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宝石の騎士様2



説明しよう。我が国の王子様、シルフィール様は偉大なる陛下の三人の息子のうち、第一王子で王位継承第一位のありがたーい地位にいる方だ。聡明ではあるけれど、お身体はそれほど丈夫というわけではないようで、あまり公式な場に姿を現したことはほとんどないらしい。だが、魔法の才は非常に優れているらしく、まるっきし戦闘がダメというわけでもないという。そんなシルフィール様は御21歳となられるわけで、まあ、結婚適齢期なのだ。そういうわけで、王子もそろそろ妃を決めなくてはいけないということで、今、社交界で最も注目を浴びている(ここ重要)ミシェレア姉様に白羽の矢がたったそうだ。変なとこに矢をたててんじゃねーよ、とか思うが、まあ姉様の注目度を考えると仕方ない。というか、声をかけなかったら、阿呆というものだろう。・・そこ、めんどくさいとか言わない


ミシェレア姉様から婚約の話を聞いてから、すぐに伯爵をとっちめに・・・あ、ちがう、その、話を伺いに言った。執務室を壊す勢いで、とは言わないものの突如乱入した私に伯爵は驚いた顔をしていたが、私が婚約の話を出すと、あー・・と、罰が悪そうに頬をかいた。なんでも、陛下と伯爵は若い頃に学びを共にしたいわゆる学友というものらしく、年頃のシルフィール様の婚約者を決めかねていた陛下に、ポロッとミシェレア姉様の話をしてしまい、それを聞いてミシェレア姉様に興味さ陛下が、シルフィール様の婚約者候補として、ミシェレア姉様の名をあげたらしい・・・・伯爵、いっぺん川に落ちて流されてこい。

だが、まだ婚約者候補という段階。ミシェレア姉様の他にも有力貴族の娘たちが候補として城に参内するらしい。そして、その中から正式な妃を選ぶそうな。ミシェレア姉様ほど、慈愛に溢れ教養もあるお方はいないだろう。呼ぶだけ無駄というものだが、これは、もしかしたらチャンスかもしれない、とおもいたった。


城といえば、有能かつそれなりの家柄の男子たちが集まっているはず。そこで、ミシェレア姉様にとって良い男を探せばいいのではないだろうか?もちろん、ミシェレア姉様が王子様とやらに好意を寄せたら、他の婚約者候補たちを蹴落としにかかるが。要するに、姉様の相手探しをしに行くのだ。うん、それがいい、そうしよう。たまにミシェレア姉様は夜会などにも出ているが、周りにいる貴族の子女よりも、圧倒的に出ることは少ない。おかげで、"幻の月夜姫"などという名前までつけられていると聞いたことある。恥ずかしい名前だが、ミシェレア姉様には似合いの言葉なのでよしとしよう。さてさて、腹をくくった私だが、そのあとが大変だった。



「だから!私もミシェレア姉様と一緒に王宮に行きます!」


「それはダメだ!絶対にダメだ!ミシェレアも行ってしまうというのに、ユエリナまで行ってしまえば寂しいだろう!私が!」


「そんなの知りませんよ!私とミシェレア姉様が離れることなどありえません。私はミシェレア姉様付きの護衛騎士として城に行きます


「護衛騎士とはいっても、ユエリナ、君はまだ14歳だろう!そんな子供が、ユエリナの護衛騎士として城に行けるわけない!」


「今年で15になります!それに、私はもう子供じゃない。私は姉様と一緒に行きますから!」


「ダメだダメだダメだーーー!!!ユエリナは、私と一緒にこの屋敷でお茶したり、たまに町で買い物したりするんだ!」


「己の欲だろうがぁぁぁあ!!!」





激しい攻防戦が続き、声を聞いて駆けつけた執事や義母によって、なんとか話をつけることができた。義母も私がミシェレア姉様と一緒に行くことに最初は反対していたが、一緒に行けないのなら、この屋敷を出てミシェレア姉様に雇ってもらって無理にでも王宮に入る!と宣言した私の本気を、悟ったのか今だごねている伯爵を説得してくれた。ただし、説得したされたとは言っても簡単には行かせてもらえない。二人とも私の護衛としての腕に関しては問題ないらしい。と、いうのも、私はこの屋敷に引き取られてから、たまたまこの屋敷に遊びにきたガルダ爺という流れの剣士(しかし、伯爵の剣術の師匠らしい) から、剣の手解きをうけ、そのままガルダ爺と3年ほど武者修行の旅に出ていたのだ。ガルダ爺は、私に剣士の才能ありと見込んで色々と教えてくれた。本当に、色々と、だ。

故に、ガルダ爺から手解きを受け続け3年前に帰ってきた私の腕はそれなりに信用はされているようだ。(まず、この屋敷にいる騎士たちより私の腕のほうが強いことは、前に立証された)


では何が問題なのかというと、私の年齢と、そして性別らしい。王宮にも女性騎士は何人かいるが、それでも圧倒的に数は少ない。騎士は争いがつきもの。だから、女には荷が重いと思われているのが、騎士なのだ。私は数少ない女騎士で、年齢もまだ成人していない14歳。成人していたら、また違うのだが成人していない女の騎士は、非常に疎まれ、蔑視される傾向にあるという。ちなちに、この国では男は13で成人、女は15で成人と見なされる。だから、私の年齢は成人にギリギリ届いていないのだ。


二人が心配してくれるのは嬉しいが、私にだってこれは譲れない。どうしたものかと考えていた時に、不意にピーンと頭が光った。いや、実際には光ってないけどね?ほら、比喩的な意味でね?




「男装すればいいんだ!」


「「は?!」」





我ながら素晴らしいアイデアだと思ったのだが、それを聞いた伯爵夫妻は目を丸くして驚いていた。そのあと、ものすごい勢いで、否定されたが私にはこの考え以外に良いものはないと思っていた。男だと13が成人とされているので、騎士となっても問題はないはず!それに、女騎士だと何かと面倒ごとが起こりそうなので、ミシェレア姉様に迷惑をかけてしまうかもしれない。それは由々しきことなので、絶対に避けたい。ならば、男のふりをして騎士をすれば全て解決だ!うむ、我ながら名案だ!




「ユ、ユエリナ?それは、まさか本気でいってるのかい?」


「本気も本気。すごーく本気ですけど」


「で、でもでも、ユエリナ?貴女はれっきとした女の子なのよ?いくら何でも男のふりをするなんて・・・」


「師匠と旅をしていた時も男のふりをして過ごしていました。私は背も高いですし、身体もどちらかというとゴツゴツしてるんで問題ないです」





話せば話すほどメリットしか感じない。うん、男装。いいじゃないか!





「そんなのダメよ!ユエリナは女の子なのよ?それをわざわざ男の子のフリなんて!危険すぎるわ」


「女だってばれなきゃいいですよね?問題ないです、大丈夫です。といわけで、この話は終わりということで」


「ちょっ、ちょっと待つのだ!ユエリナ!もう少し話を・・・・!」


「出発は明日なんですよね?準備があるので、あまり悠長に話してられないのですけど、伯爵」


「そこはお義父様と呼べといつも…」


「話がないのなら失礼します」


「待て待て待てーーーーい!」




それから、とやかく伯爵夫妻から考え直せとか、少し短絡的すぎる、もっと慎重に考えよう。とか言われたけれど、私が意思を変えるつもりはないと言うと、渋々だが諦めてくれた。まあ、諦めてくれなくても、強行突破するつもりではいたけど。

そういうわけで、無事にミシェレア姉様との王城入りを果たすのである。ミシェレア姉様に素晴らしい幸運を与えてくれる男性を探して見せる!!











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