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第31話 Aランク到達とパーティの解散?

 冒険者活動正式開始から五年経過し、無事に俺たちは揃ってAランクに昇格した。


 のだが……


 昇格した当日に、まずミーティスが懐妊を告げた。

 まあこれは問題ない。狙いすぎ感は否めないが、最初っから予定通りとはいえる。


 問題なのは、エランだった。

 というか、昇格の当日に何故かパーティハウスに現れた俺の本家の姉、サスキアだね。


「エラン殿もAランクともなれば、私の婿でも問題ないだろう?そうだろう?」

 だ、そうだ。


 以前一瞬考えて、流石にそれはなくないか?と思ったルートがそのまんま発生したっていうね!


 エランが嫌がるなら止めさせるつもり満々だったんだけどさ、なんかあいつも強い女性はいいですね、とか言い出してさ。


 本人が望むなら、断る理由なんてないんだ。

 そもそもパーティ組んで冒険者やってたのも、成り行きではあるんだし。


「流石に二人欠けるのは問題あるな」

「エラっちのトドメ力、頼ってたかんなあ」

 アル兄とモードゥナも、そう感想を述べたものの、サスキア姉さんとエランの結婚自体には前向きな構えだ。


「エランがパーティに残るって選択肢はないの?」

「男爵家側でも、今後のヴァンレン帝国の動向の事を考えると火力は必要なんだ。

 俺も多分叙爵条件を満たすまでは男爵領詰めになる」

 ミーティスの質問に、男爵家側の事情を話す。


 俺の叙爵は土地の空き待ちでしかないので、一応本決まりにはなっているが、既存権益をどかすにはまだ殊勲が足りないそうでね。


 うん、ついでだから俺にもちょっと帰って来いって手紙を、サスキア姉さんが持ってきた。

 恐らくいわゆる予備役編入みたいな感じ。


 これは、コニーかーさんがクレトス村から旅立ってしまったせいでもある。


 去年、俺が帰省したあと、じゃあ後は宜しくね、と言い残し、この村に来た頃と同じくらいの荷物だけ持って、村を出て行ってしまったそうだ。


 一人でではない。居酒屋のおかみさんも一緒に行ったと聞いている。

 情報源?フィリスねーさん。


 居酒屋はロヴァルタにーさんが継いでいるから、特に問題ない。

 なんと、お嫁さんも料理系のスキル持ちだそうだ。


 あの居酒屋は安泰だねえ。もっと稼げる街の方に出て行っちゃわなきゃいいけど。


「んじゃ一旦パーティは解散して、家はミーちゃんとアル兄に置いといて、俺とテルっちはカー君に付き合う、って感じでいいか」

 そしてモードゥナがさっさと結論を出す。


「え、予算余裕あるんだし、家はタウンハウスにしとけばいいじゃん!

 私も実家が心配だし、コルモラン領に行くわよ?」

「もうおなかに子供がいるんだから、あの馬車の振動はダメっしょ!

 せめて子供が生まれて、首が据わるまでは待って?」

 ミーティスとモードゥナが丁々発止といった様相だけど、この二人は割とこういうバチバチトークになりがちだ。仲が悪いってことはないんだが。


「歩きに決まってんでしょ!あと実家で産む方が絶対後が楽」

「とはいえ、産むこと自体は街のほうが安心できるんだよなあ。

 あの村だと、産婆さん、隣村かコルモックから借りてこないとだし」

 ミーティスは村事情に慣れきっているからそんなことを言うけど、俺としてもちょっとそこは心配なんだ。


「じゃあコルモックに家借りて、お母さん呼ぶのはアリ?」

「あ!それいいわね!そうしましょう!」

 で、モードゥナが新たに出した提案に、ミーティスが乗っかって無事討論は終了だ。



 冒険者業を引退するわけではないので、パーティ登録だけを解除する。

 途端にその様子が聞こえた周囲の数人から、ウチに来ませんかって全員が声を掛けられたのには笑ってしまったが。


「ごめーん、私は引退なのよ、子供がね」

 一人だけ引退届を出したミーティスには、子供が、の時点で盛大な歓声と拍手が送られた。


「ちょっと実家に招集されるんで、しばらくポデントスには顔を出せないと思う」

「……あー、ヴァンレンがなんかやらかしそうって噂、俺らも聞いてる。

 地元防衛なんだったか、頑張れよ!」

 内陸部にあるポデントスにも、その種の噂は既に流れているらしく、最終的には俺たち全員が、拍手と応援の言葉で送りだされることになった。


 ああ、ポデントスの冒険者組合、ホントにいい奴ばっかりだったなあ!

 いつかまた、ここで仕事ができるといいな。



 すっかり慣れ覚えた道を、いったんクレトス村方面に進む。

 馬車はまずは御者として俺だけが乗って、後は全員徒歩だ。


 結局、十二分に鍛えられた俺たちには、そのスタイルが一番楽だな、となりまして。

 一応順番に御者はチェンジしてるよ。

 振動が身体に悪そうだから、今回だけはミーティスは除外するけど、普段は彼女も立派な御者ぶりだ。


 今回の馬車の中身は、街からのお土産各種だ。

 これは村に帰るときには必ず携えている。流通の終着点ってなにかと不便が多いからね。


 サスキア姉さんも一緒に来て、こちらは自前の馬で、エランと相乗りしている。

 いろんな話をするのをエランがにこにこと聞いているので、ふたりの仲は結構順調であるらしい。


 村へ行く道とコルモックに向かう道の分岐で、まずサスキア姉さんと別れる。

 エランは一旦うちに泊めるので。


「ありがとうエラン殿!久しぶりに存分に話を聞いてもらえたわ。また後日!」

「はい、また後日、コルモックでお会いしましょう!」

 エランがそう述べたので、もう完全にこの二人は本決まりだな、と思う。


 ダメならもっとぼやかした表現をするからね、商家育ちの人たちって。


「サスキア姉さんがあんなにおしゃべりだとは知らなかった」

 彼女の姿が見えなくなってから、思わず呟く。

 いや、そこまで交流が多かったわけじゃないけどもさ。


「普段は相当抑えてらしたんでしょうね。僕にも興味深い話が多くて、聞き入ってしまいましたが」

 成程、エランは話を聞く方も得意なのだな。

 俺は女性の長広舌には、どうも耐性がなくてなあ。


 今回も第一村人はプーリーさんだった。

 多分この人、村に出入りする人の監視もしてるんだろうな。


 こんな歳になるまで気が付かなかった俺、割と鈍感?

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