広場
周三とリリアンは竜騎士がいると思われる国会議事堂の裏の広場に
向かうべく広場までの道を閉鎖しているゲートへ向かう。
閉鎖ゲートの前で周三とリリアンは足を止めた。
リリアンは周三の右腕から体を離した。
「ここから先はいまは立ち入り禁止だよ。」
警官が手で制止するようなポーズでそう2人に言ってきた。
「どうも勇者です。こっちは大魔導士リリアン様。」
制止した警官は驚愕した表情を見せた。
「勇者様ですか!失礼しました!」
その警官は大きな声で言って周三とリリアンに敬礼した。
その言葉に警察官たちが騒然として全員整列して敬礼する。
「戦争に勝ったんで報告に戻ったんだけれど
竜騎士が来てるって言うんで安全保障上、見逃せないでしょ。
状況を詳しく教えてよ。」
周三は警官に説明を求めた。
責任者らしき警官が周三たちの前に出て来た。
「失礼します。このゲートの責任者のルトー・マユエ警部補であります。」
「どうも勇者の田中周三です。」
「戦勝おめでとうございます。
状況と致しましては今朝の午前5時半ごろに竜騎士三騎がこの広場に飛来。
警備のものが発見いたしましたが相手方は通訳を連れておらず
帝国標準語を話せるものが竜騎士の中におりませんでした。
ハインベルト公国がかつて『東関国』と呼ばれた時代の言語を
使っておると思われるのですがその言語は
ハインベルト国内でしか通じない言語らしく
こちらでも通訳が用意できませんでした。
仕方なく天使様に通訳を依頼しに大聖堂に行ったのですが
フェンティーア本土守備のための天使軍に国内全ての天使様が参加しており
天使様を派遣して頂くために
今、天使軍の本陣に使者を送っている状態であります。」
「なるほど。それで竜騎士さんたちはどうしているの?」
「は!我々は国会議事堂内の備品庫から
日よけの大きなパラソルとソファーを用意しました。
そこに座って竜騎士様たちは天使様をお待ち頂いておる状態です。
無許可での突然の来訪ですので目的がはっきりしなければ
国会議事堂内に入れる事が出来ないからであります。」
「それはそうですよね。では、わたしは言葉が通じますので
竜騎士様たちの所まで案内してください。
彼らは暴れたりしていないのですよね?」
「は!すぐにご案内いたします。
竜騎士様たちは身分が高い方のようで落ち着いた物腰でございます。
しかし、武器を携帯されておられますので
お気をつけになってください。あ。勇者様にはいらぬ心配ですね。」
「ルトーさん心配して頂きありがとうございます。
では、竜騎士様たちの元に参りましょう。」
「は!こちらでございますのでわたくしに付いてきてください。」
「はい。」
ルトー警部補が前を進み、周三とリリアンが後に従った。
「リリー先生。竜騎士さんたちは武器を持ってるんですって。」
周三はリリアンに話しかけた。
「それはアウトだ。無許可で他国の中央政権本部に武装して侵入。
普通は死罪だね~。あたいらの国だったら国境超えた時点で迎撃するよ。
武装して不法侵入なんて間違いなくテロリストとして
現行犯で殺処分していいレベル。
シュウはどうしようと思っているの?」
「う~ん。それは侵入した理由次第だけれど
常識が無さすぎるという点では痛い人たちだとは思う。
相手の態度次第では強硬手段も仕方ないかなとは思いつつも
竜とかめっちゃ怖いっす。リリー先生は竜をなんとかできる?」
「他国の魔導師を武力介入させるの?」
「ええ。リリー先生を鈴で召喚したのは俺っす。
召喚というより召集ですが呼んだのは俺なんですから
俺のキャスターのサーヴァントとして活躍してください。
この件は先生が俺を焚きつけたんだから手伝ってくださいよ。」
「鈴ってそんな契約だったっけ~?ま、いいや~。
しょうがないから助けてあげるよ。竜三頭はあたいが担当するから任せておいて。
敵が竜を使いそうになったら魔法で食い止めてあげる。
でも、竜騎士3名が抵抗したら全員、シュウが片付けること。それでどう?」
「オッケーです。それでお願いします。」
「はい。契約成立。今からあなたの忠実な召使リリアンよ。」
「頼もしい!では、陣形は先生が前衛で俺が後衛でいいっすか?」
「チッ!甘えんな!魔導士を壁にして戦う勇者なんて勇者ではないぞ!
おんぶにだっこじゃん。魔法詠唱を助ける連携くらいはしてよ。」
「てへへ。ぺろぺろ。」
「可愛くないし。そういう甘えはうちの学校に入学したら絶対に許さないよ~。」
リリアンの氷のような冷たい視線に周三はとても寂しい気持ちになった。




