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『出会い』
彼と出会ったのは、裏山の森でした。
その時、彼は木の枝に縄をくくりつけて、自殺の準備をしていました。
驚きましたね。
私は今まで色々な人間を見て来たつもりでした。
しかし彼は、そう別種。
言い表すのはとても難しいですが、他の人間と何らかの分厚い壁があるような、人間でないような。
そんな生物に見えました。
一心不乱に死のうとしていた彼ですが、私に気付くと動きを止め、私に近付いて来ました。
あぁ、殴られるんだ。
蹴られるんだ。
直感で理解しました。
「お前」
しかし。
「何故俺を死なせてくれない」
私の期待。
いえ、私の予測は大きく外れました。
彼は私の側に来て、目を合わせています。
何故でしょうか。
彼の眼はとても悲しそうです。
「何故、俺だけ何だろうな、はは」
こんなに悲しそうなのに、何で彼は愉快そうに笑うのでしょうか。
彼は顔に右手を当て、とても愉快そうに笑います。
私を殴りながら笑っている人もいましたが、その人より楽しそうです。
とても楽しい事があったのでしょう。
私は、そんな彼を眺めていました。
ずっと。




