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でこぼこ姉妹の変り種職業

アビリティ・バイヤー

作者: フィーカス

 人は能力に差があって不公平だ。

 自分の能力なんて役に立たない。

 もっといろんな経験をしたかった。

 ――そう思ったこと、ありませんか?

 ブルージュ・カンパニーでは、そんなあなたに必要な能力を取り揃えてお待ちしています。

 新しい能力を手に入れるのに必要なものは、あなたが持っている能力や経験です。不必要な能力は買い取りもいたします。

 自分の不要な能力を売って、必要な能力を手に入れませんか?


 ****


 どこかの森の奥にある一軒家、その軒先には「ブルージュ・カンパニー」という看板が掲げられている。そしてその下には、「あなたの能力、買い取ります」という、質素な貼り紙がある。

 一見すれば、どこかの金持ちの別荘かと思えるような、自然と調和したログハウスだ。初めて来た人は、ここが不思議なものを売っている「店」であるとは思わないだろう。

 今日も一人、怪しげな広告に引き寄せられ、客がやってきた。薄暗い森の中、外灯に照らされたドアを開けると、奥から「いらっしゃいませ」という女性の声が聞こえてくる。しばらくすると、男性と同じくらい長身の、白いエプロンに黒い衣装の女性が出迎えてくれた。その姿は、まるでどこかの金持ちの家で働いているメイドを思わせる。

「あの、広告を見てきたんですけど……」

 若い男性客の手には、「ブルージュ・カンパニー」という店の名前が書かれた紙が握られていた。声を掛けてきた女性が「こちらへどうぞ」と招き入れると、客の男性は木製のテーブルセットに向かう。丁寧に加工された椅子やテーブルに触れると、すべすべしていて気持ちがいい。

 男性客が椅子に座ると、奥から別の女性がトレーを持ってやってきた。先ほどの女性よりも身長は低めで、ややぽっちゃりしている。そのせいか、同じエプロンと黒い衣装なのに、少し印象が違って見える。

「いらっしゃいでふ、せっかくなので、ゆっくりしていくでふ」

 そう言うと、その女性は男性客の前にコーヒーを差し出す。コーヒーカップを手に持ち口元に近づけると、コーヒーのよい香りが鼻の奥に広がった。

 コーヒーを持ってきてくれた女性が一礼して奥の部屋に下がると、先ほどの長身の女性が入れ違いにやってきた。

「初めてご利用の方ですね。私、当店の販売担当をしています、アティカ・ラックリーフという者です」

 長身の女性、アティカはそう言うと、客の男性に名刺を一枚手渡した。

「当店、ブルージュ・カンパニーでは、私たち『アビリティ・バイヤー』が能力や経験の売買、交換をおこなっております。本日はどのようなご用件でしょうか? 能力のご購入ですか? 買い取りですか? それとも交換ですか?」

 アティカが席に着くと、手に持ったパンフレットをテーブルに置き、男性客の前に広げた。パンフレットを手に取ると、「能力の買い取り」や「能力の交換」という文字が目に着く。

「えっと、広告を見て来てみたんですけど、いまいちよく分からなくて……」

「ではご説明いたします。当店では、お客様が持っている能力や経験を、当店で在庫している能力や経験と入れ替えることが出来ます。また、お客様の寿命での売買も行っております」

「寿命?」

「はい、こういった目に見えないもののやりとりでお金をいただくわけにはいきませんので、寿命のやりとりをさせていただいております」

「はぁ……」

 いまいちピンと来ていないのか、男性客は首をかしげる。

「そうですね……例えば、『視力』で体験していただきましょう。あそこに書いてある文字、読めますか?」

 アティカは、奥の壁に貼っているポスターを指さす。男性は「目が悪いもので」と言って首を振った。

「では、『視力がよい人』の能力を与えますので、ポスターを見ていてください」

 そう言うと、アティカは一枚の書類をもって立ち上がる。そして近くのコピー機のような機械に向かい、操作を始めた。男性客はしばらくポスターを見ていたが、突然「おお」と声をあげた。

「いかがでしょう? 先ほどよりも視界がよくなったと思いますが」

 アティカが操作を終えて戻ると、男性客は「すごい」と感心しきりで周りを見渡していた。

「遠くの小さい文字までよく見える! 一体どうやって……」

「お客様に、『視力がよい』という能力を与えただけです。とはいえ体験用ですので、すぐに返却していただきますが」

「なるほど……ということは、同じようなことを、他の能力でも?」

「はい、他にも『記憶力が優れている』という能力であったり、『速く走れる』という能力であったり、そういったものもご準備できますよ」

 アティカは資料のうちの一つを広げ、男性客の前に差し出す。

「例えば、お客様が運動が得意でも考えるのが苦手な場合は、運動能力と知識を交換する、ということが可能です」

「なるほど、そうやって、自分の環境に合った能力を手に入れることができる、と」

「そういうことです。さて、お客様はどのような能力をお望みですか?」

 男性客は資料のページをペラペラとめくる。すると、あるページをめくったところで手が止まった。

「あ、これいいですね。私、とび職をやっていまして、体力が必要なんですよ。大学院卒なんですけれど、結局勉強したことをあまり活かせてなくて。元も体力が無かったので、運動はしているのですがなかなか……」

「なるほど、では大学院レベルの知力と、とび職に必要な体力の交換、でよろしいでしょうか。交換手数料として、寿命150日が必要ですが……」

「ぜひ、お願いします!」

 男性客が頭を下げると、アティカは資料を片付け、「個人識別カードをお願いします」と男性客に言った。

 個人識別カードは、個人情報が記録されたカードだ。住所氏名や生年月日はおろか、身長や体重、その日のコンディションまでも分かってしまう。個人と密接に繋がっており、情報漏えいなどが懸念されるカードのため、「悪用不可能」レベルの厳重な管理体制が敷かれている。一体どうすればそこまでの完全なシステムができるのかは、当然トップシークレットだ。

 アティカが男性客の個人識別カードを受け取ると、奥にある怪しげな機械に通した。コピー機ほどの大きさの、直方体に近い形をした機械で、上面にはタッチパネルが付いている。そこでいくつかの操作をすると、機械から紙が印刷された。

「こちらが契約書です。内容をよく確認して、サインをお願いします」

 印刷された紙とサインペンを男性に差し出す。内容はおよそ、「貴方の知力と在庫の体力を交換します」「交換手数料は、貴方の寿命150日です」といったことだ。男性客は一通り目を通すと、サイン欄に自らのサインをした。

「はい、これで契約成立です。もし不都合がありましたら、今日から八日間は異議申し立てと契約解除ができますので、その際はまたご来店ください」

 アティカがいくつかの書類を男性客に渡すと、男性客は一礼して店から出ていった。


 ****


「はぁ……今日やっと一人目かぁ……」

 事務所に戻ると、アティカは一人用のソファにどかっと腰を落とす。

「お疲れ様でふ。久々に一見(いちげん)さんだったでふね」

「最近常連ばっかりだったから、久々に説明疲れたわ。カルチェ、コーヒーお願い」

「はぁ……コーヒーくらい自分で淹れるでふよ」

 そう言うと、カルチェは給湯室に向かった。

 アビリティ・バイヤーは、長身の姉であるアティカ・ラックリーフと、少しぽっちゃりした妹のカルチェ・ラックリーフの二人で経営している。主にアティカが接客、カルチェが事務を担当している。一年ほど前に出来たこのログハウスで、二人で生活を始めたのだ。

 森の奥と言っても、街まではそう遠くない。買い出しやライフラインに不便はなく、二人で自由気ままに暮らしていた。

「それにしても、最近売り上げが悪いと思うんだけど、今のところどうなの?」

 コーヒーを飲みながら、アティカはカルチェに尋ねる。木の机で事務処理をしていたカルチェは、台帳のようなものを取り出し、確認を始めた。

「えっと……今週に入っての収支が……マイナス12年でふか……まずいでふね」

「え、まいなす? いま『まいなす』って言ったかしら?」

「そりゃ、買い取りばかりやってたらそうなるでふよ。お姉ちゃんは老人が大好きみたいでふからねぇ」

「仕方ないでしょ、まさか能力の買い取り希望の高齢者があんなに来るなんて思って無かったし」

 いらない能力と好きな能力を入れ替える。それだけ聞くと、多くの人が必要な能力を求めてやってくるように思えるだろう。

 しかし、いざこの「能力の売買」の商売を始めてみると、思いのほか高齢者がたくさんやってきた。何故かというと、「自分の能力や経験を売って、長生きしたい」という人が多いためだ。

 老い先短い人は、いくら能力や経験を持っていても、使う場面が無いために意味が無いと考える人が多い。そのため、自分の能力や経験が他の人に役立てるならばと、能力や経験を売りに来る人が多いのだ。

「仕事始める時はよかったんでふがね。在庫が余り始めているでふよ」

「おかしい……こんなはずでは……」

「営業が足りないんでふかねぇ。お姉ちゃんがもっとしっかりしていれば……」

 カルチェがそう言いかけた時、店の入口の方からベルの音がした。誰かがやってきたようだ。

「あら、今日二人目のお客さんね。ちょっと行ってくるわ」

 そう言うと、アティカはすぐに事務所から出ていった。


 ****


 次に来たのは、五十代とみられる男性だ。ほっそりとした体形に、チェックの薄い長そでの上着が男性を若く見せる。

「いらっしゃいませ……あ、シュプロイアーさん、お久しぶりです、最近どうですか?」

「やあ、アティカちゃん、今回もばっちりだったよ。ここのお陰だ」

「そうですか、よかったです。あ、すぐコーヒー入れますね」

 アティカは客の男性、シュプロイアーをテーブルに案内すると、すぐに事務所にいるカルチェに声を掛けた。彼は小説家で、よくこの店に来ている。デビューした頃はそんなに売れているわけではなかったが、この店を知ってからというもの、一気に才能が開花したという。

 しかし、「文才」を手に入れたわけではなかった。アティカも最初はそういった能力を求めていたのだと思ったが、才能自体は自分のものを信じたい、とのことだ。

 カルチェがコーヒーをテーブルの上に置くと、シュプロイアーは一緒に付いてきた角砂糖三つをすべて入れた。彼曰く、「小説家は頭を使うから糖分が必要」とのことだ。

「今回は、どんな経験が必要でしょうか?」

 シュプロイアーが出されたコーヒーを飲んでいると、アティカがテーブルにパンフレットを広げた。今回は「おすすめの経験一覧」というものだ。

「今回は恋愛物を書こうと思っているんだけど、いかんせん高校時代の恋愛経験が少なくて。それに、時代がひと昔前の設定だから、昔の人の恋愛がどんなものかを知りたいんだ」

「へえ、シュプロイアーさん、結構かっこいいから、モテたんだと思ってましたけど」

「はは、現実はそう甘くないものさ」

 アティカはパンフレットのページをめくり、いくつかの「恋愛経験」のプロフィールが書かれているページを開いた。どんな人が、どの時代にどのような恋愛経験をしたのか、ということがある程度書かれている。

「そうだね……じゃあ、この恋愛経験にしよう。あ、細かい条件付けたいから、これとこれと……この十点をオプションで。前交換した仕事の経験はもう必要なくなったから、それと交換で」

「分かりました、えっと……交換手数料が200日ですがよいですか?」

「問題ないよ。契約書を」

 男性客がそう言うと、アティカは個人識別カードを受け取り、機械に向かった。契約書を印刷すると、個人識別カードと共に男性客に手渡す。

「それにしても……大丈夫ですか? こんなに何度も経験を入れ替えていたら、そのうちすぐに寿命が……」

「ははは、問題ないよ。人間はいつ死ぬか分からないものさ。少しくらい寿命が減ったくらい、どうってことはない。それよりも、好きなことを好きなだけ出来る方が幸せだからね。人生、太く短く生きるものさ……あれ、アティカちゃん、契約書一枚足りないんじゃない? 右上『2/4』ってなってるけど、三枚しかないよ?」

「え、ちょっとお待ちください……あ、すみません、話しながら印刷してたら一枚取り損ねていたみたいです」

「ちょっと、しっかりしてよね。こっちは寿命がかかってるんだから」

 シュプロイアーはそう言いながらも、残りの契約書を受け取りサインをする。アティカが必要な書類をシュプロイアーに渡すと、シュプロイアーは座り込んで受け取った「経験」をかみしめる。

「……なるほど、これならいい話が作れそうだ。どうもありがとう、次作もヒット間違いなしだ」

「それは良かったです。では、お気をつけて」

 シュプロイアーが席から立つと、アティカは頭を下げて店から出ていく姿を見送った。


 ****


「またあのお客さんでふか? もう4年は削っていると思うのでふが、大丈夫なのでふかね?」

 食器を洗いながら、カルチェは先ほどの男性客の話をアティカから聞いていた。シュプロイアーがこの店に来るのは、もう八回目だ。

「ま、そういう人もいないと、この商売やっていけないけどね」

「どうなのでふかね。確かにうちらは、政府公認の店ではあるでふが」

「それだけ信頼されてるってことよ」

 能力や経験を入れ替える、などということは、簡単にできてよいことではない。容易に悪用されることが考えられるからだ。それゆえに、許可制となっている。アティカとカルチェは、この許可を取るために随分苦労したものだ。

「それにしても、父さんも母さんも、何でこんな変な職業を勧めてくるのでふかね?」

「さぁ、分からないわね。もっとも、お客さんは一日に何十人も来るわけじゃないし、楽は楽なんだけどね」

「生活には困らないというのはありがたいでふよね。そうでなければこんな仕事なんてやらないでふよ」

「ま、お金にならなきゃ意味ないからね。というわけで……」

「あの……またギャンブルでふか? そろそろ他の能力でお金を稼いだ方がいいんじゃないでふか?」

「だって、一番稼ぐのが楽じゃない。ささ、出かける準備するわよ。ついでに、夕食も食べていきましょ」

「まったく……うちの姉はどうしてこうなのでふかね」

 姉妹の収入は、あくまで「寿命」しかない。当然、生きていくにはお金が必要だ。

 ではそのお金はどうやって稼ぐのか? 答えは簡単だ。買い取った能力を駆使すれば、いくらでもお金を稼ぐことが出来る。

 例えばギャンブルの才能を使ってギャンブルで稼ぐことも出来るし、音楽や絵の才能を駆使してコンサートや展覧会でお金を集めることも出来る。宗教団体を作ることも可能だ。

 当然、職業上「生活に必要なお金を手に入れる手段」のみ、使用が許可されている。違反すると即座に許可が取り消され、営業できなくなる。「能力」「経験」という商品の性質上、そこはしっかりと監視されているのだ。

「さーて、今日は何にしようかなぁ。競馬かパチンコか……って、うわっ!?」

 アティカがエプロンを取り、着替えて外に出ようと店の入口のドアを開けると、髪の長い二十代とみられる女性が、入口の前で立っていた。

「あ……あの、今日はもう終わりでしょうか……?」

「す、すみません、誰も来ないと思って店を閉めようとしていたところだったもので……ささ、どうぞどうぞ」

 アティカは慌ててその女性を中に招き入れる。女性は小さな声で「失礼します」と言いながら、テーブル席に着いた。出かける準備をしていたカルチェも、女性が入ってきたのを見て慌ててコーヒーを淹れに給湯室に向かった。

(うわぁ、よく見たら綺麗な人……でも……)

 入口で見た時は、周囲が暗かったこともありはっきりと見えなかったが、よく見ると顔立ちが整っていて美人だ。しかし、前髪で目が隠れているものの、どうも浮かない顔をしている。

 カルチェがコーヒーを出したところで、アティカはパンフレットをテーブルに準備して話を進めることにした。

「えっと、今日はどのようなご用件で……」

「私、今死のうかどうか悩んでいるところなんです」

「え? 死ぬ? 何かあったのですか?」

 テーブルに置いたパンフレットを開く手が止まる。女性は「実は」と続けた。

「産まれてからずっと、いいことが無いんです。父親は早くから病気で亡くなるし、勉強もうまくいかなくて志望校には行けず、お付き合いしていた男性には暴力を振るわれて……」

 女性の顔はますます暗くなり、涙があふれてくる。アティカはどう声を掛ければよいか分からず、言葉に詰まっていた。

「えっと……このお店、能力や経験を売ってくれるんですよね? 私、何も取りえが無くて、交換できるものなんて無いと思いますけれど、どうにかして自分を変えたいと思うんです」

 女性はそう言うと、心を落ち着かせるためかコーヒーに口をつける。話を聞いていたアティカは、パンフレットを片付け、「それなら」と声を掛けた。

「あなたのその経験、こちらで買い取る、という形でいかがでしょう? 嫌な思い出、経験、すべて忘れてしまえば、前に進めるかもしれませんよ?」

「え、そ、そんなことができるのですか?」

「はい。当店では、お客様の貴重な経験の買い取りも行っております。お金は出せませんが、寿命でお支払いさせていただいております。ただ……」

「ただ?」

 アティカの言い方に、女性の表情が曇る。

「その……どうしても、そういった経験は『負の経験』となってしまいますから、需要がほぼ無いのです。それで、買い取りではなく、処分という形になります。さらに言うなら、処分にも費用が掛かりまして、そちらも寿命でのお支払いとなります」

「寿命で……どのくらいかかるのですか?」

「そうですね……個人識別カードはお持ちですか? ちょっと見積もりをさせていただきますので」

 女性は持っていた黒いバッグから財布を取り出し、個人識別カードをアティカに手渡す。アティカはそれを機械に通すと、いくつかの作業をして印刷を始めた。今回は契約書ではなく、見積書だ。

 その見積書を女性の前に出し、指をさして説明を行う。

「……以上の経験を買い取り、というか処分させていただくとして、ざっと10年3カ月ほど必要となりますが……いかがいたします? このうちの一部の処分も可能ですが……」

 女性は見積書に書かれた内容をじっと見つめる。10年の寿命が必要、というよりも、経験の多さに驚いているようだ。

「10年……たった10年寿命が短くなるだけで、私は前向きになれるのですね」

「それはお客様次第ですが、『負の経験』を処分された方の多くは前向きな人生を送られているようです。ただ……10年は結構大きいですよ。よくお考えになった方が……」

 アティカがすべて言い終わる前に、女性は首を振った。

「考えることはありません。私はこれから死のうとしていたところです。それが、10年短くなったとはいえ、まだ幸せに生きることが出来るのなら、そちらの方が良いに決まっています」

 女性の顔は、先ほどの暗い表情から一転して笑顔が見えるようになった。アティカは「そういうことでしたら」と、すぐに契約書の印刷に取り掛かった。契約書を渡すと、女性は迷いもなくサインをし、アティカに返す。


 女性がドアを開けると、店から出ずにその場で立ち止まった。

「……嫌なことを忘れるって、こんなに気持ちがいいことだったんですね」

 そう言って、アティカの方へ向いて笑顔を見せた。

「なんだか生まれ変わったような気がします。これから、前向きに生きることが出来そうです。今日はありがとうございました」

 アティカに一礼すると、女性は店から出ていった。


 ****


「あーもう、せっかく競馬で大勝する予定が台無しじゃない!」

 カルチェが食器の片づけをしていると、アティカが着替えながらぶつぶつと文句を言い始めた。

「片付け終わった後に出かければいいじゃないでふか。お客さんが来たからって、どうして止めたのでふか?」

「そりゃ、ギャンブルの才能がそう叫んでいるからよ」

「はぁ……それでギャンブルで勝てるなら、えらい便利な能力でふね」

 外食が中止になったため、カルチェは冷蔵庫から適当な食材を取り出し、調理を始めた。アティカは着替え終わってソファでふてくされている。

「しかし、今日も『負の経験』の買い取りだったでふね。ちょっとこのままじゃまずいんじゃないでふか」

「うっ……それはそうなんだけど……」

「しかも他の買い取りも多すぎて、このままじゃ採算が取れないでふよ」

「いやいや、今日だってもう三人お客さんが来たわけだし、まだまだ安泰でしょ」

「ほほぅ、随分な自信でふね」

 カルチェは作った皿にサンドイッチを盛り付け、テーブルに運んだ。アティカは間髪入れず、そのうちの一つに手を伸ばす。

「ところで、これを見てほしいのでふが……」

 紅茶を淹れた後、カルチェは作業をしていた机から、一冊の資料を持ってきた。アティカがサンドイッチを片手に持ったままその資料に目を通すと、徐々に顔色が悪くなっていく。

「いや……えっと……あの……これは?」

「見てわかる通り、これだけ『負の経験』があるのでふよ。処分に寿命何年必要なんでふかね?」

「いやいや、さすがにこれは間違えでしょ。私こんなに買い取った覚えは……」

「一人分の量がすごいんでふよ。お姉ちゃんは人の『負の経験』を甘く見すぎでふ」

 ティーカップに紅茶を二人分注ぎ、カルチェはその一つを手に取る。一口飲んだところで、ふぅ、とため息をついた。

「……で、それの処分期限が今月いっぱいなのでふよ。処分するためにはうちらの寿命が必要でふ。さらに言うと、先月買い取った分は再来月までに処分が必要なのでふ。さて、今の資産で『負の経験』を処分すると……どうなるかわかるでふよね?」

「……いかん……このままでは倒産してしまう……」

 この店で言う「資産」とは、姉妹の寿命だ。寿命のやりとりで商売をしている以上、寿命が無くなると商売ができない。倒産は、二人の死を意味することになる。

「まあ、先に残りの寿命が尽きるのはお姉ちゃんの方でふから、私はそれから対策を考えればいいでふがね」

「お、おのれ妹め、姉の命を何だと思っているのだ!」

「お姉ちゃんの努力が足りないからでふ。さんざん客を逃しておいて何か言うことはあるでふか?」

「うぅ……」

 アティカは持っていた資料をテーブルに投げ出し、ソファにもたれかかってため息をついた。

「はぁ……せめて素敵な彼氏が作りたかった人生だった……」

「能力を自由に手にできる女なんて、怖くて付き合えないと思うのでふが」

「くっ、私に一生独身でいろと?」

「一生が来月で終わるなら関係ないでふ」

「私を! 殺すな!」

 アティカは念のため、残りの寿命資産がどれだけあるか確認してみた。しかし、何度計算しても「負の経験」を処理する寿命を差し引くと、ほぼゼロになってしまう。

「……これさぁ、処理は分割できないの?」

「無理でふよ。国との契約で、『負の経験』は三カ月以内に処理することになっているでふ。三ヶ月溜め続けたツケでふかね」

「はぁ……どうしてこうなったんだか」

「冗談抜きでまずい状態なのでふよ。本気で対策を考えないと……」

 カルチェがそう言いながらサンドイッチに手を伸ばした時、店の入口からノックをする音が聞こえた。

「ああもう、クローズドの看板が読めないのかしら? 仕方ないわねぇ」

 アティカは頭を掻きむしりながら、事務所を出て入口に向かった。


「あの、今日は閉店なんですけど……」

 入口のドアを開けると、一人の男性が立っていた。年齢は四十代から五十代だろうか。この時期に合わない茶色のコートで全身を覆っており、同じくこげ茶色の帽子を深々とかぶっている。

「これはこれは、閉店後にすみません。わたくし、あなた方と同じアビリティ・バイヤーでして、お話したいことがあるのです」

「お話ですか……そうですね、立ち話もなんですから、とりあえず中に入っていただけるかしら?」

 アティカがそう言うと、男性は「失礼して」と店の中へ入った。その様子を見ていたカルチェはすぐさま紅茶を淹れてテーブルに持って来る。

 テーブルに着いた男性は、出された紅茶を手に取り、まずは香りを楽しんだ。

「ほぉ、良い香りですな。専門店で仕入れたものですかな?」

「デパートで買ってきたものですよ。そんなに大したものではありません」

 そう言いながら、アティカは男性の向かい側に座る。手元にパンフレットなどは無い。

「それで、お話というのは……」

「おっと、失礼。わたくし、こういうものでして」

 そう言うと、男性は名刺を一枚手渡した。

「エベネーズ商会のミレンズさん……ですか」

「わたくしも、能力や経験を買い取り、販売している者です。それで、今日は商談に参りまして」

「商談……ですか?」

「ええ」

 そう言うと、ミレンズは持っていたカップをソーサーに乗せ、手を組んでテーブルに肘をついた。

「わたくしが探しているのは、『負の経験』です。欲しがる人間はほとんどおらず、かといって処分のためには寿命が必要。そんな困ったものを買い取りたいと思いましてね」

 ミレンズはクククと笑いながら、紅茶を口にする。アティカは言っていることの意味が分からず、腕を組んで首を傾げた。

「どうしてそんなものを? 何か悪いことでも企んでいるのですか?」

「とんでもない。わたくしは、ただあなた方がお困りではないかと思い、このような商談を持ちかけたのです」

「はぁ……」

「あなた方は不要な『負の経験』を処分でき、わたくしは必要な商材を手に入れる。非常に良い取引だと思いますが……」

 アティカは腕を組んだまま、ミレンズの商談内容について考えた。確かに「負の経験」を全て引き取ってくれるなら、こんなにいい話は無い。しかし、相手に取って何の得があるのかが分からない。そもそも、「負の経験」なんて、処分以外にほとんど使い道がないのだ。

「寿命100年でどうでしょう? こんなにいい話はないかと……」

「お姉ちゃん、その話、乗ってはダメでふよ」

 ミレンズが話を進めようとすると、事務所からカルチェが慌てて飛び出してきた。

「カルチェ、一体どういうこと?」

「エベネーズ商会、どこかで聞いたことがあると思ったら、悪徳アビリティ・バイヤーだったでふよ」

「へ?」

 カルチェは口をとがらせ、かなり不機嫌な様子でアティカの隣に座った。普段はそんなに表情の変化を見せないカルチェにしては珍しい。

「能力を求める人に、役に立たない経験や『負の経験』を押し付け、自分は大量の寿命を得るという、とんでもないバイヤーなのでふ」

「はぁ? そんなの許されるわけないでしょ。そもそもアビリティ・バイヤーって、国の公認の職業でしょ?」

 アティカは思わず立ち上がって怒鳴ってしまった。二人のやりとりを聞いていたミレンズは、クククと笑いながら紅茶を飲み干す。

「おや、ご存じでしたか。ええ、私は闇のアビリティ・バイヤーとでも言いましょうか、無許可で能力や経験のやりとりをおこなっております」

「国から許可を得ないのに、どうやって商売をやるのでふか? そもそも機械が無ければやりとりはできないはずでふが……」

「機械自体は、他のバイヤーから購入するのはたやすいことでした。借金を抱えていたバイヤーに大金を積んだら、あっさり手放してくれましてね。それで、わたくしは能力や経験のやりとりができるというわけですよ」

「はぁ……これだから国のやることは……機械の譲渡防止くらいしてほしいものでふ」

 カルチェは今の管理体制にあきれてため息が出た。こんなでたらめな職業を認めているのに、管理体制はしっかりしているのだかしていないのだかよくわからない。犯罪行為や犯罪まがいのことを考える人も当然出てくるだろう。

「大体騙すって言っても、契約書があるから簡単には行かないはずだけど?」

「ええ、そうですね。しかし切羽詰まった人間を騙すのは楽なものでね。ろくに契約書を読まずにサインをしていくのですよ。例えば、交換する能力や経験が逆になっていても、気が付かないわけですよ。おかげさまで、寿命資産は1000年以上となりました。もっとも、気が付いた人には、きちんと対応させていただいております」

 ミレンズは何が楽しいのか、クククと笑うのを止めない。

「……騙された人はどうなると思ってるでふか」

「考えれば分かることです。多くの辛い経験をした人間は、それこそ明日にでも死にかねない方ばかり。そんな辛い経験が倍になったとしたら……」

「……まったく、酷いことをするでふね。人の命を何だと思っているでふか!」

 激昂するカルチェの隣で、アティカはぼそりと「姉を殺そうとする奴の言うことじゃないけどね」とつぶやく。しかし、そんなことは気にしていないようだ。

「契約書をきちんと確認しない方が悪いのですよ。わたくしは、きちんと手順に沿って手続きを行っていますからね。ところで、あなた方ブルージュ・カンパニーは、多くの『負の経験』を抱えていらっしゃると聞きます。このままでは、『倒産』してしまうのではないですか?」

 ミレンズの話を聞き、カルチェは思わず息を飲む。

「なるほど、つまりはこうやって、『負の経験』が集まっているバイヤーを調べて、『商材』になる『負の経験』を集めて回っているというわけでふね?」

「そういうことです。さて、どうします? 別にわたくしは、ここで買い取らずとも、他を当たればよいだけの話ですが……」

 カルチェとミレンズの話を聞き、アティカは椅子に座って考え込む。カルチェは「やっぱりやめた方がいいでふ」と言い続けるが、アティカに拒否する様子は見えない。

 しばらく沈黙の時間が続き、しびれを切らしたミレンズは「なるほど、そういうことなら」と立ち上がろうとした。その時だった。

「……分かりました。お受けいたしましょう。寿命100年ですね。個人識別カードをお願いします」

 アティカがミレンズに待ったを掛けるように言った。それを聞き、ミレンズは待ってましたとばかりに持っていたカバンから個人識別カードを取り出した。

「え、ちょ、お姉ちゃん?」

「仕方ないわよ。このままじゃ、私たちが死んでしまうんだから。辛い経験を受け取る人には悪いけど」

「そんな……」

 引き留めようとするカルチェをよそに、アティカはミレンズの個人識別カードを受け取り、機械に向かう。

「さすが、お姉さんの方は賢くて助かります。あ、さすがに今一気に『負の経験』を引き受けてしまうと、私とてきついですから、取引成立は私が帰り着く頃……三十分後になるよう、設定しておいてください」

 ミレンズに言われ、アティカは頷く。機械の操作を終えると、契約書の印刷が始まった。契約する経験の量が多いためか、何枚にもわたって印刷されている。

 ようやく印刷が終わり、契約書をまとめると、それをミレンズに手渡す。

「こちらが契約書です。お渡しする『負の経験』の内容は……数が多いのでご確認ください。買い取り寿命は100年、この契約が完了した三十分後に交換引き渡しとなります」

「おお、これは素晴らしい量の経験だ。あ、不正があると困りますので、きっちり確認させていただきますよ。契約書はきちんと確認しなければ……ククク……」

 そう言って、ミレンズは契約書の一枚一枚、一言一句漏らさずに目を通す。流石に枚数が多いせいか、全部読み終えるのに十分以上はかかった。その間に、紅茶のお替わりを三回はしている。

「……ふむ、不備はなさそうですな。確かに支払いの寿命は100年、それに最後の免責事項も、特にこちらに不利になるようなことは書いていないし、大丈夫ですな」

 そう言うと、ミレンズはサインをし、契約書をアティカに渡した。


 ****


 店を出るミレンズを見送ると、アティカとカルチェは事務所へ戻った。

「お姉ちゃん、あれでいいのでふか? このままだと、多くの人が嫌な経験を押し付けられるでふよ?」

 声を掛けるカルチェをよそに、アティカはソファに座り込む。

「……私だって死にたくないし、仕方ないわよ」

「気持ちは分かるでふが、まだ時間はあったし、他にもやり方があったはずでふ」

「まったく、最低ね。いくらあいつが悪人だからって、まさかあんなひどいことをしてしまうなんて」

「そうそう、いくら悪人でもそこまでやるなんて……え?」

 カルチェはアティカの言葉に耳を疑った。ぽかんとしていると、アティカが一枚の紙をカルチェに見せた。

「えっと、これは、さっきの契約書の一部でふよね……え、『契約2』? あの契約は『負の経験』と寿命のやりとりっていう一件の契約じゃなかったでふか?」

「ええ、多分彼もそう思ったでしょうね。でも、実際の取引は二件に分かれていたのよ。ほら、そこに書いてある、『交換する経験・能力および寿命』っていうところを読んでみなさい」

「ん、どれどれ……ああっ!」

 カルチェが驚きの声をあげると、アティカは突然大笑いをし始めた。

「気づいた? 確かに『契約2』の方は『負の経験』と寿命100年の交換だけど、『契約1』は『負の経験』と『アビリティ・バイヤーの経験』の交換の契約になっているのよ」

 すると、アティカは先ほど回収した契約書すべてをテーブルに置いた。

「今回取引した『負の経験』は三百件以上あって、契約書は三十ページになったのよね。だから、わざと契約を二つに分けて、『契約1』の最後までと『契約2』の最初が載っている十五ページ目を抜き取ったのよ。そうすると、『負の経験』の内容がずらっと並んだ、一つの契約に見えるわけよ。相手も契約が二つに分かれているなんて知るはずもないし、三十枚も二十九枚も同じに見えるわよね。普段契約書一枚で済ませていたら、気が付かないと思うわ」

「はぁ……あくどいことを考えるものでふね」

「彼自身、言ってたじゃない。契約書をきちんと確認しない方が悪いんだって。契約書の枚数なんて、シュプロイアーさんみたいに確認するのが当然でしょ。一ページ抜けているっていうヒントもあったわけだし、気が付いたらきちんと対応させていただこうと思ったんだけどねぇ」

「……お姉ちゃんは、あのミレンズって男並に悪い奴でふね」

 カルチェは感心しながら呆れていたが、契約書を最後まで読んでふと気が付いたことがあった。

「あ、でも、契約にはクーリング・オフが定められているでふ。もし契約解除になったら……」

「大丈夫じゃない? アクティブ・バイヤーの経験っていうのは、『利用した経験』も入っているから、私たちのこともすっかり忘れているわよ。そもそもヤバい大量の『負の経験』のせいでそれどころじゃないだろうし、まあせいぜい大量に手に入れた寿命資産とやらで延々苦しみながら生きていけばいいんじゃない?」

 淡々と説明するアティカの顔は、まるで子供が動物をいたぶるのを楽しんでいるかのうようだ。カルチェはミレンズの立場を考えるだけで、背筋が凍りつくように感じた。

「1000年以上……って言っていたでふか。完全に自殺ものでふよ」

「自殺もさせないわよ。『負の経験』の中には『死が恐ろしくて悩む』っていうのも混ざってるから。死にたいけど死が怖いっていう自己矛盾で、1000年以上生きられることも忘れて、悩み続けるんじゃないかしら?」

「あの……お姉ちゃんは悪魔でふか? もはやあの人に同情するでふよ」

「仕方ないじゃない。彼が望んだ契約なのだから」

 アティカは残っていたサンドイッチに手を伸ばし、一口かじる。時間が経ってしまっていたからか、思わず「なんかおいしくない」と口にしてしまった。

「……カルチェ、能力っていうのは、どうしても育った環境でどんなものが身に着くか左右されるものなの。本当はやりたいことがあって、それに必要な能力が手に入らないことだってあるわ。私たちは、そういう人たちのためにあるべきだと思うの。その能力や経験を悪用しようとすれば、それ自身に足をすくわれるものよ」

「確かにそうなったでふが、お姉ちゃん、急にいいこと言いだすと気持ち悪いでふよ」

 テーブルの席に着いたカルチェは、冷めた紅茶を飲みながらつぶやいた。


「さて、お腹もいっぱいになったし、パチンコにでも行って気分転換と金稼ぎよ!」

 サンドイッチをたいらげたアティカは、すぐさま出かける準備を始めようとした。しかし、カルチェがそれを止める。

「お姉ちゃん、今からじゃ間に合わないでふ。多分どこも閉まっているでふよ」

「え? う、うそ、もうこんな時間!? そんなぁ……」

 窓を覗けば、辺りはすっかり暗くなっている。時刻はもう十時過ぎ、今から行っても間に合わないだろう。

「ああもう、今日はせっかく焼き肉気分だったのに! あのクソ男、今度会ったら酷い目に遭わせてやるんだから!」

「既に酷い目に遭わせているのに追い打ちを掛けてどうするんでふか。もう今日はお風呂に入って寝るでふよ」

「ああもうイライラする! ギャンブル! ギャンブルさせろ!」

「もうお姉ちゃんのギャンブル中毒にはついて行けないでふ。先にお湯もらうでふよ」

 アティカが頭を掻きむしって叫び続ける中、カルチェは食器を片付けて風呂場に向かった。



 人は能力に差があって不公平だ。

 自分の能力なんて役に立たない。

 もっといろんな経験をしたかった。

 ――そう思ったことがある人はいませんか?

 ブルージュ・カンパニーでは、そんなあなたに必要な能力を取り揃えてお待ちしています。

 新しい能力を手に入れるのに必要なものは、あなたが持っている能力や経験、あるいは寿命です。辛い経験も、しっかり処分いたします。


 自分の不要な能力を売って、必要な能力を手に入れませんか?


余談ですが、一部の人物名や店の名前などは「世界一のもの」から取っています。

ブルージュ・カンパニー→ブルジュ・ハリファ(アラブ首長国連邦にある世界一高い建築物)

ミレンズ→ミル・エンズ公園(アメリカにある世界一小さい公園)

エベネーズ商会→エベネザー・プレイス(イギリスにある世界一短い通り)

シュプロイアー→シュプロイアーホフ通り(ドイツにある世界一狭い通り)

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