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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
54/118

シエル

 周三は敵軍のギヨク将軍との一騎打ちの約束を守るために

悪魔の強さをリサーチするために悪魔の王太子コウジに

悪魔の強さについて相談するが一騎打ちの約束で

ギヨク将軍からは一騎打ちで魔法を禁止する条件を出されたのにも

関わらず周三は敵に対して

何も条件を出していない事に気付き後悔する。

そもそも相手がわざと負ける約束をした事で

戦闘に有利な条件を出す意味も感じなかったためだ。

だが、もしかしたらギヨクが

約束を破る可能性もあると考えたら周三は不安になったのだ。

コウジは落ち込んだ周三の為に部下の堕天使を一騎打ちの

特訓の相手として紹介すると言った。


 食堂で食事を済ませた周三と甘根は食堂を出て

真っ直ぐにエレベーターに向かった。

エレベーターの扉に到着すると2人はエレベーターに乗り込んだ。

甘根がひとつ上の階のボタンを押した。

周三は4つ上の階のボタンを押した。

甘根は周三に

「わしは次ぎの階で降りるわ。

シュウの特訓に付き合う部下を連れてくるから

1個上のロビーから外に出る。

ひとっとびして俺の軍船に戻ってそいつを連れてくるから

シュウは部屋でちょっとだけ待っといてぇ~な。」と言った。

「わかった。部屋で待ってるわ。面倒かけて悪いね。」

「ええよ。水臭い。気にしすぎや。」

「ありがとう。」

エレベーターの扉が開いた。

「ほんならちょっと行ってくるわ。またあとでな。」

「またあとで。」と周三は甘根に手を振った。

周三はそのままエレベーターで第二艦橋に上がって降りた。

周三はソファーに目をやると

新品の下着がソファーに置きっぱなしになっていたので

備え付けのクローゼットに下着を片付けた。

朝に食べ終えてテーブルの上に放置していた朝食プレートは

乗組員の誰かが片付けたようで無くなっていた。

左側には立派なバーカウンターがあった。

その棚には沢山のお酒が並べてあるが

周三はお酒が飲めないのでジュースの入ったビンを

棚からいくつか取りだして中央のテーブルに置いた。

あとで甘根と堕天使もくるだろうからと

一応、テーブルにグラスを3つ用意しておいた。

まだ体の疲れが取りきれてないので

周三はソファーで寝転がるとかなりウトウトとしていた。

周三は今日はこのままずっと寝ていたいという誘惑にかられた。

周三はまったりとした時間をソファーに寝転がって過ごしていると

第二艦橋のエレベーターの扉が開く音がした。

「シュウ!おまた。おまた。連れてきたで。」と

甘根の元気な声が聞こえた。

周三がソファーから体を起こすと甘根と一緒に

長身の女性が立っていた。

「シュウ。この女がその堕天使や。

ええ女やろ。わしの部下の中でもかなりのべっぴんさんやで。

名前はシエルっていうねん。」と甘根は周三に紹介した。

周三はシエルの美貌に驚いた。

その女性の堕天使は髪型は長髪でサイドに編みこみを

入れたポニーテールスタイル銀色の髪に紫色の瞳。

肌は褐色でエキゾチックな雰囲気だ。

背もスラッと高く細身でしなやかなボディーライン。

背中には黒紫色の立派な翼が生えている。

もしも鎧ではなくドレスやカジュアルな衣服を身に着けていたら

ファッションモデルのように見えたかもしれない。

「えらいベッピン連れてきたなぁ。

俺は鬼軍曹みたいなおっさんを

連れてくるとばかり思ってたからびっくりや。」

「そやろ。けど、わしの部下には女が結構おるねんで。

やっぱり戦場にも華は必要やと思うねん。

シュトムみたいなおっさんばっかりやとテンションがあがらんわ。

シュウ。でもな。わしの人選は実力主義やで。

シエルの強さはわしが保障するわ。」

周三はソファーから立ち上がりシエルの前まで歩いて立ち止まった。

「コウジの友達の田中周三です。シュウと呼んでください。」

シエルは周三に優しい笑顔を向けた。

「わたしはシエルだ。呼び捨てでいい。シュウ、よろしく。」

甘根はニヤニヤした顔で

「ほな。あとは若いもん2人に任せてわしは去ぬわ。」と言った。

「あ、2人きりなん。美人なシエル姉さんと2人きりは

ちょっと緊張するなぁ。コウジはおってくれへんのか。

あ。コウジ、風呂でも入っていかへんか?」

「ん。ああ!そやな。シュウ、風呂どこ?

風呂を見せてくれや。」

甘根はキョロキョロとバスルームを探しだした。

「おお。ええよ。風呂を見てって。

エレーベーターを見て左側にある個室がバスルームや

お湯だって出るで。見ておいでさ。」

甘根はバスルームの扉を開けて中に入った。

「けっこう広い!!!」と甘根の叫び声がバスルームから響いた。

「湯船もあるやんけ!ズルい!今から入ってええけ?」と

バスルームの中から甘根が言ってきた。

「ええよ。洗面台の左の棚に

タオルがいっぱい入ってるやろ。それ使い。」

「わかった。お前らが特訓してる間、のんびり風呂に入ってるわ。」

周三がソファーに座るとシエルが何故か周三の右隣に座ってきた。

シエルは向かいのソファーに座るものだとばかり思っていたので

周三は完全に虚をつかれた。

シエルは周三の体のあちこちを手で触り始めた。

周三はビクッとした。俺の貞操をこのお姉さんに

奪われてしまうのではないか。と

周三はちょっぴりドキドキしたのだ。

シエルは周三の目を真っ直ぐ見つめて

「シュウってもしかして弱い?」と訊いてきた。

周三はずっとこの世界の人々に自分の弱さをアピールしてきたのに

勇者というブランド力が凄まじくて

人々の目が霞んでしまっている為か、周三が弱いという事を

決して信じてはもらえなかった。

周三はシエルのその発言を聞いた瞬間、シエルに好感を抱いた。

「なんでそう思ったのかな?」と周三は落ち着いた声でシエルに訊ねた。

「だってシュウの体には筋肉が少ない。肉が柔らかい。美味しそう。」と

シエルは首をかしげながら周三をじっと見つめる。

「あ。食べないで。食べちゃだめだからね。」と周三は慌ててながら言った。

「わかった。」

「食べないでくれてサンキュです。

ふむふむ。しかしなるほどね。

まったくもってシエルの弱いという指摘はイグザクトリーさ。」と

周三はシエルのエキゾチックな容姿に

影響されているのか中途半端な英単語を織り交ぜて応えた。

「弱いのに敵に勝てるの?」とシエルは純粋な目で周三を見つめた。

周三はフッと笑って「それは君次第さ。」と

さりげなく初対面の堕天使に責任を全部押し付けた。

「ふ~ん。へぇ~。わたしが教えたらシュウは勝てるんだね。」と

嬉しそうな笑顔を周三に向けた。

なんだろう。この感じ。と周三の背中に悪寒が走る。

どこかで感じた事のある懐かしい恐怖。

あ!ディアナから受けるプレッシャーに似てるんだ!と周三は気付く。

体育会系の人には回りくどい言い回しは誤解を生む。

冗談が冗談として聞こえていない場合があるって事を周三は思い出した。

冗談を真に受ける。それがどれだけ邪魔くさいことになるか。

周りくどい言い回しは全てが地雷になるかもしれない。

周三はシエルのしなやかな美しさに油断していたが第二大陸の武人だ。

体育会系の可能性があるということに

もっと早く気付くべきだったと周三は少し後悔したが

まだ間に合うと前向きに捉えて足掻くことにした。

「まぁシエルが優しく教えてくれたらって話さ。

わかりやすく丁寧にそして優しくね。」と

周三はハードルを下げようとする発言が口から出ていた。

周三は目の前のグラスにフルーツジュースを注いでシエルに渡した。

「ありがと。」とシエルは言うと

すぐにグラスのジュースを飲み干して「おかわり。」と言った。

周三はシエルのグラスにジュースをお酌したらシエルは

また飲み干して「おかわり。」と言った。

それが10数回繰り返されて

大きなビンに入ったジュースが無くなってしまった。

周三は2本目のビンを開けるのはとりあえずは控えた。

周三はこの時に確信した。シエルは間違いなく体育会系だと。

バスルームから甘根の鼻歌が聞こえてきた。

ん。鼻歌ではないな。熱唱だ。懐かしいメロディー。

曲が古すぎて周三には歌手の名前すらわからなかった。

「バンバンバンバンバン♪バンバンバンバンバン♪

バンバンバンバンバン♪バンバンバンバンバン♪アービバビバ♪」

周三も聞いた事があるメロディーと歌詞だが微妙に間違ってないか?と

思ったし、特定のフレーズをずっとリピートし続けるというのは

やはりうろ覚えなのか。と確信した。

周三はそろそろシエルに対して本題に入ろうと思った。

「シエル。鳥の悪魔の将軍に勝つ方法を教えてくれるかい?」

シエルはジュースの入った大きなビンを見つめながら

「いいよ。」と応えた。

周三はジュースを催促されてるのが嫌でもわかってしまって

2本目のジュースのビンを開けた。

シエルは笑顔でグラスを周三の前に出す。

周三はジュースのビンを両手で持つと黙ってシエルにお酌した。

「飛行する悪魔の武術ってどんな感じなのかな。」と周三が訊いた。

「すごく速い。言葉で速さを説明しにくい。

そうだなぁ~。実際に見てもらった方がいい。

いまからここでわたしが飛んでシュウを攻撃してみる?」と

シエルが提案してきた。

「えっと。それは困る。俺はいいけれど

家具とか壊すと艦長さんから怒られるからね。

あと攻撃とかそういう物騒な事はしなくて大丈夫だよ。

敵と一騎打ちをする前に怪我しちゃうと困るからね。」

周三は少し震えた手でシエルのグラスにお酌をした。

「でも言葉では説明しにくい。無理。」と

シエルは困った顔を周三に向けて顔を近づけてきた。

シエルの顔は人形みたいに顔をしている。

周三は、シエルがもしも芸能人だったら

整形疑惑が起こるかもしれないな。と思った。

「そやね。実際の速さは見ないとわからんわな。

ちょっと外に出て飛行するスピードを見せてもらおっかな。」

できれば敵への対策をまず言葉で

説明してくれる知的な人物なら良かったのだが

実践型の体育会系女子となれば

話をしていてもおそらくは埒があかないだろう。

ただ気をつけないといけない事は

その実践に巻き込まれて怪我をすることだ。と周三は心の中で

自分自身に注意を促した。

「仲間には、シエルは教えるのが上手いねって言われる。」と

シエルはに嬉しげな笑顔で周三に言うとソファーを立ち上がった。

何故か右手にはグラスを持っていた。

「そりゃ楽しみや。そのエレベーターの右側に外に出る扉があるから

そこからお外に出よか。」と周三は応えると

シエルが右手にグラスを持っている意味を察して

ジュースの大ビン2本を胸に抱えて扉に向かった。

「シュウ。手を繋ごう。」とシエルに手を差し出され

「おっけおっけ。」と周三は手を繋いだが

周三はなんで手を繋ぐ必要があるのかがまったくわからない。

シエルは右手に持ってたグラスを周三に無言で渡してきた。

周三は手を繋いでいる為に左腕で大ビン2本を抱きかかえているのに

グラスまで左手で受け取って大ビンを落としそうで怖かった。

シエルに悪気が無いのがなんとなくわかるから周三は腹は立たなかった。

シエルの方が周三より身長が遥かに高いので

親子みたいなシルエットになる。

シエルはもしかして保護者のつもりなのだろうか。

シュウが一旦、ビンやグラスを床に置いて扉を開けるとシエルが外に出た。

空は雲ひとつなく真っ青でとてもいい天気だった。

風で髪がなびくシエルの姿はすごく絵になっていた。

周三が外の階段の踊り場に出て扉を閉めるとシエルは左手を差し伸べてきた。

あくまで手を繋ぎ続けるんだな。と周三は観念してシエルと手を繋いだ。

周三はジュースの大ビン2本とシエルのグラスを胸に抱えながら

シエルに手を引かれてゆっくり階段を下りた。

もしも第一艦橋の窓からヴォルグ艦長が

こんな俺の姿を見たら絶対に爆笑するだろう。と周三は第一艦橋に目を向ける。

周三はなるべく目立たないように早く降りたかったが手を繋いでるので

階段を降りるペースは上がらない。

周三はまるで介護されているおじいちゃんのような姿で階段を下りなが

くそ!体育会系はディアナだけで十分なのに!と

周三は誰に苦情を言っていいのかわからないが心の中で憤った。

それにしても心がとても純粋そうなシエルが

何故、堕天してしまったのかが周三には疑問でならなかった。

おはようございます。

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