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宝石の騎士様5

さすがというか、城の中も清廉されて美しかった。ごちゃごちゃと変な壺とか変な絵画とか変な甲冑とかはなくて、すごくシンプル。この城は外観では分からなかったけど、城の中心に王の庭という場所があり、そこをぐるりと囲むようにできたのがこの城らしい。

囲むの好きだな、ここ…とか、思ったのは秘密だ。


城の成り立ちや、どこに何があるか、など丁寧に宰相は説明してくれている。それに、ミシェレア姉様も侍女のローザやシェリアたちも感激したように宰相の話を聞き込んでいるが……あ、姉様、その小首傾げる仕草かわいいです!

じゃなくて!宰相!オイコラ!おまえ、いつまでミシェレア姉様の手を握ってんだ!!

ミシェレア姉様の、白魚のような滑らかな手を触ってしまえば離しがたいのはよおーく分かる!よおーく分かるのだけど!にしたって長い!!


目の前で穏やかに談笑している姉様を見ると心がほんわかするのだが、、、いかん!視線を下にさげたらいかん!思わず宰相の手から姉様の手を取り返しくたくなるが、ダリオルの言葉が頭をよぎる。宰相自らエスコートして頂くのは非常に光栄なことなのに、それをぶち壊すとなると…さすがに失礼すぎる。だけど、だけど、、、、本音をいうと、その手を離させたい。姉様をエスコートするのは、伯爵、義兄だけだ!それか、姉様の未来の旦那様のみ!私はそれしか認めない!!





「ねえ、ユエリ…ユエン、ここは物語に出てくるお城よりも素敵ね」


「そうですね、ミシェレア様」





その振り向きざまの笑顔!危ない、気を抜くと鼻血が出てしまう…。姉様の笑顔は本当に素敵だな!!……と、いかんいかん。姉様の女神と言わんばかりの笑顔に見惚れてしまったがおかげで、少しスッキリした。姉様に話しかけて頂けたから良かったけど、このままだとこの城にいる全ての野郎を敵に回そうとしていた。姉様の未来の旦那(涙)を探すのが目的だというのに、これでは先が思いやられてしまう。私ももう少し寛容になって、広い視野で姉様のお相手を見つけなければ………………宰相!姉様との顔が近い!!

ギリギリ歯ぎしりしながら、宰相を睨む私を見た宰相つきの護衛騎士たちが警戒して見ていたと気づくのは、また後の話である。















「ここが、ミシェレア様のお部屋でこざいます」



通された部屋は後宮の中でもわりと陽当たりの良い部屋だそうだ。ここの城は全体的に白や青などの色合いが多いのだが、この部屋は淡いピンク色に染まっていて可愛らしい色合いになっていた



「まあ、可愛らしいお部屋ですわ、ありがとうございます、宰相様」



うむ。確かに姉様には淡いピンクが似合いである。宰相、なかなか良い仕事をしたな!(親指をたてる)




お日様のような淡い金の髪をもち、宝石のエメラルドを思い起こさせる瞳を両目に輝かせている姉様は、まさしく春の女神。ふっくらと丸みを帯びた頬は、常にほんのりと桜色で唇はつんと少し上向きになっているのが愛らしい。部屋を見渡して歩く姉様と部屋が見事なくらいマッチングしている。


あぁ、姉様メモリアルNo.523にのせたい…。この姿をしっかりと形に残さねば!!


あとで、姉様に頼んで絵を描く許可を頂こう、、と密かに考えている間にもミシェレア姉様と侍女たちは、各部屋を見てはキャッキャッとはしゃいでいた。




………姉様かわええ、、、、





あらかたミシェレア姉様たちが部屋を見終える頃を見計らって、宰相が部屋の端にある紐をひく。紐は部屋の外につながっているので、どこに続いているのかは分からないが、少ししてから数人の女性たちが部屋を訪れる。皆一様に同じ格好と、頭の後ろがわをお団子頭にしている。どうやら、この城の侍女たちらしい。

宰相いわく、慣れぬ王宮故に分からないことも多いだろうと、侍女をつけてくれるようだった。

姉様は伯爵家から連れてきた侍女がいるので大丈夫だ、と断ろうとしたのだが、宰相から勝手が違うだろうから慣れるまではこちらの侍女もつけたほうがいいと、それはもう、言葉巧みに侍女をつける利点をあげ続けて結局姉様を納得させてしまった。


この宰相は言葉をあやつって相手を自分の優位な位置にまで持っていくことが得意そうだ。さすが、、と言うべきだが、こういう男は苦手だ。あまり近づきたくはない。




「では、分からないことがありましたら侍女たちにお聞き下さい。私にご用がございましたら、こちらの侍女に申し付けて下さればよろしいですよ」


「分かりましたわ。あと、、あの、こちらの右の扉がローザやシェリアの部屋ですわよね?ユエンの部屋はどちらにありますの??」


「ユエン殿の部屋ですか?ユエン殿は、騎士の寄宿舎に泊まっていただきますが


「え?!」





姉様は驚いた時に、大きな目がさらに大きくなって2つの宝石がこぼれ落ちそうなほどになる。それがまた可憐なのだけど、、、、、



ちょっとまてえええええええええ!!!!



何で護衛なのに姉様の近くに部屋がないんだよ!ありえないだろうが!!




「あの、すみません。それだと私はミシェレア様を即座にお守りすることができなくなるのですが…」


「この部屋の前に城の兵士が毎晩護衛につきますので、大丈夫ですよ」


「…私が、ミシェレア様の、護衛騎士なのですが、、、」





何で他の野郎なんかに護衛させなきゃならないんだよっ!!何のための護衛騎士なんだ!姉様のもとを離れず、姉様にまとわりつく害虫(野郎たち)を駆除しつつ、姉様の伴侶にふさわしい幸運な男を捜しにきたのに!姉様から離れたら意味ないじゃないか!




「でも、ユエンは私の護衛騎士、ですし…傍にいたほうが私も安心なのですが…」




姉様が不安そうな顔で私を見ている。

大丈夫ですよ!姉様!私は姉様のもとを絶対に離れませんから!





「宰相閣下、私は伯爵家からミシェレア様を常に護衛するよう申しつかっております。なので、私とていついかなる時もミシェレア様をお守りできるように、傍にいたいのです」



「貴方の騎士としての心は分かりますが、ここは精霊様がお守りくださる鉄壁の城ですから、賊などの心配もいりませんし、魔幻(まげん)が発現することもありません。それに、貴方には日中はミシェレア様をお守り頂きますが、さすがに身体はひとつ。一日中警護につくのでは、身体がもちますまい。夜は城の兵士にまかせ、貴方も身体を休める時をつくったほうがよいでしょう………そうは思いませんか?ミシェレア様」




どこで息継ぎしてんだよ!と、突っ込みたくなるような口上だが、私には立て板に水!姉様のためならこの身体ひとつくれてやらああ!!、お思っていたのだが、最後に話を降られたのは成り行きを見守っていた姉様。

え、姉様、なんで宰相の言葉にうんうん頷いているんですか。





「まぁ!私としたことが配慮が足りませんでしたわ。私、ユエンと離れたくなかったのだけれど、それだとユエンが身体を壊してしまうわね、、、」





えええええええええええええええ!!!

姉様!そんなやつの口車にのせられてはいけませ、、、、




「ユエン。私は貴方と、すごく一緒にいたいのだけれど、貴方にも休息は必要だわ。ちょっとお部屋が遠くなるけど、そこだと貴方もゆっくり休めるわね。…それに、騎士の寄宿舎は個人用だから一応男女共有なんですって。姉さん、それも心配だったから良かったわ」




前半はキラキラと眩しい笑顔で告げられ、後半は声を潜めて茶目っ気っぽく伝えられる。




わあ!姉様の表情がくるくる変わっていって、どれも素敵だなあ、って、、、、








姉様と離れるなんて、、

全然良くないですよおおおおおおお!!









次回から騎士たちを出していきます!王子さまは、いつ出るのやら(笑)

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