第2章 11話 強くなりたい理由
みなさんお久しぶりです。一ヶ月ぶりの更新となりした。いろいろ調整がうまくいかず、前回で告知した時間よりも投稿時間が30分ほど遅れてしまいすみません。
前回の精霊使いと賢者の遺産は・・・・・・
里長の屋敷で体を休めていた宙翔たちは昼食をご馳走になり、精霊の属性や相性など精霊についてのあれこれについて半蔵からいろいろ聞いていた。
そして話の流れで宙翔は半蔵から稽古をつけて欲しいとお願いされて・・・・・・という内容でした。
ということで本編をどうぞ!
凌也との立ち合いを終えて里長の屋敷で体を休めていた宙翔たちは、場所を変えて再び訓練場へとやってきていた。
実際の森を切り取ったかのような訓練場の中心部分にある開けた場所に、炎姫と手をつないだ状態の宙翔と半蔵が向かい合っていた。
シャルロットは、訓練場の外周に張り巡らされた柵の向こう側の安全な場所で見守っている。
「それじゃあ、始めようか」
「はい、よろしくお願いします」
半蔵は右手の人差し指にはまっている契約の指輪に霊力を流し込む。
「我を守護する精霊よ。汝、全てを斬り裂く一陣の風となれ! 風斬!」
すると半蔵の契約の指輪から緑青色の霊力が粒子となって溢れ出す。
粒子が鎌鼬の姿になると再び粒子となって半蔵の身体を包み込む。
粒子が収まると、そこには目立った防具はなく緑青色の上衣に同色の裾が詰まった袴という、いわゆる忍び装束の霊装に身を包んだ半蔵の姿があった。
そして半蔵の両手には二本の鎌の霊具が握られていた。
半蔵が霊具と霊装を顕現させるのと同時に、宙翔の右手と手を繋いでいた炎姫が紅蓮の粒子となって宙翔の身体を包み込む。
粒子が収まると霊具と霊装を具現化させた宙翔の姿があった。
半蔵は二本の鎌を、そして宙翔は炎が噴き出す刀を構え戦闘態勢に入る。
「それでは、行きます!」
半蔵は足に霊力を集約させ、地面を蹴りだすと同時にそれを一気に開放。
解放された霊力は爆風を生み出し、半蔵は空間を滑るように瞬時に間合いを詰める。
そして半蔵は右手に持っていた鎌を宙翔の首筋へと振り下ろす。
宙翔は刀を振るいそれを防御した後、半蔵に向かって刀を左から右へと振り抜く。
半蔵は身を翻し空中で逆さまになりながら回避する。
宙翔の攻撃を回避した半蔵は空中で逆さまの状態のまま体を捻り、回転しながら宙翔を斬りつける。
宙翔は刀で半蔵の回転斬りを受け止める。
攻撃を受けた宙翔の体は衝撃で後方に吹き飛ぶが、両足を大きく開いてブレーキをかけ踏みとどまる。
『こやつ! あんなに自信なさそうじゃったのに、あの凌也とかいう奴と遜色ない動きをいるではないか!』
(うん。稽古をお願いされた身だけど、こっちが経験を積ませてもらう側になりそうだよ)
それほどまでに半蔵のスピード感のあるアクロバティックな動きには目を見張るものがあった。
「まだ行きます!」
そう言うと半蔵は再び爆風と共に距離を詰める。
半蔵は両腕を振り上げながら間合いを詰めると、鎌を左右から斜め十字を描くように斬り下ろす。
そして続けざまに斬り下ろしによって体の前で交差した両腕を左右に開き、水平に斬り裂く。
宙翔はその四連撃をバックステップで回避する。
半蔵はすかさず右、左、また右と連続で鎌を振るう。その様はまるで吹き荒れる嵐のようだ。
しかし宙翔はその全ての攻撃を躱すか、刀で捌いている。
半蔵は時折体術を織り交ぜて蹴りなども繰り出すが、それも刀の柄などで防がれてしまう。
(本当に精霊使いになってたった数日!?)
一方の半蔵も宙翔のその刀捌きに舌を巻いていた。
精霊使いになると初めて使う武器種の霊具であっても精霊の魂を通して使い方を学び取り、ある程度使えるようになる。
しかしそれでも自分の思うように使いこなそうと思えば、それなりの修練が必要だ。
ところが宙翔は精霊使いになってたった数日で、年単位で修業をこなしてきた半蔵と渡り合えるほどまで刀を使いこなせるようなっている。
しかも凌也との立ち合いの時よりも動きが格段に良くなっていた。
たった数回の戦闘で経験値をみるみる獲得し自らの糧としている。
正直この成長の速さは尋常ではない。
半蔵が宙翔と凌也の立ち合いを見ていた時。もっと言えば宙翔がイノシシ型の魔獣と戦っているのを見た時から感じていたこと。
(これが才能の違い・・・・・・)
脳裏にその言葉がよぎった瞬間、少し弱気になる半蔵。それにより半蔵のメンタルに揺らぎが生まれ、鎌による連撃がほんのわずかに乱れる。
その隙を宙翔が見逃すはずもなく、宙翔は半蔵の鎌を刀で払うと上段から刀を振り下ろす。
反応が遅れた半蔵はなんとかバックステップで回避するが、刀から噴き出す炎の熱で僅かに顎がひりつく。
回避された宙翔はすぐさま手首を返し、地面すれすれまで振り下ろしていた刀を垂直に振り上げる。
半蔵は宙翔の斬り上げを寸前のところで躱すと一旦距離をとる。
しかし距離をとったところで、半蔵は胸に痛みを感じた。
そして痛みを感じた直後、身体から力が抜けて片膝をついてしまう。
殺気のこもっていない攻撃では肉体に傷はつかないとわかっているが、半蔵は無意識に痛みのある自身の胸を見る。
案の定、傷はない。しかし己の魂がその部分を斬りつけられたと認識し痛みを感じている。
どうやら宙翔の二撃目の斬り上げを完全には躱しきれなかったようで、切先が僅かに胸をかすり、傷こそないものの半蔵の魂は斬りつけられたと認識しダメージを受けてしまったようだ。
霊具による攻撃は殺気を込めない限り、相手の身体を傷つけるといった目視可能な損傷を与えることはできない。しかし相手の魂は攻撃を受けたという情報を受け取っているため、たとえ身体的な損傷がなくても痛みを感じダメージも受けてしまうのだ。
(ちょっとかすっただけでこれか!?)
片膝をついた半蔵は思わず心の中で悪態をつく。それと同時に現時点では埋められない力の差を感じてしまう。
その時フラッシュバックしたのは、五年前に見た里長の間での光景だった。
(くそ! 弱気になってどうする。俺は強くならないといけないんだ!!)
半蔵は自らを奮い立たせると、立ち上がって宙翔に向かって駆けだす。
「はああぁぁぁ!!」
半蔵は飛び上がると体を捻り地面と平行になるような体勢になる。
すると風が半蔵の身体を取り巻き、それにより半蔵は高速回転しながら宙翔を斬りつけようとする。
風の力を纏い、まるで風車のように高速回転しながら鎌で斬りつける風斬の精霊術《大旋風車》だ。
宙翔は頭上から襲いくる半蔵の《大旋風車》を刀で受け止める。
風による回転力と落下重力で威力を上乗せされた斬撃による衝撃が、宙翔の体から地面へと伝わり震える。
それでも宙翔は余裕の表情で半蔵の攻撃を受け止めていた。
半蔵はさらに鎌に力を込めるが、宙翔の刀をそれ以上押し込むことができない。
「くっっ!」
頭の中では無駄だと思いつつ、それでも半蔵がさらに鎌へ力を込めようとした時。
宙翔は刀に送る霊力量を一気に増大させる。
刀から噴き出す炎の勢いが爆発的に増大し、その勢いで半蔵の身体が吹き飛ばされる。
宙翔は足元へ霊力を集約させ、瞬間的に霊力を開放。それによって脚力を強化した宙翔は、追撃するため半蔵が落下するだろう地点を目指して走り出す。
(まだだ!)
半蔵は鎌の刃の部分へと霊力を収束させる。
霊力を鎌の刃へと収束させた半蔵は、吹き飛ばされながらも左右の鎌を振り上げる。すると二筋の風の斬撃が宙翔に向かって飛来する。
これは相手に向かって風の斬撃を飛ばす風斬の精霊術《風刃投撃》だ。
宙翔は飛来する《風刃投撃》を走りながら僅かに体を捻り、いとも容易く回避する。
回避された《風刃投撃》は稽古ということで威力を抑えてあるとはいえ、地面に僅かながらの亀裂をつくる。
宙翔はそれを横目で確認しつつも、臆することなく突き進む。
半蔵は振り上げた鎌を交差させながら振り下ろし、《風刃投撃》で斜め十字の斬撃を飛ばす。
これなら攻撃範囲が広がり簡単には回避できないというのが半蔵の考えだ。
対する宙翔は半蔵が斜め十字の斬撃を飛ばした直後に刀へと流し込む霊力量を増大させ、それに伴い刀から噴き出す炎の勢いが増す。
そして風の斬撃が眼前まで迫った時、灼熱を纏う刀が右から左へと閃き《風刃投撃》を斬り伏せる。
宙翔に自分の攻撃が全く通じていないのを目の当たりにし、半蔵は歯噛みする。
(着地と同時に距離をとって態勢を立て直すしか・・・・・・)
半蔵がそう思い着地の体勢に入ろうとした瞬間、胸に違和感を感じる。
そちらの方に視線を向けると、先ほどまではなかった淡く赤色に発光する一条の線が浮かび上がっていた。
それはまるで刀傷のようで・・・・・・
半蔵がそこまで思いかけると、風に乗って宙翔の小さくも力強い声が鼓膜を震わせた。
「爆ぜろ」
胸に浮かび上がった発光する刀傷のような線と、宙翔の「爆ぜろ」という言葉。その二つから半蔵はとある状況を連想する。
(まさか!?)
半蔵が次の宙翔の攻撃を想像し、それに備えて身構えようとする。
ここまで宙翔の声を聞いてからコンマ数秒程度。
しかしそんな短い時間では対応できるはずもなく・・・・・・
半蔵が身構えようとする前に、胸に浮かび上がった刀傷の光は最高潮に達し、直後小爆発を起こす。
元々着地態勢に入ろうとしていた半蔵はその小爆発によって見事にバランスを崩され、受け身も満足に取れないまま地面に転がるように倒れ伏してしまう。
宙翔が使ったのは、刀で斬りつけた場所を任意のタイミングで爆発させる炎姫の精霊術《裂焔傷・爆》だ。
ちなみにこれは森の中で巨大イノシシの魔獣に使った《裂焔傷》から派生した精霊術である。
落下と《裂焔傷・爆》の爆発の勢いを殺しきれないまま地面へと倒れたことによる体へのダメージからか、半蔵はすぐに起き上がることができなかった。
ようやく上体を起こしたとき、半蔵は息を呑んだ。
なぜなら、追いついてきた宙翔が半蔵の眼前に炎が噴き出す刀を突き付けていたからだ。
もしこれが実戦だったら首を刎ねられ終わっているところだ。
つまり半蔵の負けを意味していた。
宙翔は突き付けていた刀をすぐさま引っ込めると霊装を解除し、半蔵に右手を差し出し声をかける。
「大丈夫?」
「はい、すみません」
半蔵が差し出された手を取ると、宙翔はその手を引っ張り上げ半蔵を立ち上がらせる。
立ち上がった半蔵は体に付いた土汚れをパンパンと手で払うと、勢い良く頭を下げた。
「もう一度お願いします!」
宙翔は半蔵の申し出に驚き、その後すぐに眉を八の字にひそめ心配そうな表情になる。
「一回休んだ方が・・・・・・」
「いえ、俺は大丈夫なので」
宙翔の言葉に半蔵は首を横に振って答える。
だが宙翔はすぐに稽古を再開するようなそぶりを見せなかった。
そんな宙翔を見て半蔵はもう一度稽古の再開を申し出るが、宙翔は腕を組んで悩み始めた。
稽古であるため斬撃や精霊術の威力は抑えているが、それでも魂にはそれなりのダメージが蓄積しているはずだ。
半蔵の状態を見ても体には土汚れが付き、肩を大きく上下させるほど息が上がっている。
(ここで一度小休憩をはさむべきなのだろうけど・・・・・・)
宙翔の性格上強く願い出られるとなかなか断ることもできずしばらく悩んでいると、そんな状況を見かねたのか宙翔が霊装を解除したことで実体化していた炎姫が宙翔と半蔵の間に入る。
「おぬし、何をそんなに焦っておるのじゃ?」
炎姫の一言に半蔵は大きく目を見開いた後、すぐさま目線をそらした。
「そんなこと・・・・・・」
「そんなこと無いと申すか・・・・・・」
半蔵の態度を見た炎姫はため息をつき、やれやれといった表情を見せた。
「先ほどの稽古で主様に連撃を崩された後、おぬしすぐに大技を出したじゃろう」
どうやら図星だったようで、炎姫の言葉に半蔵はギクッと肩を震わせる。
確かに半蔵は鎌による連続攻撃を宙翔に崩され斬撃を受けた後、《大旋風車》を繰り出していた。
「本来ならあそこで一度距離を取り、状況を見直して攻撃策を練り直すところじゃ。相手が自分より力量が上回っておるのなら、なおさら無闇に突っ込んで行くべきではない。それがわからぬほどおぬしは経験が浅いわけでも、愚かなわけでも無いじゃろう」
そう言うと炎姫の目つきが少しだけ鋭くなり、わずかに厳しい表情になる。
「そして今、主様からの休憩の申し出を断ったのもそうじゃ。体と魂が疲労したり損傷を受けたりして思考や身体能力が低下した状態で手合わせをしたところで、実りある稽古ができるとは妾には思えんがのう」
炎姫はそこまで言うと厳しい表情を解き、目尻を下げ柔らかな表情と声音で半蔵に問いかける。
「もう一度問うぞ。何をそんなに焦っておるのじゃ?」
その様はまるで子を諭す母のようであった。
ダメだったところや足りていない思うところはきちんと伝える。だからと言って頭ごなしに否定したり決めつけたりはしない。
必要なのは相手がどういう思いや考えでその行動に至ったのか自分の口と言葉で伝えさせ、それを踏まえたうえで一緒に解決策や改善策を考えることだ。
大切なのは相手に寄り添うことなのだから。
それがちゃんとできるのは、炎姫が千年近く生きてきた精霊でその分経験を多く積んできたからという理由だけではない。
それは彼女が優しく思いやりのある心、魂を持っているからだ。
戦闘経験や指導経験が乏しい宙翔に代わって、半蔵を教え導こうとしていることからも彼女の心根がうかがい知れる。
だからこそあの気難しそうな雷属性の精霊である雷亜も「姐さん」と呼び慕っているのかもしれない。
そんな炎姫に促され半蔵は口を開け言葉を紡ごうとするが、すぐに思いとどまったように口を閉ざしてしまう。
「もしかして、あの時凌也さんが言っていたことと何か関係があるのではないですか?」
そう言ったのは三人が話している姿を見て、何かあったのではと心配になり訓練場内に入ってきたシャルロットだった。
シャルロットの問いかけを聞いて、宙翔も(もしかして)と思う場面があったのを思い出した。
それは風間の里を半蔵に案内してもらっているときのことだ。
案内の終盤で凌也と出会い、凌也にとある言葉を投げかけられてからの半蔵の様子は確かにおかしかった。
半蔵は一瞬逡巡したのちに、シャルロットの問いかけに対してコクリと一回頷いてみせた。
「もし風間くんが嫌じゃなければ、俺たちに話してみてくれないかな? もしかしたら力になれるかもしれないし」
宙翔にもそう語りかけられた半蔵は、一回長く息を吐くと意を決したような表情になり閉ざしていた口を開く。
「俺の兄、風間十蔵は里の人たち全員から歴代最強の忍びって言われるくらい強い人でした。でもそれだけじゃなくって、優しくて頼りになってみんなから一目置かれている。そんな兄上を俺は尊敬してたし、憧れていました」
そこで言葉を区切ると、半蔵の顔に影が差す。
「でも七年前、兄上は変わってしまった。あの戦争で許嫁の巴さんを失ってしまったあの時に」
「「「!?」」」
半蔵の口から語られた衝撃の言葉に宙翔と炎姫、シャルロットは目を見開き息を呑む。
「それからの兄上はまるで人が変わったかのようでした。無理な訓練で血だらけで帰ることも珍しくなかったし、任務でも余裕を失いまるで取り憑かれたかのように乱暴で精細さの欠けた戦いをすることが増えました。そして心なしか周りにも冷たい対応をとるようになって、正直怖いと感じることが多々ありました。それでもみんな兄上に期待してたし、俺が兄上の憧れる気持ちは変わりませんでした。兄上なら失った人への悲しみを乗り越えてくれると誰もが信じていたからです。でもその時は来ました」
そこまで言うと半蔵の顔は一気に青ざめ、強く握られた拳は震えていた。
「今から五年前にあった里長継承の儀。兄上は里長になった時にその地位と共に継承される風属性の上位精霊である颯鷲丸を父上から譲り受けました。すると突然、颯鷲丸を授かった兄上が周りにいた班長たちを攻撃し始めたんです。里の精鋭である班長たちを全員倒した兄上は、そのまま里を去ってしまって・・・・・・」
半蔵はそこまで話すと、大きく息を吐いた。
顔が青ざめ、身体が硬直し、息が詰まるほど彼にとって衝撃的で忘れられない辛い過去なのだということが宙翔たちに痛いほど伝わってきた。
「それで兄上がいない今、次の里長候補は次男である俺です。でも今の俺じゃ全然だめで。兄上の足元にも及ばなくて、むしろ凌也のように周りに不安や憤りを募らせてばかりで・・・・・・」
宙翔はそんな半蔵に親近感めいたものを感じていた。それがなぜだかわからないが。
一方のシャルロットと炎姫は半蔵が宙翔と似ている、より正確には似た状況に置かれていると思った。そう思う理由も思い当たる。
二人とも過去に囚われているのだ。
宙翔は七年前の戦争時に両親を目の前で失った。両親を助けられなかった後悔の念に囚われ、目の前で助けを求め困っている人を放っておけない。自分のことを顧みずに手を差し伸べてしまう。
一方の半蔵は尊敬し憧れていた兄が最悪の形で里を離れた。才能にあふれた兄のように、周りから認められるくらい強くならなければならない。今はいない兄の代わりにならなければならない。そんな思いに囚われ、苛まれている。
宙翔の場合は過去に囚われていても、まだ前に歩き出せている。
だが半蔵は「兄上のように」と「兄上の代わりに」と思えば思うほど、理想と現実とのギャップに苦しみ空回りしてしまっているのだ。
彼にとって兄の背中はそれほどまでに遠く離れたものだったのだ。
「どうしたら、空閑さんみたいに強くなれるんですか? やっぱり強い精霊と契約しないとダメなんでしょうか?」
そう不安げに問いかける半蔵に宙翔はゆっくりと首を横に振り、柔和な笑みを浮かべ半蔵の肩にそっと手を置く。
「風間くんそれは違う。そんなこと言っちゃだめだよ。だって・・・・・・」
宙翔はそこでいったん言葉を区切ると、優しく諭すように言った。
「君は一人で戦ってるわけじゃないから」
「それってどういう・・・・・・」
半蔵が宙翔の言葉の意味を聞こうとした時だった。
カンカンカンカン!! と激しく鐘をつく音が響き渡った。
「この音は!?」
突然鳴り響いた鐘の音に困惑する宙翔たちに、半蔵は切迫した表情で答えた。
「緊急招集の鐘の音です! 急いで屋敷に戻りましょう」
半蔵の様子にただ事ではないと感じた宙翔たちは、半蔵に促され急いで里長の屋敷へと戻った。
第2章11話「強くなりたい理由」を読んでくださりありがとうございます。
今回は半蔵の悩みが明らかになりました。理想と現実とのギャップ、そして憧れに囚われてしまった彼がそこから抜け出すことができるのか気になるところです。
次回の更新ですが5月6日金曜日の21時ごろを予定しています。
次回もぜひ読んでください。




