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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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真虎(さねとら)

 竜騎士高垣真虎は豪槍を地面に叩きつけて周三を威嚇した。


 真虎は周三の前に立ち、周三見下ろした。

「おい。坊主。土下座して謝れ。」

真虎は大槍を立てて仁王立ちした。

真虎は周三の目を見ると、ゾッとするものを感じた。

ただただ静かに周三は真虎の目を見つめる。

その目から発せられる気配に真虎は不気味さだけを感じる。

周三が口を開く。

「すんません。手加減が。。。できないかもしれねぇです。

魔力を使う武術ってなんつうか気持ちが晴れやかになりやがる。

精神が魔力で解放される感覚っつうの?気分がすごくいい。」

魔力発勁を駆使する武術「李氏六芒拳」は魔拳である。

悪魔ではなく人間が使えば血流に魔力が混じり精神が侵される。

しかし、周三は普通の人間ではなく勇者。

魔拳使用中の副作用は気分がかなりハイになるだけである。

「は?何を言ってる?頭がおかしいのか?」

真虎は槍を持ち上げて槍の口金で周三の頭を小突こうとした。

周三は自然な動作で槍を掴むと息を吸って止めて

身体能力強化の効果がある「発」の呼吸に入る。

真虎は周三に槍を掴まれて手前に槍を引こうとしたが動かない。

「ほう。お前、そんな小さい体で結構、力が強いのう。」

真虎がそんな感想を口にした瞬間に

一気に槍を周三に引っ張られ体が前のめりになった。

真虎は左足を前に出して重心をかけて引っ張り返そうと踏ん張る。

周三はお腹に溜めた息を使って

一気に魔力が向上する「爆」の呼吸法を発動する。

ガツン!そんな音が足元からしたので真虎はすぐ足元を見ると

左足の脛を周三がつま先で蹴ったのが見えた。

そんなへなちょこな蹴りなど効かないとばかりに前を向いたら

すぐ目の前に周三の頭があり

周三に槍を強引に引っ張っぱられて真虎は体勢を崩した状態になっていた。

カウンターのような形で不用意に

周三の頭突きを真虎は顎にまともに食らった。

グギャッ!っと何かが破裂したような大きな音が辺りに響いた。

真虎は頭突きの衝撃で後方に吹っ飛び、豪快に仰向けに倒れた。

真義が扇いでいた扇は止まった。

真義は横のソファーに座る真昭を見た。

「おい。あの子供はなんだ?強えじゃねぇか。」

「ええ。ですが父上。あれは真虎のただの油断でしょう。

少年の力量を見誤った結果です。

あの程度の打撃では真虎にそれほどダメージはありますまい。

すぐに回復し、あの少年を滅多打ちにいたしましょう。」

「ふん。お前は武術に疎いのう。

真昭も準備しておけ。油断していたら死ぬ事になるぞ。」

真義は傍に置いていたライフルを手元に寄せると弾を込めた。

「大袈裟な。真虎は歴戦の猛者ですぞ。父上も心配性ですな。」

「馬鹿もんが!!!」

真義は立ち上がると、真昭の胸倉を掴んだ。

「あんなに強い子供が竜騎士だとわかって喧嘩売ってきてんだぞ。

子供のハッタリと考える方が楽だろうよ。

だがな、そんな考えは戦場で長生きできねぇぞ。

お前は絶対にあの子供に勝てる方法を今、全力で考えろ!よいな!」

「はッ!!では、いっそ、わたくしは真虎の加勢を致しましょうか?」

「そんな事をして勝っても真虎は自害するだろうよ。」

「ああ。確かに。

しかし、まことに人間の打撃が我らに通じるのでしょうか?

父上!ほら!ご覧くださいませ!真虎が立ち上がりましたぞ!」

真義はライフルに弾を込めると手元に置いた。

「ただの人間ならよいのだがのう。」


 真虎はよろよろと立ち上がり目を泳がせて槍を探す。

真虎は槍を見つけると左足を引き摺りながら

よろよろと歩いて槍を拾った。

槍の石突を地面に突いて槍を立てて

槍にしがみつくようにして体を支えた。

周三は腕を前に組んで仁王立ちしている。

「お兄さん。準備はオーケーかい?」

そう言って周三は腕を解いて両手をポケットに入れた。

「お。。。おう。。坊主、舐めてすまんかったな。

今度は手加減抜きでやってやる。存分にかか。。てこい。。」

真虎は槍を構えようと大槍を持ち上げた。

「よし!お兄さん。俺は奥の手がまだまだあるから油断とかすんなよ!」

周三はポケットから手を出して両こぶしを握って構える。

大槍を構えた真虎はグラッと体勢を崩して地面にこけた。

「。。どうしたことか?。。。そう。。か。。。折れとるわ。」

真虎の左足の脛は中央から、くの字に折れ曲がっていた。

「お兄さん!いつまで待たせんの!さっさとしてくれよ!」

周三が叫んだ。テンションが上がってうずうずしている様子だった。

「すまん。すまん。これりゃ。槍は無理だわ。ゲフッ。」

真虎は顎が割れて出血で口の中は血で溢れ、血で喉が詰まってえずいた。

ボタボタと地面に血が落ち血だまりができる。

「どうしたことだ。いつもならば。。。すぐ傷が塞がるんだがのう。

傷がかなり深いのか。坊主を待たせるのも忍びない。ゲフっ。」

真虎は槍を離して地面に座ったままで腰の刀を抜いた。

周三はまた腕を組んで真虎の様子を見ていた。

真虎は刀の刃先を地面に立てて立ち上がると

「坊主!勝負!!!」と叫んだ。

「おう!」

周三は半身を前にして両腕を構えた。

真虎も半身を前にして体操競技の横回転をしながら

猛烈な勢いで周三に近づいてきた。

「マジか!」

周三は巨漢の真虎の身の軽さに驚いた。

真虎は横回転で反動がつくと縦回転に切り替えて飛び上がると

周三に向かって刀を振り上げて空中回転しながら襲ってきた。

「竜頭斬!!!!」

そう叫んだ真虎の高速回転の刃が周三を襲う。

「スキル『神速スピードスター』発動。」

真虎は空中で回転しながら周三を捉えて斬撃を命中させたと確信した。

しかし、刀は周三に命中せずに空を切ってそのまま地面を切った。

真虎はしばらく地面を大きく削りながら回転し続けたが

勢いが弱まるとバランスを崩して転倒した。

真虎は顔を上げて周三がいた場所を見ると

周三は元の位置からまったく動いていなかった。

周三は真虎に両腕を大きく振って

「もういっちょこ~い!」と真虎に叫んだ。

真虎は割れた顎からのあまりの流血でショック症状寸前であった。

「坊主!いまいく!。。。。待っとれ!」

真虎は匍匐前進しながら周三に少しずつ近づいていく。

それでもゆっくりゆっくり確実に周三の元に近づく。

周三の足元までたどり着いた真虎は

仰向けになり周三に向かって刀を何度も振った。

「お兄さん。そんなんじゃ。当たんねぇぞ。」

周三は真虎に困った顔を向けた。

周三はある事に気付いた。

「もしかして、お兄さん。もう。目が見えていないんじゃない?」

「そんなことはない!心眼で見えとるわ!ほら。そこにいるんだろ!」

「心眼って言っちゃったよ。もう時間の無駄だから

トドメ刺すけれどいい?何か言い残す事があれば聞くけれど。」

「。。。そうか。もうわしは貴様の相手にもならんのか。

わしの首を取れ。最後に願いをきいてくれるなら

父上に息子たちの事をよろしく頼むとだけ伝えてくれればいい。」

「わかった。伝える。でも、不法侵入の罪人は簡単に死なせられない。

辛いけれど我慢してくれよな。俺もマジで辛いんだよ。」

「そうか。。。。。好きにしろ!やれ!」

周三は聖剣を抜こうと腰に手を置いたその時に

真虎は最後の力を振り絞って手探りで

腰にぶらさげた3個の大型手りゅう弾のピンを

三本の指に絡めて全て抜いた。

「坊主、一緒に地獄に連れて行ってやる!」

「おお!マジか!やば!お兄さん死ぬ気かよ!」

「。。。もう逃げても間に合わんぞ!」

「うわ~~~!!!。。。。なんてね。」

空中で突然、大きな爆発が起こり灰色の煙が空を覆った。

真虎の腰の手りゅう弾を手探りで確認すると3つとも無くなっていた。

「。。。貴様。何をしたんだ?。。。」

真虎は狐につままれたような顔をした。

「楽に死なれたらこっちは困るんだよ。

あと、どさくさに紛れて地獄へ道連れとかいう根暗な事はマジでやめて。

これは国家としての制裁だから痛くても我慢してくれよ。」

周三は聖剣で真虎の右腕を軽く刺した。

「。。。うぎゃ~~~~~~!!!!!」

体力がもうほとんど残っていないはずの真虎が大きな悲鳴をあげた。

「お兄さん。ごめんね。本当にこんな汚れ仕事はしたくないわ。

暴力って現実は胸糞悪いだけだよね。この世界から戦争とか無くしたい。」

周三もこんな事はやめたいとは思うが

真義が動かない状態ではまだ落としどころが見つからなかった。

正義は周三にあるが竜騎士は自分たちの罪の重大さに気付いていない。

真虎はブルブルと体を震わせながら、のたうち回る。

周三は聖剣の切っ先で真虎の体の色々な所にブスブスと軽く刺す。

真虎は意識が飛んでもまた刺されてその痛みで意識が戻るのを繰り返した。

パッアアアアアーーーン!!!!!!

ものすごい轟音が鳴った。

周三は頭に強い衝撃を受けたのを感じた。

周三が振り返ると真義がライフルを構えていた。

ライフルの先からは煙が出ている。

「敗者を愚弄する行為はゆるさん!小僧!わしが相手してやる。」

真義の目は獰猛な野生の狼のような光を放っていた。

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