第2章 4話 忍びの隠れ里
みなさん、1ヶ月ぶりの更新となりました。お久しぶりです。
サブタイトル通り、宙翔たちはついに目的地である風間の里にたどり着いたのですが、彼らは無事に賢者の遺産を見つけられるのでしょうか?
それでは本編のスタートです!
宙翔たちは半蔵を先頭に森の中を進んでいた。一花の怪我の具合も心配なので、歩くスピードも自然と早足になっていた。
半蔵の話では、このままのペースで行けば十五分ほどで風間の里にたどり着けるということだった。
「魔獣から助けてくれたうえに、護衛までしてくれてありがとうございます」
一花を背負いながら歩く半蔵が、宙翔たちに頭を下げた。
「とりあえず何事もなく里まで行けそうで良かったよ」
「お二人はこれからどうされるんですか?」
半蔵に問われた宙翔は、これまでタイミングがつかめなくて切り出せなかった旅の目的を話し始めた。
「実は俺たちはあるものを探すために、風間の里を目指してサクラギから旅してきたんだ」
「風間の里に探し物を?」
宙翔たちの旅の行き先が風間の里であると知り、半蔵は首を傾げ僅かに身構える。
「風間くんは賢者の遺産って知ってるよね?」
「もちろんですよ。賢者が遺してなんでも願いを叶えてくれるってやつですよね」
賢者の遺産。大昔にいたとされる高名な賢者が遺したと言われるあらゆる願いを叶えてくれる願望機。
その存在はこの国で、いやこの世界で知らぬ者がいないほどたくさんの人に認知されている。
「私たちはそれを探しているんです」
「賢者の遺産を!? あれっておとぎ話の中だけのもじゃ?」
半蔵の言う通り、賢者の遺産は大人が子供に言い聞かせるおとぎ話、空想の産物だ。
宙翔もそう思っていた。先日サクラギで傭兵集団《蛇の鱗》のボス、デトス・チャートと戦うまでは。
「どうやら本当にあるみたいなんだ」
「空閑さんたちはそれが俺たちの里にあると?」
半蔵の言葉に宙翔は何とも言えない表情になる。
「というか、手がかりがそこしかなったんだよね。それで風間くんは何か心当たりがある?」
半蔵はしばらく考えを巡らせるが、首を横に振った。
「いや、俺は知らないですね」
「そっか。もしよければ俺たちを風間の里に入れてくれないかな?」
「空閑さんたちをですか? でも、里に部外者を入れることは掟で禁じられていて」
以前炎姫に風間の里は隠れ里的なものと聞かされていたため、半蔵のこの反応は予想していた。
だが宙翔もここで引き下がるわけにはいかない。
もし権力者たちに賢者の遺産のありかを知られれば、もし悪意ある者の手に賢者の遺産が渡れば、もう一度戦争が起こってしまう。
そうなってしまえば、もう一個人の力では止められなくなってしまう。
賢者の遺産に何らかの関わりを持っているシャルロットを守るため、自分たちを快く送り出してくれたリンカやメリダたちサクラギの人たちのため、そして宙翔自身の願いのためにもここで諦めるわけにはいかない。
(もう目の前で大切な人を失いたくないから)
宙翔はそのためなら諦めないと、その手を伸ばし続けると誓ったのだから。
「そこをなんとか」
宙翔は両手を合わせて頭を下げた。シャルロットも深々と頭を下げる。
「どうしてそこまでして、あるかどうかもわからないものを探そうとするんですか?」
それは事情の知らない半蔵からしてみれば当然の疑問だった。
「ごめんけどそれは言えない。でもそれは俺たちにとって大事なことなんだ」
シャルロットが賢者の遺産にかかわる重要な人物だと知られれば、シャルロットの身に危害が及ぶかもしれない。
だから宙翔は賢者の遺産について詳しいことは言えない。でも賢者の遺産を見つけるために里に入れてほしい。
宙翔自身も自分勝手で横暴な要望だと理解している。それでも・・・・・・
「わかりました。空閑さんたちは命の恩人です。なんかの形でお礼をしないとって思ってましたので、里の中に入れるように話してみます」
宙翔の熱意に負けたのか、半蔵は里の中に入れるように仲間に掛け合ってくれるのを約束してくれた。
「風間くん、ありがとう」
「ありがとうございます」
こうして宙翔たちは旅の目的に、自分の願いに一歩近づいた。
***
「そろそろ風間の里が見えてきます」
半蔵が声をかけた数十秒後に森が開け、宙翔たちの目の前に現れたのは見上げるほど高い壁だった。
おそらく防壁だと思われるそれは、直方体の石をいくつも積み重ねて造られていた。
そして宙翔は左右に視線を走らせ、防壁の続く先を見てみる。左右に伸びていく壁面が遠くの方でカーブを描いていた。
おそらくこの防壁は、風間の里を円形に囲うように造られているのだろう。
防壁に近づき壁面に触ってみると、ほぼ凹凸がないことがわかる。
これなら手や足をかけられる場所もないので、侵入者は簡単に登ることはできないだろう。
仮に先ほどの巨大魔獣との戦闘で宙翔がやったように、霊力で脚力を強化してジャンプで飛び越えようとする者がいても、壁上で待機していたものが飛び上がった相手を迎え撃つことができるだろう。
そんなことを考えながら綺麗に切り出された石材で造られた壁面を触っていると、宙翔はとあることを思い出した。
それは宙翔が以前サクラギで大工のアレクの手伝いをしたときに言われた「石材を綺麗にたくさん切り出すことはすごく大変なことだから、俺たち大工は石工の奴らに感謝しなくちゃならねえ」という言葉だった。
風間の里がどれくらいの規模なのかはわからないが、里全体を囲うほどの防壁を造るにどれほどの時間と労力がかかるのか想像するのは難しくなかった。
「これ、すごいな」
月並みな言葉かもしれないが、これがこの防壁を見た宙翔の率直な感想だった。
「そうですよね。初代里長の頃に精霊術を駆使して造ったらしいですよ」
『それはなかなか面白いのう』
(炎姫、どうかした?)
宙翔の右手の人差し指にはまる紅蓮の炎を思わせる赤い指輪、契約の指輪を通じて炎姫の声が宙翔の脳内に届く。
『精霊術とは本来、戦うための手段じゃ。それをこんなふうに使うとは、よく考えたものじゃと思うてな』
炎姫が感心していると、急に宙翔の顔に影が差した。今日は雲一つない晴天のはずなのに。
宙翔が不思議に思って上を向くと、壁上から二つの人影がこちらに向かって降って来ていた。
壁上から地面までそれなりに高さがあるはずだが、人影たちは完璧な受け身を取り着地をするとこちらに向かって駆け寄ってくる。
駆け寄ってきた二人組は半蔵と同じ格好をした男二人組だった。おそらく二人は壁での見張り役なのだろう。
「半蔵! 無事だったか!」
「はい、俺は大丈夫です。それよりも一花を」
「ああ、わかった」
半蔵は駆け寄ってきた見張り役の男のうちの一人に一花を預ける。
見張り役の男は一花を抱きかかえると壁面に近づく。
そして壁面を数回規則的に叩くと、壁面の一部が両側にスライドしていき入り口が現れた。いわゆる隠し扉というやつなのだろう。そして男はそのまま壁内へと入っていった。
もう一人見張り役の男はというと、懐から《くない》型の疑似霊具を取り出し警戒した様子で宙翔たちを睨みつけていた。
そして宙翔は男が疑似霊具を持っている手の指に指輪がはまっていることに気がついた。
相手は精霊使いだ。
もしこの状況で宙翔が精霊使いだと気づかれたら、すぐに戦闘に入るかもしれない。
半蔵が話をつけてくれるまでは気づかれるわけにはいかない。宙翔は自分の右手をそっと後ろに回し契約の指輪を隠した。
そんな宙翔と男の間に半蔵が割って入る。
「お前、部外者を里まで連れて来たのか!? どういうつもりだ!」
「この人たちは俺たちが魔獣に襲われているところを助けてくれて、怪我してる俺たちを護衛してくれたんです。俺は里長の息子としてこの恩に報いたいと思ってます。里長には俺からきちんと話しておきますから」
男は半蔵の言葉を聞いて逡巡した後に、疑似霊具を懐にしまう。
「ありがとう、和也さん」
半蔵はよほど緊張していたのか、ふぅと深く息を吐いた。
「仲間を助けてくれたこと感謝する」
和也と呼ばれた見張り役の男は、改めて宙翔たちに向き直ると軽く頭を下げた。
「いえ、俺は俺にできることをやっただけですから」
一度疑似霊具を突き付けられたが、それは見張り役として壁内の仲間を守るための当然の行動であるため、宙翔は特に気にした様子もなく笑顔で応える。
「和也さん、隼人さんたちは?」
いくらか緊張が和らいだ半蔵は和也に問うた。ちなみに隼人とは半蔵と一花が所属する班の班長だ。
「それなら、半蔵たちが帰ってくるほんの少し前に戻ってきてな。怪我した奴は救護所に、隼人さんは里長の屋敷で報告しているはずだぞ」
「わかりました。俺たちもすぐに屋敷に向かいます」
半蔵は頷くと宙翔たちについて来るように促し、入り口の中に入っていく。
「半蔵くんって偉い人なんですか?」
半蔵に続いて入っていったシャルロットが半蔵に聞く。
それは半蔵が自分のことを里長の息子だと言っていたからだ。
「いえ、俺なんて大したことないですよ」
半蔵はかぶりを振って答える。その声音からは謙遜というより自虐の色が強いように宙翔は感じた。
そのやり取りの直後、一行は壁を抜け内側に広がる景色を見た。
人通りはそれほど多くなく、緑豊かな大地に木造平屋の建物が点在し、所々に畑が見受けられた。
町や村というよりも集落といった印象だが、さびれているという雰囲気はない。
そしてやはり壁は里を円形に囲うに造られていた。
「俺はこれから里長のところに今回の一件について報告しに行くんですが、空閑さんたちにも同行してもらえないでしょうか?」
「それは構わないけど」
半蔵に言われ宙翔は頷いた。もともと部外者として警戒されるだろう宙翔たちは、右も左もわからない里の中では半蔵について行くしかないのだ。
「助かります」
「里長さんはどちらにいらっしゃるんですか?」
シャルロットに問われ半蔵は正面のほうを指さす。
「里の中央にあるあの大きな建物が里長の屋敷ですね」
「あれが。じゃあ、風間くんもあそこに住んでるんだ」
「そうですね。他にも班長会議とか、いろんなまつりごとなんかも行われています」
そして宙翔たちは半蔵に連れられ里長の屋敷へと向かった。
***
「失礼します。風間半蔵、ただいま戻りました」
襖を開けた半蔵は膝をつき頭を下げる。
ここは風間の里の里長の屋敷にある里長の間だ。
部屋の中央手前側、襖にほど近いところに若い男が一人膝をついて座っている。
そこから数歩分前に出て部屋の右側に四人、左側に五人が縦に並んでいる。右側四人は全員男。左側、奥から数えて五番目に女がいるがそれ以外は男。年齢層的には下から二十代、上は六十代後半くらいだろうか。
そして部屋の最奥、一段上がった場所に中年の男があぐらをかいて座っている。
「おう! 半蔵よく戻ってきてくれた!」
半蔵の目の前の前で膝をついていた男がこちらを振り向く。この男が半蔵が所属する第一斑の班長、風宮隼人だ。
「半蔵、大事がなくてなによりだ」
次に半蔵に声をかけたのが部屋の奥の一段上がった場所で腰を下ろしている男、里長の風間善蔵だ。
「早速で悪いが隼人とはぐれた後、何があったのか報告を頼む」
「はい」
善蔵に促され、半蔵は隼人とはぐれた後の出来事を事細かに報告した。
「そうか。それでそこの廊下にいる者が、その二人というわけか?」
善蔵の言葉を受け、廊下の襖の裏側にあたるところで待機していた宙翔とシャルロットは驚きで肩がはねた。
みんなから警戒されないためと報告が円滑に進むように、半蔵が呼び込むまでは姿を見せないようにと言われていたが、どうやら最初から気づかれていたようだ。
最初の段取りとは変わってしまったが、指摘されたからには出ていかないわけにはいかない。
宙翔たちは襖の裏から姿をあらわし半蔵の隣に並ぶ。
「空閑宙翔です」
「シャルロット・シールーダと申します」
名前を名乗り礼をすると、半蔵の見様まねで膝をおり頭を下げる。
「それで、なぜこの者たちを里の中に?」
「俺たちの命を助けてくれた二人に恩を返したいと思い、里の中に招き入れました」
半蔵の言葉に善蔵は、うむと頷く。
「そうか。名乗るのが遅れたな、俺は里長の風間善蔵。そこにいる者たちは、我が里の精鋭である総勢十人の班長たちだ。息子たちを助けてくれたこと、深く感謝する」
「いえ、俺は俺にできることをやっただけですので」
感謝を述べる善蔵に、宙翔は壁の見張り役をしていた和也に言ったことと同じことを言う。
宙翔には特別なにかをした実感がないので、この言葉しか出てこないのだ。
「私も簡単な応急手当しかできず・・・・・・」
専門的な知識や技術があるわけではなく、また荷物の容量の関係で包帯などの衛生材料をそれほど多く持ち合わせていなかったため、じゅうぶんな手当てをしてあげられなかったという思いがシャルロットにはあった。
「それでも、お前たちがいなければ息子たちは命を落としていただろう。半蔵の意思もある。礼として食事を用意させよう。食事の他に礼として欲しいものはないか?」
善蔵に言われ宙翔はここで言うしかないと思い話を切り出す。
「実は俺たちあるものを探して風間の里を目指して旅をしていたんです」
「ほう、その探し物とは?」
善蔵は目を細めながらわずかに身を前に乗り出す。部屋に待機している班長たちも宙翔のことを注視していた。そしてある種の緊張感で空気が張り詰める。
ある程度の交渉の場を踏んでいる者ならばこの雰囲気を感じ取り、ここから先の言葉選びを気を付けなければただでは済まないと思えるだろう。
しかし残念ながら、宙翔はつい最近までサクラギにある宿屋〈サクラ亭〉で住み込みで働いていた普通の少年だ。
場数どころかこういった交渉の経験すらない。
だからこの張り詰めるような空気感も自分の話を真剣に聞こうとしてくれている程度の認識しかない。
よって言葉選びも真っ直ぐ過ぎるほど正直なものになってしまう。
「俺たち賢者の遺産を探していて。善蔵さん、勾玉について何か心当たりがありませんか?」
「矛を収めよ!」
宙翔が質問を投げかけた途端、炎姫の声が室内に響き渡る。
その鈴音のような凛とした声音は、普段話している時とは違う緊張感と圧力をはらんでいた。その声から感じるただならぬ雰囲気は初めて炎姫を見た時と同じものだった。
そして直後、宙翔はひんやりと刺さるような気配を感じた。それは傭兵集団〈蛇の鱗〉、そして魔獣と戦った時に感じたものと同種だった。
しかしその気配の冷たさと鋭さは、あの時感じたものと比べてより研ぎ澄まされたものだった。
「!?」
その気配の正体を明確な言葉、〈殺気〉として認識したとき、宙翔は今置かれている自分の状況に気づき両目を見開く。
自分とやや距離の離れていた場所にいたはずの班長たちが、それぞれの霊具と霊装を顕現させ宙翔を取り囲んでいたのだ。
そしてすぐ近くにいた隼人の霊具が宙翔の首筋に突き付けられていた。
宙翔が質問を投げかけ、この包囲が完成するまでコンマ数秒。これが忍びの里〈風間の里〉の精鋭である班長たちの実力だった。
そんな状態で身動きが取れない宙翔だが、彼の指にはまる契約の指輪が光り輝き、紅蓮を思わせる赤色の粒子が溢れだす。
そしてあふれ出した赤色の粒子は、ピンととがった狐耳とふさふさの尻尾を持つ炎姫の姿を形作る。
実体化した炎姫は、普段抑え込んでいる霊力と自身の神性を持つ精霊としての存在感を開放していた。
「この霊力と存在感。神性を持つ精霊!?」
善蔵と班長たちは、突然の炎姫の登場と彼女の精霊としての格の大きさに驚くものの、一瞬たりとも気を抜かず戦闘態勢を崩さないのはさすがと言えるだろう。
「申し訳ないのじゃが、矛を収めてもらえぬか?」
先ほどよりも角のとれた声で呼びかける炎姫だが、善蔵は首を横に振る。
「たとえ神性を持つ精霊様といえど、それを簡単に聞き入れることはできません」
「おぬしも自分の息子の話を聞いていたじゃろう。妾と主様はあの数の魔獣を単独で撃破した。半分以上余力を残したうえでじゃ」
炎姫の言葉、特に最後の言葉を聞いて善蔵はピクリと肩を動かし拳を握る。
班長たちからも動揺の色が見て取れた。
「おぬしら全員を退けることなど造作もないことのじゃが、それは主様も妾も望むこところではない。こちら側がそちらの重要な秘密に踏み込んでしまったがゆえの行動であることも理解しておる。これ以上深堀せぬから矛を収めてもらえぬか?」
「それを素直に信じろと?」
「この妾が嘘をつくとでも?」
動揺を悟られないように問う善蔵を、炎姫の琥珀色の瞳が真っ直ぐに見つめる。
彼女の瞳と放つプレッシャーが、「神性を持ち高位の存在である自分の言葉を信じられぬのか?」とそう問うていた。
「わかりました」
善蔵が右手を振り下ろす仕草をすると、宙翔を包囲していた班長たちは霊具と霊装を解除し自分たちが元いた場所へと戻っていた。
班長たちの殺気が満ちていた包囲から解放され、宙翔は肩の力を抜き僅かに息を吐いた。
「手荒いことをしてすまなかった」
「こちらこそ、無遠慮に聞いてすみません」
謝罪の言葉を言う善蔵に、宙翔は深々と頭を下げた。
「君の質問には答えられないが、食事の方は用意させよう。半蔵、この者たちの身の回りのことはお前に任せる」
「はっ!」
「もう下がっていいぞ」
善蔵に促されシャルロット、宙翔、炎姫、半蔵の順番に里長の間を後にした。
***
「緊張した~」
里長の間からじゅうぶん離れたところで、三人は三者三様に長く息を吐き肩の力を抜いた。
「班長さんたちが宙翔さんの周りに集まった時には、どうなるかと思いました」
「主様、あのようにいきなり核心に触れるようなことを聞くのはどうかと思うぞ」
炎姫に指摘され宙翔はバツの悪そうな、申し訳なさそうな表情を見せる。
「ごめん、気をつけるよ」
「主様はもっと人に対して、警戒心や疑うことを覚えたほうが良いが・・・・・・」
炎姫はそこまで言うと宙翔に飛びつき、宙翔の腕に自分の腕を絡ませる。
「そこが主様の良さでもあるからのう。もしもの時は妾がおるのじゃし、直す必要はないのじゃ!」
炎姫は満面の笑みを浮かべ宙翔を見つめる。
「ありがとう。でも今回みたいに周りに迷惑をかけるかもしれないから、直していくよ」
「主様は優しいのう」
炎姫は宙翔の腕に頬擦りしながら言う。
その様子をシャルロットは微笑ましそうに、そして半蔵は先ほどまでの炎姫とのギャップにやられ目を丸くしていた。
しかしほどなくして我に返ると半蔵は、ごほんと一つ咳払いをする。
それを受け、みんなの視線が半蔵に集まる。
「食事の準備が整うまでまだ時間がありますし、二人が使う部屋まで案内します」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
宙翔たちは半蔵に連れられ、二人が貸してもらえることになった部屋へと向かったのだった。
ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。
ここでみなさんにお伝えしないといけないことがあります。前回第2章3話を更新した時に9月から毎週更新する予定とお話ししていましたが、年が明けるまではこのまま月1回更新を継続させていただきます。
理由は仕事と執筆活動の両立が自分の想像以上に難しく、毎週更新をするほどの文量を書くことができなかったこと。
そして10月から年末に向けて仕事が忙しくなり執筆時間の確保が難しくなること。
この2つの理由から月一更新を継続するという形をとることといたしました。
続きを早く読みたいと思っていた方、申し訳ありません。
これからは自分のペースでコツコツとではありますが、小説を書き続け投稿していきますので、「精霊使いと賢者の遺産」と夜空琉星をよろしくお願いします。
次回第2章5話は10月1日金曜日更新予定です。




