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選ばれた勇者らしい。  作者: Cookie
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選ばれしもの

 今年の春に中学二年になった田中周三はごく平凡な中学生。


いつものようにカバンに教科書を入れ


学校指定のブレザーを着ると、部屋を出て階段を下り


台所のテーブルに座って母親におはようと声をかけた。



 「おはよう。眠そうね。夜更かししてた?」


母は周三に微笑みかける。



 「う、うん。ゲームしてた。」



 「そう。ゲームはいいけれど寝坊はしないようにね。」



 「気をつけるよ。顔洗ってくる。夕美は?」



 「夕美はお友達が迎えに来て学校に行ったわよ。」



 「そうなんだ。ああ。もうこんな時間だもんな。」



 「寝ぐせ直した方がいいわよ。」



 「ああ。でもいいよ。邪魔臭い。」



 「まぁ。身だしなみちゃんとしないと女の子にモテないわよ。」



 「ん。モテたいと思ってないしいいよ。」



 「モテないよりモテた方が学校が楽しくなるよ。」



 「かもね。でも、いまも学校はそれなりに楽しいよ。」



 「そ。それはよかったわね。」



 母子で会話して朝食を済ませると


周三は学校へと向かった。






 周三は歩きながらふと高校進学の事を考えて


塾に通った方がいいかな。と思った。


だが漠然とした将来にまだ実感が持てない自分もいた。


「まぁ、大学に進学したいと思ってないしいいか。」


たくさん勉強して、もしも頭の良い高校に入ったら


そのあともずっと勉強し続けていかないと競争から脱落する。


俺はそんな頑張り屋なタイプでも無いよなと思った。


まぁなんとかなるさ。という気持ちで


悩むのをやめてマイペースな速度で学校へ向う。


周三の通っているのは普通の公立中学校である。


特に何か秀でてる部活があるという事も耳にしていない。


全国大会に出場するようなスポーツの部活はあるのだろうか。






 周三は自分の教室の入り口の扉を開けると


小学校から変わらぬ顔ばかりが連なる。


中学二年にもなると、誰が誰の事が好きとか浮いた話も


飛んでいたりするが周三は特にはそういう話に興味がない。


周三は自分に関係すること以外は興味がないのかもしれない。


2学年は30人くらいのクラスが5クラスある。


地域の小学校は二校ありその2校から生徒が入学するので


最初は違う小学校出身の知らない顔も多かった。


他校と言っても同じ地域に住んでいるので


すぐ気が合った者同士が地元で一緒に遊ぶようになった。


1年もすれば気の合うもの同士のグループが確立している。


人間関係もある程度は確定しているので違和感はなくなっている。


周三のクラスの女子は16人で男子が14人だから女子が2人多い。



 「坂井奈津美」という小柄でショートカットの女子が


周三に元気良く駆け寄ってきた。


「おっはよー! あっははは。


シュウ あんたは今日も寝癖がひどいな あはははは。」


と坂井は周三の寝癖の髪を優しく撫でながら言った。



 「失敬な!おはよ。」と周三はブスッとした笑顔で返す。



 「眠そうだねぇ。宿題やった?」



 「お、おう。適当だけどな。」



 「ま、あたしも適当だけどねぇ~。」



 「部活はどうよ。」



 「まぁまぁ。後輩が出来たから教えるのは楽しい。」



 「へぇ~。ええやん。」



 「ええよ。シュウは放課後なにしてるん?」



 「ひたすらゲーム。」



 「どんな?」



 「モンスターをひたすら討伐して装備作るやつ。」



 「おもろいん?」



 「おもろいで。


すごく強い装備はドロップ確率が


低いアイテムが必要やからひたすらに


同じモンスターを狩らなあかん。


そやから作業みたいになってストレスは溜まるわ。」



 「え~。部屋でストレス溜めてたらよくないんちゃうん?


お外で体動かして遊んだ方がええと思うなぁ。」



 「体かぁ。


たまにバッティングセンターとか行くで。」



 「ええやんか。今度、連れてってよ。」



 「ああ。うん。そのうちな。」



 「そのうちかぁ。うやむやになりそう。」



 「そうかな。まぁ時間が合えばな。」



 「気の無い返事。


期待せんとお誘い待ってますよぉ~。」



「おお。」



 普段、周三は坂井の発言を少しだけウザく思う事もあるが


こいつを見てるとなんだか気持ちが元気になる。


周三は坂井を嫌いではない。


坂井は周三と別の小学校なので中学に入ってからの付き合いだ。


中学1年の時に同じクラスになって最初に隣の席が坂井だった。


席が隣なのでなんとなく話をするようになって仲良くなった。



 チャイムが鳴り、男性の担任教師が教室のドアを開ける。


「おはようございます。」と挨拶からのHRが終わり


退屈な学校の授業が始まる。


コピー&ペーストな日々に


退屈を感じながらも不満を抱くというほどの


不快感も周三は感じてはいなかった。






 今日もありきたりで終るはずだった。


放課後、帰宅部の周三はいつも通りにまっすぐ家路についた。


商店街を横切り自宅に向かう道で一人の白髪の少年とすれ違う。


最初、周三はその少年を老人かと思った。


そのくらいの真っ白な白髪頭だった。


その少年の顔をよく見ると同い年くらいの顔だちに見えた。


同じ中学ではないよな?と周三は改めて記憶を巡らしたが


白髪な少年は自分とは違うクラスにも存在していないはずだ。


もし同じ学校にいるなら白髪頭が噂にあがらないはずもない。



 周三は何気に立ち止まり後ろを振り返ると


白髪の少年が周三のすぐ後ろに立っていた。



 「おわぁ!」


普段は感情の起伏があまり出ない周三でも


ちょっと大きめの声をあげてしまった。



 少年は周三をじっと見つめる。



 「田中周三、君に渡したい物があるんだ。」


周三は初対面の人にそんな事を言われてもリアクションに困った。


少年はなにやら自分の背中のあたり手でゴソゴソとしはじめた。



 「え?俺に何かくれるの?」


怪訝な顔で周三は首をかしげる。


なぜ初対面の少年が自分の名前を知っているかと


周三は最初、不気味に思った。


しかし、この地域は周三が生まれた時から


ずっと住んでいる地元なので


同世代の少年が自分の名前を知っていても


そこまでおかしくはないと思い直した。



 「えっと、渡したい物っていきなり言われても


俺は君の事を俺は知らんのに


何を渡されても受け取らんで。


だって、なんか怖いやん。」



 その言葉には無言のままで周三を見つめる白髪の少年が


しばらくして口を開いた。


「物と言っても品物ではなくチカラ。」



 周三は意味がわからず宗教の勧誘なのか?と警戒した。



 「実はね。君は選ばれたんだよ。


どう表現すればいいのか。神託っていうのかな。」



それを聞いて周三は、やっぱり宗教の勧誘かと思い


キッパリ断ろうと思った。



 ゴソゴソしてた背中からバサっと立派な2つの白い翼が生えた。



 え!?と驚いて周三は凝視した。


コスプレか!?と周三が思った瞬間。



 バサバサと羽ばたいて少年は宙に浮いた。



 「えーー!?浮いてる!!!」」と叫んで周三は混乱した。


周三は周囲をキョロキョロと見渡して


なんで周りの通行人たちは驚かないんだ?と疑問に思った。



 それを察したのか白髪頭の羽の生えた少年が


「君以外の周囲の人間には私を認識できないんだ。


今、私はそういう術を展開している。


君に与えるチカラが本物であるという認識は


持ってもらわないとと思ったから飛んでみせた。


君たちという人間にとって私という不思議な存在を知ってもらえば


これから与えるチカラというものについて考えたり悩んだりする。


君の考えたり悩むという行動がこのチカラを与える理由の一つ。


では、受け取ってよ。第三の王、勇者のチカラを。」



 宙を浮いている白髪の少年が光ったかと思ったら


周囲の風景が真っ白になった。


周三の体に何か得体の知れない気体のようなものが


大量に入ってきたような感覚があった。


周三は我に返ると、目に前にさっきまで飛んでいた少年が


地面に足をついて立っていた。


あれ?と周三は少年の変化に気づく。


少年の頭が黒髪になっていた。



 黒髪になった少年は周三の目を見つめて


「どのようにチカラを使おうが田中周三の自由。


善とか悪とか人間の法律などは人間のものさしなのだろうけれど


そのチカラはそういう定義に縛られずに自由に使えばいい。」


少年は踵を返すと後ろ向きで周三に手を振った。


しばらくすると少年の姿がぼんやりとして完全に消えた。



 「消えちゃった。どうなってんの?」


なんだかいきなりの事で周三は何にも頭が回らなかったが


自分の体を見渡して軽く足で


地面を軽く跳ねて体を動かしてみる。


なんともなさそうなので


ひとまずは安心したが少し不安は残った。



 「今日は早く帰って寝よう。」


周三は家路を急いだ。






興味を持ってもらえたらそれだけでうれしいです。



ずっと話数を更新していません。


小説を数年放置してしまい話を忘れてしまった><


最新話をいつか更新する予定でいますが


話を思い出すのに少し時間がかかります。


でも、この小説の続きを書きたいと思っています。



 えっと、なんとなく心機一転して


新しい小説を書き始めました。


https://ncode.syosetu.com/n4537hh/

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