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第38話 海軍という名のアンデッド軍団。

「既に交戦中の国があるということは、例のボトルメールは遅きに失した、ということですか」

「そもそも波任せ海流任せのボトルメールって時点で教える気をあんまり感じませんね?」

 この日の軍議はまずは容赦のないツッコミからスタートだ。


 そう、ボトルメールという手段は、あまりにも迂遠に過ぎる。

 とはいえ、魔物の領域も潰されて、神の恩寵もなければ神獣様も寄り付かないヴァンレン帝国からの通信手段なんてそうそうないと言われればそうなんだが。


[内容に気付いた時点でうちの主様がこちらに流し寄せてくださったんですが、それでも距離がありますからなあ]

 そしてモンタン氏からの情報だと、どうも海神様が便宜を図ってくださって、やっとこれ、ということらしい。


 まあ情報はね、元の世界の速さのほうがちょっとおかしい感が否めないしね。


 この世界の場合、神獣様がたにアクセス可能な人なら、ちょっとだけ情報が早いかもね、くらいのやつだ。


「成程、本隊が襲撃してくる前に届いただけでも重畳、ですな」

「確かに」

 シシェーリス確認官にもボトルメールは見せたのだけど、彼は『漢字かなの部分だけ拾って読んでみたりしたのですけど結局意味不明でしたので、純粋に最初のカークさんの読み方で正解みたいですねえ』と言っていた。


 成程、そういう読み方もあったか。

 結果的に意味は持たせてなかったようだけど、今後似た案件があったら気を付けよう。


 さて、コトンとモンタン氏のおかげで、沖ノ太夫族やその他の海鳥達から広く情報を募れる状況なので、情報をできるだけ集約してから地図上で再現する作業だ。


 これはふたりの聖獣・神獣様が積極的に手伝ってくれたので、割と短時間でできた。


「成程、本当に全方位攻撃なのですね」

「あちらの大陸の情報まである程度あるとは、神慮畏るべしですなあ」

 なんでも、グウェンヴェランやテルメルエンケル、果てはコローニス近海にまで骨の軍隊が侵攻中であるらしい。


 ただ、流石に北方のトゥミナや、レジュメイア大陸の南に位置するハンシャン、それにレジュメイア大陸の北部にはまだ全然、影も形も見えない、とのこと。


 まあ地理的に無理って奴だ。

 転移なんて便利な魔法もしくは術を使えるのは神獣、聖獣、御使いの一部だけ、だ。


 人類もアンデッド類も、地道に自力で距離を稼ぐ必要があるわけだな。

 せいぜい乗り物を利用できる、辺りが限界だ。


 ただ、今回の大侵攻は、どうも存在するすべての人口をアンデッド化したうえで、それらを地続き二国を襲撃する分以外、全面的に船に載せてるっぽいんで、最終的には今来ていない地域にも襲来するんじゃないか、というのが俺たちの結論になった。


「出遅れ感が否めないな」

「とはいえ、あちらに逆侵攻する手立ても、そこまでする理由もなかったですからねえ」

 アル兄のぼやきに、シシェーリス確認官が痛いところを突いてくる。


 そう、この世界、侵略とか侵攻とか、やらかした時点で神に見放されると言われている。

 なので、神の恩寵を最初から受けていないヴァンレン帝国くらいしか、その手の事をやらかさない、ってのが現状なんだ。


 海賊の略奪行為は……あれは土地への侵略の意図が全くないから、ヒトの小団体同士の小競り合い扱い、らしい……


 そして、神々は原則として、現在の地上へは直接の干渉を行わない。行えない。

 そのため、神獣様や聖獣様、御使いという存在を創り、地上に派遣しているって訳だ。


 彼らは対アンデッドの場合、その存在に使われている神の力を放出して戦う。

 つまり、その力を使い切ってしまうと、消滅する。


 これがどうやら、ヴァンレン帝国が魔物の領域を消し去っていった理由でもある。

 コトンも言っていたけど、単体同士なら、アンデッドなんて不自然な存在は、魔物や神獣様から見たら雑魚もいいところだから、魔物の領域が存在すること自体が奴らには脅威だったと。


 なので奴らは、アンデッドを大量に生成しては領域にぶつけるという物量作戦でここまで来た。

 そして今回も、同じやり方を……全世界に向けておっぱじめた、って訳だ。


 故に、今回の大侵攻は、放置していれば人類全体に取り返しのつかない被害を及ぼすはずだ。

 あいつらに殺されたら、即アンデッドの仲間入りらしいからな、人間。


 この場合天人族はどうなるのかというと……まだ例がないので判らない、そうだ。

 元々あっちの大陸は天人族、殆どいなかった上に、ヴァンレンが帝国を名乗った頃に、皆レジュメイア側に逃げ出したそうなので。


 これはシシェーリス確認官が自ら調査した情報なので、恐らく間違ってはいないだろう。

 なにせ彼は……


「……というわけで、カーク、あの〈囲い〉で防壁を構築する場合、最大サイズはどのくらいだね?」

 考えていたら、おもむろに質問された。

 いや、ちゃんと聞いてない俺が悪いな。


「船の航行を阻止する程度のサイズであれば、フランコリン伯爵領の手前までは囲える、かな。恐らく、後方は下げて、あちら側に撤退可能な形態にしないとまだ厳しいですが」

 うん、今も順調にスキルの熟練度は上がっている。コトンのおかげでね。


「流石に大陸全土は無理ですか」

 シシェーリス確認官がかなりの無茶ぶりですよ?


「それをやろうとすると……五分しかもたないとかになりそう」

 なんてこった、できなくはない、という結論になったよ、自分でも。


 ただ、致命的に継続時間が短くなる。

 流石に五分では、神獣様達総出でも、大陸全土に手を伸ばそうとするアンデッド集団を殲滅するのはちょっと無理がある、よな?


(五分もあるのか。よいな、それで行こう)

 そしてなんかコトンが恐ろしいことを言った。五分で、いい?マ?


 ……でも俺、あんな骨連中のせいでコトンが居なくなるのは、嫌だよ?

コトンもモンタンのような全体発話はできるはずだが、敢えてやらない主義らしい。

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