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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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竜騎士

 国会議事堂の裏の広場に出る道を警部補に連れられて

周三とリリアンは竜騎士3名がいる場所に向かっている。


 広場に出るとすぐに3頭の竜がいるのが見えた。

大型の竜が1頭と中型の竜が2頭が目視で確認できた。

竜の前方にパラソルが3本立てられており

ソファー3台がパラソルの下に設置されてそれぞれ人が座っていた。

その場所に近づくにつれて服装が和装である事に周三が気付く。

「リリー先生。竜騎士ってお侍なの?」

「サムライ?サムライっていつの時代の話だ?

大昔はサムライと呼ばれる戦士が東関国を支配していた事もあったが

竜族との戦闘の歴史で竜の捕獲や騎乗技術が発達して竜騎士になった。

いまは下級兵士を武士と呼んでいる。

ハインベルト公国の下級兵士の俗称では

武士をサムライと呼ぶ事もあるかな~。

ハインベルト公国は帝国所属の公国だから上級兵士は騎士のはずよ。」

「じゃ、武器は刀や槍ですか?」

「いや、銃がいまの主流。だって空中戦だもの。

でも、歴史が古い地域だから古い武器も使う事も考えられるね~。」

「竜騎士ってめっちゃ強いって事でオッケー?」

「うん。強い。竜って魔術耐性が超強力なの。

竜と魂の契約で結ばれている竜騎士という戦士は魔法はあまり効かない。

治癒魔法まで効かないんだけれどそれを補う自然治癒能力が付与されてる。

もちろん竜の加護を受けているわけだから竜騎士は物理攻撃耐性もバケモノ。

竜騎士は一般的な人間の兵士では勝てないよ。

竜と戦うために進化した兵種だもん。その代わり対竜兵器は聞く。

竜属性の武器は普通にダメージが通るし

聖属性の武器はビックリするくらい竜騎士にダメージを与えれるよ。」

「聖剣を持ってきてマジ良かったっす。」

「え?聖剣を持ってんの?おお!それ!白羊じゃないの!

レア武器だよ。竜騎士はそれでかすり傷を与えただけで激痛ものだよ。」

「マジっすか。もしも戦闘になったら積極的に刺していきたいです。」

「うんうん。いいと思う。アグレッシブでよろしい。

あと、あたいが竜に魔法攻撃するためには

魔法耐性もぶっ飛ばずような超強力な古代の魔法を発動しないといけないの。

魔法詠唱に時間がかかるから魔法で竜を押さえるまで

戦闘よりもあたいを守る事を優先して。

竜は最初に押さえないと騎乗なんかされたら敵の戦闘力が跳ね上がっちゃう。

そうなったら面倒だし絶対に殺すこの地域を焼野原にするくらいの

火力が無いと倒せなくなるからすんごく邪魔臭い事になるので気をつけて。」

「りょうかいっす。」

「竜の動きを押さえてから地上戦に持ち込めば

勝機は十分あると思う。勝てないと思ったら、勇者だ!って言ってやりな。」

「最初から勇者と名乗ったら駄目ですか?」

「駄目。相手が降参してしまったら話が丸く収まりすぎちゃう。

今後、舐められないためにもガツンと鉄拳制裁しておこう。

それに勇者を名乗る作戦に慣れちゃダメ!」

「なんでですか?」

「なんでって。もしも、ネヴェシスを解放したら

カンベインの呪いがリセットされちゃうんだよ。

カンベインがいないのに呪いが生きている事に疑問を持たなかった?

呪いを維持できているのはネヴェシスの人柱おかげなんだからね~。

シュウはネヴェシスを人柱から解放するんでしょ?」

「それは初耳なんで。今後の判断材料にします。」

「うん。よく考えてね~。

最初の交渉はガツンと喧嘩腰で難癖をつけまくってね。

相手は理不尽な行動を取っていると

認識できていないかもしれないけれど知らないで済む問題じゃないから。

難癖つけている間にあたいは魔法の詠唱しておく。」

「難癖かぁ。昭和のヤンキーみたいな感じでいくかな。」


 竜騎士のいる場所から少し距離があるところで

警部補は立ち止まった。

「あまり竜騎士様に近づくなと上司から言われておりますので

わたくしはここで失礼をいたします。」

警部補は恭しく周三に言った。

「案内ありがとうございます。」

周三は警部補に礼を言った。

「またね~。」

リリアンは去っていく警部補に小さく手を振った。

広場一帯には周三たち以外は竜騎士たち以外に人がまったくいない。

竜騎士たちを刺激しないための処置であった。

「今から詠唱始めておくから喧嘩売りまくっておいで。」

「喧嘩を売るとか慣れてないから自信ないなぁ。」

「。。。。我が盟友シンバとの契を示す。

無限の無。極限の白。永久の闇。。。」

「リリアン先生はもう自分の世界に入ってるなぁ。

平和的解決がしたかったのに国際的常識がそれを許さないのか。

竜かぁ。めっちゃおっきいやんけ。怖いなぁ。」

周三はパラソルの下の竜騎士たちに近づいていく。

派手な柄の着物に袴をつけた着たワイルドなおっさんが中央。

白地の神主みたいな衣装をつけた美男子が右側。

甲冑を着て大きな槍を立てかけている巨漢の男性が左側にいた。

白装束の美男子以外は強面で周三はすごく怯えて足がすくむ。

「おい。君。この国の関係者かい?まだわたしらを待たせるのかね?」

美男子が周三に気付いて話しかけてきた。

「ん。兄者。こいつも言葉が通じねぇんじゃねぇか?」

甲冑の巨漢が白装束の男にそう言った。

「真昭、真虎、もういい。まだ子供ではないか。

怯えておるようだ。もう許してやれ。」

強面の無頼漢風のおっさんが2人をそうたしなめた。

「父上。もう何時間も待たされておるのですぞ。

わいはもうケツが痛くてしかたないんじゃ。」

巨漢の男が無頼漢風のおっさんに苦情を言った。

「お忍びで来とるのに通訳なんて連れてこれまい。

まさかこっちでも通訳がおらんとはなぁ。誤算じゃった。

約束も無しに入国したこっちの落ち度もある。もうちょっと我慢せい。」

周三はポケットに両手を突っ込むと大袈裟に蟹股で歩きながら

「おい!おのれら?何しにここに来たんじゃ!われ~!」

新喜劇の不良のような演技で竜騎士たちに絡み始めた。

「おお。我らの言葉がわかるのか。わしは高垣真義。

ハインベルト公国四十九州を武で統一した征竜大将軍じゃ。

個人的な用向きで忍んできたのじゃが国家元首に合わせてくれ。」

派手な着物を着た無頼漢のおっさんは大将軍と名乗り

周三に笑顔を向けると

フェンティーア都市国家の国家元首に合わせろと要求した。

「はぁ?」

周三は眉間に皺を寄せて体をくねらせながら蟹股でステップした。

「おのれら。何を調子乗ってんじゃボケ!

人様の国に土足でやってきて何を甘えた事いっとんねん!

まず土下座して謝れ。話はそっからやろがい!」

強気なセリフを言いながらも

周三は怖くて足が震えるのをステップで誤魔化していた。

もちろん敵からの不意の攻撃が怖いので魔眼は発動している。

「無礼者が!!」と巨漢の男、高垣真虎が立ち上がった。

「まぁまぁ、相手は子供ではないか。むきになるな。

あちらに恋人がおるようじゃの。彼女が見ておるから

いい所を見せようと少年はいきがっておるのだろうよ。

可愛いではないか。昔のおぬしも似たところがあったぞ。」

真義が真虎を諭した。

「父上が名乗ったのだ。君も名乗ったらどうかね。」

美男子の真昭が周三にそう言った。

「三下の下郎に名乗る名なんてあるかい!ボケが!」

真昭は表情を歪めて露骨に不快感をあらわにした。

「はははは!少年は天下の竜騎士に喧嘩を売っているようじゃ。

豪胆な男ではないか。気に入った!

真虎は退屈していたろう。少し少年の相手をしてやれ。」

真義は真虎にそう促した。

真虎は立ち上がると立てかけてあった大槍を握りしめる。

「おい!ガキ!痛い思いをすることになるぞ。覚悟せい!」

「何をメンチきっとんねん。われ~!

おお!やれるならやってみろや!ドサンピン!」

真虎は大きく大槍を振り上げると目の前の地面に叩きつけた。

地響きとともに大きな土煙があがった。

地面はえぐれて大きな穴が出来ていた。

まともに食らえば人間の体は木っ端みじんになる威力。

それを見て周三はかなりビビッたが

呼吸を整えて息を吐いて止めた。

それはシエルから習った武術の静の呼吸だった。

精神を研ぎ澄ます効果がある呼吸法であった。

「フフフ。真虎はどうにも大人げがないのう。」

真義は扇で自分に風を送りながらそう言った。

真義はこの時はまだ周三が素直に謝れば許す気持ちでいた。

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