表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族のお話  作者: めいこ
3/5

大好きなお兄ちゃんへ(1)

友達にとあるカミングアウトをされたことをもとに書いてみました。

14歳のあかりの憧れは実の兄、優輝。

でもその「あこがれる」という感情は、誰かにとって足枷なのではないでしょうか。

あかりちゃん目線と優輝君目線で書きたいと思います。


私には11歳年上の兄がいる。



私が物心つく前から、お兄ちゃんは私を可愛がってくれていたらしい。



もうそんな歳じゃなかっただろうに、おままごとやお姫様ごっこをしてくれた。

幼稚園の運動会やお遊戯会にも来てくれていたし、

一年生になって初めての登校が不安だった時も小学校まで送ってくれた。



優しくて頭が良くて妹から見てもかっこいいお兄ちゃん。


私の友達は私のことを「ブラコン」とか「理想高すぎ」って笑うけど、

正直クラスの男子なんかガキしかいないし、私はもっと大人で色んなことを知ってる人がいい。


まるでお兄ちゃんみたいな。



お兄ちゃんは今東京の大学院で脳科学の研究をしてる。


忙しいだろうにバイトもしてるし、私が勉強でつまずくと電話やLINEを通して解き方を教えてくれる。

長期の休みには実家に帰ってきて、東京のお菓子をくれたり雑貨をくれたり。

兄の友達は兄のことを「シスコン」とか「ロリコン」って馬鹿にしているけど、私にとっては自慢の兄。


だいたいそんなこと言うほうが変なんだよ。




「あかり、明日優輝が帰ってくるからリビング片付けてね。」

「え? 明日って普通の週末だよね?」

「話したいことがあるんだって。」



なんだろう。

お兄ちゃんは帰省する前には必ず家族LINEに連絡を入れるのに、なんで今回は私に教えてくれなかったの?



もしかして彼女を連れてくるのかな。


……嫌だ。

急に、お兄ちゃんが遠くに行くようで、私は渋々片付けを始めた。




ーーーーーーーーーーー土曜日-------------


「ただいま」

「おかえりー!」



お兄ちゃんが帰ってきた。



でも……いつもと何かが違う。

辛そうで、不安そうで、中学生の私でもわかる苦しげな顔。

これはおめでたい話じゃない。

そう直感した。




「で、話っていうのは? 優輝に限って留年はないよな?」

重い空気を壊して、お父さんが冗談っぽく聞く。

多分お父さんも、これがいい話題ではないことをわかっているのだろう。




「……お父さん、お母さん、ごめん。」


長い沈黙の後、お兄ちゃんが口を開く。






俺……性転換手術を受けたい。」






覚えているのは、お母さんがショックで倒れたこととお父さんの怒鳴り声、

お兄ちゃんの鞄から見えた中高生向きのキャラクターだった。




この人は……もうお兄ちゃんじゃないの?

いったいこの人は……何?


もし家族が性転換手術を受けたいと言い出したら、あなたは賛成しますか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ