魔眼
前回のあらすじ
ロアンの自宅に夕食を御呼ばれした周三は
ロアンが第五大陸の妖精族エルフだと知らされる。
周三はロアンにディアナとの剣術稽古での
愚痴をこぼしてロアンは解決策として
精霊族の魔眼を召還し
そのチカラを得れば魔眼のチカラで剣術の技を盗む事で
最短で剣術が強くなるという方法を周三に提案する。
ロアンが召還した魔眼精霊は周三と決闘するが
魔眼精霊が一人で勝手に自滅をして周三に敗北する。
周三は魔眼のチカラを労せずに手に入れるのであった。
魔眼精霊が光の球体となって周三の左目に吸い込まれた。
周三は左目に何も違和感を感じなかった。
床にチョークで書いた召還の魔法陣を
ロアンと周三とララーで雑巾がけして消した。
周三とロアンはテーブルを元の位置に戻した。
周三とララーはテーブルの椅子に腰掛けた。
ロアンはキッチンから
グラスとブドウジュースの入ったボトルを持ってくる。
グラスにジュースを注いで周三と自分の前に置いた。
ロアンはテーブルの南側の椅子に腰を下ろした。
妖精ララーの小さなコップにも
ロアンはボトルからジュースを注いだ。
ロアンが落ち着くのを待って周三が口を開いた。
「ところで魔眼ってどうやって使うんですか?」
ロアンに魔眼の使い方の説明を周三は求めた。
周三にロアンは微笑む。
「使い方がわからなくても
周三が見たいと願ったら勝手に発動すると思いますよ。
わたしは魔眼を使った事が
ありませんので詳しくはないのです。
魔眼はシュウの体の器官のひとつとなったのです。
おそらくはすぐにコツを掴めるとおもうのですが。」
「そうですか。
明日の朝も稽古場に
行かないといけないような空気だし
ある程度の準備はしておきたいんですよねぇ。」
周三は困った顔をした。
「では少し待っていてくださいね。」
ロアンはリビングを出て階段で1階に下りていった。
(ロアンさんは何かを取りに行ったのだろうか?)
周三はジュースに口をつけた。
しばらくするとロアンは帰ってきた。
「おまたせしました。」
ロアンは左手に木材を持っていた。
直径10cmの円柱で
長さ1メートルほどの木材をだった。
ロアンは木材を両手に持つと、
ブンブンと上下に振った。
「わたしの国の剣術の型や剣舞をお見せしますので
それを魔眼で見てみてください。
魔眼が発動すればきっとコツが掴めるんじゃないかと。」
ロアンの提案に周三は頷いた。
「なるほど。それでお願いします。」
「それではお見せしますね。」
ロアンは木材を右手に持ttw
右肩を前にして半身になった。
中段に構えると剣先を正面に水平にして腰を低くした。
ロアンの構えを見た周三は
(おお!フェンシングみたいな構えやな。)
そんな印象を持った。
ロアンがなめらかな動作で剣術の型を披露しだした。
ロアンの剣術は基本的に片手での突きの攻撃が
主体な剣術のようで多彩な突きの型や防御の動作。
攻撃からの防御への連携やその逆に
防御からの攻撃への連携の型を見せた。
周三にロアンは型の最後に攻撃の連続技の型を見せた。
周三は左目を意識すると周三の左目がぼんやりと少し光る。
何かスイッチが入ったような感覚を周三は感じた。
「もう一度初めからお願いします。」と周三がロアンに言った。
「何か掴めたようですね。
では初めからおこないますね。」
ロアンは同じ型をもう一度おこなって見せた。
「すごい!技の意味するところが一目で理解できます。
体の動作の意味とか、動きの力の流れとかが
目に映った映像が分解され解読されて
頭に入ってくるような、そんな感覚です。
なんというか、見るというより
ノイズを除去されて大切な情報だけが
そのまま記憶に刻まれてる感じがするんです!」
ロアンに周三は興奮気味に言った。
周三にロアンは嬉しそうな笑顔を向けた。
「それでは実践を意識した型である剣舞をお見せしますね。」
周三にロアンはそう言うと
静かに木材の先端を上に向けて中段に構えて動きを止めた。
ロアンは、一度、呼吸を整えてからパっと目を開ける。
ロアンは滑らかで素早く動き出した。
ロアンは全身をくまなく使って
まるで踊っているかのようにも見えるが
目に見えない敵と戦っているようにも感じられた。
仮想した敵の動作に対しての対応や
工夫が全て組み込まれている動きだった。
ロアンの実戦を意識したような型を見て
周三は自分にもすぐに出来そうな気がした。
周三は根拠の無い自信が不思議と湧き上がってきた。
剣舞を見終えた周三はロアンにむかって
「木材を貸してもらっていいですか?」と言った。
「どうぞ。」とロアンは木材を周三に手渡した。
周三は木材を受け取る。
「ちょっと剣舞をやってみますね。」
基本の型ではなくいきなり
応用から入ると周三は言った。
「そうですか。剣舞からですか。」
周三にロアンは相変わらずの微笑みを向ける。
周三は右半身を前に向けて右腕で木材を中段に構えた。
木材の先端を上に向ける。
そして、動きを止めて呼吸を整えた。
周三は木材の先端を前に向けた。
腕を伸ばしたあと、肘を曲げて力を溜める。
一拍、間を取ると周三はすばやい動きで動き始めた。
ロアンの動きそのままの動作で
周三は剣舞の動作を再現が出来ていた。
元の世界にいた頃から周三は
学校へ行く以外は
普段は食べて寝るだけの生活をしていた。
体の基礎体力や筋力が周三は人並み以下しか無い。
そんな理由で動作もロアンに比べれば遅い。
しばらくすると周三の呼吸や動きは明らかに乱れてきた。
それでも動作に関して周三はロアンの真似ができていた。
周三は肩を大きく上下に動かして息切れしながら
決めの構えをして剣舞を終える。
「おみごとです。」とロアンは軽く拍手した。
周三は嬉しそうな表情をした。
「ロアンさん。 ハァ、、、ハァ、、、。
この剣術ってすごいんじゃないですか?」
ロアンに周三は問いかけた。
「どうなんでしょうか。
こちらの大陸では無名の剣術ですよ。」
周三にロアンは何食わぬ様子でこたえた。
周三は肩で息をしながら
「ハァ、、、ハァ、、、えっと・・・
この剣術の本質はスピードとリズムですよね。
最短距離で必殺の突きを相手に打ち込む攻撃。
円運動による防御。
円運動だから動きを止めずに
次の動作に素早く入れる・・・ゴホッ!ゴホッ! 」
ちょっと唾がのどにつまりました。ゴホッ。」
周三は咳き込む喉を潤すために
テーブルの上のグラスを手に取りジュースを飲みほした。
周三は呼吸を必死で整える。
「ふぅ~。防御の動作をしつつも
その流れでそのまま剣の刃で
相手に切り傷を与えたりできるし
とにかく動作に無駄が無いっす。
すごく効率的な動きを感じました。
体の動きもリズムのつけ方によって
錯覚効果を相手に与える動きあって
それもなんとか会得できた気がします。
あとは気に入った動作をひたすらに
練習して必殺技にしようかなって思いました。」
周三は汗だくでへとへとな様子だったが
周三の目には希望の光に満ちていた。
「お役に立てたのならうれしいです。」
周三にロアンは微笑んだ。
「あとはディアナの剣術を見て解読すれば
ふふふふ。。。勝機は我にありです!」
周三は動いたせいもあってかテンションがあがっていた。
周三はテーブルに置かれたジュースのボトルを
手にしてグラスにジュースを注ぐと一気に飲み干した。
「シュウ、がんばってね。」
周三の肩にララーは乗って耳元でそう言ってくれた。
「ディアナ姫に認めてもらえるといいですね。
陰ながら応援しています。」とロアンも応援してくれた。
「こんなに夜遅くまで
お付き合い頂きありがとうございました。
これで明日はなんとかなりそうです。
では、下宿先のご夫婦が心配しますのでこれで帰ります。」
ロアンに軽く頭を下げてながら周三は言った。
「また、いつでもいらしてくださいね。」
周三に微笑みを浮かべながらロアンはこたえた。
「はい! 結果が出たら改めて御礼や報告に来ますね。」
ロアンに返事をすると周三はゆっくりと玄関に向かう。
「あの。この木材・・・もらってもいいですか?」
玄関を出た所で、申し訳なさそうに
剣舞で使った木材を周三は大事そうに両手で握りしめている。
「もちろんいいですよ。
どうぞ。お持ちになってください。」
ロアンは笑顔でこたえた。
「いいんですか。うれしいです。
ありがとうございます。
また、遊びに来ますね。
今日はごちそうさまでした。
とても料理おいしかったです!
では、おやすみなさい。」
ロアンに周三は頭を深く下げた。
「いえいえ、また気軽に来てください。
帰り道は暗いので
お気をつけてお帰りくださいね。」
周三にロアンは言った。
ロアンとララーに周三は
元気いっぱいに手を振りながら
入り口の階段を駆け下りて
下宿先への帰途についたのだった。
おはようございます。




