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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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戦艦フェンティーア号

 戦艦の停泊所で行なわれている戦艦乗組員への

議会主催の歓送会で食事を楽しんでいた周三であったが

ロアンに声をかけられてロアンとベンチに座った。

ロアンから召還できるというグリフォンという神獣で

一緒に今から敵水軍の飛行偵察に行くことを頼まれる。

泣く泣く承諾した周三はもらったばかりの軍服に

着替えるために軍艦に乗船しようとしていた。


 やはり夜はちょっと冷えるな。と周三は

飛行偵察に行くのは気温が暖かいお昼にしてほしいなと思った。

でも、昼間だと敵に発見される可能性も高まるから仕方ないか。と

戦争という現実を受け入れた。

軍艦に乗船する前に周三は

歓送会のテーブルに座っている甘根に声をかけた。

「コウジ、大事な話をみんなにするから食事が終ったら

軍艦の中に来て欲しいねんけどええか?」

甘根は大きな蟹を分解しながら食べつつ周三に一瞥して

すぐに蟹に目を戻すと

「オッケー!オッケー!これ食べたら軍艦に行くわ。」と答えた。

周三とロアンは軍艦に設置されている背の高い階段の前に立った。

階段脇に立っている係りの男性にロアンが声をかけた。

周三の身分を照会してもらうと

すぐ許可を得てロアンと周三は階段を上った。

高い階段を上りきり軍艦に乗り込むと

そこは広いバルコニーになっていた。

そこから軍艦の中へ通じる通路がつながっている。

通路の突き当たりに分厚い金属製の大きな扉があり

扉が内側に開いた状態になっていた。

ロアンが先に歩いて入り口をくぐるとそれに続いて入った。

周三は目の前に広がる光景を見て度肝を抜かれた。

そこには高級ホテルのロビーのようなだだっ広い空間が広がっていた。

周三は驚きながらロアンに

「あれ?この船って軍艦ですよね?」と尋ねた。

ロアンは周三に微笑むと

「はい。しかし、この船は民間の交易船でもあります。

ですから軍艦の中には商談の場としての利用目的や

要人を乗せる目的も兼ねています。

この船は商船ですのでむしろそのような目的こそ主要な目的ですね。

ですので軍事的な内装ではありません。」と説明した。

周三はロアンに深く頷いた。

「なるほど。それにしても豪華ですねぇ。」と周三は感心した。

だだっ広いロビーの中心に大きくて幅の広い中央階段がある。

周三はそこを上るのかと思ったら

ロアンは階段を上らずに階段の裏に回り込んだ。

階段の裏に大きな直線通路がありその通路を奥に歩いていく。

突き当たりに大きなエレベーターが見えた。

それを見て周三は「エレベーター!?」と叫んでしまった。

ロアンは周三に顔を向けると「よくご存知ですね。

こちらのエレベーターで艦橋の最上階まで上がります。」

と言うとエレベーターの扉の右脇のボタンを押した。

すぐにエレベーターのドアが開いた。

周三とロアンはエレベーターに乗り込んだ。

ロアンは最上階のボタンを押した。

するとドアが閉まりエレベーターが起動した。

周三は体の前で腕を組むと

「なんだか最先端すぎますね。なんでこの船は

こんなに最先端なのでしょうか。」とロアンに言った。

「フェンティーアはカンベイン王朝の時代から

魔法学園都市が魔導技術を独占的に研究しています。

魔導技術を魔法学園が研究して実用化の目途が立つと

その技術をカノレル海洋貿易会社が優先的に実用試験するのが慣例です。

実用試験に合格して初めて量産化されて帝国や貿易国に

技術を使った商品がカノレル海洋貿易会社によって独占販売されます。

カンベインが作り出した経済システムは今も大きな影響として

残っているのです。」とロアンは説明した。

「カンベインってマジで天才だと思いました。」と

周三は素直な感想をもらした。

エレベーターが止まり

ドアが開くと広いフロアが広がっていた。

壁には巨大なガラスの窓が360度に設置されていた。

大きな操舵輪がフロアの中央前方付近に設置されており

大きな望遠鏡や機械類が所狭しと壁際に設置されている。

周三がイメージしていた通りの軍艦の司令室がそこにあった。

30名ほどの乗組員が忙しそうに作業している。

2人は前方に歩いていくと左右に階段があった。

その階段を上ると

ロフトのような作りの艦長用の広いフロアがあった。

その中央には大きなデスクと大きな椅子が見えた。

大きな椅子には艦長のヴォルグが足を組んで肩肘をついて座っていた。

ヴォルグはハウルとリアの三男でアンの父親である。

ヴォルグは視線を周三とロアンに向けると嬉し気に立ち上がった。

「おお!勇者様にロアン殿ではありませんか!」と言いながら

ヴォルグは2人に向かって歩いてきた。

「ヴォルグ艦長。先ほどはどうもです。

この度はお世話になります。」と周三が挨拶すると

ヴォルグは「いえいえ。おれは嬉しいんです。

俺は若い頃はずっと英雄や勇者に憧れてた純粋な若者だったんですよ。

だから子供の頃はなんで自分は軍隊がある帝国領に

俺は生まれなかったんだろうなんて思った時期もあったくらいです。

ですがやっと今回、英雄になれるチャンスがやってきた。

勇者様やロアン殿には感謝しかありませんよ。あはははは!」と

ヴォルグは少し照れながら陽気に笑った。

「そうですか。あはは。」と周三は苦笑いしてリアクションに困った。

ロアンが「ヴォルグ艦長。

わたしたち2人はこれから敵の偵察に行く予定です。

ですので後日、合流という形になると思いますので

後の事はよろしくお願いします。」と言うと

「え!?2人とも北部の帝国軍軍港まで乗っていかないの?

そりゃまた急だね。

総大将が自ら偵察なんて今まで聞いた事が無いけどさ。

ま、勇者様っていやぁ世界最強だもんね。

ひとりで敵を全員やっつけたりしたら

おれの立場が無いんで敵はちょっとでもいいから

残しておいてくださいね。」と

ヴォルグは周三に向かってニヤリと笑いながら言った。

周三は世界最強という言葉を聞いてちょっとムッとした。

「俺はそんなに強くありませんよ。」と強めの否定をした。

ヴォルグが意外そうな顔を周三に向けた。

「え!?第三大陸最強の剣士ディアナ姫を倒した人が弱かったら

一体、第三大陸で誰が強いと言うんですか?」と不思議そうな顔をした。

!?最強???周三はちょっと意味がわからなくて

「ディアナってそんなに強いのですか?」とヴォルグに問い返した。

ヴォルグは驚いた表情を周三に向けると

「え~!!!知らないで最強の剣士を倒すとかマジですか!?」

ヴォルグは目を輝やかせながら

「ディアナ姫は帝国剣士闘技全国大会の去年の優勝者ですよ。

だから帝国領の一番という事は第三大陸の最強の剣士です。」と

説明されて周三はガックリと肩を落とした。

なんで剣術の名家の女の子に勝った事にあんなに

周囲が大騒ぎしたのかという理由が周三はわかった気がした。

「勇者はやっぱりすごいんですなぁ。

では、偵察に行かれてる間は誰が司令官をするのですか?」と

ヴォルグが周三に訊いてきた。

「ディアナに頼むつもりです。」と周三が応えると

ヴォルグは納得の表情で

「了解しました!では勇者様とロアン殿の無事の

ご帰還をお待ちしておりますよ。

ちなみにディアナ姫は食事を終えてこちらが用意した要人用の

部屋におられると思います。偵察に行かれる前に

打ち合わせなどしていかれたらいかがですか?」と周三に言った。

周三は少し悩んでから

「後ほどディアナには会いに行きますが

先に着替えたいです。俺の部屋ってどこですか?」

ヴォルグは軽く頷くと

「第二艦橋の全てのスペースを総司令官室として用意しました。

エレベーターでこの下の階ですのですぐ行けますよ。」と答えた。

周三は笑顔で「そうですか。では今から着替えてきます。」

ヴォルグは周三に笑顔を返すとロアンにも目を向けて

「では、勇者様、ロアン殿また後日お会いしましょう。」と

周三とロアンの肩に手を置いた。

ヴォルグは周三とロアンをエレベーターまで見送った。

2人はエレベーターに乗るとロアンがひとつ下の階のボタンを押した。

エレベーターは起動してしばらくしてすぐに止まり

ドアが開いた。周三は目の前の光景にまた度肝を抜かれた。

前方180度の巨大なガラスの窓がある。

だだっ広いフロア全体の内装がまるで高級ホテルの

スイートルームのようであった。

ロアンはゆっくりとした足取りでフロア中央付近まで歩くと

大きくてフカフカそうなソファーに腰をかけた。

周三はそのフロアをいろいろ歩き回って物色すると

トイレもあるしバスルームまである。

屋根がついているカーテン付きのベットがまで置かれている。

洗面台には蛇口は2つあり左の蛇口をひねるとお湯が出た。

周三はこの世界に来てシャワーはずっと水だった。

お湯が出ることに周三はうれしさがこみ上げてきた。

「バスタブまであるではないか!」と周三ははしゃいだ。

お風呂が恋しいとずっと思っていた周三は涙が出そうだった。

バスタブを利用するにはお湯をためる為に

とても時間がかかるのでロアンを待たせるのはしのびなく思った。

「ロアンさん、ちょっとシャワーを軽く浴びていいですか?」と

周三は遠慮気味にロアンに訊ねると

ロアンは笑顔で「遠慮なくどうぞ。」と応えた。

周三は「ありがとうございます。」と返事して

モンテ議員からもらった紙袋を開けた。

紙袋から軍服を出すと軍服はキレイに折りたたまれていた。

軍服をバスルームの脱衣スペースに持っていくと

周三はシャワーを浴びる為に私服を脱いだ。

下着を脱いでから下着の着替えを持ってくるのを

忘れてしまっている事に気づいた。

「偵察から帰ったらヴォルグ艦長に

下着の予備があるかという事を相談しよう。」と

周三は考えながらバスルームに入って温かいお湯のシャワーを

浴びるとやはり体が疲れていたのか生き返るような心地よさを感じた。

シャワーが済むとバスタオルはちゃんと

ホテルのように洗面台の横の棚に折りたたまれて用意されていた。

体を拭いてから軍服に着替えたら

周三はその服のデザインに衝撃が走った。

これは!?詰襟の黒の学生服ではないか!と周三は驚いた。

全身が映る鏡で見るとどう見ても標準的な黒の詰襟の学生服であった。

違うところといえば上着の腰に太いベルトを通すベルトどめがあり

付属の革のベルトを通すとそのベルトには剣を

固定する為の付属の剣ホルダーのパーツを装着できる。

剣をスムーズに装備できる点を周三は気に入った。

周三は今まで剣をベルトとズボンの隙間に挟みこんで装備していた。

まるで子供のチャンバラごっこのようで腰に異物感があり

椅子に座ると腰を圧迫されてちょっと痛かったりした。

ベルトの剣ホルダーには周三はとても感激して

すぐに剣を皮のベルトホルダーに差し込んでみた。

「シュウ、よくお似合いですよ。」とロアンから

褒められて周三は上機嫌になった。

「かっこいい。すげぇ!」と周三は自分の姿を何度も鏡で見ていた。

「では、そろそろ準備はよろしいですか?」と

ロアンに確認された。

「準備はオッケーです!」と周三は元気よく応えた。

周三とロアンはここを出てまず帝国要人用の部屋に向かうことにした。

こんばんは。

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