初雪(ユキ)
*ユキ×主人公
*IF世界
*多分恋人同士
*一度やってみたかった、ユキの雪ネタです←
*…甘い…かな……いや、微妙?
「雪……降らないかなー…」
「…………呼んだ?」
今日、何となくアスカと中庭を散歩した。
お昼だけど外は曇っていたから、そこまで眩しくない。
……明るいのは嫌だから、ずっと曇っていればいいのに。
そう思ってたら、ふとアスカが《ユキ》と呼んでくれたから反応したけど、違うみたい。
「ううん、ユキじゃなくて……雪」
「……?」
「え、えっと、まっ白くて……冬の時期に空から降る、冷たいやつ」
「……………ん、分かった……白いやつ、だよね?」
「そう、そっちの雪だよ」
ユキと雪。
すごくややこしいから、よく間違える。
……アスカは雪が好きなのかな?
「……アスカ、雪…好き?」
「うん、とっても綺麗で好きだよ」
「………ボクも、好き…」
ボクの事を好きって言ってくれているみたいで嬉しいけど、実際は違うから少し寂しい。
でも、ボクも雪が好き。
小さい頃、ハルト兄さんやナツ兄さんと一緒に雪だるまを作って遊んでた。
今ではやらないけど、すごく楽しかったな……。
「あ、雪降ったら……何する?」
「…外……遊ぶの…?」
「うん!!
雪を間近で見たことがないから、沢山遊びたいと思ってるんだけど……駄目かな?」
……そうだ、アスカは身体が弱いんだよね。
それなら、いっぱい遊ぼうかな。
明るいところは眩しくて嫌だけど、アスカのためなら…我慢、する。
「………ん、分かった。
雪の日……外で、遊ぶ。」
「まあ、降らなかったら約束が無駄になっちゃうけどね……」
「……雪……降らそうか?」
普段は外出なんてしないから使い道はないけれど、ボクは天候を左右する魔法を使える。
アスカが望むなら、今からでも雪を降らせるよ。
沢山積もったら、アスカは喜ぶかな?
けれど、アスカは首を振った。
「ううん、魔法は大丈夫。
雪は自然と降ってほしいな…」
「……どうして?
魔法、嫌……?」
まさか、アスカは魔法が嫌いなのかな?
そうだとしたら、今まで気づかなかったボクは酷い子。
……どうしよう。
「ううん、嫌じゃないよ。
ただ……雪が降るか分からないからこそ、楽しみなの」
「……楽しみ………待つの、好き?」
「うん、好き。
だから一緒に待とう?」
「………うん、アスカと一緒……待つ」
よかった。アスカは魔法が嫌いじゃないみたい。
……じゃあ、待つ。
いつ降るかは分からないけれど、ずっとずっとアスカと一緒に待つ。
「………あ…」
「……アスカ?」
アスカが空を見上げながら、驚いたような声を出したのでボクも空を見る。
……雨…?
ううん、違う……これは…
「―――――雪?」
雪が降ってきた。
でも、この雪は水分が多いから……積もらなそう。
「………アスカ、雪……」
「……すごい、噂をしてたら降ってきた………!!
すごいよね、ユキっ!!」
「………うん、すごい…綺麗」
けれど、アスカは積もらなくてもいいみたい。
だって、こんなに嬉しそうな顔をしているから。
……アスカが笑っていると、ボクも嬉しい。
だから雪で遊ぶのは……今度にする。
積るほどの雪が降るまで、約束。
...true end...