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夜明けまで恋して  作者: 鴉野 兄貴
『めし』『ねる』『うまかった』

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お正月でも休みません! 偉いッ

「お正月でも休みませんッ えらいッ 」

私たちが若いころは正月といえば皆休みを取り、あらゆる商店、百貨店が軒を占め、

ものぐさな人は深刻な物資不足に陥るということが風物詩だった時代でした。


 そのお店は不思議なお店でした。

二四時間営業。盆暮れ正月関係なしで営業。全国に同じ店がある。

スーパーマーケットによく似たお店。『コンビニエンスストア』なのです。


 正月は休むもの。そう思っていた日本国民(わたしたち)は当時は衝撃的なCMにショックを受けました。

正月でも働くのは偉いのだと。一九七五年。日本国の価値観はものすごい勢いで変化していたのです。


 閑話休題。そんなことはどうでもいいのです。

このころの私たちは各所のあいさつを済ませたり、職場を辞めろ辞めないでもめたり、

寿退職が普通だったこの時代において『なぜ辞めなければいけない』という私を久さんがなだめたりしていたのですから。


 遠慮がちに私の手を握る彼の手。そのごわごわして、機械油で汚れた手をそっと握り返しながら私たちは歩きます。

「由紀子。今日も映画か」嫌そうにする彼にあきれる私は応えます。「美術館なんてどうですか」嫌そうです。どうしろと。

「だいたい、丁稚同然のあなたに奢ってもらうのも」「あのな」事実なのです。

私たちは文句を言いあいながら道を歩きます。歌が流れる商店街を抜けて。

一九七五年。この年に最後の集団就職列車がその役目を終え、日本はバブル時代に入っていきます。

より便利に。より早く。よりたくさん。

私たちは、その変わりゆく時代の狭間で短い青春を謳歌していたのです。

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