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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
13/118

少女ユメア

 帝国第三皇女ディアナから銀の懐中時計を


送られた周三は昼食の食べながらリアから


金の懐中時計がディアナにとって


どういう意味合いの物かという説明を受ける。


そんな大事な時計だと知った周三は


部屋で横になっていても落ち着かず気が重くなって


付近を少し散策にでかけることにしたのだった。



 周三は出かける時にリアに向かって夕食は知人に


御呼ばれしてるので今晩の食事は


自分の分は作らなくて大丈夫と周三はリアに伝えた。



 周三はカノレル雑貨店を出て


通りをのんびりと北に向かって歩き出した。


今日もフェンティーアの空は雲ひとつ無い青空だ。


周三がこちらの世界に来た直後は


言葉も通じず地理もわからずに苦労した。


そんな時に声をかけた見知らぬ少女に


カノレル雑貨店まで道案内してもらえて


助かった事を周三は思い出していた。


「あの可愛らしい女子と会ったのって


どの辺やったっけ?」と周三はふとつぶやく。


周三はもう一度、その少女に会って


きちんとお礼が言いたかった。


モナセ商店街に入り、突き当りを右に曲がった。


しばらく海岸沿いに歩くと広場があった。


広場の中央には噴水がある。


周三はその噴水の囲みの端に腰をおろした。


周三は、のんびりと鳩とか海鳥とか眺めて


鳥の数を無意味に数えてみたり


母親が子供と遊んでる姿などを眺めてボーっとしていると


広場の前の通りにセーラーの白いワンピース姿の少女たちが


歩いているのがポツリポツリを見え始めた。


その中に3人組の少女たちが歩いているのが周三の目にとまった。


その3人組の中央の少女が


セミロングの髪であの時の少女と同じ髪型だった。


「あ。たぶん、あの子だ。


でも、そのままあからさまに声をかけたら


怪しい人と思われるかもしれん。


あくまで自然な感じで接触を果たさねばならない。」と


周三は周囲の目を気にしながら3人組の少女を後ろから追った。


周三は早足で3人組の後を追うと


少女たちと、少し遠い距離を保ちつつ尾行した。


商店街へ曲がる道の前で3人組の少女たちが足を止めた。


(今だ!)と


周三は駆け足でその3人組の少女たちを無視して追い抜き


左折してモナセ商店街に入る道に曲がると


いきなり3人組の少女の方向に振り返る。


周三は三人組の中央の少女を凝視した。


(やっぱりあの子だ。)


周三は中央の少女の顔を見て目的の少女である事を確認すると


今気づいたように


「あれ?君はあの時の!」と驚いたフリをした。


不自然なタイミングであり、ぎこちない演技ではあったが


周三は絶妙のタイミングだったと確信していた。


声をかけられた三人組の少女のうちの2人は周三に


不審な目を向けてきたが中央の少女は目を輝かせて


「この前、道に迷ってらっしゃった方ですね!


こんにちは~。」と周三に無防備な笑顔をむけて近づいてきた。


周三に対して警戒していた少女2人は


(な~んだ。知り合いか。)と興冷めしたような顔をして


「ユメア~。あたしら先行ってるね~。」と


右側の三つ編みの少女が言うと


「うん。キリナちゃん。プリネちゃんも先に帰ってて~」と


周三の恩人の少女が、連れの少女2人に返事をする。


少女2人はユメアに手を振って


商店街には曲がらず直線に西へ向かう道を歩いていった。


「こんなところでどうしたんですか?」と


友人たちからユメアと呼ばれていた少女は周三に訊いてきた。


「えっと、俺はあれからカノレル雑貨店に


下宿をすることになってんけれど


まだまだこの辺の地理に疎いんで


ここらへんの地理に慣れようとちょっと散歩をしてたら


そしたらたまたま君を見かけてうれしくて声をかけてん。」と


あくまで自然にと意識しながら周三は答えた。


ユメアはあくまで無防備な笑顔で


「そうなんですか!


わたしも憶えていてもらえていて


とってもうれしいです!」と笑顔を返してきた。


周三はこの少女と仲良くなれそうな予感を感じた。


周三は少し照れくさそうにしながら


「あの時のお礼にケーキをご馳走したいんやけどどう?」と誘った。


少女は驚いた様子で「えええええ!そんなのわるいです!」と


少女は右の手のひらを自身の顔の前で横に振って遠慮した。


それでも周三は引かずに


「ささやかなお礼の気持ちやから


俺の為やとも思っておごらせてくれへん?」と周三が頼む。


「わかりました。」と少女は顔を赤らめながら承諾してくれた。


モナセ商店街にあるケーキカフェの


カフェテラスのテーブルに腰掛けた。


テーブルには緑色のクロスの上にレースのクロスがひいてある。


カフェはチョコレート色の土壁が印象的な可愛いお店で


店の外には植物や花の植木などが並べられており


チョコレート色の土壁に植物の色合いがよくあっていた。


店内のガラスショーケースには色々なケーキが並ぶ。


白シャツに黒いベストを着た若い男性店員さんが


注文を取りに来たので二人はとりあえず店員さんから


渡されたメニューを一緒に見ながら


周三はオレンジジュースをユメアは温かい紅茶を注文した。


2人は目を合わすとお互い頷く。


2人一緒に席を立って店内のガラスのショーケースに


張り付くようにしてどのケーキにしようか悩みはじめた。


「なぁ、これとかええんちゃう?」と


周三がケースの中のケーキを指差して言う。


「ええ。おいしそうですね!


このケーキもとってもおいしそうですよ!」とユメアがこたえた。


「お礼やから何個でも注文してええんやで。」と周三が言った。


「ほんとにいいんですか!ありがとうございます。」と


ユメアは周三に向かってお礼を言った。


ユメアはすごくワクワクした様子でケーキを眺めていた。


ケーキを決めた2人は


店内のカウンターでケーキを注文して席についた。


男性店員さんがまずオレンジジュースが運んできてから


男性店員さんは店内に戻って


ワゴンで紅茶のポットとカップを運んできた。


店員が丁寧な仕草で紅茶をカップに注いでくれた。


二人は「かんぱ~い! 」と言ってオレンジジュースの


グラスと紅茶のティーカップを合わせて軽く音をならした。


周三とユメアはお互い3つずつ別々のケーキを注文して


分け合いっこして食べた。


2人は会って2度目なはずなのにとても仲よさげに見えた。


周三とユメアは2人とも


口の周りに生クリームをつけながらも


そんなことはお互いお構いなしの様子でお喋りした。


「俺の名前は田中周三。シュウと呼んでくれ。」と周三が言う。


「シュウさんですね。わたしはユメアっていいます。


呼び捨てで呼んでください。」


「俺の事も呼び捨てでええで。」


「いえシュウさんと呼ぶ方がわたしには


呼びやすいんです。」とユメアは言った。


周三はオレンジジュースを飲みながら


「それにしてもあれやな。


この国に来て疑問に思ってんけれど


ジュースとかミルクとか生菓子って


常温ではあんまり保存がきかへんはずやろ。


どうやって冷やしてんのかなぁって思うねん。」と


率直な疑問をユメアに投げかけた。するとユメアは


「魔法使いさんが


氷をたくさん作っているそうですよ。」とその疑問にこたえた。


それを聞いて周三は謎が解けた!という顔をした。


「なるほどなぁ。暮らしにも魔法が生きとるんやな。」と


周三はしみじみした様子で言った。


そして周三はユメアに真剣なまなざしを向けた。


ユメアはドキっとした表情をした。


「俺な、実は魔法使いになろうおもてんねん。」と周三は


口の周りにクリームが多少残ってるが恰好をつけて言った。


「すごい! すごいです! 魔法の才能が


無いと魔法使いさんにはなれないんですよ。


シュウさんは魔法の才能があるなんてとってもすごいです!」と


ユメアは目を丸くして驚いた表情をしつつも笑顔で言った。


周三はユメアの反応に満足すると


「まぁ自分がどの程度の器かは


魔法学園に行ってみんとわからんけどな。


でも、氷の魔法を覚えたら下宿先の食材の保存に役立つやろ。


俺はどんどん暮らしに役立つ男になっていくやろな。」と


家庭的な男をアピールしているつもりだろうがなにかズレていた。


「そうですね。魔法で風とか起こせたら


夏は涼しいそうですよね。」とユメアは言った。


ユメアも何かが少しズレた子なのかもしれない。


周三は頷くと「ユメアはこっちが実家なん?」と訊いた。


ユメアは「いいえ、実家はここから


ずっとずっ~と東の国なんですけれど


わたし、子供の頃からフェンティーアに憧れていたんです。


フェンティーアについては絵とか本の情報だけでしたけれど


美しい街並だなぁ。行ってみたいなぁ。って


ずっと思ってたんです。


なんとか夢が叶ってフェンティーアの学校に


留学することができたんです。


わたしはすごく幸せです。」と純粋な笑顔で言った。


「おお! それはおめでとう。


じゃぁ、こっちで就職すんの?」と周三が訊く。


「はい! そのつもりなんです。


今、学校でフェンティーア都市国家の


観光のお仕事についてのお勉強をしているんですよ。


将来は観光に携れるお仕事につけたらいいなって


おもっています。」とユメアはこたえた。


周三は商店街の通りを眺めながら


「確かにここってええ街やなぁ。」としみじみと言う。


ユメアも「はい。とっても素敵な街ですよね。


この街に住んでみるとフェンティーアに来る前よりも


もっともっとフェンティーアが好きになりました。」と


ユメアはテーブルに肘を立てて


両手の上に顔を置くと店の前の通りに顔を向けた。


周三とユメアは2人でしばらく通りの風景を眺めていた。

部屋が寒いので手がかじかんでキーボードを打ちにくいです。

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