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『人間』

「こんにちは、自殺さん」

「今はこんばんはだよ、化物」

 彼の気はよく向いてくれるようで、私が足を運ぶ度に話をしてくれました。

 いえ、話という程の物ではありません。

 何と言いますか、いえ、やはりお話なのでしょうか。

 私は彼に質問をして、彼はそれに応えるだけ。

 しかも、彼の返答は全て難しく、私にはよく分からないものばかりです。

 例えば、こんな感じ。

「実際のところ、死ぬ理由なんてものはない」

「でも、この前自殺しようとしていたのは自殺さんです」

「生きる事に理由が無いんだ、どちらかを選ばなければならないなんてふざけた選択肢があるものか。 だから俺は死のうとしただけに過ぎない」

「意味が分かりません」

「それはお前が化物だからだ」

「そうですか」

 私が自殺さんの言う事が分からないと、いつも私が化物だから分からないと言います。

 あぁ、私が自殺さんみたいに人間になれたなら、もっとお話しが出来るのに。

「自殺さん」

「何だ?」

「私、人間になりたいのです」

「またか、前にも言ったがお前は人間だ」

 自殺さんは変です。

 いつも私の事を化物だと言っているのに、こんな時だけ人間だと言います。

「お前の親は人間か?」

「はい」

「両親とも?」

「はい」

「母親の股ぐらから出て来たのだろ?」

「確証はありませんが、はい」

「なら間違いない、人間だ」

 ですが。

「だけど、人間には角はありません、私の母も、父も、私を人間だとは認めてくれません」

「それがどうした」

 またです。

 また、キッパリと言いのけて、私をまっすぐ見ます。

「化物は親が人間だと言えば人間なのか」

「いえ、だから私の両親は」

「化物は俺が人間だと言えば人間か」

「……分かりません」

「分からん、だから人間だ」

「そんな曖昧な話はありません」

「それが人間だ」

「だから言葉の意味が」

「それはお前が化物だからだ」

 またです。

 私が化物だから、世界には分からない事が多いのです。

 人間になれたら。

 人間だったら、自殺さんともっとお話しが出来るのに。

 人間になりたい。

 この時、この瞬間。

 私は人間になりたいという希望を抱いてしまった瞬間であり。

 私が死んでしまう、二か月前の事でした。


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