ギルドで揉め事
子供パーティー『コクーン』が誕生して活躍しだしてから変わっていった者達がいた。普段から子供達のお世話をして貰っていたシングルマザー達だ。自分達の力でどんどんと成長していく子供達の姿を1番間近で見ていた彼女達は次第に子供達のお世話だけでなくお店の手伝いや製品の製造までも行い、そして冒険者まで一緒にするようになった。
冒険者は危険と隣り合わせな職業で更に安定しない代表的な職業だが当たればデカい。そこに虹鎖のメンバーからのサポートがあればかなりの後押しになるだろう。そして元々中級冒険者だったママさん達を中心にパーティーが組まれる事になった。冒険者ギルドでは危険な職業ということと荒事が多いのでどうしても男性の比率が高くなりがちだ。ここに妙齢の女性がギルドに訪れるようになると当然のように沸いて出てくる虫がいる。
「オネーチャン、俺らと一杯やろうぜ」
「俺らとチーム組まない」
「色々と俺達が教えてやるぞ」
大体はこの辺りの誘い文句だ。うだつが上がらない初級から中級冒険者だ。ラルフやクライスやハビルなど本物の冒険者を見ている彼女達は誘いを受ける事は絶対にない。いくら声をかけられても元々知らない人だしましてや亡くなった元夫の知り合いとか親しかった人も未亡人になっていたママさん達を何とかしてあげようと言う人はいなかったし下心しかない人ばかりだった。だから今更感が凄くあり全く相手にしなかった。というか、リーダーのラルフから「皆は俺達の家族だからな。」と言われていて、心細かったのが嘘のように毎日が楽しくあの絶望の日々に戻りたくない。シングルマザー達は皆同じ意見だった。
そうしたら散々誘ってたクセに周りから「お高くとまってる」「勘違いしてる。」「ブスのクセに」など罵倒されてしまった。やっぱり男達から罵倒されると恐くて弱くなってしまう。何人か恐くて震えて泣いてしまった。最後まで抵抗してたママさんも下を向いて涙を堪えてた。
今日は少し遠くのダンジョンに行っていた子供冒険者パーティーコクーンのリーダーサムと副リーダーのリンカ達数人が冒険者ギルドに換金の為に立ち寄った。入り口から入ると人だかりになっていた。人を掻き分けて入ると見知ったお姉さん達がおっさんに良いように罵倒されていた。お姉さん達は孤児である自分達に優しくしてくれた人や、真剣に剣術を教えてくれた人や、勉強の大切さを何度も俺達に説き一緒に勉強してくれた人も。仲間の1人が周りで見てた野次馬から話しを聞いて事情を知った。その瞬間、全員が魔闘術を使いお姉さん達を庇いながらおっさん達を殴った。
「お前ら、俺達の母ちゃんの代わりをしてくれてる姉ちゃん達に何してくれてるんだ」サムを筆頭に全員がブチ切れておっさん達がほぼボロ雑巾のようになっていた。唯一何とか理性が残っていた副リーダーリンカが止めて事なきを得た。
リーダーであるラルフはお店でハンバーガーを売っている所だったがギルドから急に呼び出しがあった。何か子供達がやらかしたと職員から聞いた。ギルドに着くとギルド内はそこら中穴が空きおっさん達が転がってウチのシングルマザー達は泣いていて、子供達はキレていてリンカが抑えてた。「どういう状況なの?」
「偉い。お前達。俺は感動したぞ、良く家族を守った。」1人1人子供達の頭を撫でてやった。シングルマザー達には「恐かったろう。もう大丈夫だ。」1人1人に声をかけて背中を摩る。
「何の騒ぎだ」小太りで偉そうなおっさんが2階から降りてきた。ギルド員から事情を聞きハァと溜息をつき子供達に向かって
「建物を壊した。弁償しろ。」
「なんで?ってかおじさんは誰?」俺は偉そうなおじさんに聞いてみた?
「この町のギルド長だ。」
「あっそう、んで何でこのおっさん達が絡んで来たのにこっちが払うの?ギルド長」
転がっていたおっさんの腹を蹴る。
「暴れたのはお前達だろう。だからだ。」
「違うよ。このおっさん達が弱すぎだから。弱すぎてふっ飛んで穴を開けた。冒険者なのに子供達に負けた情けない奴ら。女の子達を泣かせて喜ぶ変態さん達ですよ。何で庇うの?お金でも貰ってるのかな?弱味でも握られてるの?でもね、昼間からお酒飲んで女の子達に絡むしか出来ないような奴らを庇う理由は何?」
「ウルサイ、ワシが決めた。文句があるならギルドは使わせないぞ」
「それでいいんだな?オッケー、了解だ。皆帰るよ。」白金貨(一千万キラ)をカウンターに置いてドアに向かう。帰るときに一瞬殺気を飛ばした。ギルド長は腰を抜かしてた。
「私たちのせいでギルド使えなくなってごめんなさい」シングルマザー達は謝ってきた。
「イヤ、俺達が暴れたりしなければ。」子供達も反省してた。
「何を言ってるんだ?皆は家族の為にやった事だ。だから気にするな。こういうのを何とかするのがリーダーとしての俺の役目なんだ。お前達は迷わず困っている家族達を助けてやってくれ。まあ、今後の処理は任せて君たちのリーダーである俺を見ていてくれ」




