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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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作戦内容

 リリアンが周三の部屋に忍び込んでベットに潜り込み眠っていた深夜。


 北の帝国軍軍港では暗黒騎士団直属艦6隻が停泊している。

暗黒騎士団直属艦隊の旗艦ルクセンビュリュック号からディアナ暗殺の為に

軍艦フェンティーアに向かっていた輸送ヘリコプターが帰還した。

甘根の拳の振動波によって何度も体を壊されたジャックの体は

完全に修復はされていたが精神的にダメージを受けていた。

戦闘員である闇黒天ジャックが精神状態が不安定というのは

暴発して何をしでかすかわからず危険だとブラッドフォードは判断して

暗黒騎士艦隊から港の帝国軍に使者を出して馬車1台を借り受けた。

ユンディー教団のフェンティーア支部病院に馬車でジャックは移送された。


 輸送ヘリコプターの帰還で旗艦ルクセンビュリュック号内の

関係者たちはかなり慌ただしかったが朝日で軍港は明るくなってきた頃には

何も無かったかのように帰艦の艦内も艦外も静まり返っていた。

旗艦艦内の艦長室にブラッドフォードが座っている。

体格が筋骨隆々でどっしりとした黒人男性ボビーが

艦長室の入り口近くの壁にもたれかかっている。

艦長室のソファーには赤髪でそばかす顔のカレンが座っていた。

「ボス。どうするよ?エイミーを奪還する作戦を立てるか。」

ブラッドフォードに闇黒天ボビーは訊ねた。

「いや、その予定は無い。」

闇黒天カレンが口を開いた。

「でもよう。姉御は助けを待ってるかもしれないしよぉ。」

「それは無いだろう。エイミーは誇り高い戦士だ。

それに君たちは勇者以外の何者かに手も足も出なかったんだろう?

その力は凄腕の闇黒天が4人がかりでも手が出なかった。

では、貴重な闇黒天をもう失うわけにはいかない。」

「まぁ、そうだな。エイミーからもらった命だ。

無駄にはしたくはねぇ。」

ボビーはそう言うと煙草をくわえてライターで火をつけた。

「艦長室は禁煙なのだがね。」

ブラッドフォードの苦情にボビーは知らん顔をした。

「今日は勇者様がこの艦に来るかもしれない。

キチンと北港に停泊しているか確認するために。

運が良ければあちらからエイミーの話をしてくるかもしれん。」

「まったくの運任せか。神に仕えてるんだから運はあると信じたいね。」

ボビーが頭をかきながらそう言った。

カレンはブラッドフォードの目を見て口を開く。

「今回の海賊艦隊フェンティーア上陸作戦には

物凄く強い特攻隊長を雇ったらしいじゃんか。

上陸作戦が御破算になったんだから

そいつをエイミー奪還に送りこめないの?」

「ファデルは三番艦ザッハヘルクにいるが

彼がわたしに緊急に会いたいという旨の連絡を受けて許可を出した。

もうすぐここに来ると連絡があったから君達も顔を合わせるだろう。

彼は確かに相当な力を持っていると報告を受けているが

闇黒天を瞬殺するような戦力が何人いるのかわからない。

上陸作戦の現場のキーマンになる予定の男を送れるはずがない。

彼にはそのまま国に帰ってもらおうとわたくしは考えている。

彼は教団にとっても真祖にとってもとても貴重な戦力だそうだ。

わたしの独断で無駄死にはさせるわけにはいかない。」

「そういうがボス。戦力は使うためにあるんだぜ。」

「もっともな意見だ。」

ブラッドフォードはボビーの言葉に頷いた。

「前にちょっとだけ見かけた車椅子の女も戦力なのかい?」

カレンは思い出したように言った。

「俺も見かけた。フードを深く被っていて顔と首に大きな傷があったな。

手足が切断されたように無くなってた。

可愛そうに戦場で逃げ遅れて兵士たちに拷問でもされたのかと思ったぜ。」

ブラッドフォードは机に肘を立てて両手を組んだ。

「彼女の名はザラ。

彼女も大きな戦力ではあるが彼女は単体では戦力にならない。

戦力は使わなければ意味が無い。その通りだ。

だがそれは誇り高い戦士同士の戦いとはまったく違った戦いもある。

現場の作戦指揮の一旦を君たちの小隊長のエイミーが

担う予定であったからエイミーには作戦の内容は一部伝えていたが

今回の上陸作戦は非人道的な作戦だった。」

カレンは首をひねって口を開く。

「戦いに非人道的な事はつきものじゃないか。いまさらなんだい?」

「おい。ボス。そんなにヤバい作戦だったのか。」

ボビーはそう言って不安そうな顔で口から煙を吐いた。

「上陸作戦直前に闇黒天全員に作戦内容を教える予定であったが

今回は中止になったとはいえども

再度、上陸作戦が行われる可能性もあるだろう。

君たちには教えておこう。

今回の作戦のコードネームは『死体の行進』。

ザラは海賊王のお気に入りの死霊魔術師ネクロマンサーだ。」

「なんだって!あの嬢ちゃんは死体を操ったりする魔術師か。」

ボビーは手のひらで自身の額を触りながら言う。

「そのザラの役割って何だったんだい?」

カレンは興味津々な様子で質問した。

「今回の上陸作戦での海賊艦隊の歩兵戦闘員は約50万。

しかし、その戦闘員の構成は大半が兵とは名ばかりの奴隷や老兵だった。

理由はそれで十分だったからだ。

勇者不在のフェンティーア都市国家は警察官しか防衛力がない。

天使は侵略軍といえども人間であれば攻撃はしてはこない。

我が軍はただの民間人を虐殺していけばよいだけの楽な戦闘だ。

虐殺された民間人はザラが死霊魔術でゾンビ化させていく。

ゾンビは人間を襲って殺す。

ゾンビに噛み殺された人間はゾンビ化する。

ゾンビがゾンビを増やして人を殺し続ける。

都市にはゾンビが溢れかえるだろうな。

ゾンビは人間ではなく死体の怪物。

天使軍が全力でゾンビを浄化してゾンビを消滅させていくだろう。

天使軍がかかりっきりになったその隙を狙って

ファデルを部隊長とする闇黒天特殊部隊に極秘任務が与えられる予定だ。

極秘任務の内容はわたしも知らされていない。

フェンティーア都市国家はゾンビの巣となり人々は恐怖で

誰も住めない都市になってしまうかもしれない。」

「あたしらも戦士したらゾンビにされちまうってことかい?」

「もちろんそうだ。もしも戦死すれば味方であってもゾンビ化させる。

兵士たちを戦力として無駄なく使う為に

戦士した兵士をゾンビ化するのも死霊魔術師の役目だ。」

「オー!シット!胸糞が悪い作戦だぜ。

神のために戦死しても天国にご招待してはもらえずねぇのか。

ゾンビになってまで俺たちに戦えと神はおっしゃってますか。

死んでからも敵国を彷徨って人殺しさせられるなんて理屈にあわんぜ。

ゾンビ化しても給料がでる契約にして欲しいね。

もちろん時給契約でお願いしますだな。」

ボビーはそう不快感をあらわにした。

「君たちの気持ちは察するがわたしも教団の歯車の一つに過ぎない。

わたしがどうにか出来る権限内であれば相談にも乗ろうではないか。

わたしは海賊艦隊を退却させた事で

今回の上陸作戦の動員戦力をほぼそのまま維持している形だ。

君たちは再度の上陸作戦の為の待機戦力という位置づけになる。

エイミーについてはあちらからの交渉を待つしかないのが現状。

再度の作戦は無い可能性もありうる。

この作戦はそもそも勇者の存在を認知する以前に出来た作戦だからだ。

こちらから何か目立った行動を起こせば勇者が動く。

痛くもない腹を探られるリスクが高まるのはわたしの本意ではない。

あの勇者様は甘い男では無いとわたしは考えている。」

カレンが怯えた目をしながら口を開く。

「勇者の手下のオレンジ頭のガキも

子供じみた容姿だったけれど残酷さも強さもハンパなかった。

子供だからって油断したらどんなことされるかわかったもんじゃない。」

ボビーは頷きながら口を開いた。

「ああ。たしかに奴はクレイジーボーイだった。

だがよ。俺たちもゾンビなんてもんに手を出してるだぜ。

ボーイに負けず劣らず十分にクレイジーだぜ。」

ブラッドフォードが艦長室の扉に人影が見えて声をかける。

「ファデル。ようこそ。わたしに用とは何だね。」

紺色の髪の毛が印象的なワイルドな男性が艦長室に入ってきた。

「よう。艦長。あんたに頼みがあんだよ。

オレ。ちょっとだけ天使たちと戦ってきていい?」

ブラッドフォードは眉間に皺を寄せて非常に困った表情をファデルに向けた。

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