。

周三はその突然の衝撃によろけながら

「コラ!シエ姉、何すんのさ。子供か!」と笑顔で文句を言った。

「これでも食らえ!」と周三は冗談っぽく言って

シエルの腰の側面に向かってヒップアタックをお見舞いした。

ヒップアタックでシエルはほんの少しだけよろけた。

もしかしたらシエルはノリでよろけたフリをしたのかもしれない。

「ぷぷぷぷ。わたしの腰に届いていない。

そこは足だ。シュウはジャンプ力が無さすぎ。

ランニングと屈伸を毎日した方がいい。」とシエルは笑った。

「うるさいわ!」と周三は笑顔でシエルの側面を自分の肩で押した。

第一艦橋の窓から外を見ていたヴォルグ艦長が

甲板の周三とシエルの姿に目を止めた。

「おい!集まれ!甲板にバカップルがいるぞ!」と第一艦橋内の

乗組員をヴォルグが集めてみんなで眺めていた事を周三はまだ知らない。

こんばんは。

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