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『線の向こうで』

 ☆入院編へと続く

「……あの」

「何?」

「なんですか、この三文小説」

「失礼だな、人の生涯を三流小説とは」

「いえ、三文……じゃなくって」

 何と言えば良いんだ?

 いや、そもそも、春花はるかさんの電波に付き合っている私が間違いなのか?

 待て待て。 案外遅れて来た中二病かも。

「ねぇ、もしかして、失礼な事考えてない?」

「え、いや、そんなハズ無いですよ」

「そう。 なら第二章の入院編を」

「ごめんなさい、活字に慣れてないもので目が疲れました、休憩をください」

「……仕方ないな、ちょっとだけだよ?」

 春花さんの許しを得て、いつものジュースを頼みます。

 ですが、私達がこの店に来た時点でジュースは既に作られていた様で、すぐに出て来ました。

 何度見ても不思議な、紫色をした飲み物。

 見た目は今一でも、何度も飲めてしまう不思議なジュース。

 注文をしなくてもメニューが出てくるのは常連になった証。 なのでしょうけど、時々他の物も飲みたくなってしまいます。

 しかし、他の物と言っても私は珈琲は飲めないし……ん?

「春花さん」

「何?」

「その……春花さんのジュース、なんか色が違いませんか?」

「確かにそうだね、赤っぽい」

「間違えたのかな。 店主さーん、これいつものと」

「良いのだよ良いのだよ、今回は」

「……は?」

 おかしい。

 いつもならサンドイッチのレタスが一枚少ないってだけで喚き立てる超クレーマーな春花さんが、何でこんなに穏やかなんだ。

 これはもしかして、世界滅亡への序曲なのか。

「……ねぇ、やっぱ失礼な事考えてるでしょ」

「いや、ホントにそんな事は無いんですよ。 ホントに」

 ふぅん。

 春花さんは不満そうな顔をしていましたが、すぐに顔を綻ばせ、赤いジュースの入ったグラスを持ちます。

「初めてこの昔話をしたし、心痛の薬は今の私にピッタリだ」

 珍しく、アカデミックな単語が出現しましたな。

 いや、心痛の薬? 何それ、すごい危なそうな響き。

「それに、このジュースはさ」

 私の心配をよそに、春花さんはグラスを口に付けます。

 若干の色っぽさと哀愁を漂わせ、懐かしむ様に一口飲んだ後。

「とある化物の、失恋の味なのだよ」

 と、よく分からない事を言い出しました。

 このロマンチストぶりには付いて行けませんが、春花さんが嬉しそうなので良しとしましょう。



 おわり。


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