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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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ピンちゃん

 周三はリリアンとハウル夫妻と朝食を摂っている。


 食事を終え、リアが食器を片付けた。

リアが台所でコーヒーを4人分入れてテーブルに並べる。

「そういえば使い魔は連れて来なかったのかい?」

ハウルがリリアンに言った。

「ああ。連れてはいないがすぐ召喚できるぞ。」

「小魚が多く釣れたのでね。ピン助におっそわけしたくてね。」

「ピンちゃん。わたしも会いたいわぁ。可愛いのですもの。」

リアは目を輝かせた。

「ピンちゃん?」

周三はキョトンとしていた。

「小魚か。それは奴も喜ぶ。では、呼ぼう。」

リリアンは椅子から腰をあげ立ち上がった。

「。。。魔の小さき僕よ。

我が契約により召喚に応じよ。その名はピングル!」

光の粒子が集まって形を成した。

「クー!クー!」とその動物は鳴いた。

リリアンの横に現れたのはペンギンだった。

「ピンちゃん!」

リアは嬉しそうに立ち上がるとペンギンに駆け寄って抱き上げた。

「リリー先生。使い魔ってペットみたいなものですか?」

周三は使い魔についてはまったく知識が無い。

「ま、そんなとこだね~。」

リリアンは説明するのが邪魔臭いのか適当な答えを返した。

「ハウルさん、ペンギンってどの辺に生息しているんですか?」

周三は質問した。

「実は第三大陸には生息していないんだよ。

第二大陸の北東にある島に住んでいてね。

第三大陸では、とても希少価値が高い生き物なんだ。

第二大陸と第四大陸の間だから

瘴気の影響も受けていない海域だよ。」

「へ~なるほど~。」

リアはペンギンを抱いたまま椅子に座った。

「ピンちゃんも歳を取っていないのね。」

リアはペンギンを撫でながら言った。

「使い魔は精霊化しているから歳は取らないよ。

その代りあたいが天に召される事があったら一緒に召されるね~。」

「あらあら大変。ご主人様には長生きしてもらわないとね。」

「ははは。そうだね。では、魚は裏庭のタライに入れているから

リリー、ピン助を連れて裏庭に出ようか。」

ハウルはリリアンを誘った。

「ピンちゃん行ってらっしゃい。」

リアは名残惜しそうにペンギンを床に置いた。

ハウルは立ち上がるとリリアンをとペンギンを連れて裏庭に出た。

テーブルには周三とリアが残った。

「リアさん。」

周三はリアに話しかけた。

「なあに。」

「勇者に敵意を持って攻撃したら人間は豚になるって知ってます?」

「ええ。そう言われているわね。」

「やっぱりなんですね。じゃあですね。」

「はい。」

「なんでリリー先生は俺に攻撃しても豚にならないんですか?」

「敵意が無いからじゃないかしら。」

「いや、それは無いと思います。2階で脇腹にパンチされた時に

明らかに怒って攻撃してきているように感じました。」

「あらあら。リリーに何をしたの?」

「冗談を言っただけですがリリー先生に冗談は通じませんでした。」

「リリーは先生だから教育的指導とかかしら?

敵意ではなく愛の鞭だからセーフとか。」

「嫌な愛情表現やなぁ。俺、粘り強くリリー先生に抗議していきます。

体罰を愛情による指導なんて言い訳は軍隊みたいな感じで嫌いです。」

「そうね。暴力は野蛮だとわたしも思うわ。シュウ頑張って抗議するのよ。」

「はい。いずれ来る魔法学園での学校生活を守るためにも頑張ります。」


 裏庭にハウルとリリアンとペンギンが出ると

氷を張ったタライに魚が入れられていた。

ハウルは小さめの魚をタライから10匹以上取り出して皿に大盛に載せた。

「さぁ、ピン助。遠慮なく召し上がれ。」

そう言ってハウルはペンギンの前に皿を差し出した。

「クー!クー!」と嬉しそうに体全体を使ってハウルにお辞儀をした。

ペンギンは嘴を使って魚を銜えると上を向いて飲み込んだ。

「ハウル。あたいを裏庭に連れ出して何か話があるのかな?」

リリアンは小声でハウルに話しかけた。

「まぁな。東の様子はどうかね。」

ハウルも小声で答える。

「東は表面上は大人しい。だが、水面下ではどうだか。」

「君の情報網でも尻尾はつかめないか。」

「つかめないな。逆に言えば魔術士が情報をつかめないって事は

ユンディー教団が暗躍しているって事だろうね~。

奴らを刺激して貴重な魔術士を暗殺されて失うのも馬鹿らしいから

ユンディー教団への情報収集にはそこまで積極的に動けとは指示していない。」

「それは賢明だ。君くらいの魔術師ならいいが

普通の魔術士は優秀であったとしても暗黒騎士には敵わないだろう。」

「暗黒騎士と魔術師は相性が最悪。

それでハウルはどうだい?何かつかんだかい?」

「敵の狙いは何となくはわかってはいる。」

「それは?」

「石油、石炭だ。」

「ほぉ~。具体的には?」

「以前は魔導機械に依存していたアルブルド帝国が

徐々に工業機械の開発に力を入れ始めていたが

最近では工業区画が広がり帝国は全面的に工業機械化を進めてる。」

「それで石油、石炭か。」

「第三大陸の石油、石炭の産出地域は第三大陸では

南のダルザニアン公国が圧倒的に産出量が多い。

そのためにダルザニアン公国にエネルギー利権が集中している。」

「あそこは偏屈な公王だし大臣も偏屈だから帝国は煙たがってるね。」

「そのため、うちの会社が第四大陸から

輸入した石油や石炭を帝国が多く買ってくれている。

市場価格をある程度安定させるためにね。

しかし、まだまだ価格を下げたい思惑は帝国にはあるだろう。」

「なるほどね~。化石燃料を帝国は

外様の国や外国の会社に依存しているから

利権や独自のエネルギー調達ルートが欲しいわけね。」

「おそらくな。特にユンディー教団は機密性が高い組織だから

足がつかないようにエネルギー物資を調達したいだろう。

帝国の思惑と教団の思惑とが一致しているという点で

かなり注意しなければいけない。

それにシュウから聞いたが

真祖が教団と同調して積極的に動いているらしい。」

「ほう。気まぐれな真祖が積極的に動く理由は四禍の奪還だろうね。」

「ほぼ間違いないだろう。四禍が解放されれば

カンベイン王の統治以前の世界に近づくからな。」

「シュウがカンベインのような勇者なら解決が早いだろうね~。

でも。シュウは暴力はいけないって言って

あたいが攻撃してもやり返してこないんだ。」

「フフフ。シュウは優しい子だから。」

「優しいとは違うと思うな~。

でも、もしカンベインに冗談でも脇腹をパンチしたら許してくれないからな~。

いまの勇者の方があたいは長生きが出来るからうれしいね。」

「シュウが勇者に選ばれたという事はカンベイン王とは

違った形で未来を作る事を創造主は御望みなのか。

それは人が推し量れるものではないか。」

「結局はなるようにしかならんよ~。」

「我が社と魔法学園の連携をより強化して今後に備えたい。」

「りょうか~い。魔法VS科学の戦争にいずれなりそうね。

それはずっと先の事なら良かったんだけれど

勇者がこのタイミングで現れたって事はそれは近いのかな。」

「わたしらは出来る備えはして最善を尽くそう。」

「アイアイサー。ハウルも体を鍛えておきなよ~。」

「おいおい。隠居した老体が前線に出ねばならんのか?」

「また夫婦で仲良く前線に出たらいいじゃん。昔みたいにね~。」

「はははは。鉄火場の仕事はうちの子らに任せるよ。」

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