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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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殲滅の魔眼

 暗黒騎士団所属艦隊帰艦の艦長室には

艦隊提督ブラッドフォード。

闇黒天ボビーとカレンの2人がいた。

そこにファデルという紺色の髪の傭兵が入ってきた。

ファデルは天使と戦いに行く許可をブラッドフォードに求めた。



 ブラッドフォードはファデルの言葉に困惑した。

ボビーとカレンはファデルをジッと見て何も言わない。

「ファデル君、何をサラっと外出許可のような軽い口ぶりで

作戦に無い戦闘許可を求めてくるんだ。却下だ。

天使と戦う?そんな事は許可しない。まったく意味が理解できん。

何か事情があるのならば話だけは聞こう。できるだけ詳しく頼む。」

「あ。そう。」

ファデルはカレンの向かい側のソファーに腰を下ろして足を組んだ。

カレンは正面からファデルを見た。

カレンはファデルの端正な顔立ちの美しさに

驚いてじっくりとファデルを見た。

「あたしはカレン。

あんた。男前だねぇ。ハーフっぽい感じがする。」

カレンはファデルの容姿を褒めた。

「そうかな。君もキュートでチャーミングだよ。」

ファデルはカレンの目を見つめて言った。

カレンは顔を赤らめた。

ボビーが呆れた顔をして咳払いした。

「ゴホン!ファデルって言ったな。

俺は闇黒天のボビーだ。よろしく。

何故、今、天使と戦う必要があるのかは俺も興味がある。」

ファデルはボビーを見て軽く片手をあげて挨拶する。

「ファデルだ。2人ともよろしく。一応、闇黒天だ。

役職は第零暗黒騎士団団長という事になってる。」

ボビーとカレンは驚いた。

第零暗黒騎士団とは数ある暗黒騎士団の中でも別格の存在であった。

第零暗黒騎士団はユンディー教団直属の闇黒騎士団であり

他の暗黒騎士団は傭兵稼業をして団の軍事費用を賄っているのに対して

第零暗黒騎士団は教団から全軍事予算を賄われている。

「こりゃ驚いた。レジェンドとお目にかかれるなんてな。」

ボビーはファデルに強い興味を持った。

「え!?第零って給料は歩合じゃないんだよね?

あたしたちの部隊も団に入れておくれよ。頼むよぉ。」

カレンは労働待遇を改善できるチャンスだと思ってダメ元で頼んでみた。

「いいけど。第零騎士団はもう解散するんだ。」

ファデルはカレンに向かってそう言った。

「それは初耳だ。」

そう言ってブラッドフォードも驚いる様子だった。

「天使と戦いたい理由に繋がる話になるんだがそれは長い話になる。

オレの身の上の話から君たちにしないとおそらく理解は出来ないだろう。

長い話をオレはしたくない。許可も出してくれなくていいんだ。

迷惑もかけない。何かあったら全部俺の責任にしてくれ。

一応、責任者に話だけ通しておきたかっただけなんだ。じゃあな。」

ファデルはソファーから腰を上げようと両ひざに手を置いた。

「ちょっと待て。ファデル団長の長話。俺は聞きたいぜ。」

ボビーがファデルに言って引き留めた。

「あたしも聞きたい。」

カレンは興味津々な顔をしながらそう言った。

ブラッドフォードの口が開いた。

「一番に事情を知りたいのはわたしだ。

責任を問題がどうこうという問題では無いだろう。

我が艦隊に所属する兵が戦闘行為を行うのに

指揮官が事情を知りませんでした。では済まされない。

上陸作戦は中止になり、わたしには時間はたっぷりある。

極秘任務なら仕方がないがそうで無ければ事情を説明してくれないか。」

ファデルは嫌そうな顔をブラッドフォードに向けた。

しかし、観念したような顔をして天を仰いだ。

改めて、ブラッドフォードに目を向けたファデルは口を開いた。

「気は乗らんが、まぁ、言い分はもっともだ。話そう。

まず、オレは元は第二大陸に住む堕天使だった。」

ブラッドフォードもボビーもカレンも驚きの表情を向けた。

「どっから話せばいいか。

俺は500年くらい前まではルシカルの配下だった。

ルシカル配下と言っても実績も乏しくただの一兵卒。

ある日、カンベインとイフラートがオレが所属する影って国を攻めてきてな。

オレはカンベインとイフラートの戦いぶりを見て

恐ろしくなっちまって戦場から逃げちまったんだ。

ルシカルだってカンベインから逃げたんだから

オレが誰かに責められる事はなかったんだが

オレは悔しくて悔しくてしょうがなくてな。

強い力を得たいが為にある契約を結んじまった。」

「悪魔の契約って奴か。」

ボビーがそうつぶやいた。

ファデルはボビーに頷いた。

「まぁ、そうだ。魔眼契約っていうヤバい契約なんだが

契約すると自分の目に特殊な効果が発動する力が宿るんだ。

魔眼と一言に言っても魔眼は個々にそれぞれの能力が

異なるんだが、どの能力もとてつもなく強力なんだ。」

「へぇ~。魔眼って目に能力を得る契約なんだね。

それであんたはどんな能力を得たんだい?」

カレンは目を輝かせて訊ねた。

「オレの契約した魔眼は『殲滅眼』って言ってだな。

発動した刹那に視界に入っている全ての敵の命を奪う事ができる。」

「マジかよ。。。。」

ボビーは驚嘆した。

「無敵じゃないか。」

カレンも驚きの言葉を口にした。

「無敵の能力と言えるんだが能力の具体的な効果は

魔眼に審査されて決まるんだ。」

「どういうことだい?」

カレンは訊ねた。

「強力な力には対価が必要なのがセオリーだろ。

その対価次第で能力の効果が無制限だったり逆に制限されたりするわけだ。

オレには魔眼を満足させる対価が無かった。

だから、能力の効果が低く設定されてしまい、発動にも条件がついた。」

「そりゃ、残念だったな。具体的にはどう弱まったんだ?」

ボビーがそうファデルに質問を投げかけた。

「能力の発動は1年に一回しかできない。

発動しても視界に入った敵の死亡する確率は極々わずかでしかない。」

「使っても全く効果が無い場合もあるって事?」

カレンは疑問をファデルに投げかけた。

「ああそうだ。しかし、もしも奇跡的な運が巡ってくれば

全員が死亡する事だってあるだろう。今までそんな事は1度もなかったが。」

「死なない確率の方が圧倒的に高いのならば普通はそうだろう。

だが、敵が大軍であればあるほど

視界に入る敵が多くなる分、死亡者が発生する確率は上がるだろう。」

ブラッドフォードは冷静にそう述べた。

「その通り。だから、この魔眼の能力は制限されているとはいえ

強力な能力である事には違いがない。

それでだな。魔眼の契約の審査や契約内容はとても厳しいんだが

オレに課せられた契約内容は

敵の種族は問わず、合計で10万の敵の命を奪う事。」

「おいおい。無茶じゃないのか?

その能力があっても1人で10万人を殺すなんて難しいだろ。」

ボビーが率直な感想をそう述べた。

「いや、第二大陸でならばそこまで難しい数字では無いんだ。

契約条件の審査でオレの実績から10万人しか殺せない実力しかないと

魔眼に判断されて、そういう契約内容なったわけだが

10万人くらいの小口の契約では契約に際して担保が必要になる。」

「世知辛いねぇ。」

カレンがそうつぶやいた。

ファデルはカレンに軽く頷いた。

「それでオレは堕天使の体を担保に取られた。

しかも、代わりに悪魔の体ではなく、人間の体を貸し与えられた。」

「そりゃまた難儀なこったな。

人間の体になっちまったら魔力が使えなくなっちまうだろ。」

ボビーがそう感想を述べた。

「そうだ。まさにボビーの言う通り。

それだけじゃなく人間の体は第二大陸の瘴気の中では生きられない。

オレは魔力能力が使えないばかりか第二大陸にも

住めない体になっちまった。

仕方なく友人達に頼んで瘴気の範囲外の島まで運んでもらったんだ。

その島で人間の海賊たちと偶然に出会った。

その海賊たちの海賊船に乗組員にならないかと勧誘されて乗組員になった。

それで第三大陸に来る事が出来たんだ。

それから色々あって海賊を辞めたあとにアルバイトを始めた。

アルバイト先の居酒屋の店長が副業で暗黒騎士をやっていて

その店長からユンディー教団にしつこく勧誘された。

最初は断ったんだが店長からユンディー教団に入信したら

教団が身元を保証してくれるので市民権を取れると言われて

将来の不安とかあったから市民権欲しさに暗黒騎士になったんだ。」

「気持ちはわかるぜ。教団に入った理由は俺も似たようなもんさ。」

ボビーは深く頷いた。

「あたしも似たようなもんさ。あたしは奴隷階級の娘だったからね。

教団に入れば奴隷階級から解放されるって誘われて入信したんだ。」

カレンも頷いた。

ブラッドフォードも口を開く。

「わたしだってそうだ。

わたしの家は両親も親戚もみんなユンディー教だったから

宗教の選択の自由は無かったな。後悔や不満があるわけではない。

大学はユンディー教系の大学に入学したが信者の学生は学費が免除された。

そのおかげで裕福ではない家に生まれたわたしが大学まで進学できた。

大学での就職活動も教団系の企業からすぐ内定をもらえた。

教団系の企業での実績を買われて教団職員になっていまに至っている。」

艦長室内には皆に共感と親近感が満ちた。

ファデルは口を開いた。

「そうか。みんな似たような境遇なんだな。

それでさぁ。オレ、暗黒騎士の活動を辞めようと思ってんだ。」

「マジかよ!暗黒騎士の中では破格の待遇だろうにもったいないぜ。」

ボビーが目を丸くしてそう言った。

カレンも口を開く。

「そうだよ!もったいないよ。ユンディー教団からも抜けるのかい?」

「いや、教団は辞めない。けれど、もう戦いには疲れたんだよ。

庭付きの家も買ったし、最近始めた釣りの趣味も楽しくてさ。

子供も欲しいし、そろそろ結婚相手も見つけて落ち着こうと思ってる。

もう危ない橋を渡らない暮らしをしたい気分なんだ。

グランデンの娼館で知り合った娼婦に兵隊の仕事を辞めて

普通の企業に就職したいって愚痴ったら

『じゃあさぁ、うちの会社に来なよ。

わたし、昼間は事務で正社員してるんだけれど

カノレル海洋貿易会社が100%出資してる子会社だから

安定企業だし将来にも期待が持てるんじゃない?

本当にその気があるならうちの社長に言っといてあげるよ。』って言われてさ。

その気になって面接を受けちまったら合格しちまったんだよ。

あの天下の大企業のカノレルの子会社だよ。すんげぇ嬉しかったよ。

物流関係の部署に配属されるらしい。

この仕事が戦いが終わったら

すぐに国に帰って会社の新人研修に入る予定だった。」

「そうかい。おめでとう。羨ましいぜ。

そりゃいい就職先だな。もう命を張る事も無くなる。

ゾンビにされるなんて事もないわけだ。まったく妬ましいぜ。」

ボビーは軽く拍手した。

「もう、転職先も決まったのになんで天使と戦うリスクを冒すんだ?」

カレンは疑問を口にした。

ブラッドフォードは頷いて口を開く。

「確かにそうだ。わたしもとても疑問に思った。ぜひ教えて欲しい。」

「天使と戦いたい理由は単純さ。

魔眼との契約の10万人まで、あと1426人なんだ。」

ファデルは皆の疑問にそう答えた。

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