表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/50

第43話 戦い終わって夜が明けて。

 嵐のようなものも完全に消失しているのは確認できたけど、事が事だけに、陽が完全に昇ってから、城砦全体の検査と調査が行われた。


 結果、いちばん低い物見塔の壁の一部に破損が見つかったものの、ただの経年劣化と判定されたに留まった。


 人的被害もゼロだ。

 接近させずに終わらせたからね。

 俺らが、というよりコトンとモンタン氏の存在が、だけど。


 この、聖獣神獣勢の目でも、推定牛鬼の影響は残っていない、という。


「無事解決はしたが……どうもなんだか、スッキリしないなあ」

「ここは守り切ったのでしょう?問題ないのでは?」

 首を傾げていたら、後ろで観戦していた第二王子殿下にそう問われる。


「どうもヴァンレン帝国関連は、やけっぱちな行動が目立ちすぎると思ってしまって」

(ああ、あやつの目的は、冥界を死者で飽和させる事で境界神の御力を削ぎ、この世界の外に逃れ出ることであったようじゃ)

 故に、この世界が壊れる可能性など一切考慮していないし、ヒトも国も、道具としか考えていなかったろう、とコトンは語る。


 実際奴は、世界の境界を緩める事には、かつて一回成功している。

 俺とシシェーリス確認官の前々世である初代二代の王、それに他にも複数の人間の魂が、別の世界に吹き飛ばされるという形で、だ。


 ただ、奴自身は何故かその波に乗り損ね、この世界に取り残され、境界の権能を持つフェントス神によって一旦封印された、らしい。


[あ、そうそう。二回あった海軍の襲撃、あれ海軍司令官の独断と暴走だってよー。

 一回目はここまでくる予定じゃなかったのに来ちゃった奴で、二回目はこてんぱんにされたから面目立たなくなって、勝手に総力戦しにきてまた負けたんだってさ!]

 そして、モンタン氏から予想外のヴァンレン海軍の裏話が暴露された。


 つまり、元々もっとモスクモロルに近い海域でこっそり新兵器の射程実験をするつもりが、何故か距離感を誤ってセレバンディア沖合まで来てしまった挙句、神獣様の住む島をまともに攻撃してしまったという……最初のアレ、完全に事故だった、らしい。


 で、モスクモロルの船団に背後を取られて大騒動になって敗走したのを根に持って、何故かこっちに恨みを向けてきたのが第二次遠征。


 そこでもコテンパンにされた上に、またもやモスクモロルの海軍かいぞくに帰りをカモられた訳ですね?

 やらかしたトンデモ無能司令官はというと、撤退直前に副官に斬り殺され、階級の判る服などを奪われた首なし死体にされたらしい。


 これはモスクモロル側が数人だけ、生きた捕虜を確保できたために判明したのだそうだ。

 この世界の海賊、身代金商売がメインだから、そういう鹵獲とか捕虜確保、得意だもんな。


 ……つまり、やらかし野郎はあの時処分した死体のどれかだった、って訳だ。

 そこまで検分してたっけ?


「初回が隠密仕様で階級章などが見当たらなかったのは、実験部隊でもあったから、ですか」

「その手の実験をわざわざ他国に喧嘩売ってまで……いやそういう国だったな、あそこは」

 どうやら男爵家の方ではそこら辺もきちんと検証してあったようで、そんな会話が聞こえてくる。


 うむ、やっぱ俺、普通の冒険者やってるくらいがちょうどいい奴だぞ!

 そんなとこまで考えてなかったもんあの時!


「最初の時に途中から急にヴァンレン側の勢いがなくなっていたの、あれ、あの兵器の弾切れだったらしいですしね」

「試験の為なら、そこまで数は持ち込んでいなかったのだろうなあ」

 成程、大砲の弾切れが速攻で見切られて海賊式のりこめーされたのか。


 そんな感じで、ヴァンレン帝国海軍のみっともない話が披露されて、無事この騒動もひと段落、といったところだろうか。


 それにしても、向こうの大陸には広大な無人の荒野が残ってしまった、ということになる。

 いや、あっちはまだ戦闘状態続いてるんだっけ?

 そういや、俺らが始末したの、海に出てきた奴らだけだな?


「大陸の向こうではどうなっているのやら」

(うん?あっちも終わっておろうな。さっき滅したあやつが真の元凶であった故、恐らく今頃アンデッド共もあらかた機能停止しておろうさ)


 へえ、そんなことができるのなら、あの牛鬼、結構な大物だったんだな。


「……あー、どうだろう。スキルでいろんなものをあっちに返しちゃったから、まだ動いてるかも」

 そこにトーテルが爆弾発言だ。


 そういえば、『もとにかえす』、だったな、こいつが改変したスキル名称……


(大丈夫じゃよ、剥がした時点で、人類には無害なものに変換されておる。其方が為したのは、そういうものだ)

 コトンがそう言うけど、トーテルには直接伝わらないので、俺が伝える。


「なんか凄く大それたことをした気がしてきた」

「スキルを読み替え改変する時点で十分大それた事ですから、今更ですよ」

 自分のしたことに、今更ながらおののく気持ちになったらしいトーテルに、シシェーリス確認官が全力で、なんだか楽しそうに追い打ちをかけている。


「スキルには謎も多いのです。今回新たな活用法が見いだされたのは、人類には僥倖かもしれないのですよ」

 ……成程、シシェーリス確認官は、好きでスキル確認官の道を選んだクチだな?これは。

 語る姿が、俺には加護を突き抜けてるのか、オタクっぽさ全開にしか見えなくなってきた。


(其方慣れすぎて、加護を見破るようになりだしたな……)

 見破れるんだ、それ……?


 なお、他の人はほぼ全員、楽しそうに語るシシェーリス確認官に普通に見惚れていた。

 美男は得なのか損なのか、難しい案件ではあるな。


 フィリスねーさんだけはずーっと俺を見ていたけど、なんでだろうな?

なんでわざわざ遠征してきたかというと、近海だと普通にフェ・ダとテルメルエンケルの監視者スパイがいるからですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ