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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パニック関連

社会秩序に則り

 どかん、どすん。

 家の中で大きな音が鳴り響く。



 中では少年が無言でテーブルを振り回していた。

 母親がその度に吹き飛んでいく。

 既に何カ所も叩きつけられていた。

 足は真っ先に狙われ、逃げる事も出来ない。

 そんな母親に少年は容赦なくテーブルを叩きつけていった。



 全ては反撃によるものだ。

 少年が子供の頃から受けてる仕打ち。

 暴言・罵倒・暴力。

 これらを黙って受けていたのだが。

 さすがに何年も続けば堪えられるわけがない。

 とうとう反撃に出た。



 最初は母親だった。

 この親がまずろくでもない。

 罵倒などの暴言、それに伴う殴る蹴るの暴行。

 これらを加えられていた少年を一切かばう事が無い。



 それどころか、普段から少年の素行が悪いという嘘をそのまま受け取っていた。

 家でも常に少年を叱る、怒鳴る。

「大人しくしてなさ!」

「どうして大人しく出来ないの!」

 このくり返しである。



 大人しくしてるのは少年だ。

 暴言にも罵倒にも耐えていた。

 それが我慢できなくなると爆発したが。

 それは当然の結果。

 まず、暴言や罵倒などの悪口を言ってる方が悪い。

 だが、そちらは全くおとがめ無し。



 それで叱られ反撃もしなければ、より派手に悪口を言う。

 大人しくしてれば、今度は殴り蹴られる。

 舐められてるのだ。

 だから反撃するしかない、

 しかし、それを周りの大人はしかる。



 特に母親や女教師は少年を敵視した。

 なぜ暴れるのかと。

 先にやってきたのは周りのクズ共なのに。

 その事を言えば、

「口答えするな!」

「手を出した方が悪い!」

となる。



 つまり、悪口などの暴言はいくらやっても良いという事だ。

 なんでだろうと考え続けた少年は、この答えに時間をかけて辿り着いた。



 暴言は許され、暴力は認められない。

 おかしな話である。

 どちらも暴が付く悪事なのに。



 ただ、そうだと分かると少年の気持ちは落ち着いた。

 怒りが消えたわけではない。

 だが、なぜだろうという思考からは解放された。

 それ以上考える必要がなくなり、脳の負担が減った。

 余計なストレスが無くなった。

 気分がその分軽くなった。



 そうなると別の考えも浮かんでくる。

 なぜこうも暴力が認められてるのか?

 なぜ加害者共は追求される事もなくのうのうとしてるのか?



 時に加害者も叱られる事もあった。

 だが、その時は被害者の少年も叱られていた。

 喧嘩両成敗とかいう馬鹿げた考えを理由に。



 成敗されるのは悪さをした方だけだ。

 なぜ被害を受けた者まで叱られるのか?

 その理由として、時に反撃したからとか言われたが。

 反撃など当たり前だ。

 攻撃を受けたのに、なぜされっぱなしでいなければいけないのか?



 そこまで考えて少年は答えに到達した。

 世の中、加害者が偉いのだと。

 加害者は何をしても良いのだと。

 被害者は被害者のままでいなければいけないのだと。

 反撃せず泣き寝入りしなくてはならないのだと。

 そうでなければ、少年がしかられる理由が成り立たない。

「そういう事か……」

 納得した少年は、やるべき事を理解した。



 母親をいたぶってるのはその為だ。

 被害者である少年をいたぶってる女。

 身近にいるこれをまずは処分しなくてはならなかった。



「なん……で……」

 疑問を口にしてきたが、おかまいなし。

 少年は目の前の敵を叩きのめす。

「死ね」

 呪詛も吐きながら。



「死ね、殺してやる」

 今までの恨みがある。

 自分を虐げ、敵をかばってきた女だ。

 敵の協力者であり、共犯者である。

 生かしておけない。



 生きていれば、この先も害をもたらす。

 なにせ敵なのだから。

 ずっと少年に害を与えてきた。

 身を守る事すら止めていたのだから。

 このまま放置していたら、この女に殺される。

 直接手を下す事はなくてもだ。



 加害者への反撃をさせない。

 唯々諾々と攻撃を受けさせ続ける。

 そうすれば、いずれ死ぬ。

 死なないまでも精神的に死ぬ。

 廃人になる。

 そこまでいかなくても、何もしない無気力な人間が出来上がる。

 そういう人間を作るつもりなのだ。

 でなければ、母親という生き物が行ってる事の説明がつかない。



 そんな母親に少年は反撃していく。

 自分が生きるために。

 命だけではない、自分の意思と尊厳を守るために。

 それを妨げる目の前の敵は殺さねばならなかった。



「死ね」

 テーブルを叩きつける。

「反撃するなよ」

 今まで自分にさせてきたように。

 母親の抵抗は許さない。



「ごめんなさいは?」

 これも強要された言葉だ。

 何も悪くは無い、悪さをされたから反撃しただけ。

 なのに少年が悪者にされて謝罪を強制された。

 同じように母親に強制していく。

「早く言え」

 言っても暴行を、いや、反撃をやめるつもりはなかったが。



 どれだけ大人しくしてても暴行を加えられた。

 だから少年は手を止めない。

 暴行が止まる事はなかったのだから。

「これで仲直り」などと親や教師はほざいていたが。

 仲直りで暴行が止まる事は無いのだから。



「ごめんなさいは?」

 他人に強要していた言葉。

 しかし、していた本人は一向に口にしない。

 痛みに悲鳴をあげるだけ。

「ごめんなさいは?」

 その態度に腹が立った。



 他人に強要しておきながら、自分はしないのか?

 理解不能な事だった。

 なぜ自分がしない事を他人にさせるのか?

(そうやって……)

 虐げて楽しんでたのだろう。

 少年はそう察知していった。



 最後。

 少年は包丁で母親を刺す。

 生かしておくつもりはない。

 生きてれば確実にまた危害を加えてくる。

 殺して、今後の危害を止めて無くす。

 これで母親による問題は消える。



「なんで……」

 最後まで母親は疑問を口にした。

「あなたの……為……」

「お前の為だろ」

 この後に及んで少年を労るかのような言葉。

 それを反吐が出そうだった。

「お前の思い通りにしたかっただけだろ。

 俺のことなんか何も考えてない」

 事実を突きつける。

 それに母親が何を思ったかは分からない。

 その時にはもう死んでいたのだから。



 その後も帰ってきた父親を。

 学校のクズ共を殺していった。

 問題をこれ以上増やさないために。



 問題は、問題の発生源になる存在がいるかぎり続く。

 解決するためには、問題の発生源をなくさねばならない。

 この日、その問題発生源を少年は潰した。

 あとは学校の教師だけだが。

 それは朝になってから処分するしかない。

 それも昼までには片付いた。

 少年の周囲で、少なくとも小学校を中心とした地域の問題の一つはこれで消えた。



 何よりも少年は加害者になる事を望んだ。

 被害者のままでいたら危害を加え続けられる。

 誰も守ってくれない。

 しかし、加害者になればそうではない。

 誰もが少年を守るようになる。



 実際、今まで加害者が責められる事はなかった。

 いつも被害者の少年が責められていた。

 どう考えても加害者の方が立場は上だ。



 その加害者になるために、少年は行動した。

 これで少年は傷つけられる立場から守られる身分に変わった。

 事はそう単純ではないとも分かっていたが。

 それでも、以前よりは良い立場になれたと確信している。



 ただ、警察などは面倒だった。

 どうにかしてこれは避けたいが。

 しかし、これも対処方法は分かってる。

 より凶悪な加害者になればいい。



 ヤクザなど反社会集団の存在がこれを証明している。

 本当にこれらが問題なら全力をあげて潰すはず。

 それが生きているという事は、この世が加害者を認めてるという事。

 暴力を賞賛してるという事。

 でなければ、こういった者達が生き残ってるわけがない。



 加害者で居続ける。

 より凶悪な加害者になる。

 生き残るにはこうするしかない。

 それを成し遂げられるかどうかは能力や運次第となるだろうが。



 それでもやり遂げるつもりでいた。

 少年に迷いは無い。

 今まで常に悲惨な目にあってきた。

 悲惨な事になる立場にいた。

 だが、今は違う。



 今までとは違う。

 違う人間になる。

 その為に迷いはしない。

 少しでも躊躇えば、確実に殺される。

 被害者にされ、地獄を見る。

 そんなのは御免だった。



 その為にも、危害を加え続けなくてはならない。

 殺して殺し尽くさねばならない。

 奪って根絶やしにしなくてはならない。

 そうでなければ被害者になる。

 誰も助けなくなる。



 加害者でいなければならない。

 この暴力を褒め称える社会の中ではそうでなければいけない。

 そうでなければ殺される。

 生命が途絶えるだけではない。

 精神的に潰される。

 社会的に消される。

 様々な手段で殺される。



 暴力が何より輝かしいこの社会。

 そんな日本で生きていくのだ。

 誰かを傷つける程度で止まってはいられない。

 相手を責めさいなみ、嬲り尽くさねばならない。

 尊厳から踏みにじり、灰も残らぬほど奪い尽くす必要がある。

 そうでなければ日本で生きていく事は出来ない。



「弱肉強食か」

 少年でも知ってる言葉を口にする。

 結局、弱い者に生きてる価値や資格は無い。

 ただそれだけの事なのだ。



 だから少年は加害者の道を進む。

 被害者として虐げられるつもりはない。

 賞賛され、尊敬される加害者になる。

 険しい道だがかまわなかった。

 被害者になればそれ以上の地獄が待ってるのだから。

 それを小学校までの短い期間で悟った。



 そんな少年の努力の成果なのか。

 一部地域で犯罪率が桁違いに増大した。

 しかし、それは数年もすればおさまる。

 警察もあえて追求はしなかった。

 捜査を開始した瞬間に各地の警察が襲撃を受けたからだ。

 あまりの被害の大きさに、警察も傍観するしかなかった。



 それでも数年の月日を経て、落ち着いたのだからこれで良しとなった。

 犯罪率も犯罪件数もそれ以前に比べれば格段に下がった。

 これ以上騒ぎ立ててもしょうがないとなった。



 その地域において、被害者はよりいっそう被害を受けていき。

 加害者が全てを手に入れるようになっていてもだ。

 表向き事件が起こってないのは、被害届も出せないから。

 警察もとりあわずにいるからだ。

 犯罪が犯罪として取り上げられないから、統計資料にもあらわれない。

 そんな表向き安全な地域が出来上がっただけだ。



 そんな地域を実質的に治めてるのは、年若い男だという。

 滅多に表に出ないので、存在すら定かでは無いが。

 しかし、まことしやかにそんな者がいるという噂だけは流れていった。

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あと、異世界転生・異世界転移のランキングはこちら

知らない人もいるかも知れないので↓


https://yomou.syosetu.com/rank/isekaitop/






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以前、こちらのコメント欄で、俺の書いた話を話題にしてくれてたので、覗いてみると良いかも

http://mokotyama.sblo.jp/

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