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五話 異域傾向・機界《マキナ・ゲート》

 

 キリキリキリ。


 まるでゼンマイを巻くような擦れた金属音……そんな風景を一瞬幻想したが、実際は蜘蛛の形をした機械式の化け物の関節が軋む音である。

 胴体部分についた単眼が怪しく輝き、直後に目の大きさと同じくらいの太さの光線を放った。


「ウォォォォ! シールド!」


 そのビームを、黒い筒状のデバイスを握り込んだ男が正面から受ける。彼の前には、魔力で構成された盾のような壁があった。

 その盾をわずかに斜めにむけて、蜘蛛ロボから放たれた光線の軌道を逸らす。と同時に、盾の男の後ろから二人ほど男が飛び出した。

 彼らも同じように黒い筒状のデバイスをそれぞれ握り込んでいて、駆動音と共に僅かに体が発光させた。


 身体強化パラメータだ。

 ぐん、と加速して蜘蛛ロボに接近する。


「「ブレード!」」


 左右に分かれて回り込み、デバイスの先から魔力の刃を生成する。その刃で蜘蛛の八本足の内一本ずつをそれぞれ関節当たりを狙って突き出す。

 見事突き刺さり、刃が刺さった傷からはバチバチと紫電が走る。だが、これで潰せていたとしてもまだ八本のうち二本だ。


「どきなぁっ! 炎刃エンジン!」


 二本の足を損傷した蜘蛛ロボが僅かに体勢を崩した時、それを見越したようにどこからか大柄の男が飛んできた。

 彼は片手にデバイス、もう片方の手に斧を持っている。デバイスを介して発動した魔法は、その手に持った斧に燃え盛る炎を纏わせた。


 そして、叩きつけられた斧は蜘蛛ロボの胴体を焼き切るように溶かし斬る。その一撃で蜘蛛ロボは完全に沈黙した。

 しかし最初に攻撃していた三人の男達と、後から現れた斧男は別のグループらしい。蜘蛛ロボが残した資源の取り分を巡って揉め始めていた。なんとなくどこかで見た光景な気がする。


機界マキナ・ゲートタイプの異域アウターゾーン〜。これはでかいシノギになるぞぉ」


 その様子をぼんやりと見つめていた俺の横で、ウキウキとメメリュが横でバットを振り回している。新しく生まれた異域アウターゾーンの話を聞いてからなんだか上機嫌なのだ。


「機械系の資源は、結構な割合でデバイスの材料になるから高く売れるんだよ」

「あの人達揉めてるけど、横取りしようとかは言わないんだね」


 ニコニコと歩き出したメメリュに、ふと思ったことを言うと、振り返った彼女はちょっと嫌そうな顔を浮かべた。


「前のやつ、めっちゃ怒られたんだよね」


 そりゃそうだろ。

 前のやつとは、所有権で揉めてたハンター達から魔剣を掠め取ったアレである。

 俺はむしろあんな無法がちゃんと怒られることに安心した。まぁ……怒られるで済むんだぁ、という気持ちもあるが。




 *




 遡ること数時間前。


 その日、異域アウターゾーンの発生をギルドから聞いた俺たちは早速そこに出向いた。遠くから見た異域アウターゾーンは黒い半球状のドームのようなものに覆われており、異域管理局の人達がその周囲に規制線を引いて出入りを制限していた。


 俺達、簒奪者ハンターは異域管理局の人達が用意した『入り口』にダラダラと集まり、管理局の許可が出次第、ゾロゾロと中に侵入していくのだ。


 まぁもちろん、ドーム状のどこからでも中に入ることはできるのだが、それをすればギルドからの評価は下がるし、資源の買取価格も下げられてしまう。

 ハンター登録をしていなくても異域アウターゾーンには入れるが、そのメリットは特にない。


「おっ、今回は機界マキナ・ゲートらしい。結構稼げそうじゃん」

「マキナゲート?」


 横に並ぶメメリュが伸びをしながら聞き慣れない言葉を口にしたので、反射的に聞き返してしまう。

 俺の問いにメメリュは困ったような顔を浮かべ、うーんと悩むそぶりを見せる。


「説明がめんどいな……異域アウター・ゾーンっていうか異世島いせしまには……なんていうんだろ、それぞれが属する性質っていうか……」


 歯切れの悪い言葉に、俺はまた後で調べようと諦めることにした。


「まぁとりあえず、機界マキナ・ゲートは動く機械がいっぱい出てくる感じのとこー」

「動く機械? ロボットってこと?」

「そうそう、なんかそんなんだよ、そんなん」


 進み出した列。メメリュとそんな会話をしながら流れに沿って俺達も進んでいく。


「おっ、メメリュじゃないか」

「げっ」

「うわ……本当に双子みたいなのがいる」


 ふと、横合いからそう話しかけられた。隣の列に並んでいた三人組だ。男二人に女一人の、全員若いハンター達だ。メメリュの知り合いなのか、シュッとしたイケメン男がにこやかに第一声を放つと、それに続いて女が嫌そうな顔して、最後にガタイのいい強面の男が俺を見て幽霊を見たような顔をする。


「ああ〜? なんだ『レイクスと二人の従者達』じゃん」

「もう! その名前やめてよ! も〜! あんたが賭けに負けるからぁッ!」

「ごめんて。でももうそれで正式パーティ名申請しちゃってるから、メメリュからそう呼ばれるのも致し方ないんだよなぁ」


 だれだ、だれだ? そう思っているうちにメメリュと彼らは仲良さげに話を進めていく。混乱している俺に、ガタイのいい男が見た目に反した面倒見の良さで俺に補足説明をしてくれた。


「お前、メメリュから俺達のこと何も聞いていないんだろう。実は昔、パーティ名を決めようとしてた時にコイツに絡まれてな……コイツとの賭けに負けた俺達は、『レイクスと二人の従者達』ってパーティ名で活動させられることになったんだ」


 疲れたような顔でそう言ったガタイのいい男に、俺は納得して頷いた。


「つまりメメリュが悪いんだろうなってことはわかった」

「おい! どういうことだミィロ!」


 プリプリと怒るメメリュを無視して、そもそもの疑問を俺は口にした。


「それで? レイクスってのは誰なの?」


 俺の問いに、キョロキョロと『レイクスと二人の従者達』パーティの三人はあたりを見渡し、誰かを探し始める。


「あ、いたいた」


 イケメン男がお目当ての人物を見つけたのかどこかを指さしている。その先を追うと、そこには別の列に並ぶ黒装束でスカした笑みを浮かべている男がいた。

 俺は首を傾げた。ガタイのいい男が補足説明をしてくれる。


「あいつはソロ活動へのこだわりが強い男なんだが、当時俺達と同じ酒場で一人飲んでいてな。そこを『いつもスカしたカッコつけだよな』とか言い出したメメリュに絡まれたんだよ」


 俺は更に首を傾げた。

 つまり、どういうことだ?

 イケメン男がにこりとして言った


「彼がレイクスだ」

「このパーティに全然関係ない人ってこと!?」

「そうだよ」



 ちなみに後で聞いたところ、彼はソロなのに『レイクスと二人の従者達』と同じランク5になれた強者らしく(基準は知らないがすごいらしい)、かつソロハンターであることに異常に拘りがあるらしく(かっこいいから)、勝手に名前を使われたことに憤慨して苦情を言いにきたことがあるらしい。


 賭けに負けてその名前をつけざるをえなくなったパーティメンバーは、即座にメメリュの事を売ったらしい。その後すぐに、それはすごい剣幕でメメリュの元へ来たそうだ。


「それで? メメリュはどうしたの?」


 メメリュはランク3のはずだ。それより上のランク5ということは、メメリュより強い……と考えていいだろう。

 しかしメメリュは、拳をブン、と一振りした。


「ああ、うざいからぶん殴ってやったよ」


 俺は『レイクスと二人の従者達』の方へ首を向けた。彼らは、こくりと頷いた。


「彼は強いけど、一撃で酒場の壁に埋まってたな」

「勝手に名前使われた被害者なのにかわいそうだった」

「ちなみに、メメリュのランクが3なのは素行が悪いからだ」


 俺はメメリュの方へ向き直した。


「誰と会っても第一声が『げっ』なのは、つまりそういうことなのね」

「何が言いたいのかな、ミィロちゃん?」


 俺コイツと行動を共にしてて大丈夫なのかなぁ?




 *




 と、いうわけで。

 異域アウター・ゾーンに入る際には、パーティごとにバラけた地点に転送されてしまうので、『レイクスと二人の従者達』とはそれっきりとなってしまった。

 便宜上、転送とは言ったが……詳しいことはわかっていないらしい。転送直後に目の前が宝の山であることもあれば、化け物達に周囲を囲まれていた……なんてこともあるらしい。


 じゃあ俺達は、というと。

 開けた場所で他のハンター達もいる中に転送された。


 というわけで冒頭に戻るが、周りで既に敵ロボット達と資源を奪い合うハンター同士のドンパチは始まっているので、わざわざ他ハンター達と競合する理由もない俺達は場所を変えることにした。

 ふらふらと気の向くままに歩き回る。機界マキナタイプの異域アウター・ゾーンとやらは、地球よりも機械技術が進んだような雰囲気の街並みだ。


 立ち並ぶビル群……荒廃しているため半ばからへし折れたものが目立ち、高さこそ地球文明の方が勝っているように見えるが元々は地球文明なんて目じゃないくらい、発展していたであろうことが伺える。

 今俺たちが歩いているのは車が走るための道路のようなところだが、見渡す限りでも殆どが草木の自然に呑まれつつある。それでも建物や道路からそういった雰囲気の名残がビシビシと伝わってくる。


「この異域アウター・ゾーンって、実際にどこかの世界に存在してたとこなんだっけ?」


 俺の問いに、メメリュは首を傾げた。


「どうだったかなぁ。どこかの世界の再現だったり、ミィロが海を渡って異世島に来たみたいに実際存在する『世界』が繋がってたり、いろんなパターンあった気がする」

「へぇ〜」





 チチチ。

 キチキチ。

 ギギギ。


 周囲から聞こえてくる何か硬い物が擦れたり噛み合ったりするような音。メメリュとフラフラ歩きながら気まぐれで侵入した建物の中で、薄暗い室内に幾つかの光球が浮いて見える。


機界マキナに出てくる機械兵士かな、あのビカビカ光ってる連中、全部そう」


 メメリュがどうでも良さそうに言う。俺は少し周りを見渡して、とりあえずデバイスを取り出した。


「数えようにも、両手の指が足りないんですけど?」

「豊作じゃん」


 バットを肩に担ぎ好戦的な笑みを浮かべたメメリュ。静かに高鳴るデバイスの駆動音、同時に耳をつんざくような発砲音。機械兵たちから放たれた銃弾が、俺たち二人に向かって数え切れないほど降り注ぐ。


 ガッ、と。メメリュに首根っこを掴まれると、彼女は平気な顔をして俺を持ち上げその場から飛び退いた。

 地面に銃弾が突き刺さると同時、俺達を囲んでいた機械兵たちの一角に飛び込みメメリュはバットを振るう。

 金属がひしゃげる破砕音が空気を震わせ、そこでようやく俺も覚悟を決めた。


身体強化パラメータ起動オン!」


 メメリュの背後から迫る機界兵を足裏で蹴飛ばす、強化された俺の身体能力はまるで発泡スチロールを蹴り飛ばすような感覚で機械兵を吹き飛ばした。そして、追い打ちをかけるように俺は叫ぶ。


星弾シューティングスター!」


 バレット系統の魔術だ。チカリと瞬き、魔力で構成された光の弾が機械兵を貫く。


 僅かに感じる達成感を噛み締めながらも、まだまだ夏の虫のように沸いてきた機械兵達が残る現状に、気を引き締めろと自身を叱咤する。


 まるで掘削機のように機械兵を薙ぎ倒していくメメリュを横目に、俺はちまちまと機械兵たちを倒していった。




 やがて、建物の中にいた機械兵たちを一掃すると、次に待っているのは成果物の剥ぎ取りである。

 モンスターを狩って素材を剥ぎ取るゲームよろしく、資源には価値のあるものとないものがある。


 だが、メメリュはその辺があまり詳しくなかった。


「こんだけ倒したのはいいけど、どこ持ってけば得なのか分かんないんだよね。そもそもこんなに持てないし」


 やっぱデカいの潰して、その『核』だけ売り捌くかぁ? とか言い出したメメリュに呆れながら、俺は登録時にギルドから貰っていた『よく分かる資源簒奪ハント』と書かれた資料を開き、『機界マキナ・ゲート傾向編』という部分の章を見て、そこに書かれていた機械兵から取れる価値のある資源を狙い見様見真似で機械兵たちをバラしていく。


「あー、それ私読んでないや」

「お前も手伝えよ!」


 倒した機械兵はかなりの数だ、その全てを無駄なく持ち帰ることができるならそうしたいが、俺達の持てる量には限りがある。

 カバンのようなものは持ってきたが、そこに入る量なんてたかが知れているのだ。


「こう、なんかアイテムボックスとか、時空鞄とかにマジックなんちゃらとかルビ振る感じの、見た目よりめっちゃ入る鞄とかないの!?」


 解体開始後数十分。

 既に持ってきた鞄にギューギューと詰める羽目になっている。異世島には、四次元ポケットみたいなアイテムはないのだろうか?


「あるけど、そんな容量変わんないしあっても大して意味ないよ」

「あるのはあるんだ」


 しかし現実にそんな美味しい話は転がっていないらしい。


「要は術式刻まれた物じゃん? だから実質デバイスみたいなもんなんだよ」

「……あぁ、確かマジカルデバイスって二つ以上持てないんだっけ」


 異世島の『絶対界法マスタールール』の一つだ。“基本的“にマジカルデバイスでしか『魔法』をはじめとした『異能』を発揮することができず、人間一人に対してデバイスは同時に一つしか扱えない。

 次元鞄アイテムボックスと呼ばれる見た目以上に物が入る鞄も、要は『異能』もしくは『魔法』を発揮したマジカルデバイスという判定になり、それを所持している間は他のデバイスを使用することができない。

 そして、手放した時点で術式が解除され、中身はぶちまけられる……だとか。


「じゃあ、荷物持ちを連れていけばいいじゃん」

「実際そうしてるパーティとかクランはあるよ。守るの面倒だし、行動にも制限かかってくるし、まぁなんにせよメリット薄々よ」


 せっせと成果物を鞄に詰める俺を横目に寛いでいるメメリュと雑談をしながら、今日はもう切り上げるかと三つくらいあった鞄のうち二つを彼女に押し付ける。


「なんで私が二つなんだよ!」

「うるせぇ! 剥ぎ取りしたの俺なんだからこれくらい持て!」

「剥ぎ取りってなんだよぉ?」


 ギャいのギャいのと揉めながら出口を目指して歩いていると、物陰から飛び出してきた小さい影───と言っても今の俺より頭ひとつ分小さいくらいだが───とぶつかってしまった。

 それなりに重い鞄と強靭なメメリュと同じ身体を持つ俺とぶつかって、もちろん吹っ飛んだのは相手の方だった。


「ありゃ、ごめんなさい」


 即座に謝り手を差し出してようやく気付くが、その相手は華奢な身体の黒髪の少女だった。俺が吹き飛ばしてしまうのも致し方ないと言える小柄な子だが、頭の片隅に何やら違和感を感じた。ぶつかった時の感触と目の前で不安そうな瞳をしている少女と繋がらない。

 とはいえ一瞬のことだったので、気のせいだったのかもしれない。


「い、いえ、大丈夫です」


 少女が顔を伏せながらそう言って、ほぼ無意識の行動だろう……俺の差し出した手を握り立ちあがろうとする。


 その時、ビビッと何か直感めいた感覚。

 脳裏によぎったのは『とある少年』。同時に、かつて過ごしたあの教室と、彼らの着込む制服が───




 手を握り合った二人で、ハッとして。

 急に動きを止めた俺達にメメリュが不審な目を向けているのを勘付きながらも、俺は訝しげな目で目の前の少女を見つめる。


「ご、ごめん!」


 しかし少女は突然周囲を気にし始めたかと思うと、パッと俺から手を離してそう言うとそそくさとその場を去った。

 まるで何かに追われているかのように、切羽詰まった雰囲気だった。俺が離れていくその小さな背中をぼんやりと見つめながら呆然と立ち尽くしていると、メメリュが痺れを切らせて顔を覗き込んでくる。


「なに? 知り合い?」


 俺は、少し考えて……


「いや、わからん……」


 正直にそう答えた。






 TIPS


 ・簒奪者ハンターとは


 異域アウター・ゾーンと呼ばれる時間も空間も超越した異次元空間から『資源』を持ち帰り、異世島に貢献することを生業とした者達のこと。

 どんな後ろ盾がなくても、どのような経歴でも、資源さえ持ち帰ればハンターになることができる。


 ランク1〜10まで区分されており、企業や団体からの認定を受けていないハンターは精々ランク6が限度であり、野良ハンターと呼称されることもある。

 主に異世島において底辺職として扱われるのは野良ハンターのことであり、認定ハンターとは別物として考えられていることが多い。

 しかし、異世島の外の人間からはそんな事情はよく分からないだろう。


 ランクとは、単純な『能力』ではなく『信用度』の数値化と言えるため、例えば異世島の外へ限定的に出る為の『魔力封印措置』等の特殊措置は、野良ハンターでは“基本的”に辿り着かないランク7以上に設定されている。



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― 新着の感想 ―
強盗はダメだよ?メッ! で済むとか完全に世紀末幼稚園じゃねぇかよ倫理レベルw ところでミィロはこの島に永住する気なのかね? 隣にいる遺伝子レベルで同一の血の繋がっていない最近知り合ったばかりの双子の姉…
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