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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
19/118

ハウル夫妻への報告

 前回までのあらすじ


 ディアナを打倒したい心を胸に秘めた周三は


午前に監督府の剣術修練場に向かった。


周三は魔眼を発動させて


ディアナの剣術を研究して


付け焼刃の技術を


総動員してディアナに周三は勝利した。






 周三がディアナに勝利した事で


帝国の剣術修練場内は大騒ぎになった。


修練場で稽古していた人々からの歓声が広がり


今まで周三に距離を取っていた人たちからも


気さくに声をかけられた。


それはそれで周三は嬉しいとは思ったのだが


気持ちのいい勝ち方をしたわけでもないので


周三は恥ずかしい気持ちがこみ上げてきて


この場所から逃げ出したくなった。



 近くにいるディアナはというと


負けたのにむしろ嬉しそうなのが


周三には引っかかった。



 ディアナに周三は


「お昼ご飯の時間やからもう帰る。」と


言うとディアナは残念そうな顔をした。



 すぐに周三にディアナは笑顔向けて


「明日は本格的に


練習をしましょう。」と言ってきた。



「そだね。」と周三は頷き


「また明日ね! 」と


周三はディアナに適当に返事を返した。


ディアナに周三は手を振りながら


逃げるように修練場を出た。



 周三は下宿先にいそいそと早足で帰った。


カノレル雑貨店の店内に周三が入ると


カウンターでハウルさんは


買い物客に接客をしていた。



 奥のリビングに入ろうと


周三は通りすがりにハウルと目が合った。


周三は接客の邪魔をしてはいけないと思い


ハウルに向かって周三は拳を握って親指を立てて


目くばせをすることで


無言でハウルにディアナに勝利した事をアピールした。



 ハウルは目を丸くして驚いた表情を見せると


接客に支障が無い程度にさりげない笑顔を周三に向けた。



 奥のリビングに入ると


リアが台所から顔を出した。


「おかえりシュウ。


今日はどうだった?」と周三にリアは聞いてきた。



 「フフフ。ディアナを負かせました。


俺の完全勝利でした。」と答えて周三はニヤリと笑った。



 「まぁ?! 本当?


すごい!すごい事だわ!」と


リアは飛び上がらんばかりに驚いて


台所から周三に駆け寄る。


周三をリアは思い切り抱きしめてうれしがった。


「まぁどうしましょう。


お祝いをしなくちゃ。


今日の夜はご馳走を作るわね。」と


周三にリアは目くばせをした。



 台所からリアが


鼻歌を歌いながら昼食を運んできた。



 ハウルが朝に釣った白身魚のグラタンの皿と


チキンのストロガノフの皿を置いてから


野菜のスープとパンとサラダが置かれた。



 昼食をテーブルの上に運び終えると


テーブルの椅子にリアは腰を下ろした。


「お腹空いたぁ。リアさん、頂きます。」と


リアに周三は言うと料理に手を伸ばした。



 「シュウなら、いつかはきっと


ディアナ姫に勝つとは思っていたけれど


正直に言えば今日だとは思いもしなかったわ。」と


少女のような目をしてリアは言った。



 「俺も奇跡だと思いました。


作戦が思い通りにハマったので


ただ運が良かっただけかもしれません。」と


周三が言った。



 リアは首を横に振った。


「いいえ。


ディアナ姫に運だけで勝てるわけがないわよ。


どんなふうに勝ったの? 」と


期待の目で周三にリアは訊いてきた。



 「ディアナの隙を見逃さずに


真っ直ぐに突きを入れたら


それがディアナの脇腹にヒットしたんです。


まさに紙一重のタイミングでしたね。」と


リアに周三は説明した。



 「まぁそうなの。


ディアナ姫の隙を見逃さないなんて


中々できることではないはずよ。


シュウは剣を始めて2日目なのでしょ。


勇者様っていうのは


やっぱり特別に出来てるのかしらねぇ。」と


リアはうっとりした表情を周三に向けた。



「まぁ、今日は久しぶりに


本気というものを出した気がします。」



 「これからもがんばってくださいね。


わたしも鼻が高いわ。」



 店から奥のリビングにハウルが顔を出すと


「シュウおめでとう。


わたしもシュウをとても誇りに思うよ。」と言った。



 「ありがとうございます。


ハウルさんが朝の練習に付き合ってくれたおかげです。


決めの突きを迷いなく突けたのは


ハウルさんとの朝の練習で


攻撃の間合いをつかめた事が


とても大きいです。」と周三はハウルに礼を言った。



 ハウルは嬉しそうに「それはよかった。」と頷いた。






 昼食を終えると周三は2階に上がって


自分部屋でベットに横になった。


(勝利して本当によかった。)と勝利した時の映像を


周三は頭の中でリピートして喜びを噛みしめた。


(俺って出来る子。


今までは出来るけどやらない子やった。


俺は大人へと一歩ずつ確実に成長してるんやなぁ。


しかし! )と周三は眉間にしわをよせた。


(俺はディアナに勝利した事で


何も得をしていなーーーーーい!!!


本来の目的はディアナから勝利をして


修練場の練習を週1回もしくは


稽古をしなくてよい状態までに


ディアナを妥協させる事であったはず。


なのに! これから毎日、修練場に通って


厳しい練習をしろとディアナは言った!


どうなってるんだ!


なんなんだ? 俺はどこで間違ったんだ?


結局、これではディアナの思い通りに


なっただけではないのか?


毎日練習するんだったら


練習用の服もあとで買いにいかなあかんやん。


ディアナの考えていた俺への過酷な練習メニューを


リューくんが助け船を出してくれたおかげで


ディアナが提案する練習メニューのハードルが


大幅に下がったのに


そのリューくんの助け舟を


俺は自分自身で壊しただけではないのか?


おっと! いかん。いかん。


自己否定はテンションが下がる。


ネガティブな考えはやめておこう。


ディアナ姫に勝ったね!


シュウくんは本当に天才ですね。と


リューくんは満面の笑みで俺を褒めてくれた。


それは、すっごくうれしかった。


それだけを頭の中でリピートして今日は過ごす事にしよう。


というわけで俺は疲れたので昼寝する!!! と


周三は自分の中で今日の反省を自己完結した。



 周三はベットから起き上がると


壁に貼った『打倒ディアナ! テンチュウ! 』と


書いた紙をはずして紙を丸めてゴミ箱に捨てた。


周三はまたベットに飛び込むと


掛け布団をかぶって昼寝をしたのだった。






 2時間ほど自分の部屋で昼寝をした周三は


(そや。ロアンさんに


お礼と報告に行かなあかんわ。)と思い立つ。


カノレル雑貨店を出た周三は


モナセ商店街の店に立ち寄った。


衣料品店で汚れてもいい稽古着を買った。


ロアンに報告とお礼を言うために


ケーキ屋で贈答用のお菓子を購入した。



 周三は買い物袋を両手に持って


商店街からカノレル雑貨店に戻ると


カウンターにはハウルがいた。



「ちょっと荷物だけ置きに帰りました。」と


ハウルに周三は声をかけた。



ハウルは「そうですか。」と笑顔で頷いた。



周三は階段を上って自分の部屋に戻り


クローゼットに稽古用の入った紙袋を置いた。



 1階に降りるとリビングにハウルがいた。


お店のカウンターをリアと交代したようだ。


ハウルは周三が降りてくるのを


待っていた様子だった。


「シュウ。勝利おめでとう。


これはわたしからのお祝いです。」と


白銀の拵えが綺麗な細身の剣を周三に両手で差し出した。



「え!? こんな高そうな剣もらえないです。」と


周三は遠慮した。



 「昔から家にあったものですから


気にしないでください。


剣術の修行をするのに剣は必要でしょう。


シュウの剣術に合いそうな剣ですので


よかったら使ってみてください。」と


優しい笑顔でハウルは周三に剣を手渡した。



 「ありがとうございます。


では遠慮なく頂きます。


自分の剣を持てるなんてとってもうれしいです。


大事に使わせていただきます。」と


ハウルから周三は剣を両手で受け取った。



 周三はその剣をズボンのベルトに


ひっかけて腰に納めると


「では少し出かけてきます。」とハウルに言った。



 店のカウンターにいるリアに


「ちょっと行ってきます。」と周三は声をかけた。



 「気をつけて行ってらっしゃい。」と


周三にリアは軽く手を振った。



 周三はカノレル雑貨店を出て


ロアンの自宅兼工房に向かうのだった。

こんばんは。

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