知り合いがSNSで炎上していた
これはいつものようにSNSをぶらぶらしていた時のことだった。
炎上している投稿を見つけた。炎上はどこにでもあるがその投稿主が反論をしているためにさらに大きくなってしまっていた。
いつもなら『なんでこんな炎上するような投稿したんだろう』くらいでおわっていたが今回はそうはいかなかった。
なぜなら投稿されている写真が恐らくリアルの知り合いのものだったからだ。
そう、高校卒業と同時に地元を出てそれ以来よくわからない知り合い。ただ近所に住んでいたので小学校、中学校も一緒だったがクラスも部活も違ったから人となりはよくわからない。でも近所に住んでいた。なので彼女以外の家族の顔もわかる。顔を消しているが目元だけで全身がよくわかるのであの近所の家族だということがよくわかる。
「これ、あそこの式場?」
炎上した投稿は兄弟の結婚式で自分の親族の手際がよくないことを愚痴ったものだった。その愚痴を投稿するにあたって写真も一緒に投稿していた。そしてその写真にがっつり背景が写っていたので地元でも有名な式場であることがすぐにわかってしまった。地元で式を挙げたいと言っていた子がここで結婚式を挙げてお呼ばれしたのですぐにわかった。SNSに浸かっている人間からしたらこんな写真出したらダメだろ、という感想しかなかった。そしてなんとなく気になって他の投稿も見てみた。
するとそこには鍵なしで顔を隠していない知り合いの写真がたくさんあった。もう顔を知っている人間であったならすぐに身元がわかるくらいに。それなのに結婚式の進行の手際が悪いだとか、向こうの家族は仲が良さそうで羨ましいとか、書かなくてもいいことがつらつら書かれていた。
どうしてこんな顔写真を鍵つきではないアカウントで投稿したのかはわからない。参加していた人に見られたらまずいんじゃないか、と考えながら私は炎上した一連の投稿と身元が特定できそうな投稿をスクショした。特に理由はない。
それから三日ほどして知り合いは鍵垢にした。フォローリクエストをしていなかったので私は彼女の投稿を見ることはできなかった。だが特に何か思うことはなかった。
「知り合いにバレたのかな?」
そう考えるには十分だった。そしてその答え合わせはすぐにできることになった。
母から電話が来た。
「ねえ、近所のあの、ほらあの激しいの親子げんかしてたあの子!覚えている!?」
記憶にない。
「激しい親子げんか?」
「あれ?覚えてない?あなた近所で小学校も中学校も一緒だったけど特にもうこの家族と縁を切るって言って出ていってしれっと何事もなかったかのように帰ってきたことがあるんだよ」
それは本当に知らなかったので驚いた。
「そのこがね、なんでも末の弟の結婚式の悪口を書いてネットにあげたみたいなの」
私はすぐにあの炎上の件だと確信してしまったがここでは適当な相槌を打って知らないふりをしていた。
「それが弟のお嫁さんの親族に見つかったみたいでね」
世間は狭いというがこんなすぐに知り合いにヒットするものなのか。よりにもよって見つかってはまずい人に見つかったのではないかと驚きつつ自分も気をつけようと内心で誓った。
「なんか個人を特定されそうな情報も載っていたみたいだから投稿を消すように言われたらしいんだけどなんかすぐに消さなかったみたいで」
反論することでさらに盛り上がっていた投稿を思い返す。消したら本当に自分が投稿したものだと確定してしまうから消せなかったのだろうか。
「なんかそのお嫁さんの親族が直接消すように言っても消さなかったみたいで」
開かれたSNSで弟の嫁の家族に見つからないと思ったのだろうか。 それともなりすましの他人だと判断したのだろうか。まあ真実はわからないがだいぶ大きな出来事になっているようだった。
「なんかその対応を見て弟くんがもうお姉さんとは疎遠にするって言ってねぇ」
まあ、それはわかる。なんかイベントがあったら知らないうちに投稿されるのかもしれないと思ったら距離を置きたい。
「受付とか手伝っていたのに遅刻したって言いががりつけられた姉妹も関わりたくないって言ってねぇ」
受付してたのにそんなこと言われてたんだ。受付やっていたことわからなかったってこと本人は何してたんだ?そんな疑問が頭をよぎった。が、母の次の一言に驚く。
「実家を売り払って移住しようって話でまとまってた」
なんてダイナミックな話に落ち着いたんだ。
「なんか前にも絶縁するって大騒ぎして、しれっとやってきたからその反省があるのかもしれない。私の勝手な想像だけど」
そうなのか、いやそれにしても。
「なんで母さんそんなに詳しいの?」
「そりゃ窓全開で家族会議してたら近所には丸聞こえよ」
なるほど。
「もう町内は当分この話題でもちきりね」
そうだね、近くでそんなことがあったらそうなるね。
「でもあの子が投稿したっていうの今は消しちゃったから見れないのよね」
見てみたかったという母に私は提案した。
「あのさ、多分そうじゃないかなっていうもの見つけて保存しておいたものがあるんだよね、送る?」
「送って!」
私はスクリーンショットしておいた画像を母に送った。母も式場がどこで、写っているのが知り合いだということもすぐにわかったようだった。
自分で画像を保存しておいてなんだが、こうやって情報は広まっていくんだなと思い、私は今使っているアカウントに鍵をかけた。
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