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遥かなるモブの理想郷  作者: サコロク
1/6

モブの出会いの春休み

モブ……学園生活などにおいていわゆる脇役という立場にある人間達。あくまで主役の陰に隠れてひっそりと生活を送っている人間達。

人間は皆、己の人生における主人公と人々は言うが、俺は断固としてそれを否定する。

人生とは自分だけで価値基準を決められるものでも無いし、そもそも主人公であるのならばその人生はバラ色に輝いていなければいけないはずだ。

あいにくと俺はバラ色な人生など御免なわけで、中学三年間ずっと灰色の人生を送ってきた。

友達なんて無論いなかったし、そもそも欲しいと思ったことなど一度もない。

主人公気質を持つ人間たちは、高校生活という人生にとって重要な期間にキャッキャウフフな人生を望む、まあいわゆる ”浮かれた人間” である。

だが、俺にとって高校生活とは人生の通過点でしかない、というよりか生きている中のたった短い三年間でしかないのだ。

俺が望む人生とは平穏な学園生活を送り、普通に就職して、まったりとした人生を送ることで、何か衝撃的な出来事とか、運命の出会いなんて物に微塵の興味もなかった。

だからこそ俺の高校生活は中学同様、灰色の生活で何事もなく終わりまでまっしぐらとなるはず…… ”だった” 。

中学を卒業し、普段と変わらないモブ生活の春休みを送っていた俺…… ”森山 颯太” を待ち受けていたのは、灰色でもなくバラ色でもなく、他の色に簡単に染められて何色かわからなくなったカラフルな色になっていくことをこの時俺は知る由もなかった……




さて、時は高校の入学式から遡ること十日前、場所は街のショッピングセンターにまで遡る。

この日の俺は、新しく始まる生活に向けて文房具の買い出しに来ていた。

もちろんと言うべきか、隣には家族はおらず俺一人である。

そもそも、買い出しは今までも一人で来ていたし、二歳年下の妹からついでに買い出しを頼まれる事もあるので家族ぐるみでのお出かけと言うのがまずない。

今日も妹からのついでのお願いで、今流行りらしい可愛らしいノートを買って来てと頼まれたわけで、自分の文房具の買い出しのついでにそのノートを買っていた。

男の俺がそのノートを買うことに違和感を感じたのか、店員に顔をチラチラ見られたが、別に俺としては珍しいことでもないので、ただ無表情にお金を出しお釣りを受け取ると颯爽と店を去る。

目的を果たした後は無駄な寄り道などはせずまっすぐ家に帰るのが普通なのだが、その日は本屋に気が向き思わず足を進めてしまった。

それが全ての原因とも知らずに……

本屋に着いた俺がまず目指したのは雑誌、漫画などのコーナーではなく文庫本の所だった。

モブとして生きていく上で一番大切なアイテムは ”本” だと俺は思っている。と言うよりは、俺にとってのモブとして生きている上での大切な ”友” だと言ってもいいだろう。

店の中をよそ見することなく進み、ある本棚の前で立ち止まった。

その棚は基本的にミステリーの小説が多く置かれており、俺の好きな作者の小説もそこにあった。

と、その作者の新刊が出ていることに気づき、その本を少しだけ立ち読みをする。

俺が立ち読みの時点で確認するのは、大まかなあらすじ、つまり背表紙にあたる部分とあとがきだ。

ここを確認した上で買うかどうかを決めるのだが、この作者の本に関しては基本的にはハズレは無いのでこの時も手に取った時点で買うことは決まっていたのだろう。

確認を終え、本をレジに持っていこうとしたところで、視界の端になぜか引っかかるものがあり視線をそこに向けてしまった。

よく見ると本棚の下にある新刊やオススメの本が置かれている部分に、見るからに高級そうな財布が落ちていたのだ。


「落し物……か?」


この本棚は本屋の端ということもあって人目につきにくい。

そのためか意外に目がつきやすい位置にあっても、誰も気づかなかったのだろう。

とりあえず何か身分証的な物がないかと財布を開けようとした。が、よくよく考えればこのまま落し物センターに届けてしまえば面倒に巻き込まれないと考え、拾った財布を持って来ていたバックに一旦入れ、とりあえず自分の本を買うためにレジへ向かう。

レジへの最短ルートを通るためできるかぎり人目につかずなおかつ効率のいい本棚の間を抜けて生きながら進んでいくと、ある本棚の角を曲がろうとした瞬間、目の前に飛び込んでくる人に気づくことができずぶつかってしまった。


「うわっ!?」

「キャッ!?」


衝撃自体は軽かったのだが、持っていた本を落としてしまう。


「いてて……大丈夫ですか?」


ぶつかって来た人物の方を見て見るとその人物は、


「え、ええなんとか……貴方こそ大丈夫?」


長い黒髪を後ろで一つにまとめた、いわゆるポニーテールで大人っぽい印象の女性だった。

容姿も端麗で、一般的に言えば ”美人” と言われるのだろう。俺は別にどうも感じなかったが。

とりあえず先に立ち上がりその女性に向かって手を差し出す。


「あ、ありがとう……」


少し気恥ずかしそうにしながらも、手を握って立ち上がろうとする。

女性の手を握ったことなど人生で家族以外初めてだったが、やけに細く感じてしまう。

と、女性は完全立ち上がる直前でなぜかもう一度しゃがんでしまった。

何か落としたのか? と思ったが、どうやら彼女自身の落し物を拾っているわけではないらしい。

その女性は俺が落とした本を拾い上げると、今度こそ完全に立ち上がりその本を俺に差し出して来た。


「はいこれ……ごめんなさい、少し汚してしまったかもしれないわ」

「あ、気にしないでいいですよ。ちゃんと見てなかった俺のせいでもあるんで……」


こういう場合、基本的に自分に非があると言っておけば問題はスムーズにいくので、テンプレ通りのセリフを少しだけ申し訳なさを込めて言った。


「いいえ、私の方が少し急ぎ足になってしまって。本当にごめんなさい……」


どうやらこの女性は簡単に折れてくれるタイプの人間ではないらしい。

まあ、余計突っかかってくる人よりかは何十倍もましなので、その点に関してはいいのだが。


「本当に大丈夫ですから。怪我とかないですか?」

「ええ、それは大丈夫だけど……」

「なら良かった……本に関しては気にしないでください」

「でも……」


これは……時間がかかりそうだ。

面倒なことが嫌いな俺からしてみれば今の状況は最悪そのものだ。

こうなったときに最も適した慣用句があるのを俺は知っている。だから、それを俺は実行することにした。


「申し訳ないですけど、先を急いでるので失礼します。本当にすいませんでした!」


そう言うだけ言った後、俺は深々とお辞儀をした後その女性の隣をスッと抜けていく。

俺の気持ち的にはすっきりとしているが、彼女はそうではないだろう。


「えっ!? ちょっと……」


だがそんなことは気にしない、そもそも俺にとっては非常にどうでもいいことだ。

自己中心的、と言うわけではない。まずもって、俺は俺が果たすべき礼節というものを果たした。文句を言われる筋合いはないはずである。

とにかく、追いかけられても面倒なので、本は一度あまり人が通り掛からない本棚のところに隠し、とりあえず財布を届けにいくことにした。

俺はとにかく非効率なことが好きではないので、常に次の行動は頭に入れて動いている。

もちろん落し物センターまでの道のりだって人が少ないルートを選んで、少し早足で歩いて行った。

だが、何かと新生活へ向けての買い出しが多い人々のおかげで、店はいつもより混んでおり上手く進んで行けなかった。そして、落し物センターへ着いた時間は、予想していたよりも五分遅かった。

センターには幸いなことに俺以外はおらず、さっさと落し物渡してここを去るつもりだったのだが……


「えっと、それではお客様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「えっ!?」


俺が一番危惧していた出来事が起きてしまった。だがそんなことは想定済みだ、俺だって手を考えていないわけではなかった。


「……あの、匿名ってことには?」

「申し訳ありません、物が物だけに匿名では……」


ですよねー。というよりか案の定の返答だ。

まあ結論から言ってしまえば俺にはどうする事も出来なかった、ということだ。

ここまで来てしまえばもう素直に名前を伝えるしかない。

もちろん、偽名を伝える事だってできるだろう。だが、あいにく俺はいきなり名前を考えろと言われてもパッと浮かぶ人間ではないし、下手に ”鈴木一郎” などとあからさまにバレそうな嘘をついて険悪なムードになるのも面倒である。

だから、ここは正直に本名を伝えることにした。


「……森山、颯太です」

「失礼ですが、ふうたさんのふうは風でよろしいんでしょうか?」

「あ、いえ立つ風の方の颯です。よく間違えられるんで、はは……」


愛想笑いを振りまいておくことでできるかぎり険悪なムードにならないようにしておく。

そもそも俺自身笑うことがないので、上手く笑えているかはわからないが別にそれはどうでもいい。


「森山、颯太さんですね。では、この財布をどこで?」

「先ほど本屋の本棚の下に置いてあるオススメのところの上に落としてた? というよりかは置き忘れてたって感じですかね」

「本屋ですね……あ、ちなみに中を見たりしましたか?」

「いいえ、もし女性のものであった場合、さすがにですね……」

「あははは、そうですよね。では、財布は拾った時のままということでいいですね?」

「ええ……」


この質問は多分、中のお金を抜き取っていないかの確認程度の質問だったのだろう。

まあ、その質問をしたところで結局は当人が見つかれば抜かれているのかは簡単に分かる。

俺がこの財布を持って来ている時点でこの受付の女性は疑っていないのは分かっているだろうが、多分マニュアル的な質問なのだ。そうであるのが分かっているから、別段俺も気が悪くなるわけもない。


「……一応中を確認して見ますね」


受付の女性は丁寧な手つきで財布を開け、中から数枚のカードらしきものが出て来た。

そんなカードを一枚一枚見ていた女性の手がある一枚で急に止まった。


「えっ…………えーーーーーーー!!」

「うわっ!?」


いきなり叫びだした受付の女性に思わず俺も驚いてしまう。何事かと思いつつ女性が手に持っているカードを覗き込む。

女性が持っていたのは、 ”真っ黒なカード” だった。一見すれば何の変哲も無いカードで、俺自身も見たことがないものである。


「こ、これは!」

「な、何なんですか?」

「ぶ……」

「ぶ?」


まさか、ブルエリのポイントカード? あの世界的に有名なジュエリーブランドの?

俺も詳しくは知らないが、ヨーロッパのどこかのブランドで、名だたるブランドの一つらしい。

確かにここら辺にはブルエリの店はないはずなので、女性にとっては珍しいカードなのだろうか?

それにしてもものすごい驚きようだ。


「ぶ……何なんですか?」

「…… ”ブラックカード” 」

「ブラックカード……って、えー!! あのブラックカード!?」


ブラックカードといえばもちろんあれしかないだろう。皆が想像している通りのものである。

超超お金持ちしか持っていないと言われているあのカードだ。庶民の俺が一生でこのカードを見ることはまずないと思っていたが、まさかこんなところでお目にかかるとは……


「ほ、本当なんですか!?」


流石の俺でもこれには興奮していた。いや、俺じゃなくてもこうなると思う。


「ま、間違いないわ! 私一度だけ見たことがあるの。これはそれと同じ所が発行してるものだから間違いないわ……」

「え、じゃあこの財布は……」

「ええ……とんでもない大物のものよ!!」


やばいやばいやばい!!

何がやばいって? そんなの決まってる……

そんな奴が来たらマジで面倒なことになるに決まってるからだ。

このまま受付の女性が呼び出しをかけたら、その人物がここに来てしまうということになる。

そして俺は拾った本人としてお話をしなければいけなくなるだろう。

そんなことは死んでもしたくない。時間が無駄すぎる。

落し物を渡してハイ終わりで、このまま本を買って帰るつもりだったのに。

いや、そもそもあの本屋でそのままその財布を放置しておけばよかったのだ。もっと言えば本屋に行かなければよかったのだ。

しかし、後悔先に立たずと言われている通り今考えるべきことはそれではない。

この状況をどう切り抜けるかだ。

そして、俺はその手段を知っているし、さっきもそれで切り抜けた。

そう、つまるところ俺は、


「あ、あの……この先予定あるんで失礼します!!」


逃げた。それはもう全速力で。どれだけ走ったかはもはやわからない。

店内を走るなという警告をガン無視し、全速力でショッピングセンターを出た後も足はスピードを緩めることなく ”面倒” という二文字から逃げるかのごとく走り続けていた。

やがて息も切れ、側にあった電信柱にもたれかかった。体力はそこまでないわけではないが、運動部に比べれば少ない方になるのだろう。

モブとしての俺の条件は ”そつなくこなす事” だと思っているので、勉強に関してもそれ以外に関しても ”ほどほど” に留めている。別に全てのスペックが高いというわけではない、というよりか俺はモブであるのだから全てに関して平々凡々である。必要以上の努力はしないし、逆に言えば必要となる最低ラインまではしっかりこなす。これが俺の ”モブ精神” である。

と、そんな話は置いておいて、今現在一日に使う俺の活動するためのエネルギーの八割が失われた。

家に帰って飯と風呂にはいれば残り二割が消費され俺は活動限界を迎えるだろう。

本を買い忘れたことなど当に頭から欠落していた俺は、ヘトヘトになる体に鞭を打ち帰路を歩き始めた……



家に着く頃には、俺の残りエネルギーはすでに一割しか残っていなかった。

残り少ないエネルギーでいつもより重たく感じる扉を開けやっとの思いで家に入る。


「た、ただいま……」

「お帰りー……って、えー!! お兄ちゃんどうしたの!?」


帰宅した俺を出迎えてくれたのは、妹のくせに俺よりも背が少しだけ高い、ちょっと生意気な妹の ”森山 琴音” だった。

家にいるときは基本的にダボダボの服を着てぐうたらしていることが多いが、今日に限っては外に行く時の服装になっている。


「お、おう琴音か……まあちょっとな。それよりも出かけてたのか?」

「う、うん。友達の葵ちゃんが熱出したって言ってたたからお見舞いに行ってきたの。だから買い物も頼んだんだけど……そんなに大変だった?」

「いや、少なくともお前のせいではないんだが……ある意味疲れた」

「お兄ちゃん活動限界早いからねー。ま、とにかくおつかいありがとう。先に風呂でも入ってくれば?」


琴音は俺が持っていたバックを受け取った後中から自分がおつかいを頼んだノートを取り出すと、嬉しそうにノートを抱きしめていた。


「そうさせてもらうわ……バックは俺の部屋によろしく。あ、あと飯は今日はいいから」

「えっ……じゃあ今日のお兄ちゃんの分のハンバーグ私が貰ってもいい!?」

「ああ、いいぞ。でもそれで太ったからって俺のせいにするなよ?」

「ぶぅー、そういうとこデリカシーないよ。そもそも私運動部だし太る心配はありませーん」

「はいはい、バラ色なお前の生活は充実してるんだな」

「灰色なんて好んでなるのはお兄ちゃんぐらいだよー」

「だがあいにくその生活が性に合っているってのも事実だ」


我ながらに超正論を言った気がする。うん、なんかいい気分。

この少し生意気な妹は、中学高校の人気の的となる運動部女子の中でも最も人気のあるバスケ部に所属していた。

しかも腹ただしいというかなぜかわからないが、俺よりも全スペックが一段階上で、俺はいつもこの子生意気妹に負けた気がしているのである。別段羨ましいというわけでもないが、いつも疑問に思ってしまう。


「……ま、それがお兄ちゃんなんだしそれはそれでいいんじゃない?」

「……なんかお前が素直に認めるとちょっと不気味」

「失礼な! そんなんじゃ一生灰色のままだよ? つかぶっちゃけ今のお兄ちゃん漫画とかに出てくるモブとなんら変わりないよ?」

「モブで結構、モブ最高!」

「はぁー……お兄ちゃんが灰色から別の色に染められて、モブから主人公に昇格する日ってくるのかね? 私は心配だよ……」


やれやれと言いたげな感じで俺を哀れそうに見つめてくる琴音の視線が俺に突き刺さることはなく、そんな皮肉は通用しないと知っていながらも言っている琴音自身も、哀れを通り越して俺に救いを差し伸べているのかもしれない。

……だが断る!!

あいにく俺は誰に染められるつもりもないし、モブの精神がなくなることなどあり得ない。

それくらいに今の生き方が俺にとっては生きやすく、それが ”当たり前” となっているのだ。それを今更変えるつもりなど毛頭なかった。


「……なんでもいいからとりあえずお風呂へシッシ、服は全部洗濯機に入れといてね。もちろんちゃんと網に入れてね」

「お前はお母さんか? そんなのいつものことだろう……」

「なんか今日のお兄ちゃん今にも死にそうな顔してるから……ほら、早く行きなよ!」

「あ、ああ……」


半ば強引に脱衣所に押し込められた俺は、とりあえず服を網に仕分けて入れた後全て洗濯機にぶち込む。

気怠い体で風呂場に入るとモワッとした空気が俺を包み込んだ。いつもならばこの空気が心地よく感じるのだろうが、今の俺にとっては意識を持っていかれかねない毒ガスに近かった。

とにかく体を洗い、一通りのことが終わりそのまま上がっても良かったのだが、足の筋肉の疲労が半端なかった俺はついつい湯船に浸かってしまった。


「あー、今日は本当に疲れた……」


風呂に浸かりながらゆっくりとさっきまでのことを思い出していた。

ほんの気まぐれで向かった本屋で綺麗な女性とぶつかって本を買えず、その本屋で拾った財布の中にとんでもないものが入っていて逃げる羽目になり、こうして疲れた体を癒すために風呂に入っている。


「やっぱり予定外の事はするもんじゃないな……」


今日の俺の失敗は、間違いなく気まぐれに本屋に向かったことだった。

いつもならばスケジュール通りのような行動をするのに、今日に限ってなぜか本屋に足が向いたのだ。

まるで何かに導かれたかのように……


「……春休みで浮かれてたのかもな」


自分でそう思い込んでこの件については忘れることにした。

だがあの ”ブラックカード” については衝撃的すぎてどうしても頭から抜けない。


「一体、誰のだったんだろうな……」


お金持ち、しかも超が二個つくほどの。

そんな人間があんな場所に、と考えれば考えるほど分からなくなる。

だが、無駄な思考を使っていることに気づいた俺は雑念を払うように頭をブンブンと振るうと風呂から立ち上る……つもりだったのだが……


「あ、あれ?」


立ち上がった瞬間に視界がぼやけ始め体がふらつくのが自分でも分かった。

だがそれをどうすることも出来ず、俺は思わずそのまま風呂の中へダイブしてしまう。

顔が一度水に沈んで、すぐに水面から出てきたが、徐々に沈んでいく感覚がぼんやりとだが理解できる。

このまま溺れてしまうのか……そう思った瞬間、風呂場の扉が勢いよく開かれた。


「お兄ちゃーん、お母さんが晩御飯は少しでも……って、お兄ちゃんが溺れてる!?」


微かに耳に入ってきた琴音の声を最後に、俺の耳は水によって完全に音を遮断され、それと同時に意識も途切れてしまったのだった……

皆さん初めまして、サコロクです。

今回の作品はもう一つ書いているファンタジーの方とは打って変わって日常系の作品を書かせていただきました。

テーマは ”モブ” となっており、舞台は栄光の高校三年間です。

とは言っても私自身高校生活全くといっていいほど輝いた三年間ではありませんでした(正確には2年ちょいでしたが)

でも、そんな生活が好きで毎日のように本やアニメにふけって生活していたのですが、それを邪魔するリア充や高校デビューを目論む人物達がいて、つくづく嫌になる三年間でした。

その私自身の体験談も込めて書かせていただく本作ですが……正直書き殴った感が物凄い(笑)

読みにくいかもしれませんが、共感しながら読んで頂けたら幸いです。

ファンタジーの方と平行で投稿していくので投稿が遅くなるかもしれませんが、楽しめる作品を書いていくつもりなので是非是非これからもお付き合いください。

それではこの辺で失礼させていただきます。読んでいただきありがとうございました!

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