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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
29/118

軍議

前回のあらすじ


 カノレル雑貨店の自分の部屋で周三は悪魔軍来襲について


帝国監督府での会議では後方支援に立候補すると決意した。






 昼食は細かく裂いたホタテときのこを絡めたソースを


上からかけてあるローストチキンと


山盛りのトマトのミートソースのパスタと


グラタンオニオンスープと生野菜のサラダだった。


周三はそれらを完食するとデザートにプリンを食べた。


食事の後、満腹のお腹をさすりながら


2階に上がると


自分の部屋に戻って支度した。


周三は帝国監督府に向かう為に下宿先を出た。






 周三は帝国監督府に到着して中に入ると


すぐに男性職員に声をかけられた。


その男性職員に案内されて


周三は監督府の階段をのぼっていくと


3階に大きな扉があり


その扉の前で周三に男性職員は


「ここが大会議場です。」と説明すると


男性職員は扉を開けて


周三を男性職員は中へと導いた。



 大会議場に入った周三は周りを見渡した。


大きな会議用テーブルの椅子には


色々な面々が顔を揃えて座っていた。



 大きくて立派な会議用テーブルが


広い会議室の中央にある。


一番奥の上座に天使が3名座っている。


天使はこの軍議の議長の役割をするのだろう。


西側の列の一番奥の席に座っているのが甘根だった。


甘根の右隣りには


昨日の酔っ払って寝転んでたシュトム。


今日のシュトムはキチっとした正装を


しているので雰囲気が違った。


巨体の悪魔の尻に合う椅子が無いのだろう。


シュトムには椅子ではなく


ソファーが代用されてた。


そのソファーの右隣りの席に周三が座らされた。


周三の右側の席にはすでにディアナが座っている。



 「やぁ。ディアナ」と周三が声をかけた。



 「こんにちはシュウ。


大変な事態が起こっているようですね。


第二大陸から脅威が


迫ってるという情報が監督府にもたらされて


緊急の軍議を開く事になりました。


急に監督府にお呼び立てすることに


なってしまいすみません。」



 「緊急事態だからね。


仕方ないよ。」と周三はディアナに応えた。



 ディアナの右側の席にリュークが座っていた。


リュークの右隣りの席にハヤトールが座っており


ハヤトールの右側の席には


髭を蓄えていた高齢の帝国の男性将校。


老将校の右隣りには帝国軍服の若い女性将校が座り


そして女性将校の右の席には


帝国の官僚2名がそれぞれ座っていた。



 テーブルの西側の縦一列は


悪魔2人と勇者と帝国関係者で占めている。


テーブルの東側の縦一列は奥から


ロアン、フェンティーア議長、


フェンティーア議員2名、


フェンティーア官僚5名の順番で座っていた。


ロアンも正装をしており


髪もキチンと整えられていて


いつもの布の帽子で顔を隠したりもしていなかった。



 ロアンはエルフの貴公子といった雰囲気が


にじみ出ており


上流階級出身というような雰囲気が漂っていた。



 この会議室への到着が


周三が一番遅かったというのは


周三にとっては少し気まずかったが


集合時間が指定されていたわけではないので


注意されるという事は無かった。



 右隣のディアナは真剣な顔をして


前を向いて黙っている。



 甘根を見るとあくびしていた。


甘根はちゃんとした正装を


してはいるが見ていると


ヤンチャな若者の成人式での服装を思い出させる。



 上座の横一列に3名の天使並んで座っている。


 西側の席には中村太郎。


(やはり中村は天使の偉いさんになったんだな。)と


周三は実感した。



 重々しい雰囲気の中で


上座中央の席に座る男性天使は


銀髪の長髪が輝き。眼光は鋭く。


体型は細身でスラッとしていた。


その男性の天使は


羽根の扇をあおぎながら口を開いた。


「では、全員が揃ったので会議を始めましょうか。


皆様、お忙しいところご足労ありがとう。


わたしは主天使ハシルと申します。


皆様、以後お見知りおきください。


わたしがこの会議の議長を務めることになりました。


わたしの左手にいるのは権天使アミテル。


右手にいるのは大天使タロウ。


この会議は第二大陸北東に


位置する『影』という国名の名乗る国が


水軍を組織してこのフェンティーアを強襲しようと


向かって来ているという情報がもたらされました。


第二大陸の南一帯を


支配する『炎』と名乗る国の王子であるコウジ殿下が


炎国を代表して使者としてこの情報を


フェンティーア都市国家議長に伝えに来てくださいました。


この情報はまだ不確定な要素が多いので情報を集めてから


対応したかったのですが戦争は後手に回るのは不利ですので


あらかじめ対策などを


話し合うために関係者にここに集まって頂いた。


わたしから言わせて頂ければ


このフェンティーアに5万や10万の悪魔軍が


襲ってこようとも


わたしどもは100万の天使軍を集める用意がある。


ゆえに戦力には問題はないと考えているが


しかし今すぐに100万もの大軍を集めるのは


当然ながら無理である。


諸君らには天使軍の兵力が揃うまでの時間を稼いで頂きたい。


さすれば勝利は確定したも同然でしょうな。」と


ハシルはおうぎあおぎながらニヤリとした。


さきほどからハシルが扇いでいる羽で作られた扇は


おそらくはハシル自身の翼の羽で作ったのだろう。


自分の羽根を見せびらかす為に


扇を作ったような感じが漂っていた。


自分の羽の美しさに自信があるのだろうか。


ハシルはかなり自分自身が


大好きな雰囲気が匂い立っていた。



 ハシルの左手の席に座る美しい女性天使が


右手を上げて発言する事を周囲に示した。


アミテルはブロンドの長い髪。上品な佇まい。


そしてナイスバディーだった。


思春期の周三にはとても眩しく映った。


アミテルは参加者の皆がこちらに


注目したのを目で確認すると口を開いた。


「みなさまはじめまして。


権天使アミテルと申します。


今の段階でわたくしから


皆様にお伝えできる事は


接近する悪魔水軍に対して天使が攻撃行動を起こす為の条件は


このフェンティーアに悪魔水軍が上陸する事が確定する事です。


それまでは天使軍は静観に徹します。


悪魔軍が人間の領地に対して攻撃行動や侵略行動を取った場合は


天使軍は全軍を以て対処いたします。」と美しい声で言った。


アミテルはとても優しい顔をしているが凛とした強さも感じる。



 ハシルがアミテルの言葉に頷いた。


「では、炎の国の大使から影の国の水軍についての


詳しい説明をして頂きたい。」と


甘根に向かってハシルは言った。



 大使であるはずの甘根は


我関われかんせずと言った顔で目をつぶっていた。


甘根はもしかしたら既に寝ているのかもしれない。



 右隣に座っている身長が3メートルほど


ありそうな巨体の悪魔が


ハシルの言葉に反応を示した。


昨日のお騒がせな泥酔悪魔シュトムが


ソファーから立ち上がった。


「私は炎の国の王イフリート家臣で


炎国将軍シュトムと申します。」と


シュトムは参加者に対してキチンと自己紹介した。



 (将軍!?


おっちゃんは偉いさんやったんか! )と周三は驚いた。


周三はシュトムを眺めながら


(偉いさんやったら普段から


もっとしっかりしなあかんやろ! )と思った。



 シュトムは自己紹介が終わると説明に移った。


「私どもが住む第二大陸での国内での戦争の目的は


領地拡大の為に


おこなっているものではありません。


なぜならば領地を増やしても


何も得るものが無いからでございます。」



 シュトムの説明に対して会場がざわついた。


シュトムは説明を続ける。


「人間の領土は領地が増えれば利益が拡大する。


領土を侵略して占領をすれば


収入や資源や人口が増えるでしょう。


しかし、第二大陸は領土が増えても


第二大陸の土地からは


得られるものは何もありません。


なぜ戦争をしているか?


それは戦う事自体が目的と言えるでしょう。


戦う理由については


人間と悪魔では種族が異なります。


種族が違えば価値観が


絶対的に異なる場合もあるので


詳しく説明する事は避けたくは


ありましたが


それですと誤解や齟齬を招く恐れがあります。


ゆえにあえて申し上げますが


悪魔は悪魔を食します。


もちろん悪魔は人間も食しますが


人間を食べる目的は


人間の肉体を食べる事よりも


その魂を食べる事を目的とします。


ですので人間と悪魔は契約によって


人間から魂を奪う方法が用いられる事が多い。


人間の魂を食べると悪魔の知性が高まる特徴があります。


悪魔が悪魔を食べるのは悪魔の肉体を食すためであり


悪魔の肉体を食べると


悪魔の肉体が強化される特徴があります。


悪魔は戦いに負ければ敵に食されて


肉体は失うわけですので


戦いの結果には領土が増えるのですが


それは領土という概念よりも


敵がいなくなった土地という概念の方が正しいでしょう。


そんな領地を守るために悪魔は兵力を割きません。


領地を統治しているわけではないからでございます。


第二大陸の各国の領土の広さは


単純に武力の強さに比例しているに過ぎず


領土を増やすために戦争をしているわけではないと


皆様に知って頂いた上で今回の事を説明を致します。


今回の影の国の遠征軍が私どもの国の


本拠地であるイシュエル半島に攻め入る為とは考えにくい。


イシュエルを占領したとしても


人間と交易できなければただの不毛の地に過ぎません。


第三大陸侵略の拠点にするにしても影の国の位置は


ここから遥か北北西に位置しており


本国から遠すぎては


イシュエルの立地を生かしきる事は難しいでしょう。


それにイフリート王が住む城は


難攻不落の巨大な城です。


たとえ水軍で何十万の大軍を


遠征でさしむけた所で城は落ちません。


そもそも本来は悪魔軍が何十万の大軍を


水軍で送って来れるはずも無いのです。


その理由は木材が無いからであります。


第二大陸の樹木は全て


第二大陸で自然発生する瘴気によって


腐ってしまいますから


軍船の建造に使える木材にはなりえません。


今回、影の国が軍船をどのように入手したのかは


私どももわかりかねております。


私どもの国は人間との交易を


しておりますので木材も手に入ります。


その木材で軍船を建造して


第二大陸の南側の海域には


水軍と呼べるだけの戦力を配置しております。


しかしそれは対悪魔戦への戦力ではありません。


交易船を狙う海賊船への防衛対策の水軍であります。


影の国の水軍がフェンティーアではなく


第三大陸の他の国に


攻め入ろうとしているのであれば影の国の水軍が


フェンティーアを通過した時点で


隠密性が損なわれてしまいます。


そうなれば敵国から総攻撃を受ける結果になる事は


遠征をするくらいですから


下調べできていると予想します。


以上の理由からわが国は影国水軍が


フェンティーアを


標的にしているのではないかと推測したのであります。


わが国とカンベインとの友誼に基づいて


貴国フェンティーアにその情報を伝えに来たのです。」



 主天使ハシルが大きく頷いた。


参加者全員がシュトムの説明を理解している様子だった。


「ご説明ありがとう。では、シュトム将軍は


具体的な敵軍兵力はおわかりですか? 」と


シュトムにハシルは質問した。



 その質問に対してシュトムは少し悩んでから


「ふだんは私どもは海上への警戒は


ほとんどしておりませんが


第二大陸の南西の端のミルア岬で


伝達任務の飛行系悪魔が


偶然、海の向こうに軍船団を発見したそうです。


その数は小型の軍船が


約100隻との報告がありましたので


兵力は1万から2万くらいかと予想できます。」と答えた。



 主天使ハシルは扇で口を隠しながら頷き


安堵した様子を見せた。



敵の悪魔軍の兵力が


ハシルの予想を下回っていたからかもしれない。


「ではシュトム将軍はあとどのくらいの日数で


フェンティーア本土に敵軍は到着すると予想されますか?」と


ハシルが質問した。



 シュトムは頷くと


「普通の船ならば急いでも6日ほどかかる計算なのですが


もしも魔法を使って舟の加速をしていたり


座礁する危険を顧みずに深夜も航行をするなどしておれば


その半分の日数で到着するかもしれません。


長距離の航行になれていない影の水軍は


もはや疲れきっておるはずなので


深夜の航行の可能性は低いと思われます。


しかし、戦争には楽観論は禁物ですので


あと3日がこちらに残された時間だと


予想しておいた方がよろしいでしょう。」と答えた。



 しらふのシュトムの知性的な説明を聞いて


周三は感心した。


(おっちゃんお酒さえ呑まれなけりゃ


しっかりしてるんやん! )と


シュトムを見直して周三は認識を改めた。

こんばんは。

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